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(おまけ)カレンダー短編集

8月 すぐるの夏休み

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 スピネルの王都の南にある遠浅とおあさの海岸。そこは通称つうしょう南海岸みなみかいがん』と呼ばれており、漁場ぎょじょう海水浴場かいすいよくじょうとしてうってつけの海です。

 夏真っさかりの雲一つない晴天せいてんの南海岸には、水着みずぎを着た多くの海水浴客がやってきていました。その中に、黄色い海パンを着用したすぐると、紺色こんいろのビキニを着用したリリスがやってきました。

「おお、さすがに人が集まっているね・・・!」すぐるはあちこち見回していると、リリスが言いました。
「これ!水着の女子ばかり見てないで、おもいっきり楽しもうぞ!」リリスはすぐるの手を引いて砂浜すなはまをかけだします。「ちょっと!引っ張らないでよ!」二人は海に入ると、すぐるはその場で平泳ぎをはじめました。

「ほう、すぐるって泳げたのだな・・・?」
「まぁね、小学校の時に少々・・・リリスは?水につかってばかりだよ?」これに、リリスは顔を赤らめていいます。
「すまぬ・・・妾は泳げぬのだ・・・!」
「へぇ~意外・・・!」
「なんじゃと!?エイッ♡」リリスがすぐるに水をかけると、すぐるも水をかけあいます。
 それからは、リリスが炎を吐いて火を起こし、バーベキューで昼食を取りました。

 昼食を終えると、すぐるは何かを感じ取り、絵筆型えふでがたの杖を手に、かけだします。「どうしたのじゃすぐる!?」リリスも後を追いました。
「誰かが助けを呼んでいる!」人だかりが集まっているところの中心には、上半身が人間の女性で、下半身が魚になっている人魚が倒れていたのです。すぐるはやじ馬をかきわけて人魚の元にかけより、背中の傷を見て顔をゆがめます。

「・・・ケガをしているな!おそらく人間にやられたんだろう・・・!」人魚は苦しそうにうなっています。リリスはこの人魚が他人とは思えませんでした。
「これは・・・あの時の妾と同じではないか・・・!すぐる!助けてやってくれぬか!?」

「まかせて!いやせ・・・ヒーリング!」すぐるが回復魔法を使うと、絵筆の杖のふさが光り輝き、人魚の背中のきずがふさがっていきました。その様子をリリスはじっと見守ります。

 傷は完治かんちしましたが、長らく海の外にいて体がかわいて弱っています。すぐるは人魚をかかえて海に戻そうとすると、リリスが止めます。

「待て、すぐるは魔法を使ってつかれておろう?妾が海に戻す・・・!」すぐるが他の女性を抱いている姿を見たくなかったリリスは、人魚を抱きかかえて海の中にそっと入れると、人魚は水を得た魚のようにおよぎ、イルカみたいにジャンプして、海に帰りました。あたりに、人魚の感謝かんしゃの歌がひびきわたります。

 空もオレンジ色にそまり、すぐるとリリスは海岸を後にしました。
「楽しかったね・・・!そう言えば、君と初めて会ったのもこの海岸だったね」
「うむ、人間に襲われ、海に放り出された後、この海岸に流れ着き、そこでお主が
いやしの魔法を使ったおかげで今の妾があるのじゃ♡」
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