セプトクルール『すぐるとリリスの凸凹大進撃!』

マイマイン

文字の大きさ
上 下
44 / 81
虹色市誕生

2話 幻の島

しおりを挟む
 カインとテイルの結婚式が終わってから数日後、すぐるとリリスは早朝の南海岸を散歩していました。

「この場所を歩いていると、我らが初めて会った時のことを思い出すのぉ!」

「そうだねリリス、あれは確か数年前、ぼくが初めてこの『幻想界ファンタジア』にやって来て、人間にやられて大けがをした君を、ぼくが回復魔法を使って助けた・・・そんなこともあったな」

「うむ!わらわは片時も、その出来事を忘れたことはない!魔族の妾にも、偏見へんけんを持たずに接してくれた・・・!妾は、そんなお主にひかれたのじゃ♡」リリスはそう言って、すぐるの手をつなぎます。

「・・・まぁね、ぼくは相手の心情などを感じ取ることができるから・・・それで、キミが悪い人じゃないってわかったから・・・!」

「・・・妾は、お主を好きになってよかった・・・!」二人がそんな会話をしながら歩いていると、何もない南の水平線に突如とつじょ、一つの島が現れたのです。

「なんじゃ!?あの島は!」リリスは思わず叫びます。
「あれはもしや、幻の島!?」すぐるは言いました。

「幻の島じゃと!?」
「ああ、時々、あの水平線上にうっすら島の影が現れることがあるけど、突如、消えてしまうからそう呼ばれているんだ。でも、今回ははっきり見えるな・・・!」幻の島は、すぐるとリリスが都に戻った後も、消えずに南の洋上に浮かんでいたのです。

 「なんじゃと!それは本当か?!」リリスは、すぐる共々お世話になっていて、便利屋を経営している白いローブに火がともったとんがり帽子をかぶっている赤毛の妖精の少女キャンベルから突然とつぜんの知らせを聞いて叫びます。

「間違いありませんよ、ただ今、幻の島の探検隊たんけんたいのメンバーを城で募集ぼしゅうするとのことです」
「うおぉ!これは行くしかあるまい、城に行くぞすぐる!」リリスはすぐるの手を引いて、店のドアを開けっぱなしにしたまま城へと駆け出します。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」

 城の前の庭ではすでに、何人もの冒険者たちが集まっていて、リリスが名乗りを上げると、赤いコートを着込んで、白いひげをたくわえた王様の目に留まりました。

「おお!リリスとすぐる!お主たちも来てくれると心強いのぉ!」
「うむ、我らも探検隊に参加するからの!のう、すぐる!?」
「えっ!?は、はい・・・!」

 すぐるは戸惑とまどいながらも返事をしました。二人はかつて、世界を救うために、幻想界ファンタジア中を冒険したことがあり、それを見守ってきたスピネル国王は、すぐに二人を探検隊に入れてあげました。

 他にも、夫婦になったばかりのカインとテイルの二人の他、スピネルの兵士やメイドなども加わり、騎士団長のフリーダを隊長とする探検隊が組織されたのです。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

セプトクルール 三賢者と虹色の夜明け

マイマイン
児童書・童話
 現実界に住む魔法使いのすぐるが、幻想界へと旅立ち、仲間たちと共に悪魔王カオスを倒して数年後、すぐるは幻想界で出会い、『誓い』を結んだ魔族の少女リリスと共に、現実界で平和な生活をおくっていました。  しかし、祖父から魔力を受け継いでいるすぐるは、現実界での生活にはなじめず、他の生徒たちからは好奇の目で見られたり、化け物扱いされていましたが、祖父から託された使命の事、リリスが亡き両親から託された使命の事などが忘れられず、再び幻想界へ旅立とうと決意をしたのでした。  今回は主人公が三人で、それぞれの物語を進んでいくことになります。

荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。  そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。  そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。  今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。  かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。  はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

異世界桃太郎 ~桃から生まれし英雄 伝説への道~

bekichi
児童書・童話
ある村の川辺に不思議な光を放つ巨大な桃が流れ着き、名門貴族の令嬢・桃花姫の屋敷近くで発見される。桃花姫は好奇心から桃を割らせ、中から元気な少年・桃太郎が現れる。桃太郎は桃花姫に育てられ、村人に愛されるが、自身の出自に疑問を持つ。ある日、伝説の英雄についての古文献を見つけ、自身の出自を探るために旅に出ることを決意する。桃花姫の監視を逃れ、船頭の翔平の助けを借りて夜に村を抜け出し、未知の世界へ旅立つ。旅中、困難に直面しながらも、特別な運命を持つことを理解し、自己発見と出自を知る旅を続ける。

【完結】だるま村へ

長透汐生
児童書・童話
月の光に命を与えられた小さなだるま。 目覚めたのは、町外れのゴミ袋の中だった。 だるまの村が西にあるらしいと知って、だるまは犬のマルタと一緒に村探しの旅に出る。旅が進むにつれ、だるま村の秘密が明らかになっていくが……。

だから開けるなと言ったでしょう

平井敦史
児童書・童話
浦島太郎に玉手箱を持たせて地上に送り返した乙姫の胸の内は。 ※「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。

そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。

桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。 それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。 でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。 そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。

見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜

うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】 「……襲われてる! 助けなきゃ!」  錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。  人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。 「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」  少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。 「……この手紙、私宛てなの?」  少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。  ――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。  新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。 「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」  見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。 《この小説の見どころ》 ①可愛いらしい登場人物 見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎ ②ほのぼのほんわか世界観 可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。 ③時々スパイスきいてます! ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。 ④魅力ある錬成アイテム 錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。 ◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。 ◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。 ◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。 ◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。

処理中です...