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7章 王道の章

新たなる旅

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 ナイトロードを混沌の帝国エンパイアから取り戻し、吸収の儀式で石になったアガレス王も元に戻り、とらわれていた者たちも救い出してから数週間後、皆はそれぞれの地にもどり、レミアンも再びスピネルに戻りました。

 七つのメダルをそろえたすぐるは、リリスと共に、スピネルの王室におり、ついに『神のノート』の封印を解く時が来ました。七つのメダルが光り輝き、ノートが反応し、ゆっくりと開きだしたのです。

「おお、ついに神のノートの封印が解かれたのだな!言い伝えが本当なら、その者の疑問ぎもんに全て答えらえると聞く!さあ、神のノートよ、カオスを倒し、世界を平和にするにはどうすればよいのじゃ!?」スピネル国王がこう言うと、神のノートはひとりでに開き、何も書かれていないページに文章が現れました。

『カオスを倒すには、四つの神器の封印を解く必要がある。それにはパワースポットに、覇気はき正義せいぎ英知えいち勇気ゆうき象徴しょうちょうする地水火風ちすいかふうの神々を呼び、契約けいやくをしなければならない、そして『最高の魔法』を手に入れねばならない』と書かれています。

「最高の魔法・・・?何なんだろう・・・それは・・・?」すぐるがこう言うと、リリスも言います。
「これだけではわからぬな・・・最後らへんのページはびくともせん・・・まだ完全にノートの封印は解けておらぬようじゃな・・・とにかく、エルニスとキャンベルの店に戻るしかないようじゃ・・・」すぐるとリリスは玉座の間を後にしようとしたその時です。突然兵士が王室に上がってきました。

「王様、大変です!展示てんじしてあった『アルケリスの結晶』が盗まれてしまいました!」
「な、何じゃと!」王様は驚きを隠せません。

 すぐるたちが下の階に降りてみると、なんと、アルケリスの結晶が展示してあったショーケースが割られ、中の結晶が持ち出されてしまったのです。
「何という事じゃ・・・」王様は力なくうなだれます。

「アルケリスの結晶って、亀の聖獣アルケリスの背中の甲羅こうらを形作っているあの紫水晶むらさきすいしょうみたいな結晶ですね・・・そういえば、あの冬将軍しょうぐんメガロはアルケリス最後の生き残りだ」すぐるが言いました。
「あんなもの・・・何のためにうばったのじゃ・・・?」

「そういえば、キャンベルちゃんが言っていたっけ、アルケリスの結晶は不死身の金属『オリハルコン』の成分が固まってできた物で、とてもかたく、また、ある魔法アイテムの材料にもなるって・・・確か・・・『賢者の石』とか・・・」それを聞いた王様はハッとします。
「何じゃと!?もしかして、あの『科学の夜明け団』の幹部の脱獄事件とかかわりがあるのか!?」

「ああ、今日のスピネルジャーナルの記事の一面のニュースですね・・・ニューヨー連邦の刑務所を脱獄したって・・・それと何の関係があるんですか?」すぐるはスピネル国王にたずねました。

「うむ・・・科学の夜明け団とは、かつて、科学の力で世界を支配しようとした悪の秘密結社ひみつけっしゃじゃ!やつらは、賢者の石をつくりだそうとしておった・・・!賢者の石はいわば、願いをかなえるアイテムじゃ!」それを聞いたすぐるとリリスはハッとします。

「じゃあ、そんな物が奴らの手に渡ったら・・・!」
「大変なことになるぞ・・・!」

 最近、スピネルでは、とある事件が相次いでいました。何でも若い女性が次々にいなくなっていくと言うもので、あのレミアンもスピネルに帰って間もなく行方不明になってしまったのです。これに、テイルとカインのバディは事件の真相を追っています。ボブとシェリーは、エルニスとキャンベルとともに、店で待機しています。

「あっ、テイルさん、カインさん、そっちで何か事件についてわかりました?」すぐるがたずねます。
「ああ、すぐるにリリスね、いいえ、何の情報もなしよ、私の親友アンナも行方不明になってしまったの」
「みんな、どこに行ってしまったのかな・・・?」四人が話していると、そこに黒いマントにサングラスをかけた黒髪のショートヘアーの男がたずねてきました。

「テイル、カイン、そっちはどうだ!?」
「あれ、この人は・・・?」すぐるが黒マントの男を指して言います。
「彼はグレイ、私たちと同じく、キーパー協会の一員よ。私たちの方は特にこれと言ってめぼしい情報はないわ・・・」

「そうか、オレのパートナーのカナンも行方不明になってしまった・・・目撃者の証言しょうげんによると、南海岸の洞窟に若い女性が集まってきているという情報があったぞ、オレは一足先にそちらに行く予定だ」「それは怪しいわね・・・ありがとう、私たちもそちらに行ってみましょう!」すぐるとリリスは、テイルとカインと共に南海岸を目指してけ出しました。
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