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忘れられた宝
2話 南島の秘宝
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ボートをこぐこと10分、すぐるとリリスは南島にたどり着きました。
島の中央には円錐型の山がそびえ立ち、山頂からは白いけむりが上がっています。
「懐かしいのぉ、この島は」
「そういえば、リリスはここに住んでいたんだっけ」
すぐるとリリスは山のふもとにある 石をくみ上げて作られた家々がならぶ、
魔族たちの集落にやってくると、ヒゲをたくわえた里長をたずねます。
「おお、ここによそ者が来るとは久しぶりじゃな、
それに、リリスがここに帰ってきたとは、 何か、訳アリのようじゃな」これに、すぐるが説明します。
「ぼくたち、この島にある『秘宝』をさがしに来たんです。何かご存じでしょうか?」
「ああ、あの火山の遺跡にあると言う、『魔晶石』の事か?
あれを手にしたものは 世界を思い通りにできるほどの絶大な魔力を得られるというが、
そうか、魔力が弱いリリスのためか?」 これに、すぐるが説明しようとします。
「いいえ、そういうわけでは・・・」すぐるが言い終わる前に、リリスがすぐるの手を引きます。
「よし、すぐる!それがラグーナの『忘れられた宝』かもしれぬぞ!行くぞ!!」
「ちょっと!引っ張らないでってば!」すぐるはリリスに連れられて、
島の中央にある 火山の遺跡のダンジョンへと向かっていきます。
火山の岩壁にある石のゲートをくぐり、
すぐるとリリスは火山の遺跡のダンジョンへと 足を踏み入れました。
すぐるは手持ちの虹色の房がある大きな絵筆型の杖で明かりをともすと、
遺跡の中は、黄土色の石をくみ上げて作られた壁に囲まれし無音の世界でした。
2人はすぐるの杖の明かりを頼りに遺跡の奥へと進んでいきます。
「ねぇ、なんだか暑くなってきてない?」
「ここは南国の島じゃ、暑くて当然であろう?」これにすぐるは首を横に振ります。
「いや、そういうのじゃなくて・・・あっ!奥がぼんやり明るくなっている・・・!」
2人が駆け出すと、そこには行く手を阻む大きな谷間があり、
谷底では真っ赤なマグマが うごめていていたのです。
「やっぱりマグマの明かりだったんだ、火山の中だからあらかた想像ついたけど・・・!」
「でも、すぐる、まっすぐに石の橋がかかっておるぞ」
「・・・でも、イヤな予感がする・・・!」
2人が石の橋に足を踏み入れると、橋はグラグラとゆれ、
2人が乗ったところから くずれていき、2人はそのままマグマがうごめく谷底へ・・・!
「すぐる!あぶないっ!!」リリスはコウモリのそれを思わせる背中の翼を広げ、
マグマに落ちる前に、空中ですぐるをかっさらいました。
「リリス・・・ありがとう・・・!」
「すぐるばかりにまかせておれぬ!」リリスはすぐるをお姫様だっこした状態で、
空中を上昇し、石の橋の向こう側の道に降り立ち、翼をたたみ、すぐるを下ろします。
「よし、次に進むぞ!」リリスはすぐるの手をつかみ、遺跡の奥へと駆け出します。
「わかったから、引っ張らないでよ!」
遺跡の奥へ行くと、そこには大きな石の箱があったのです。
その前には、北島のホテルで出会った 海賊団『マリンクラン』の3人組、
オークのホッグ、リザードマンのゲーター、 ゴブリンのラットがいました。
「ラットの兄貴、この中の物こそ、例の『秘宝』に間違いないですぜ!」
「ああ、世界を支配できるほどの魔力を持った『魔晶石』、それこそ、ラグーナの 『忘れられた宝』だろう!」
ゲーターがすぐるとリリスに気付き、振り向きます。
「ああっ!あいつらはホテルで出会った!?」他の2人も振り向きます。
「一足遅かったな!これはオイラたちの物だ!」海賊トリオが石の箱のふたをずらすと、
中から、赤色に輝く多面体の結晶が現れ、
それは宙に浮きながら、箱の後ろにある 大きな石像の胸の中に吸い寄せられていきました。
石像の両目が黄色に怪しく光ると、 不気味なうなり声を上げ、動き出したのです。
「兄貴・・・なんだかやばそうですぜ・・・!」ホッグとゲーターは青ざめています。
「ああ・・・逃げるぞ・・・!」海賊トリオは尻尾を巻いて逃げ出すと、石像はすぐるとリリスに向き直ります。
「すぐる、やつをどうにかせぬと、『秘宝』は手に入らぬぞ!」
「わかっているよ!どこを狙おうか・・・!?」
「決まっておる!ヤツの頭じゃ!魔晶石が壊れては元も子もないからの!」
リリスは口から真っ赤な炎を吐きだし、炎は石像の頭を包み込みますが、
石像にはなんの反応もありません。
「ダメだ・・・全く効いていない・・・!石像は、あの魔晶石で動いている、それを壊せば・・・!」
「すぐる、それを壊したら、元も子も・・・!」これに、すぐるは首を横に振ります。
「リリス、『忘れられた宝』っていうのは、おそらく魔晶石の事じゃない、
『世界を支配できるほどの力』じゃないんだよ・・・!」
すぐるは絵筆の杖に魔力をため、 石像が胸の扉を開いた所を見計らって、
魔力の光の弾を放ち、それは、石像の魔晶石に 直撃しました。
魔晶石はひびが入って砕け散ったかと思うと、石像は爆発しました。
「すぐる!あぶないっ!!」リリスは自ら盾となって、すぐるを爆発からかばったのです。
爆発が収まると、リリスは背中にけがをしてしまい、そのまま倒れて動かなくなっています。
「・・・死んではいないけど、危険な状態だ・・・!早く、ここから離れよう」
すぐるは石像の爆発でくだけた壁の穴から遺跡の外へと脱出し、リリスを背負って集落を目指します。
島の中央には円錐型の山がそびえ立ち、山頂からは白いけむりが上がっています。
「懐かしいのぉ、この島は」
「そういえば、リリスはここに住んでいたんだっけ」
すぐるとリリスは山のふもとにある 石をくみ上げて作られた家々がならぶ、
魔族たちの集落にやってくると、ヒゲをたくわえた里長をたずねます。
「おお、ここによそ者が来るとは久しぶりじゃな、
それに、リリスがここに帰ってきたとは、 何か、訳アリのようじゃな」これに、すぐるが説明します。
「ぼくたち、この島にある『秘宝』をさがしに来たんです。何かご存じでしょうか?」
「ああ、あの火山の遺跡にあると言う、『魔晶石』の事か?
あれを手にしたものは 世界を思い通りにできるほどの絶大な魔力を得られるというが、
そうか、魔力が弱いリリスのためか?」 これに、すぐるが説明しようとします。
「いいえ、そういうわけでは・・・」すぐるが言い終わる前に、リリスがすぐるの手を引きます。
「よし、すぐる!それがラグーナの『忘れられた宝』かもしれぬぞ!行くぞ!!」
「ちょっと!引っ張らないでってば!」すぐるはリリスに連れられて、
島の中央にある 火山の遺跡のダンジョンへと向かっていきます。
火山の岩壁にある石のゲートをくぐり、
すぐるとリリスは火山の遺跡のダンジョンへと 足を踏み入れました。
すぐるは手持ちの虹色の房がある大きな絵筆型の杖で明かりをともすと、
遺跡の中は、黄土色の石をくみ上げて作られた壁に囲まれし無音の世界でした。
2人はすぐるの杖の明かりを頼りに遺跡の奥へと進んでいきます。
「ねぇ、なんだか暑くなってきてない?」
「ここは南国の島じゃ、暑くて当然であろう?」これにすぐるは首を横に振ります。
「いや、そういうのじゃなくて・・・あっ!奥がぼんやり明るくなっている・・・!」
2人が駆け出すと、そこには行く手を阻む大きな谷間があり、
谷底では真っ赤なマグマが うごめていていたのです。
「やっぱりマグマの明かりだったんだ、火山の中だからあらかた想像ついたけど・・・!」
「でも、すぐる、まっすぐに石の橋がかかっておるぞ」
「・・・でも、イヤな予感がする・・・!」
2人が石の橋に足を踏み入れると、橋はグラグラとゆれ、
2人が乗ったところから くずれていき、2人はそのままマグマがうごめく谷底へ・・・!
「すぐる!あぶないっ!!」リリスはコウモリのそれを思わせる背中の翼を広げ、
マグマに落ちる前に、空中ですぐるをかっさらいました。
「リリス・・・ありがとう・・・!」
「すぐるばかりにまかせておれぬ!」リリスはすぐるをお姫様だっこした状態で、
空中を上昇し、石の橋の向こう側の道に降り立ち、翼をたたみ、すぐるを下ろします。
「よし、次に進むぞ!」リリスはすぐるの手をつかみ、遺跡の奥へと駆け出します。
「わかったから、引っ張らないでよ!」
遺跡の奥へ行くと、そこには大きな石の箱があったのです。
その前には、北島のホテルで出会った 海賊団『マリンクラン』の3人組、
オークのホッグ、リザードマンのゲーター、 ゴブリンのラットがいました。
「ラットの兄貴、この中の物こそ、例の『秘宝』に間違いないですぜ!」
「ああ、世界を支配できるほどの魔力を持った『魔晶石』、それこそ、ラグーナの 『忘れられた宝』だろう!」
ゲーターがすぐるとリリスに気付き、振り向きます。
「ああっ!あいつらはホテルで出会った!?」他の2人も振り向きます。
「一足遅かったな!これはオイラたちの物だ!」海賊トリオが石の箱のふたをずらすと、
中から、赤色に輝く多面体の結晶が現れ、
それは宙に浮きながら、箱の後ろにある 大きな石像の胸の中に吸い寄せられていきました。
石像の両目が黄色に怪しく光ると、 不気味なうなり声を上げ、動き出したのです。
「兄貴・・・なんだかやばそうですぜ・・・!」ホッグとゲーターは青ざめています。
「ああ・・・逃げるぞ・・・!」海賊トリオは尻尾を巻いて逃げ出すと、石像はすぐるとリリスに向き直ります。
「すぐる、やつをどうにかせぬと、『秘宝』は手に入らぬぞ!」
「わかっているよ!どこを狙おうか・・・!?」
「決まっておる!ヤツの頭じゃ!魔晶石が壊れては元も子もないからの!」
リリスは口から真っ赤な炎を吐きだし、炎は石像の頭を包み込みますが、
石像にはなんの反応もありません。
「ダメだ・・・全く効いていない・・・!石像は、あの魔晶石で動いている、それを壊せば・・・!」
「すぐる、それを壊したら、元も子も・・・!」これに、すぐるは首を横に振ります。
「リリス、『忘れられた宝』っていうのは、おそらく魔晶石の事じゃない、
『世界を支配できるほどの力』じゃないんだよ・・・!」
すぐるは絵筆の杖に魔力をため、 石像が胸の扉を開いた所を見計らって、
魔力の光の弾を放ち、それは、石像の魔晶石に 直撃しました。
魔晶石はひびが入って砕け散ったかと思うと、石像は爆発しました。
「すぐる!あぶないっ!!」リリスは自ら盾となって、すぐるを爆発からかばったのです。
爆発が収まると、リリスは背中にけがをしてしまい、そのまま倒れて動かなくなっています。
「・・・死んではいないけど、危険な状態だ・・・!早く、ここから離れよう」
すぐるは石像の爆発でくだけた壁の穴から遺跡の外へと脱出し、リリスを背負って集落を目指します。
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