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7章 王道の章
憤怒の試練
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カインを加えて、小さな石の砦から赤いとんがり屋根の白い塔が伸びているという外見の、ヘリオスの灯台の中に入り、一気に灯火室の中へと上がると、灯火台の前にいる白いローブに緑のケープを羽織った茶色のボブヘアーの少女が立っていました。
「あなたは、帝国の幹部エアリアル!」キャンベルがハッとしました。
「フフフ・・・帝国は滅んだと思ったでしょう?確かに、復活祭は失敗に終わったわ、でも、帝国の野望はまだついえたわけじゃないのよ!」これに、フレイヤは叫びます。
「目を覚ましなさい!あなたたちは連盟に利用されているのよ!連盟と帝国はグルよ!」これに、エアリアルはハッとします。
「何ですって!?そんなわけないわ!サタン様が連盟と手を組んでいるなんて・・・!」
「でも、まぎれもない事実ですよ!」キャンベルも言います。
「そう言って私を惑わす気なんでしょう?騙されないわ!今回の事だって、我らが神、カオス様の復活のためですもの!カイン、その様子だと、簡単に懐柔されたようね、全く、臆病もいい所よ!せっかく魔法族の悲惨な状況を教えたのに!もういいわ!ここで朽ち果てなさい!サタン様から頂いた『憤怒』の力を見せてあげましょう!」エアリアルが祈りを込めると、緑のケープは真っ赤なギザギザの形になり、髪はウニのように逆立っていったのです。
「ここはわたしが行きましょう!」キャンベルが躍り出ると、エアリアルは手から真っ赤な炎の竜巻を放ってきました。キャンベルも魔法の炎を発して怒りの旋風を防ごうとしますが、キャンベルの方が押し負けて、ふっとばされてしまいました。
「これが憤怒の力よ!魔法族の怒り、思い知りなさい!」エアリアルが再び炎の渦を発すると、カインが立ちふさがり、右手で氷の壁を作って攻撃を防ぎ、左手で癒しの光を照らして、キャンベルの傷を回復させます。それを見たエアリアルは驚きを隠せません。
「ウソでしょ!?あの優男、別々の魔法を同時に・・・!」エアリアルの攻撃がやむのと同時に、氷の壁も蒸発しました。
「よくやったわ!それでこそカインよ!今のあんたは最高にカッコいいわ!」続いてテイルが飛び出し、エアリアルに向かって行くと、間髪入れずに見えない蹴りの連打を放ってエアリアルを翻弄します。エアリアルが苦し紛れに放った炎が消えたとき、そこにテイルの姿がありませんでした。
「あの女、どこに・・・?」
「憤怒で目が曇っているのね、隙だらけよ!」エアリアルが振り向く前にテイルが回し蹴りを叩き込み、エアリアルを大きく吹っ飛ばします。
「くっ・・・!」続いて、フレイヤがエアリアルに向かって行くと、エアリアルがそっちを見たのと同時に、フレイヤが横に動いて、後ろにいたキャンベルが合わせた両手から白い光の束を発すると、エアリアルは起き上がろうとしますが、すぐに力尽きてそのまま横たわりました。
「どうですか?怒りで誰かを傷つけて、それで何かが変わりましたか?」キャンベルがこう言うと、目の前にサタンが現れ、エアリアルは安堵の表情を浮かべます。
「ああっ、サタン様・・・!」しかし、サタンは冷たい笑みを浮かべてこう言い放ちました。
「まったく、せっかく憤怒の力を与えたのに、こうも弱いとは使い物にならないな・・・!でもまぁ、賢者の石を作るのに十分な火の力は集まった。石が完成すれば、メシア様もお喜びになられるだろう」エアリアルは耳を疑って言いました。
「えっ!?石は我らが神、カオス様の復活のためじゃなかったの?」
「何を言っている?カオスを復活させるなどただの名目!」
「そんな・・・じゃあ・・・帝国は・・・?」
「まだそんな事を言っているのか?帝国などただの茶番よ!連盟の権威を強めるためのな!そして、連盟と共に私とメシアが世界を支配するのだ!」サタンは灯火台から壺を取り出すと、失意でうなだれたエアリアルを置いてそのまま去って行きました。
キャンベルが賢者のたいまつをかかげ、祈りをささげると、灯火台が一段と輝き、そこから真紅の炎に包まれた巨大な鳥が現れたのです。
「我は炎と太陽の神ヘリオス!南の賢者朱雀よ!よくぞ憤怒に打ち勝った!そなたの持つ賢者のメダルは今、完全に封印が解かれた!試練に打ち勝ち、我を救った礼をしよう、賢者のたいまつをこちらへ」キャンベルが金色のダイヤ型の飾りのある聖木の杖、賢者のたいまつをかざすと、たいまつの飾りから白い光が放たれ、それがたいまつを包み、そして光が消えました。
「賢者のたいまつは今、真の姿『星皇のたいまつ』となった!星明りの賢者キャンベルよ!そなたに最強の魔法『博愛の太陽』を授けた!」こう言って、ヘリオスは姿を消したのです。そして、キャンベルは、その場で最強魔法を使いました。すると、キャンベルの体が金色の光を発し、それがフレイヤとテイルとカインとエアリアルを、そして、ヘリオシティ中を照らしました。まばゆい光がゆっくりとおさまると、テイルたちはゆっくりと立ち上がり、体の奥から力が湧いていくのを感じ、エアリアルは、憤怒の力が浄化されたことにより、元の姿になり、その目はとても澄んでいました。
「・・・私は・・・悪い夢ばかり見ていたみたい・・・この時ほど心安らいだときはないわ・・・」エアリアルは両手をキャンベルの前に差し出します。
「罪を償うわ!逮捕して!」キャンベルはエアリアルの手を取って優しく言いました。
「顔を上げて下さい、過ぎたことはどうにもなりません・・・罪を償いたいと思うなら、これからはバラ十字団の城に行き、そこで、世のため人のための魔法研究を続けてください」それを聞いたエアリアルは涙をにじませながら、ぎゅっとキャンベルの手を取りました。灯台を出ると、町で暴れていた帝国の魔法使いたちは戦いをやめ、涙を流しながら立っていました。
「あなたは、帝国の幹部エアリアル!」キャンベルがハッとしました。
「フフフ・・・帝国は滅んだと思ったでしょう?確かに、復活祭は失敗に終わったわ、でも、帝国の野望はまだついえたわけじゃないのよ!」これに、フレイヤは叫びます。
「目を覚ましなさい!あなたたちは連盟に利用されているのよ!連盟と帝国はグルよ!」これに、エアリアルはハッとします。
「何ですって!?そんなわけないわ!サタン様が連盟と手を組んでいるなんて・・・!」
「でも、まぎれもない事実ですよ!」キャンベルも言います。
「そう言って私を惑わす気なんでしょう?騙されないわ!今回の事だって、我らが神、カオス様の復活のためですもの!カイン、その様子だと、簡単に懐柔されたようね、全く、臆病もいい所よ!せっかく魔法族の悲惨な状況を教えたのに!もういいわ!ここで朽ち果てなさい!サタン様から頂いた『憤怒』の力を見せてあげましょう!」エアリアルが祈りを込めると、緑のケープは真っ赤なギザギザの形になり、髪はウニのように逆立っていったのです。
「ここはわたしが行きましょう!」キャンベルが躍り出ると、エアリアルは手から真っ赤な炎の竜巻を放ってきました。キャンベルも魔法の炎を発して怒りの旋風を防ごうとしますが、キャンベルの方が押し負けて、ふっとばされてしまいました。
「これが憤怒の力よ!魔法族の怒り、思い知りなさい!」エアリアルが再び炎の渦を発すると、カインが立ちふさがり、右手で氷の壁を作って攻撃を防ぎ、左手で癒しの光を照らして、キャンベルの傷を回復させます。それを見たエアリアルは驚きを隠せません。
「ウソでしょ!?あの優男、別々の魔法を同時に・・・!」エアリアルの攻撃がやむのと同時に、氷の壁も蒸発しました。
「よくやったわ!それでこそカインよ!今のあんたは最高にカッコいいわ!」続いてテイルが飛び出し、エアリアルに向かって行くと、間髪入れずに見えない蹴りの連打を放ってエアリアルを翻弄します。エアリアルが苦し紛れに放った炎が消えたとき、そこにテイルの姿がありませんでした。
「あの女、どこに・・・?」
「憤怒で目が曇っているのね、隙だらけよ!」エアリアルが振り向く前にテイルが回し蹴りを叩き込み、エアリアルを大きく吹っ飛ばします。
「くっ・・・!」続いて、フレイヤがエアリアルに向かって行くと、エアリアルがそっちを見たのと同時に、フレイヤが横に動いて、後ろにいたキャンベルが合わせた両手から白い光の束を発すると、エアリアルは起き上がろうとしますが、すぐに力尽きてそのまま横たわりました。
「どうですか?怒りで誰かを傷つけて、それで何かが変わりましたか?」キャンベルがこう言うと、目の前にサタンが現れ、エアリアルは安堵の表情を浮かべます。
「ああっ、サタン様・・・!」しかし、サタンは冷たい笑みを浮かべてこう言い放ちました。
「まったく、せっかく憤怒の力を与えたのに、こうも弱いとは使い物にならないな・・・!でもまぁ、賢者の石を作るのに十分な火の力は集まった。石が完成すれば、メシア様もお喜びになられるだろう」エアリアルは耳を疑って言いました。
「えっ!?石は我らが神、カオス様の復活のためじゃなかったの?」
「何を言っている?カオスを復活させるなどただの名目!」
「そんな・・・じゃあ・・・帝国は・・・?」
「まだそんな事を言っているのか?帝国などただの茶番よ!連盟の権威を強めるためのな!そして、連盟と共に私とメシアが世界を支配するのだ!」サタンは灯火台から壺を取り出すと、失意でうなだれたエアリアルを置いてそのまま去って行きました。
キャンベルが賢者のたいまつをかかげ、祈りをささげると、灯火台が一段と輝き、そこから真紅の炎に包まれた巨大な鳥が現れたのです。
「我は炎と太陽の神ヘリオス!南の賢者朱雀よ!よくぞ憤怒に打ち勝った!そなたの持つ賢者のメダルは今、完全に封印が解かれた!試練に打ち勝ち、我を救った礼をしよう、賢者のたいまつをこちらへ」キャンベルが金色のダイヤ型の飾りのある聖木の杖、賢者のたいまつをかざすと、たいまつの飾りから白い光が放たれ、それがたいまつを包み、そして光が消えました。
「賢者のたいまつは今、真の姿『星皇のたいまつ』となった!星明りの賢者キャンベルよ!そなたに最強の魔法『博愛の太陽』を授けた!」こう言って、ヘリオスは姿を消したのです。そして、キャンベルは、その場で最強魔法を使いました。すると、キャンベルの体が金色の光を発し、それがフレイヤとテイルとカインとエアリアルを、そして、ヘリオシティ中を照らしました。まばゆい光がゆっくりとおさまると、テイルたちはゆっくりと立ち上がり、体の奥から力が湧いていくのを感じ、エアリアルは、憤怒の力が浄化されたことにより、元の姿になり、その目はとても澄んでいました。
「・・・私は・・・悪い夢ばかり見ていたみたい・・・この時ほど心安らいだときはないわ・・・」エアリアルは両手をキャンベルの前に差し出します。
「罪を償うわ!逮捕して!」キャンベルはエアリアルの手を取って優しく言いました。
「顔を上げて下さい、過ぎたことはどうにもなりません・・・罪を償いたいと思うなら、これからはバラ十字団の城に行き、そこで、世のため人のための魔法研究を続けてください」それを聞いたエアリアルは涙をにじませながら、ぎゅっとキャンベルの手を取りました。灯台を出ると、町で暴れていた帝国の魔法使いたちは戦いをやめ、涙を流しながら立っていました。
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