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1章

すぐる編1-9 シェリーの苦悩

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 スピネルの便利屋に帰りついて、食材を保存用の箱にしまった後、すぐるたちが一息ついていると、戸を叩く音がしました。
「はーい、どうぞ!」キャンベルがそう言うと、扉を開けて入ってきたのは、なんと、ボブとシェリーでした。

「ボブとシェリーじゃないか!君たちも幻想界ファンタジアへ!?」すぐるが言いました。
「よぉ!すぐるじゃねぇか!」
「ああ、お姉さまもいますわ!」間もなく、6人はテーブルを囲んで話を始めました。

「・・・やっぱり二人は幻想界ファンタジアにいたんだな」
「将来の事を考えていたら、いつの間にかここにいたんだ、君たちは何で幻想界ファンタジアへ?」すぐるがこう言うと、シェリーはくちびるをぎゅっとかみしめます。

「・・・それを聞かれると・・・・つらいですわ・・・」
「話してみてはどうかの?気が楽になるかもしれぬぞ」リリスの笑顔にシェリーの表情がゆるんでいき、シェリーは少しずつ言葉を発していきました。

「・・・わたくしは、すぐるさんと同じような魔力を持って生まれてきました。それで、周りからは好奇の目で見られ、時に化け物扱いされましたわ・・・!」
(ぼくと同じだ・・・!)すぐるがこう思うと、シェリーは話を続けます。

「・・・わたくしはハッキリ言って、お母さまから受け継いだこの『力』が好きじゃないんです。本当は普通の女の子として生きたいのに、それもかないませんでしたし・・・何とかこの『力』を消す方法がないかと思っていたら、自然と足が動いて、高校の屋上の扉へ向かって・・・気が付いたら、この世界にいたというわけですわ・・・」シェリーが説明し終わると、ボブも言いました。

「その時のシェリーは思いつめた顔で屋上に向かっていったから、嫌な予感がして後を追ったら、おれもこの幻想界ファンタジアに来たってわけよ」リリスたちは考え込みます。

「『力』を消したいじゃと?どうすればよいのじゃ?」
「ぼくもじいちゃんから『使命』を託されていなかったら、シェリーと同じことを考えていたかもしれないね」
「おれは普通の人間だから、『力』を持つがゆえの苦労と言うのは想像そうぞうもつかないけど、二人の様子を見てきたからなぁ・・・!」
「何とかしてあげたいけど、キャンベルちゃん、何かいい案ない?」エルニスがたずねると、キャンベルはハッとしました。

「・・・そういえばこの世界には、地水火風の力を持つとされる『四つの神器』がありました。その中の一つは確か、相手から『能力や強さをはくだつする』力があるとされています。それを使えばもしや・・・」

 それを聞いたシェリーはハッとします。
「・・・それを使えば、わたくしは普通の女の子になれるのですね・・・?!」

「はい、おそらくは・・・でも、この店にある書物ではわからないかもしれません。もしかしたら、王城の図書室になら・・・もっとくわしい資料があるかもしれません・・・!」
「じゃあ決まりだな、明日にでも王城の図書館へ行き、調べていくとするか」

「ですが、明日は私たちの学校『ジャスパー学園』の学園祭の日です。よろしかったら、皆さんもおいで下さい」キャンベルがそう言うと、みんなは賛成さんせいし、明日に備えて休むことにしました。
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