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リリスの日常
1話 リリスのデート
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ここは平和な王国スピネル、レンガ造りの家々が目立つ城下町の中央にある
緑豊かな公園の中に、青い屋根に白い壁の小さな家がありました。
その家の中から、晴れ渡る静かな朝ににつかわしくない声が響きわたります。
「すぐる、起きぬか!」白い壁に木のフローリングの床の部屋のベッドの上で、
白いシャツとズボンを着用した18歳の青年すぐるが寝ており、ベッドのそばでは、
茶色のワンピースドレスを着用し、赤毛のロングヘアーを上でツインテールにしている
19歳の少女がこしに手を当てて、怒りの形相で、すぐるを
にらみつけています。
「この大たわけが!先ほど起きたと思ったら、すぐに2度寝しおって!今日は
妾とのデートの約束の日であろう!早く起きるのじゃ!妾の口が
火を噴く前に!」それを聞いたすぐるは寝ぼけまなこでつくえにおいてある時計を
見ると、ハッと飛び起きました。
「げげっ!もう8時過ぎている!?ああ・・・リリス・・・おはよう・・・」
すぐるが青ざめた顔でベッドのそばにいる少女に話しかけます。
「おはよう・・・ではないわ!早く準備をするのじゃ!さもなくば、この場でお主を
バーベキューにしてくれる!」
リリスは口から火の粉を吹かせながら言います。
リリスは人間ではなく、コウモリのような翼に細長い尻尾、2本の角を生やした
魔族の女性だったのです。すぐるは大急ぎで着がえて、食卓で食事をすませました。
リリスとすぐるが外へ出ると、リリスはすぐるの手をつかんでかけ出しました。
「ちょっと!引っぱらないでよ!」
「妾とのデートの約束を忘れて2度寝したたわけ者は、
だまって妾に付き合え!」リリスはすぐるを連れて、まずは町の中央のふん水公園の
中を歩いていきます。高く水しぶきを上げるふん水のまわりを、ジョガーが
走りぬけたり、犬のさんぽをする人、鬼ごっこをする子供たちが行きかう光景は、
平和そのものでした。
「平和よのぉ・・・」
「そうだね」リリスとすぐるは噴水のそばのベンチにすわりながら言いました。
「すぐる、今日はこの後どうするのじゃ?」
「そうだね、町中を見て回って、最後はいっしょにランチなんてどう?」すぐるが
ていあんすると、リリスがうなずいて言います。
「それはいいのぉ、でも、ただ町中を見て回るだけではつまらぬから、
東の商店街でショッピングしていくのはどうじゃ?」これに、
すぐるはうなずきました。
「ああ、いいね、そうしようか」リリスとすぐるはベンチから立ち上がると、
公園の東のほうへと歩いていき、商店が立ちならぶエリアへと向かっていきました。
「ほれ、そうと決まったら、ショッピングへと直行じゃ!」
「わかったから、引っぱらないでよ!」
二人が公園を出て、商店街へとさしかかりました。そこは、買い物をする人々や、
観光のおみやげを買う人々が行きかっており、活気にあふれていました。
「何を買おうかな?」
「二人でおそろいのアクセサリーを買おうぞ!むっ!?」リリスがハッとして
顔を向けた先には、フリルの付いた白いシャツに、青いミニスカートを着用した
金髪のロングヘアーの青い瞳のエルフの少女が、髪を逆立てたり、かたまで髪を
のばしたガラの悪そうな少年たちにからまれている場面に出くわしました。
「へぇ、君ってかわいいね」
「よぉ、おれたちと遊ばないか?」
「あの・・・急いでいますので・・・」少女は困惑した様子でその場を
去ろうとしますが、少年たちは道をふさぎます。
「つれないなぁ、ちょっとだけでいいからさ」その様子を見ていたリリスは、
いてもたっていられなくなり、少年たちの前におどり出ました。
「よさぬか!シェリーが困っておろう!」少年たちはリリスの方を向きました。
「なんだよ、お前!」髪を伸ばした方は、リリスを見て青ざめます。
「こいつ、ひったくりをしかけたおれをボコボコにした女だ!」
「なんだと!もしかしてこいつ、リングネーム『バーニングガール』のリリスか!?
プロの格闘家じゃねぇか・・・逃げろっ!」
少年たちは尻尾をまいて
逃げ出しました。シェリーはリリスの前にかけよります。
「リリスお姉さま、ありがとうございましたわ!」
「シェリーもケガがなくて何よりじゃ!」シェリーはその場を後にしました。
緑豊かな公園の中に、青い屋根に白い壁の小さな家がありました。
その家の中から、晴れ渡る静かな朝ににつかわしくない声が響きわたります。
「すぐる、起きぬか!」白い壁に木のフローリングの床の部屋のベッドの上で、
白いシャツとズボンを着用した18歳の青年すぐるが寝ており、ベッドのそばでは、
茶色のワンピースドレスを着用し、赤毛のロングヘアーを上でツインテールにしている
19歳の少女がこしに手を当てて、怒りの形相で、すぐるを
にらみつけています。
「この大たわけが!先ほど起きたと思ったら、すぐに2度寝しおって!今日は
妾とのデートの約束の日であろう!早く起きるのじゃ!妾の口が
火を噴く前に!」それを聞いたすぐるは寝ぼけまなこでつくえにおいてある時計を
見ると、ハッと飛び起きました。
「げげっ!もう8時過ぎている!?ああ・・・リリス・・・おはよう・・・」
すぐるが青ざめた顔でベッドのそばにいる少女に話しかけます。
「おはよう・・・ではないわ!早く準備をするのじゃ!さもなくば、この場でお主を
バーベキューにしてくれる!」
リリスは口から火の粉を吹かせながら言います。
リリスは人間ではなく、コウモリのような翼に細長い尻尾、2本の角を生やした
魔族の女性だったのです。すぐるは大急ぎで着がえて、食卓で食事をすませました。
リリスとすぐるが外へ出ると、リリスはすぐるの手をつかんでかけ出しました。
「ちょっと!引っぱらないでよ!」
「妾とのデートの約束を忘れて2度寝したたわけ者は、
だまって妾に付き合え!」リリスはすぐるを連れて、まずは町の中央のふん水公園の
中を歩いていきます。高く水しぶきを上げるふん水のまわりを、ジョガーが
走りぬけたり、犬のさんぽをする人、鬼ごっこをする子供たちが行きかう光景は、
平和そのものでした。
「平和よのぉ・・・」
「そうだね」リリスとすぐるは噴水のそばのベンチにすわりながら言いました。
「すぐる、今日はこの後どうするのじゃ?」
「そうだね、町中を見て回って、最後はいっしょにランチなんてどう?」すぐるが
ていあんすると、リリスがうなずいて言います。
「それはいいのぉ、でも、ただ町中を見て回るだけではつまらぬから、
東の商店街でショッピングしていくのはどうじゃ?」これに、
すぐるはうなずきました。
「ああ、いいね、そうしようか」リリスとすぐるはベンチから立ち上がると、
公園の東のほうへと歩いていき、商店が立ちならぶエリアへと向かっていきました。
「ほれ、そうと決まったら、ショッピングへと直行じゃ!」
「わかったから、引っぱらないでよ!」
二人が公園を出て、商店街へとさしかかりました。そこは、買い物をする人々や、
観光のおみやげを買う人々が行きかっており、活気にあふれていました。
「何を買おうかな?」
「二人でおそろいのアクセサリーを買おうぞ!むっ!?」リリスがハッとして
顔を向けた先には、フリルの付いた白いシャツに、青いミニスカートを着用した
金髪のロングヘアーの青い瞳のエルフの少女が、髪を逆立てたり、かたまで髪を
のばしたガラの悪そうな少年たちにからまれている場面に出くわしました。
「へぇ、君ってかわいいね」
「よぉ、おれたちと遊ばないか?」
「あの・・・急いでいますので・・・」少女は困惑した様子でその場を
去ろうとしますが、少年たちは道をふさぎます。
「つれないなぁ、ちょっとだけでいいからさ」その様子を見ていたリリスは、
いてもたっていられなくなり、少年たちの前におどり出ました。
「よさぬか!シェリーが困っておろう!」少年たちはリリスの方を向きました。
「なんだよ、お前!」髪を伸ばした方は、リリスを見て青ざめます。
「こいつ、ひったくりをしかけたおれをボコボコにした女だ!」
「なんだと!もしかしてこいつ、リングネーム『バーニングガール』のリリスか!?
プロの格闘家じゃねぇか・・・逃げろっ!」
少年たちは尻尾をまいて
逃げ出しました。シェリーはリリスの前にかけよります。
「リリスお姉さま、ありがとうございましたわ!」
「シェリーもケガがなくて何よりじゃ!」シェリーはその場を後にしました。
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