セプトクルール 超文明Sの野望

9章 調和の章

解かれる封印

 「そうか、ついにそろったのか・・・！」白い壁にレッドカーペットが敷かれたスピネル王城の玉座の間で、スピネル国王が言いました。今、ここにいるのは、すぐる少年と、ボブと、シェリーです。そして、水色の『勇者のメダル』を持つ青いドラゴンのエルニス、黄色の『覇者はしゃのメダル』を持つ白い虎の獣人じゅうじんロレンス、緑の『生者しょうじゃのメダル』を持つエルフの少女テイル、オレンジの『隠者いんじゃのメダル』を持つ悪魔少女リリス、赤い『賢者けんじゃのメダル』を持つ妖精のキャンベル、青い『聖者せいじゃのメダル』を持つ亀の聖獣メガロ、そして、紫の『王者のメダル』を持つ、パンパイア王女のレミアンの七人のメダルの使徒も控ひかえています。

「はい、ここにメダルと使徒がそろい、『神のノート』の封印ふういんが完全に解けました。そして、この杖の封印も、四つの神器が目覚めたことで、真の姿に・・・！」

　すぐるが持っている杖は、もう簡単な木の杖ではなく、丸い木の玉の部分は、白と黒の陰陽おんみょうマークが見える宝玉ほうぎょくとなり、本体も、白と黒を基調きちょうとした棒ぼうになり、そして、何より変わったのは、石突いしづきの部分が、七つの色を放つ平たく大きな房ふさになっている事でした。

「おお、それが杖の真の姿なのか・・・！？それは杖と言うより・・・大きな絵筆のようじゃな」

「はい、この杖の真の名は『コスモの絵筆』と言います。究極きゅうきょく魔法まほう『セプト・クルール』が使える、唯一ゆいいつの杖です」すぐるが言いました。

「おお・・・！それなら世界は救えるのだな・・・！それで今、幻想界平和連盟は世界を手中しゅちゅうに収めようとしておるのはわかっておるが、その本部の場所はどこにあるのかはわしにもわからぬ・・・！しかし、『神のノート』の封印が完全に解けた今、わからぬ事はない！さあ、すぐるよ、神のノートを開くのじゃ！」スピネル国王がこう言うと、すぐるは神のノートに手をかけると、何も書かれていなかったページに文字が浮うかび上がったのです。

『幻想界平和連盟の本部は、はるか天空に浮うかびし都みやこ『シャングリラ』にあり。そこへ行くには、ラグーナ諸島にある『バベルの塔』の最上階にて、『四つの神器』をかかげるべし』

「ほう、伝説に語り継つがれる国『超文明Ｓ』、すなわち『シャングリラ』が連盟の本部なのか・・・！『現実界リアリティ』と『幻想界ファンタジア』から選えらばれた賢者たちによって作られし楽園・・・！そして、バベルの塔は天上への入り口という言い伝えは本当だったのだな・・・！」こうして、すぐるたち十人は先発隊として、メガロが所有するスターシップ『アーケロン号』に乗り込み、ラグーナ諸島にあるバベルの塔を目指して行ったのです。

　アーケロン号がバベルの塔がある島に錨いかりを下ろし、停泊ていはくすると、目の前に、空を貫つらぬかんとばかりにそびえたつ黒い塔があり、すぐるたちが船を降り、全員、塔の最上階を見上げます。

「ここがバベルの塔・・・シャングリラの入り口なんだ・・・！四聖獣の四つの神器で入れるんだね・・・」それに、天を仰あおぐリリスも言いました。
「途方とほうもなく高いのう・・・そういえば、メシアはどうやってシャングリラと地上を行き来しておるのだ・・・？」
「確たしかに・・・！まあ、とにかく入ろう！」

　すぐるたちは塔の中に入り、ひたすら上の方を目指して階段かいだんを上って行きます。そして、一番上の階に上がると、そこには東西南北をあらわした円陣えんじんが床いっぱいに描かかれています。

「ここに神器をかざせば入り口が開くみたいだね・・・！」東の緑の円に、二つの房に分かれた『天帝てんていの帽子ぼうし』をかぶったエルニスが、西の黄色の円に、白と黒を基調とした『覇王はおうの腕輪うでわ』を右腕みぎうでにはめたロレンスが、南の赤い円に、光を放つダイヤ型の枠わくが付いた『星皇せいおうのたいまつ』を持つキャンベルが、そして、北の青い円に、白銀の十字型をした『神罰しんばつの杖つえ』を携たずさえたメガロが、それぞれ立ち、祈りをささげながら神器をかかげました。すると、四つの円が光りだし、その光が中央の白と黒の円に集まり、中央の円から白い光の柱が天高く立ち上がりました。

「この光の柱に入れば、シャングリラに行けるみたいだ！よし、行こう！」すぐるたちは、いっせいに、光の柱に身を投じたのです。その後、黒マントの男も現れ、光の柱に身を投じました。