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虹色市誕生
2話 幻の島
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カインとテイルの結婚式が終わってから数日後、すぐるとリリスは早朝の南海岸を散歩していました。
「この場所を歩いていると、我らが初めて会った時のことを思い出すのぉ!」
「そうだねリリス、あれは確か数年前、ぼくが初めてこの『幻想界』にやって来て、人間にやられて大けがをした君を、ぼくが回復魔法を使って助けた・・・そんなこともあったな」
「うむ!妾は片時も、その出来事を忘れたことはない!魔族の妾にも、偏見を持たずに接してくれた・・・!妾は、そんなお主にひかれたのじゃ♡」リリスはそう言って、すぐるの手をつなぎます。
「・・・まぁね、ぼくは相手の心情などを感じ取ることができるから・・・それで、キミが悪い人じゃないってわかったから・・・!」
「・・・妾は、お主を好きになってよかった・・・!」二人がそんな会話をしながら歩いていると、何もない南の水平線に突如、一つの島が現れたのです。
「なんじゃ!?あの島は!」リリスは思わず叫びます。
「あれはもしや、幻の島!?」すぐるは言いました。
「幻の島じゃと!?」
「ああ、時々、あの水平線上にうっすら島の影が現れることがあるけど、突如、消えてしまうからそう呼ばれているんだ。でも、今回ははっきり見えるな・・・!」幻の島は、すぐるとリリスが都に戻った後も、消えずに南の洋上に浮かんでいたのです。
「なんじゃと!それは本当か?!」リリスは、すぐる共々お世話になっていて、便利屋を経営している白いローブに火がともったとんがり帽子をかぶっている赤毛の妖精の少女キャンベルから突然の知らせを聞いて叫びます。
「間違いありませんよ、ただ今、幻の島の探検隊のメンバーを城で募集するとのことです」
「うおぉ!これは行くしかあるまい、城に行くぞすぐる!」リリスはすぐるの手を引いて、店のドアを開けっぱなしにしたまま城へと駆け出します。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」
城の前の庭ではすでに、何人もの冒険者たちが集まっていて、リリスが名乗りを上げると、赤いコートを着込んで、白いひげを蓄えた王様の目に留まりました。
「おお!リリスとすぐる!お主たちも来てくれると心強いのぉ!」
「うむ、我らも探検隊に参加するからの!のう、すぐる!?」
「えっ!?は、はい・・・!」
すぐるは戸惑いながらも返事をしました。二人はかつて、世界を救うために、幻想界中を冒険したことがあり、それを見守ってきたスピネル国王は、すぐに二人を探検隊に入れてあげました。
他にも、夫婦になったばかりのカインとテイルの二人の他、スピネルの兵士やメイドなども加わり、騎士団長のフリーダを隊長とする探検隊が組織されたのです。
「この場所を歩いていると、我らが初めて会った時のことを思い出すのぉ!」
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「・・・まぁね、ぼくは相手の心情などを感じ取ることができるから・・・それで、キミが悪い人じゃないってわかったから・・・!」
「・・・妾は、お主を好きになってよかった・・・!」二人がそんな会話をしながら歩いていると、何もない南の水平線に突如、一つの島が現れたのです。
「なんじゃ!?あの島は!」リリスは思わず叫びます。
「あれはもしや、幻の島!?」すぐるは言いました。
「幻の島じゃと!?」
「ああ、時々、あの水平線上にうっすら島の影が現れることがあるけど、突如、消えてしまうからそう呼ばれているんだ。でも、今回ははっきり見えるな・・・!」幻の島は、すぐるとリリスが都に戻った後も、消えずに南の洋上に浮かんでいたのです。
「なんじゃと!それは本当か?!」リリスは、すぐる共々お世話になっていて、便利屋を経営している白いローブに火がともったとんがり帽子をかぶっている赤毛の妖精の少女キャンベルから突然の知らせを聞いて叫びます。
「間違いありませんよ、ただ今、幻の島の探検隊のメンバーを城で募集するとのことです」
「うおぉ!これは行くしかあるまい、城に行くぞすぐる!」リリスはすぐるの手を引いて、店のドアを開けっぱなしにしたまま城へと駆け出します。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」
城の前の庭ではすでに、何人もの冒険者たちが集まっていて、リリスが名乗りを上げると、赤いコートを着込んで、白いひげを蓄えた王様の目に留まりました。
「おお!リリスとすぐる!お主たちも来てくれると心強いのぉ!」
「うむ、我らも探検隊に参加するからの!のう、すぐる!?」
「えっ!?は、はい・・・!」
すぐるは戸惑いながらも返事をしました。二人はかつて、世界を救うために、幻想界中を冒険したことがあり、それを見守ってきたスピネル国王は、すぐに二人を探検隊に入れてあげました。
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