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忘れられた宝
4話 東島の海賊
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出来上がった薬をリリスに飲ませると、彼女の青ざめた顔はどんどん赤みがかっていき、
生気が戻っていくのが見えました。
「おお、すぐる!やっぱり最後は妾を救ってくれるのだな!?」
「だって、ぼくはリリスから色々もらってばかりだし、これくらいは・・・!」
「何を言う、パートナーなら、救ったり救われたりは当り前じゃ!じゃあ、世話になったの!」
すぐるとリリスは里長に礼を言うと、集落を後にしました。
「そうか、西島にも『忘れられた宝』はなかったのだな?」
「ああ、洞窟にはドラゴンが集めていた金銀財宝が積まれていたけど、
リリスを待たせるといけないから、 手を付けずに戻ったんだ」
「ほう、財宝よりも妾を選んだのか!?ぐすっ・・・!」
リリスの目からはしずくがこぼれ落ちます。
「君はぼくの大切なパートナーだからね。さてと、残るは『東島』しかないな・・・!
地図の裏にも、『忘れられた先人たちの宝は、日の出ずる島にあり』って書いてある。
太陽が上る方向は『東』しかないよ」
「なら、善は急げじゃ!あの海賊どもに先をこされる前に、宝を手にするのじゃ!」
「わかったから、引っ張らないでよ!」
ヤシの木や熱帯性の赤い花が生育している東島に着くと、
そこには木製の小屋が並ぶ小さな漁村があり、粗末な服を着た人々は暗く、沈んだ顔をしています。
「あの~どうかしましたか?」すぐるは頭を抱えている漁師たちに話しかけます。
「ああ、この村の財産を全て、海賊団『マリンクラン』に強奪されてしまったんだ、
見てくれよ、この村のありさまを」村の家々はぼろぼろに壊されており、中には火がくすぶっている家もあります。
「何と言うことじゃ!マリンクランめ!許せぬ!!その者たちは、我らが退治してやろうぞ!」
怒りに燃えるリリスが こぶしを握ってこう言うと、村人たちは驚きます。
「何と!あの海のハイエナたちに挑むとはなんて勇敢な!?本当にやってくれるのか!?」
「うむ、任せるのじゃ!のう、すぐる?!」リリスはすぐるの肩をたたいて言います。
「えっ!?は、はいっ・・・って、引っ張らないでよ!」リリスはすぐるの手を引いてかけ出します。
「待ってよリリス!奴らがどこにいるか知っているの!?」すぐるの一言にリリスは足を止めます。
「すまぬ!奴らはどこにおるのじゃ・・・?」リリスは顔を赤くし、ひきかえして村人に聞きます。
「ああ、奴らの船なら、この島の東の入り江によく停泊しているぞ・・・?」
「うむ、かたじけないのぉ!今度こそ行くぞすぐる!」
「わかったから、引っ張らないでよ!まったく、リリスはあいかわらずだなぁ!」
東の入り江の洋上に、怪しい木製の帆船はんせんが停泊しているのを見つけました。
「わぁ、ハイエナの顔の下に2本の西洋刀がクロスしている旗がある・・・!文字通り海賊船だね」
「これが海賊団マリンクランの船で間違いないようだの!」
すぐるとリリスはスキをみてタラップから 船の甲板の上に上がりました。
「妾はリリス・クリムゾンと申す!おぬしら悪党を退治にしにまいった!!」
リリスが仁王立ちで高らかに叫ぶと、 周りをあの海賊トリオを始め、マリンクランの者たちが2人を取り囲みます。
「へぇ、泣く子も黙るあたいらマリンクランの船になぐりこみとはいい度胸だねぇ!」
声のした方を見ると、 背中に白い翼を生やした半人半鳥の種族で、金髪のロングヘアーを2本のみつあみにしたセイレーンの女性が海賊団の中心にいます。
「お主がボスか!?今すぐ、村の財産を返し、この島から出ていくのじゃ!!」
「そう、あたいがマリンクランの船長マリーナさ!奪った財産を返せだって?
海賊にそんなこと言うなんて、バカだねぇ!せっかくの狩りが水の泡になるだろ?」
海賊団の者たちは あざ笑うと、マリーナはすぐるに目をやりました。
「へぇ、そこのあんちゃん、腕のいい魔法使いだってね?アンタ、名は何ていうんだい?」
「ぼく?すぐるだよ・・・!」すぐるは少し戸惑いながら言います。
「ふぅん、力はなさそうだけど、賢そうだ・・・!それに、結構かわいいねぇ、
気にいった! どうだい?あたいらの仲間にならないかい?」これにリリスが喰ってかかります。
「何じゃと!?すぐるは他のおなごには絶対に渡さぬ!!」
「へぇ、アンタ、あたいとやる気かい?!なら女同士、サシで勝負しようじゃないか!
あたいが勝ったら、 すぐるはあたいの物だよ!」
「上等じゃあ!妾が勝ったら、盗んだものは置いて、ここから出ていくのじゃ!!」
「一気に決める!」リリスはパンチによる先制攻撃を しかけますが、
マリーナは背中の白い翼を広げて、一気に上空へと飛び上がったのです。
「なっ!?」
「アンタがそう来ることは計算済みさ!」リリスの鍛えられた拳や健脚も、
空を飛び回る相手には 当たりません。
「ならば、こちらも・・・!」翼を広げようとするリリスの様子を見ていたすぐるは言いました。
「飛行スピードは相手の方が上だ・・・!なまじ空中戦に持ち込んでも・・・!」
「ならば受けるがいい!!」リリスは口から燃え盛る炎を吐き出し、炎はマリーナを包み込みます。
「なにっ!?ギャアアアアアッ!!」マリーナはリリスが火を吐ける事を知らなかったらしく、 炎に包まれ、熱さに苦しみます。
「今じゃあ!」リリスは炎を吐くのをやめ、一気に駆け出してマリーナに接近し、
相手が動き出す前に炎に包まれたパンチをワンツーとマリーナの腹に2連発ぶち込み、
側頭部に回しげりを叩き込んでマリーナを吹っ飛ばします。
「勝負あったようだの!」リリスは両手を腰に当て、 仁王立ちで甲板に倒れ込んでいるマリーナに言います。
しかし、マリーナはニヤリと笑みを浮かべています。
「リリス、あぶないっ!!」すぐるが絵筆の杖を手にリリスのもとに駆け寄ります。
「野郎ども、やっちまいな!!」マリーナはリリスに海賊たちをけしかけると、
すぐるは風の魔法を使い、 彼女を襲ってくる海賊たちを吹き飛ばし、海に投げ出します。
「すぐる、手出しは無用じゃ!!」
「何を言っているんだ!相手は海賊だよ!?まともなやり方なんて通用しないよ!!」
「くそっ!魔法使いだけあって、さすがにカンがいいね!ますますおしいよ!」 これにすぐるは首を横に振ります。
「悪いけど、ぼくのパートナーはリリスだ、君じゃない!
リリスがぼくを渡さないといったように、 ぼくもリリスを渡さない!」
これにリリスは目からしずくをこぼし、マリーナは眉間にシワをよせます。
「きぃ~っ!!アンタたち!!こうなったら、タダじゃすまないよ!!」
「それはこっちのセリフだ!くらえっ!!」すぐるは炎の魔法を飛ばします。
「フン!外したね!!」マリーナはさっと横に動いてすぐるの火の玉をかわします。
「外してないよ!」すぐるの炎は、マリーナの後ろにある、
大砲用の火薬のタルに命中し、大爆発したのです。
「ああっ!しまった!!」爆発は船のマストを吹っ飛ばし、甲板を火の海にすると、
海賊たちは尻尾を巻いて われさきにと海に飛び込んでいったのです。
「さすがすぐるじゃ!我らも逃げるぞ!!」リリスはすぐるの手を引いて、
翼を広げて空へ飛び立ち、 燃え盛る船から脱出しました。
木の板につかまって浮いている海賊トリオとマリーナは、火薬庫に引火してさらに爆発し、
海のもくずとなった自分たちの船の最期を見届けることになったのです。
「ああ、せっかく西島のドラゴンの巣から持ち出した財宝が・・・」
生気が戻っていくのが見えました。
「おお、すぐる!やっぱり最後は妾を救ってくれるのだな!?」
「だって、ぼくはリリスから色々もらってばかりだし、これくらいは・・・!」
「何を言う、パートナーなら、救ったり救われたりは当り前じゃ!じゃあ、世話になったの!」
すぐるとリリスは里長に礼を言うと、集落を後にしました。
「そうか、西島にも『忘れられた宝』はなかったのだな?」
「ああ、洞窟にはドラゴンが集めていた金銀財宝が積まれていたけど、
リリスを待たせるといけないから、 手を付けずに戻ったんだ」
「ほう、財宝よりも妾を選んだのか!?ぐすっ・・・!」
リリスの目からはしずくがこぼれ落ちます。
「君はぼくの大切なパートナーだからね。さてと、残るは『東島』しかないな・・・!
地図の裏にも、『忘れられた先人たちの宝は、日の出ずる島にあり』って書いてある。
太陽が上る方向は『東』しかないよ」
「なら、善は急げじゃ!あの海賊どもに先をこされる前に、宝を手にするのじゃ!」
「わかったから、引っ張らないでよ!」
ヤシの木や熱帯性の赤い花が生育している東島に着くと、
そこには木製の小屋が並ぶ小さな漁村があり、粗末な服を着た人々は暗く、沈んだ顔をしています。
「あの~どうかしましたか?」すぐるは頭を抱えている漁師たちに話しかけます。
「ああ、この村の財産を全て、海賊団『マリンクラン』に強奪されてしまったんだ、
見てくれよ、この村のありさまを」村の家々はぼろぼろに壊されており、中には火がくすぶっている家もあります。
「何と言うことじゃ!マリンクランめ!許せぬ!!その者たちは、我らが退治してやろうぞ!」
怒りに燃えるリリスが こぶしを握ってこう言うと、村人たちは驚きます。
「何と!あの海のハイエナたちに挑むとはなんて勇敢な!?本当にやってくれるのか!?」
「うむ、任せるのじゃ!のう、すぐる?!」リリスはすぐるの肩をたたいて言います。
「えっ!?は、はいっ・・・って、引っ張らないでよ!」リリスはすぐるの手を引いてかけ出します。
「待ってよリリス!奴らがどこにいるか知っているの!?」すぐるの一言にリリスは足を止めます。
「すまぬ!奴らはどこにおるのじゃ・・・?」リリスは顔を赤くし、ひきかえして村人に聞きます。
「ああ、奴らの船なら、この島の東の入り江によく停泊しているぞ・・・?」
「うむ、かたじけないのぉ!今度こそ行くぞすぐる!」
「わかったから、引っ張らないでよ!まったく、リリスはあいかわらずだなぁ!」
東の入り江の洋上に、怪しい木製の帆船はんせんが停泊しているのを見つけました。
「わぁ、ハイエナの顔の下に2本の西洋刀がクロスしている旗がある・・・!文字通り海賊船だね」
「これが海賊団マリンクランの船で間違いないようだの!」
すぐるとリリスはスキをみてタラップから 船の甲板の上に上がりました。
「妾はリリス・クリムゾンと申す!おぬしら悪党を退治にしにまいった!!」
リリスが仁王立ちで高らかに叫ぶと、 周りをあの海賊トリオを始め、マリンクランの者たちが2人を取り囲みます。
「へぇ、泣く子も黙るあたいらマリンクランの船になぐりこみとはいい度胸だねぇ!」
声のした方を見ると、 背中に白い翼を生やした半人半鳥の種族で、金髪のロングヘアーを2本のみつあみにしたセイレーンの女性が海賊団の中心にいます。
「お主がボスか!?今すぐ、村の財産を返し、この島から出ていくのじゃ!!」
「そう、あたいがマリンクランの船長マリーナさ!奪った財産を返せだって?
海賊にそんなこと言うなんて、バカだねぇ!せっかくの狩りが水の泡になるだろ?」
海賊団の者たちは あざ笑うと、マリーナはすぐるに目をやりました。
「へぇ、そこのあんちゃん、腕のいい魔法使いだってね?アンタ、名は何ていうんだい?」
「ぼく?すぐるだよ・・・!」すぐるは少し戸惑いながら言います。
「ふぅん、力はなさそうだけど、賢そうだ・・・!それに、結構かわいいねぇ、
気にいった! どうだい?あたいらの仲間にならないかい?」これにリリスが喰ってかかります。
「何じゃと!?すぐるは他のおなごには絶対に渡さぬ!!」
「へぇ、アンタ、あたいとやる気かい?!なら女同士、サシで勝負しようじゃないか!
あたいが勝ったら、 すぐるはあたいの物だよ!」
「上等じゃあ!妾が勝ったら、盗んだものは置いて、ここから出ていくのじゃ!!」
「一気に決める!」リリスはパンチによる先制攻撃を しかけますが、
マリーナは背中の白い翼を広げて、一気に上空へと飛び上がったのです。
「なっ!?」
「アンタがそう来ることは計算済みさ!」リリスの鍛えられた拳や健脚も、
空を飛び回る相手には 当たりません。
「ならば、こちらも・・・!」翼を広げようとするリリスの様子を見ていたすぐるは言いました。
「飛行スピードは相手の方が上だ・・・!なまじ空中戦に持ち込んでも・・・!」
「ならば受けるがいい!!」リリスは口から燃え盛る炎を吐き出し、炎はマリーナを包み込みます。
「なにっ!?ギャアアアアアッ!!」マリーナはリリスが火を吐ける事を知らなかったらしく、 炎に包まれ、熱さに苦しみます。
「今じゃあ!」リリスは炎を吐くのをやめ、一気に駆け出してマリーナに接近し、
相手が動き出す前に炎に包まれたパンチをワンツーとマリーナの腹に2連発ぶち込み、
側頭部に回しげりを叩き込んでマリーナを吹っ飛ばします。
「勝負あったようだの!」リリスは両手を腰に当て、 仁王立ちで甲板に倒れ込んでいるマリーナに言います。
しかし、マリーナはニヤリと笑みを浮かべています。
「リリス、あぶないっ!!」すぐるが絵筆の杖を手にリリスのもとに駆け寄ります。
「野郎ども、やっちまいな!!」マリーナはリリスに海賊たちをけしかけると、
すぐるは風の魔法を使い、 彼女を襲ってくる海賊たちを吹き飛ばし、海に投げ出します。
「すぐる、手出しは無用じゃ!!」
「何を言っているんだ!相手は海賊だよ!?まともなやり方なんて通用しないよ!!」
「くそっ!魔法使いだけあって、さすがにカンがいいね!ますますおしいよ!」 これにすぐるは首を横に振ります。
「悪いけど、ぼくのパートナーはリリスだ、君じゃない!
リリスがぼくを渡さないといったように、 ぼくもリリスを渡さない!」
これにリリスは目からしずくをこぼし、マリーナは眉間にシワをよせます。
「きぃ~っ!!アンタたち!!こうなったら、タダじゃすまないよ!!」
「それはこっちのセリフだ!くらえっ!!」すぐるは炎の魔法を飛ばします。
「フン!外したね!!」マリーナはさっと横に動いてすぐるの火の玉をかわします。
「外してないよ!」すぐるの炎は、マリーナの後ろにある、
大砲用の火薬のタルに命中し、大爆発したのです。
「ああっ!しまった!!」爆発は船のマストを吹っ飛ばし、甲板を火の海にすると、
海賊たちは尻尾を巻いて われさきにと海に飛び込んでいったのです。
「さすがすぐるじゃ!我らも逃げるぞ!!」リリスはすぐるの手を引いて、
翼を広げて空へ飛び立ち、 燃え盛る船から脱出しました。
木の板につかまって浮いている海賊トリオとマリーナは、火薬庫に引火してさらに爆発し、
海のもくずとなった自分たちの船の最期を見届けることになったのです。
「ああ、せっかく西島のドラゴンの巣から持ち出した財宝が・・・」
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