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7章 王道の章
色欲の試練
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スピネル王都の南西にある白い砂浜こそ、南海岸と呼ばれている場所で、遠浅で波も穏やかなことから、絶好の海水浴場や漁場になっています。踏みしめるたびに、キュッという独特の音が鳴る砂浜を、すぐるたちは西へと歩を進めて行きます。
「洞窟はこの先にあるはずよ」テイルが指さす方を見ると、切り立った岩壁に洞窟の入り口がぽっかりと開いているのを見つけました。
洞窟の中へと進むと、何もない岩壁のアーチが続き、奥に洞窟には似つかわしくない金縁の紅い両開きの扉があり、ゆっくりと開けて中をそっとのぞいてみました。
中は白い壁に、白と黒の市松模様の床、赤いカーペットと言う、一流の宮廷を思わせる内装になっていたので、すぐるたちは驚きを隠せません。
「そんな・・・洞窟の中が、こんな風になっているなんて・・・!?」
「以前ここに入った時は、こんな感じじゃなかったわ・・・!ただの岩の洞窟だったのに・・・?」テイルが辺りを見回しながら言います。
長い廊下を進んで行くと、奥に入り口と同じ扉があり、開けてみると、奥に大きな高級ソファがあり、その中央にスーツをまとい、セットを決めた短髪の青年がふんぞり返っており、その周りを、ドレスを着た若い女性たちが囲んでいました。そして、その前に先に洞窟に入ったグレイが倒れています。
「グレイ!しっかりして!」テイルはグレイの元に駆(か)け寄りますが、彼は気絶していて、返事をしません。
「おや、お前たちを招いた覚えはないがな・・・!」短髪の青年が言うと、テイルはハッとします。
「アンタはアスモ!帝国の幹部候補だったアンタがなぜここに?グレイに何をしたの!?」
「そんな事か、こいつは無理やりこの子たちを連れ戻そうとしたからな、だからオレは彼女たちを守るべく、こいつにお仕置きをしたまでだ」アスモは倒れているグレイを軽く蹴って言います。
「アンタ、一体その子たちに・・・アンナやカナンたちに何をしたの!?」テイルは白いドレスを着た肩までの茶髪の少女と、緑の服とミニスカートと赤いベレー帽をまとった茶髪のショートヘアーの少女を指して言うと、アスモはこう答えます。
「オレはかつての栄光を取り戻したいって思っていた!そんな中、サタンが突然現れてな、オレにこう言ったんだ、『私の言うとおりにすれば、すごい力をやる』ってな!それでオレはサタンから力を授かった!『色欲』の力をな!このおかげで、オレは前とはくらべものにならない力を得られ、ハーレムをとりもどせた!」それを聞いたテイルは体を怒りに震えさせます。
「じゃあ、今回の行方不明事件は全部アンタの仕業ね!」これにすぐるも言います。
「もしかして、レミオンがいなくなったのも・・・!?」
「レミオン?ああ、あのバンパイアの女か!あいつだけは絶対に譲ってくれ!ってサタンが言うもんでな、力を得る契約をする上での条件だったから、仕方なく譲ったぜ!」アスモは軽いノリで言いました。
「アスモ!今すぐ彼女たちを解放しなさい!」テイルがアスモを指さして叫ぶと、スライは軽く首を横に振ります。
「それはできないな!せっかく造ったハーレムをふいにするのは、それに、オレの元を離れたいか、彼女たちに聞いてみるんだな!」アスモがそういうと、周りの少女たちは、みんなアスモに抱き付きます。
「いやー!アスモ様と離れたくない!」
「テイル、あっち行って!」少女たちがそういうと、テイルは一瞬戸惑いましたが、すぐに首を素早く横に振り、叫びます。
「ふざけないで!みんなアンタが洗脳したんでしょ!?アンナがアンタみたいなヤツを好きになるわけないわ!」
「いいや、全部オレの魅力のなせる業(わざ)だ!どうだ、そこの男二人、うらやましいだろ?」これにすぐるとカインは言います。
「ぼくはそんなの望んでないぞ・・・!」
「ぼくは・・・テイルがいればそれで・・・!」これにアスモはこう言い返します。
「まったく、欲のないやつらめ!いいか!裏社会では、いくら女を連れまわしても、おとがめなし!むしろ、たくさん連れていることが男のステータスになっているんだ!裏社会は何でも自由な社会だぞ!」アスモはそう言って、アンナやカナンたちの胸に手を伸ばします。
「ヤーン!スライ様のエッチー!」
「キャーキャー」少女たちの黄色い声がする中、リリスとテイルは激怒のあまり歯をむき出しにし、体を震わせ、両の眼を釣り上げて叫びました。
「おのれの欲のために、相手の心を操ったりするなど、なんたる不埒な・・・!」
「そうよ!女性の体をオモチャにするなんて、絶対に許されないことよっ!他者を縛るなんて、本当の自由じゃないわ!」それを聞いたすぐるとカインはハッとします。そして、テイルの持つ緑の生者のメダルが一段と緑に輝きます。
「カイン、すぐる、覚えておきなさい!愛人を連れていることは、男にとってはカッコいいのかもしれないけど、女性にとっては本当に嫌なことよ!他の女と一緒なんて、私はゴメンだわ!」
「妾も同感よ!」二人はアスモに向かって行きました。
「いいよ、相手になってやる、負けたらお前たちもハーレムに入れるからな!」
「洞窟はこの先にあるはずよ」テイルが指さす方を見ると、切り立った岩壁に洞窟の入り口がぽっかりと開いているのを見つけました。
洞窟の中へと進むと、何もない岩壁のアーチが続き、奥に洞窟には似つかわしくない金縁の紅い両開きの扉があり、ゆっくりと開けて中をそっとのぞいてみました。
中は白い壁に、白と黒の市松模様の床、赤いカーペットと言う、一流の宮廷を思わせる内装になっていたので、すぐるたちは驚きを隠せません。
「そんな・・・洞窟の中が、こんな風になっているなんて・・・!?」
「以前ここに入った時は、こんな感じじゃなかったわ・・・!ただの岩の洞窟だったのに・・・?」テイルが辺りを見回しながら言います。
長い廊下を進んで行くと、奥に入り口と同じ扉があり、開けてみると、奥に大きな高級ソファがあり、その中央にスーツをまとい、セットを決めた短髪の青年がふんぞり返っており、その周りを、ドレスを着た若い女性たちが囲んでいました。そして、その前に先に洞窟に入ったグレイが倒れています。
「グレイ!しっかりして!」テイルはグレイの元に駆(か)け寄りますが、彼は気絶していて、返事をしません。
「おや、お前たちを招いた覚えはないがな・・・!」短髪の青年が言うと、テイルはハッとします。
「アンタはアスモ!帝国の幹部候補だったアンタがなぜここに?グレイに何をしたの!?」
「そんな事か、こいつは無理やりこの子たちを連れ戻そうとしたからな、だからオレは彼女たちを守るべく、こいつにお仕置きをしたまでだ」アスモは倒れているグレイを軽く蹴って言います。
「アンタ、一体その子たちに・・・アンナやカナンたちに何をしたの!?」テイルは白いドレスを着た肩までの茶髪の少女と、緑の服とミニスカートと赤いベレー帽をまとった茶髪のショートヘアーの少女を指して言うと、アスモはこう答えます。
「オレはかつての栄光を取り戻したいって思っていた!そんな中、サタンが突然現れてな、オレにこう言ったんだ、『私の言うとおりにすれば、すごい力をやる』ってな!それでオレはサタンから力を授かった!『色欲』の力をな!このおかげで、オレは前とはくらべものにならない力を得られ、ハーレムをとりもどせた!」それを聞いたテイルは体を怒りに震えさせます。
「じゃあ、今回の行方不明事件は全部アンタの仕業ね!」これにすぐるも言います。
「もしかして、レミオンがいなくなったのも・・・!?」
「レミオン?ああ、あのバンパイアの女か!あいつだけは絶対に譲ってくれ!ってサタンが言うもんでな、力を得る契約をする上での条件だったから、仕方なく譲ったぜ!」アスモは軽いノリで言いました。
「アスモ!今すぐ彼女たちを解放しなさい!」テイルがアスモを指さして叫ぶと、スライは軽く首を横に振ります。
「それはできないな!せっかく造ったハーレムをふいにするのは、それに、オレの元を離れたいか、彼女たちに聞いてみるんだな!」アスモがそういうと、周りの少女たちは、みんなアスモに抱き付きます。
「いやー!アスモ様と離れたくない!」
「テイル、あっち行って!」少女たちがそういうと、テイルは一瞬戸惑いましたが、すぐに首を素早く横に振り、叫びます。
「ふざけないで!みんなアンタが洗脳したんでしょ!?アンナがアンタみたいなヤツを好きになるわけないわ!」
「いいや、全部オレの魅力のなせる業(わざ)だ!どうだ、そこの男二人、うらやましいだろ?」これにすぐるとカインは言います。
「ぼくはそんなの望んでないぞ・・・!」
「ぼくは・・・テイルがいればそれで・・・!」これにアスモはこう言い返します。
「まったく、欲のないやつらめ!いいか!裏社会では、いくら女を連れまわしても、おとがめなし!むしろ、たくさん連れていることが男のステータスになっているんだ!裏社会は何でも自由な社会だぞ!」アスモはそう言って、アンナやカナンたちの胸に手を伸ばします。
「ヤーン!スライ様のエッチー!」
「キャーキャー」少女たちの黄色い声がする中、リリスとテイルは激怒のあまり歯をむき出しにし、体を震わせ、両の眼を釣り上げて叫びました。
「おのれの欲のために、相手の心を操ったりするなど、なんたる不埒な・・・!」
「そうよ!女性の体をオモチャにするなんて、絶対に許されないことよっ!他者を縛るなんて、本当の自由じゃないわ!」それを聞いたすぐるとカインはハッとします。そして、テイルの持つ緑の生者のメダルが一段と緑に輝きます。
「カイン、すぐる、覚えておきなさい!愛人を連れていることは、男にとってはカッコいいのかもしれないけど、女性にとっては本当に嫌なことよ!他の女と一緒なんて、私はゴメンだわ!」
「妾も同感よ!」二人はアスモに向かって行きました。
「いいよ、相手になってやる、負けたらお前たちもハーレムに入れるからな!」
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