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6章 正義の章

孤児院の秘密

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 すぐるたちを乗せたアーケロン号は、今度はゴーシャの南に位置する山間の国『トランバニア』へと飛んで行き、町はずれにいかりを下ろしました。周りを黒い葉の針葉しんよう樹林じゅりんが囲んでおり、独特の不気味さを出しています。

「ここがトランバニアか・・・」すぐるたちは、船から降りて、辺りを見回します。
「さて、そろそろこちらに来るころだな・・・あっ、来たぞ」メガロが言い終わった後、目の前に、スカーレットとジェイソンの二人がこちらにやって来ました。

「やっぱり、そろそろ来るころじゃないかって思っていたよ!」
「それで、スカーレットよ、様子はどうだった?」
「やっぱり、孤児院になっている城はやはり帝国の物だったよ、何でもある儀式のために子供たちを集めているようだったね」それを聞いたメガロは確信かくしんした声で言います。

「やはりそうか・・・よくやったスカーレット!これよりおれは、捕まっている子供たちを救いに行く!ファフナーたちは留守るすたのんだぞ!」
「任せてくれキャプテン!船は我々が守る!」

 町はずれの北の丘の上に、問題の城がそびえています。高い塔や尖った屋根のある、黒っぽい屋根のある白い壁の城で、周りには誰もおらず、それがいっそう不気味さをかもし出しています。

 中はきれいに掃除そうじされてはいるものの、とても静かで、人の気配がありません。そのまま地下室に入り、奥の部屋に行くと鉄格子で仕切られた牢屋ろうやがあり、その中には多くの幼い少年少女たちがおり、みんな傷だらけでやつれきっており、沈んだ顔をしていたのです。

「かわいそうに・・・こんなにやせて・・・!」テイルが涙をにじませながら、牢の中にいる少年の手を取ります。
「待ってろ!」メガロが持ち前の剛力ごうりきで、牢の扉に手をかけ、そのまま無造作むぞうさに引っ張って扉を外します。その直後、帝国のオークやダークエルフたちが現れてしまいます。

「お前たちは!?」
「侵入者だ!」それを見たメガロがおどり出ます。
「テイル、子供たちを連れておれの船まで送り届けるんだ!」
「わかったわ!さあ、こっちよ!」子供たちはテイルに連れられて、牢の中をぞろぞろと出て行き、階段を上って行きました。

「スカーレット、ジェイソン、お前たちはここのボスを頼む!ここはおれとすぐるが・・・!」
「任せておきな!」
「おれのメダルを持っていけ!」メガロは聖者のメダルをスカーレットに手渡すと、スカーレットとジェイソンは、階段を上って行き、ボスのいる部屋を目指します。

 スカーレットとジェイソンが奥にある玉座の間の扉をくぐると、そこには、頂上に光る玉のある柱があり、その周りにオークやダークエルフたちがおり、柱の前には、紫マントに黄色がベースのミニスカワンピースをまとう黒髪のボブヘアーの女性が立っていました。スカーレットはバンパイアに大バサミを向けて言います。
「・・・その感じ、グールだね・・・!アンタがここのボスってわけだ!」

「いかにも!私は混沌の帝国エンパイアの幹部候補のグーラ、腑抜ふぬけたナイトロードをかつての強国にすべく立ち上がったナイトロードの貴族よ!ここにある柱に、子供たちの負の感情をため込み、カオスの糧にするの!」グーラがこう言うと、スカーレットがこう言い返します。

「それで、子供たちに虐待ぎゃくたいしていたのか、ナイトロードの事ならアタシも知っているよ、かつては全一力ぜんいつちから主義しゅぎ孤高ここうの国だったけど、人間と交わるようになったのを腑抜けたと言っているんだろ?でも、力によるやり方が長続きした試しはない、まだおろかな夢を捨てきれないのかい?」

「何ですって!?愚かで軟弱な人間と交わる方が愚かよ!だから、私たち帝国がナイトロードにカツを入れるべきなのよ!」
「へえ、よくわかったよ・・・アンタはアタシが狩り倒すべき相手だね!怪物退治はアタシの仕事さ!」スカーレットがハサミをかまえます。

「面白いわ!わたしとやる気!」グーラは両手の爪をのばし、スカーレットに向かって行きます。グーラが爪を振るうと、スカーレットはそれを大バサミで受け止めてなぎ払うと、グーラはそれをかわします。しかし、スカーレットが防御の体勢をくずしたところで、左肩ひだりかたにグーラの爪がかすってしまいました。

「しまった!ぐっ・・・!」スカーレットはマヒしてしまい、その場でひざをついてしまいました。
「グールの爪にはマヒ性の毒があるのよ!さぁ、フクロにしておしまい!」グーラがスカーレットに仲間をけしかけてくると、なんとジェイソンが自ら盾となり、スカーレットを守ったのです。ジェイソンは、持ち前のパワーで敵兵てきへいたちを片づけましたが、傷だらけになってしまいました。

「ジェ、ジェイソン!?」ジェイソンは胸や腕に大きな切り傷を受けてしまい、その場で倒れ込みます。
「だ・・・大丈夫か・・・?スカー・・・レット・・・」
「ミスをした仲間のために犠牲ぎせいになるなんて、なんてバカな男・・・!」それを聞いたスカーレットは、ゆっくりと立ちながらじっとグーラを見据みすえます。

「・・・ああ、確かにこいつはバカさ!本当にお人よしで向こう見ずな大バカさ!でも、だからこそ、かわいい所もあるんだよね・・・!アタシのジェイソンをいたぶってくれた礼、たっぷりとさせてもらうよ!」

「ほざいてなさい!」グーラが爪を振りかざして来ると、スカーレットは聖者のメダルをかかげ、氷の盾を出現させ、グーラに凍傷とうしょうを負わせ、吹っ飛ばしました。
「ぐっ!しまった・・・!なんでわたしの毒の爪を受けて立てるの・・・?」

「あんな毒、怒りのあまり治ってしまったよ!くらいな!」スカーレットは氷の盾を飛ばすと、グーラはその直撃を受けてしまい、もう立つのがやっとと言う感じでした。
「くっ・・・この城もここまで・・・覚えてなさい!」グーラは煙玉を使い、その場を去りました。
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