14 / 30
1章
キャンベル編1-2 事件発生
しおりを挟む
「皆様、セバスチャンの芸はいかがだったでしょうか?続いては、ドラゴンのウェルダーの火吹き芸をご覧ください!」間もなく、緑色のウロコに覆われ、後ろに沿った二本の角を生やした肉食恐竜のようなドラゴンがコウモリの翼を広げて現れ、広場の中央に立つと、真上を見上げて口から炎を噴き始めました。
炎は上にある球に燃え移ったかと思うと、炎の球はどんどん大きくなり、そして、一気に花火となり、その中央から、白い翼を広げた白いドレスをまとう金髪のお下げのセイレーンの少女が現れたのです。
皆が驚く間もなくセイレーンは歌いだし、ウェルダーはそのリズムに合わせて火を吹いたり、ところどころに仕掛けていた打ち上げ花火に点火していきます。歌のリズムに合わせて花火が上がっては咲きを繰り返していき、最後は大きな花火を打ち上げて、セイレーンとウェルダーは会釈しました。
「ただ今の芸は、ドラゴンのウェルダーとセイレーンのマリーナの芸でした!」
「わぁ!このサーカス、面白いね!」
「様々な種族が共鳴し合う・・・ですね!」
エルニスとキャンベルが感心していると、レミオンはふと、周りを見回します。すると、少し離れたところで、露出の多い、上下に分かれたドレスを着た黒髪のボブヘアーの少女が隣に座っている者たちに何やら話し込んでいる場面を見つけました。
「あいつは・・・グーラ!?」レミオンはハッとしましたが、ここで団長の声がします。
「続いては、我がサーカスの花形!マチエール嬢!」会場が薄暗くなったかと思うと、うっすら光っている何かが会場の周りを飛んでいき、広場の中央で宙に浮いたまま会釈をしたのは、白いワンピースドレスを着込んだ金髪碧眼のロングヘアーの少女でした。
「わぁ、かわいいなぁ!」
「なんか、機械のスーツみたいなドレスですね・・・」
間もなく、マチエールは飛行機みたいな翼を背から生やし、体を色とりどりに発光させながら、辺りを飛び回ったり、旋回したりします。
そして、マチエールが飛び回っていくうちに、一人が二人、二人が三人と、マチエールの人数が増えていき、最後は5人のマチエールが、渡り鳥のようなⅤの字の編隊を組んで、一糸乱れることなく飛んでいきました。
後ろの四人のマチエールが、先頭のマチエールに集まっていき、元の一人に戻って再び広場の中央の空中で会釈すると、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こっていきました。
この後も、ウェルダーが作り出した炎のリングの中を、セバスチャンがアクロバティックな動きでくぐっていったり、マリーナの歌に合わせてマチエールがレーザーなどの光の演出をするなどの芸が続いていき、今回の公演は幕を閉じました。
「面白かったね!」
「そうですね!あれ?レミオンさん?」レミオンは先ほどグーラが座っていた席の方を見ると、すでにその場にグーラがいなかったのです。レミオンはハッとして辺りを見回します。
「イヤな予感がする・・・!」
「・・・私の鈴も鳴っています、何かあったのかもしれません」
キャンベルたち三人がテントの外に出ると、入口の近くで、ゴールド団長や団員たちが集まって何やら話していました。
「どうかしましたか?」キャンベルが話しかけると、ゴールド団長は、キャンベルの顔を見てハッとします。
「ああ、あなたは・・・!実は、我がサーカス団の花形、マチエールがいなくなっていたのです!マチエールの私室には、こんな手紙が・・・!」キャンベルは手紙を受け取ると、読んでみました。
『マチエール嬢はお預かりしました。返してほしければ、『パラグリラマシン』のありかを教え、私たちに渡しなさい!南海岸の洞窟にてお待ちしております。グーラ・バートリーより』
「・・・なんという事でしょう!」手紙を持つキャンベルの両手が震えています。
「・・・やっぱり、アイツは悪事を企んでいたんだ・・・!」エルニスがレミオンに尋ねます。
「レミオン、何か知っているの?」
「・・・ああ、グーラはボクの母国ナイトロードに住む貴族で、バンパイアに近いとされる鬼種族『グール』の令嬢だ・・・!ヤツとボクは昔から仲が悪くて、小さい時から主義主張などで対立が絶えなかったんだ・・・!ヤツがこのテントの中にいたから、何か企んでいると思ったけど、そういう事だったんだ・・・!」レミオンは右拳を握りながら言いました。
「・・・ヤツの要求をのんじゃダメだ・・・!そのパラグリラマシンという物をどうするのかはわからないけど、どうせろくでもない事に使う事だけは間違いない・・・!昔からこういう卑怯な手が大好きなヤツだったからね・・・!」エルニスも叫びます。
「もちろんだ!早く、南海岸の洞窟へ行こう!」
「お願いします!マチエールは私たちの大事な仲間・・・!どうか、悪党どもから救い出してください!」
キャンベルたち三人は、王都より南の海岸へと向かっていきました。
炎は上にある球に燃え移ったかと思うと、炎の球はどんどん大きくなり、そして、一気に花火となり、その中央から、白い翼を広げた白いドレスをまとう金髪のお下げのセイレーンの少女が現れたのです。
皆が驚く間もなくセイレーンは歌いだし、ウェルダーはそのリズムに合わせて火を吹いたり、ところどころに仕掛けていた打ち上げ花火に点火していきます。歌のリズムに合わせて花火が上がっては咲きを繰り返していき、最後は大きな花火を打ち上げて、セイレーンとウェルダーは会釈しました。
「ただ今の芸は、ドラゴンのウェルダーとセイレーンのマリーナの芸でした!」
「わぁ!このサーカス、面白いね!」
「様々な種族が共鳴し合う・・・ですね!」
エルニスとキャンベルが感心していると、レミオンはふと、周りを見回します。すると、少し離れたところで、露出の多い、上下に分かれたドレスを着た黒髪のボブヘアーの少女が隣に座っている者たちに何やら話し込んでいる場面を見つけました。
「あいつは・・・グーラ!?」レミオンはハッとしましたが、ここで団長の声がします。
「続いては、我がサーカスの花形!マチエール嬢!」会場が薄暗くなったかと思うと、うっすら光っている何かが会場の周りを飛んでいき、広場の中央で宙に浮いたまま会釈をしたのは、白いワンピースドレスを着込んだ金髪碧眼のロングヘアーの少女でした。
「わぁ、かわいいなぁ!」
「なんか、機械のスーツみたいなドレスですね・・・」
間もなく、マチエールは飛行機みたいな翼を背から生やし、体を色とりどりに発光させながら、辺りを飛び回ったり、旋回したりします。
そして、マチエールが飛び回っていくうちに、一人が二人、二人が三人と、マチエールの人数が増えていき、最後は5人のマチエールが、渡り鳥のようなⅤの字の編隊を組んで、一糸乱れることなく飛んでいきました。
後ろの四人のマチエールが、先頭のマチエールに集まっていき、元の一人に戻って再び広場の中央の空中で会釈すると、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こっていきました。
この後も、ウェルダーが作り出した炎のリングの中を、セバスチャンがアクロバティックな動きでくぐっていったり、マリーナの歌に合わせてマチエールがレーザーなどの光の演出をするなどの芸が続いていき、今回の公演は幕を閉じました。
「面白かったね!」
「そうですね!あれ?レミオンさん?」レミオンは先ほどグーラが座っていた席の方を見ると、すでにその場にグーラがいなかったのです。レミオンはハッとして辺りを見回します。
「イヤな予感がする・・・!」
「・・・私の鈴も鳴っています、何かあったのかもしれません」
キャンベルたち三人がテントの外に出ると、入口の近くで、ゴールド団長や団員たちが集まって何やら話していました。
「どうかしましたか?」キャンベルが話しかけると、ゴールド団長は、キャンベルの顔を見てハッとします。
「ああ、あなたは・・・!実は、我がサーカス団の花形、マチエールがいなくなっていたのです!マチエールの私室には、こんな手紙が・・・!」キャンベルは手紙を受け取ると、読んでみました。
『マチエール嬢はお預かりしました。返してほしければ、『パラグリラマシン』のありかを教え、私たちに渡しなさい!南海岸の洞窟にてお待ちしております。グーラ・バートリーより』
「・・・なんという事でしょう!」手紙を持つキャンベルの両手が震えています。
「・・・やっぱり、アイツは悪事を企んでいたんだ・・・!」エルニスがレミオンに尋ねます。
「レミオン、何か知っているの?」
「・・・ああ、グーラはボクの母国ナイトロードに住む貴族で、バンパイアに近いとされる鬼種族『グール』の令嬢だ・・・!ヤツとボクは昔から仲が悪くて、小さい時から主義主張などで対立が絶えなかったんだ・・・!ヤツがこのテントの中にいたから、何か企んでいると思ったけど、そういう事だったんだ・・・!」レミオンは右拳を握りながら言いました。
「・・・ヤツの要求をのんじゃダメだ・・・!そのパラグリラマシンという物をどうするのかはわからないけど、どうせろくでもない事に使う事だけは間違いない・・・!昔からこういう卑怯な手が大好きなヤツだったからね・・・!」エルニスも叫びます。
「もちろんだ!早く、南海岸の洞窟へ行こう!」
「お願いします!マチエールは私たちの大事な仲間・・・!どうか、悪党どもから救い出してください!」
キャンベルたち三人は、王都より南の海岸へと向かっていきました。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド
マイマイン
児童書・童話
これは、すぐるがやってくる前の『幻想界』の物語です。ある日突然、平和な国『スピネル王国』にやってきた謎の少年エルニスが、平和を脅かす『魔王軍』に立ち向かう王道ファンタジーです。『セプトクルール』シリーズの始まりの物語をお楽しみください。
セプトクルール『すぐるとリリスの凸凹大進撃!』
マイマイン
児童書・童話
『引っ込み思案な魔法使い』の少年すぐると、『悪魔らしくない悪魔』の少女リリスの凸凹カップルが贈る、ドタバタファンタジー短編集です。
このシリーズには、終わりという終わりは存在せず、章ごとの順番も存在しません。
随時、新しい話を載せていきますので、楽しみにしていてください。
コボンとニャンコ
魔界の風リーテ
児童書・童話
吸血コウモリのコボンは、リンゴの森で暮らしていた。
その日常は、木枯らしの秋に倒壊し、冬が厳粛に咲き誇る。
放浪の最中、箱入りニャンコと出会ったのだ。
「お前は、バン。オレが…気まぐれに決めた」
三日月の霞が晴れるとき、黒き羽衣に火が灯る。
そばにはいつも、夜空と暦十二神。
『コボンの愛称以外のなにかを探して……』
眠りの先には、イルカのエクアルが待っていた。
残酷で美しい自然を描いた、物悲しくも心温まる物語。
※縦書き推奨
アルファポリス、ノベルデイズにて掲載
【文章が長く、読みにくいので、修正します】(2/23)
【話を分割。文字数、表現などを整えました】(2/24)
【規定数を超えたので、長編に変更。20話前後で完結予定】(2/25)
【描写を追加、変更。整えました】(2/26)
筆者の体調を破壊()3/
荒川ハツコイ物語~宇宙から来た少女と過ごした小学生最後の夏休み~
釈 余白(しやく)
児童書・童話
今より少し前の時代には、子供らが荒川土手に集まって遊ぶのは当たり前だったらしい。野球をしたり凧揚げをしたり釣りをしたり、時には決闘したり下級生の自転車練習に付き合ったりと様々だ。
そんな話を親から聞かされながら育ったせいなのか、僕らの遊び場はもっぱら荒川土手だった。もちろん小学生最後となる六年生の夏休みもいつもと変わらず、いつものように幼馴染で集まってありきたりの遊びに精を出す毎日である。
そして今日は鯉釣りの予定だ。今まで一度も釣り上げたことのない鯉を小学生のうちに釣り上げるのが僕、田口暦(たぐち こよみ)の目標だった。
今日こそはと強い意気込みで釣りを始めた僕だったが、初めての鯉と出会う前に自分を宇宙人だと言う女子、ミクに出会い一目で恋に落ちてしまった。だが夏休みが終わるころには自分の星へ帰ってしまうと言う。
かくして小学生最後の夏休みは、彼女が帰る前に何でもいいから忘れられないくらいの思い出を作り、特別なものにするという目的が最優先となったのだった。
はたして初めての鯉と初めての恋の両方を成就させることができるのだろうか。
【完】ノラ・ジョイ シリーズ
丹斗大巴
児童書・童話
✴* ✴* 母の教えを励みに健気に頑張る女の子の成長と恋の物語 ✴* ✴*
▶【シリーズ1】ノラ・ジョイのむげんのいずみ ~みなしごノラの母の教えと盗賊のおかしらイサイアスの知られざる正体~ 母を亡くしてみなしごになったノラ。職探しの果てに、なんと盗賊団に入ることに! 非道な盗賊のお頭イサイアスの元、母の教えを励みに働くノラ。あるとき、イサイアスの正体が発覚! 「え~っ、イサイアスって、王子だったの!?」いつからか互いに惹かれあっていた二人の運命は……? 母の教えを信じ続けた少女が最後に幸せをつかむシンデレラ&サクセスストーリー
▶【シリーズ2】ノラ・ジョイの白獣の末裔 お互いの正体が明らかになり、再会したノラとイサイアス。ノラは令嬢として相応しい教育を受けるために学校へ通うことに。その道中でトラブルに巻き込まれて失踪してしまう。慌てて後を追うイサイアスの前に現れたのは、なんと、ノラにうりふたつの辺境の民の少女。はてさて、この少女はノラなのかそれとも別人なのか……!?
✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴*
『完結』セプトクルール 超文明Sの野望
マイマイン
児童書・童話
『現実界』(リアリティ)に住むすぐるは、ごく平凡な少年に見えますが、実は祖父から不思議な力を受け継いでいる『魔法使い』で、そのせいで周りからは好奇の目で見られてきましたが、それを世のため人のために使うという使命感を抱いていました。
ある日、すぐるは祖父から聞かされたもう一つの世界『幻想界』(ファンタジア)の存在を、夢の中に現れた神々の長から知らされることとなりました。幻想界では倒されたはずの悪魔王『カオス』が復活したこと、現実界と幻想界は表裏一体で、片方の世界が悪くなると、もう片方の世界にも悪影響があること、父のとしおが両方の世界を救うべく、幻想界に旅立ったことなどを聞いたのです。そこですぐるは祖父から受け継いだ杖を手に、幻想界へと旅立っていきました。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる