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(おまけ)カレンダー短編集
3月 ルイスの奇跡
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エルニスとキャンベルの便利屋に入口をノックする音が響きわたります。
「は~い、どうぞ~」入ってきたのは、サラサラの黒髪のショートヘアーを持つエルフの少年でした。
「ルイスさんじゃないですか、どうしましたか?」
「あっ、キャンベルちゃん、今日はエルニスはいないね・・・お願い、ぼくに魔法を教えて!」これに、キャンベルは首をかしげます。
「あら?いきなりどうしたんですか?」ルイスは話を続けます。
「だって、ぼくの知り合いはみんなすごい特技を持っているんだもん。姉ちゃんやエルニスやリリスさんは武術ができてスポーツが得意だし、カインさんやキャンベルちゃんやすぐるさんは魔法が得意だし、それに引きかえ、ぼくには特別な特技や取り柄なんて何にもないんだ・・・!だから・・・ぼくも何か特別な特技が
欲しいんだ!」キャンベルはしばらく考え込みましたが、首を縦にふります。
「わかりました、やってみましょう」
キャンベルはルイスと向かい合うようにテーブルの席にすわり、テーブルには火がついていないランプが置かれています。
「では、ランプをじっと見てください、そして、火が付くところをイメージして下さい、その思いで心を満たして『ファイア』と呪文を唱えてください」ルイスは両手をランプの前にかざし、じっと思いを込めて呪文を唱えます。
「ファイア!」気持ちのこもった声に反して、ランプには火が付くどころか、わずかな煙すらたちません。
「くそっ!ファイア!」ルイスは続けて呪文を唱えますが、結果は同じでした。
「ダメだ~!」ルイスはへたりこみます。
「う~ん、どうやらルイスさんに魔法はムリみたいですね・・・魔法は魔力の才能に左右されますから・・・」
「そんな・・・ぼくは運動はてんでダメだし・・・だから魔法を覚えようと思ったのに・・・ぼくはなんてダメなんだ・・・」これに、キャンベルはこう言いました。
「ルイスさん、魔法ができないからって、
むやみに自分を卑下する必要はありませんよ。魔法がすべてじゃありませんから」
「でもなぁ・・・なんかやっぱり特別な特技が欲しいよ・・・ぼくにはそんなものは・・・!」
「ルイスさんの場合、自分のすごさに気づいていないだけかもしれませんよ・・・」
ルイスはふと、奥のタンスに置かれているからくり時計に目がとまりました。
「キャンベルちゃん、あれは・・・?」
「あれは、修理の依頼であずかっている時計です。わたしとエルニスさんで修理しようとしましたが、1週間かけても直せなかったんですよ・・・」
それを聞いたルイスはふと思い、からくり時計を持ち出し、テーブルにおいて見てみました。
「これ、もしかしたら、直せるかも・・・!?」ルイスは道具箱を取り出すと、さっそくドライバーを手に持ち、時計のふたを開けて中の機械を調べてみます。
「やっぱり、金属の歯車でぎっしりだね・・・でも、こうすれば!」ルイスは道具を使ってねじをしめたり、部品をみがいたりして、手際よく作業していきます。
「よし!終わったぞ!」キャンベルはあっけにとられます。
「もう終わったんですか!?まだ1時間もたっていませんよ!?」時計から仕組みが動く音が聞こえ、時計の短針が午後3時をしめすと、上のほうの扉が左右に開き、中から天使の人形が現れ、オルゴールの音楽をかなでます。
「へぇ、こんなにすてきな時計だったんだ・・・!」キャンベルは驚きをかくせず、両手でほおをおさえます。
「信じられません・・・!ルイスさん・・・あなたは天才ですよ!ムリに魔法を覚える必要はありません!その特技を、自分のできることをのばしていけばいいんです!」
「ありがとうキャンベルちゃん・・・でも今はおこづかいがないから、報酬をはらえないや・・・」
「あの時計を直してくれたからいいですよ」ルイスはほこらしげに便利屋を後にしました。
「は~い、どうぞ~」入ってきたのは、サラサラの黒髪のショートヘアーを持つエルフの少年でした。
「ルイスさんじゃないですか、どうしましたか?」
「あっ、キャンベルちゃん、今日はエルニスはいないね・・・お願い、ぼくに魔法を教えて!」これに、キャンベルは首をかしげます。
「あら?いきなりどうしたんですか?」ルイスは話を続けます。
「だって、ぼくの知り合いはみんなすごい特技を持っているんだもん。姉ちゃんやエルニスやリリスさんは武術ができてスポーツが得意だし、カインさんやキャンベルちゃんやすぐるさんは魔法が得意だし、それに引きかえ、ぼくには特別な特技や取り柄なんて何にもないんだ・・・!だから・・・ぼくも何か特別な特技が
欲しいんだ!」キャンベルはしばらく考え込みましたが、首を縦にふります。
「わかりました、やってみましょう」
キャンベルはルイスと向かい合うようにテーブルの席にすわり、テーブルには火がついていないランプが置かれています。
「では、ランプをじっと見てください、そして、火が付くところをイメージして下さい、その思いで心を満たして『ファイア』と呪文を唱えてください」ルイスは両手をランプの前にかざし、じっと思いを込めて呪文を唱えます。
「ファイア!」気持ちのこもった声に反して、ランプには火が付くどころか、わずかな煙すらたちません。
「くそっ!ファイア!」ルイスは続けて呪文を唱えますが、結果は同じでした。
「ダメだ~!」ルイスはへたりこみます。
「う~ん、どうやらルイスさんに魔法はムリみたいですね・・・魔法は魔力の才能に左右されますから・・・」
「そんな・・・ぼくは運動はてんでダメだし・・・だから魔法を覚えようと思ったのに・・・ぼくはなんてダメなんだ・・・」これに、キャンベルはこう言いました。
「ルイスさん、魔法ができないからって、
むやみに自分を卑下する必要はありませんよ。魔法がすべてじゃありませんから」
「でもなぁ・・・なんかやっぱり特別な特技が欲しいよ・・・ぼくにはそんなものは・・・!」
「ルイスさんの場合、自分のすごさに気づいていないだけかもしれませんよ・・・」
ルイスはふと、奥のタンスに置かれているからくり時計に目がとまりました。
「キャンベルちゃん、あれは・・・?」
「あれは、修理の依頼であずかっている時計です。わたしとエルニスさんで修理しようとしましたが、1週間かけても直せなかったんですよ・・・」
それを聞いたルイスはふと思い、からくり時計を持ち出し、テーブルにおいて見てみました。
「これ、もしかしたら、直せるかも・・・!?」ルイスは道具箱を取り出すと、さっそくドライバーを手に持ち、時計のふたを開けて中の機械を調べてみます。
「やっぱり、金属の歯車でぎっしりだね・・・でも、こうすれば!」ルイスは道具を使ってねじをしめたり、部品をみがいたりして、手際よく作業していきます。
「よし!終わったぞ!」キャンベルはあっけにとられます。
「もう終わったんですか!?まだ1時間もたっていませんよ!?」時計から仕組みが動く音が聞こえ、時計の短針が午後3時をしめすと、上のほうの扉が左右に開き、中から天使の人形が現れ、オルゴールの音楽をかなでます。
「へぇ、こんなにすてきな時計だったんだ・・・!」キャンベルは驚きをかくせず、両手でほおをおさえます。
「信じられません・・・!ルイスさん・・・あなたは天才ですよ!ムリに魔法を覚える必要はありません!その特技を、自分のできることをのばしていけばいいんです!」
「ありがとうキャンベルちゃん・・・でも今はおこづかいがないから、報酬をはらえないや・・・」
「あの時計を直してくれたからいいですよ」ルイスはほこらしげに便利屋を後にしました。
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