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プロローグ
ボブとシェリーの旅立ち 承
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森の中を進んでいくと、木々が開けて草が生い茂る平原に出たのです。地平線の向こうには町らしき影が見えます。
「おっ、あそこに町があるぞ、あそこに行ってみよう」ボブとシェリーはまっすぐにその町を目指します。
そこはレンガ造りの家々が目立つ大きな町で、家々の間をブリオーなどの西洋風の服をまとった人々が行きかっていました。
「・・・おれたち、本当に別の世界に来たんだな・・・どう見たって日本の町じゃねぇ」ボブは試しに自分のほおをつねりますが、やはり現実通りの痛みを感じます。
「・・・夢じゃねぇ!それで、7つのメダルを探すのはいいが、まずはどうするか・・・?」ボブは試しに通行人たちに話をしてみることにしました。
「ようこそ、ここは『スピネル王国』の王都ジャスパだよ」
「あんたたち、見慣れない顔だね・・・」
「最近、人間至上主義を掲げるホワイト団の動きが活発になっているな」
「メダル?もしかして、この国の宝になっている『勇者のメダル』の事か?それなら、お城にいってみるといいさ」
ボブとシェリーは町の北にある石をくみ上げて築かれた赤い屋根の大きな建物、王城にたどり着くと、ボブは鉄で補強された大きな木製の門の前に立っている鎧と槍で武装した二人の兵士に話しかけようとすると、兵士たちは槍をX状に交差させ、ボブの行く手を遮りました。
「止まれ!何用だ!?」ボブは少しびっくりしながらも、メダルについて話しました。
「『勇者のメダル』だと?あれは我が国の国宝だ!そうやすやすと他人にあげられるものではない!って言うか肝心のメダルは今、行方知れずなのだ!」これに、右側に立っていた兵士も言います。
「それに、我が国のアイリス王女様が『混沌の帝国』と名乗るならず者集団にさらわれてしまい、今や城は厳戒態勢なのだ!奴らは王女様の身柄と引き換えに、メダルを要求してきたのだ!取引先はこの町の北東にある倉庫街だ!さぁ、わかったら帰った帰った!」ボブとシェリーはしぶしぶ、引き返していきます。
「残念でしたわわね・・・」とぼとぼと歩くシェリーにボブが言いました。
「だったら、おれたちで王女を救い出してやろうぜ!確か、北東の倉庫街だったよな」ボブは町の北東を目指して走り出すと、シェリーもそれに続きます。
「ちょっと・・・!待ってくださらない?」
倉庫街は明るい雰囲気の町中とは対照的に人通りも少なく、全体的に薄暗い印象です。レンガ造りの無機質な建物が並ぶ倉庫街を、ボブとシェリーは周りを気にしながら歩いていきます。そんな中、剣で武装した戦士と、煤けたローブとまとった女魔法使いがいて、二人とも荒んだ眼をしていました。その二人の後ろには白いドレスをまとった金髪の女性がロープで縛られて立っていたのです。
「あいつらだな!おい!王女を放せ!」ボブとシェリーに気づいた戦士と魔法使いはボブたちに向き直ります。
「お、城の連中か?メダルは持ってきただろうな?」
「メダルなんて持ってきてねぇよ!この場で王女を救い出してやるさ!」ボブは木の棒を振りかざします。
「なんだ?そんな棒切れで『混沌の帝国』の兵士を相手にできるのか?」戦士は鉄の刀を抜き、魔法使いも杖を構えます。ボブは少し引きましたが、意を決して帝国の兵士に向かっていきました。ボブの棒と帝国兵の剣がぶつかり合いますが、棒は思いのほか硬く、剣でも切り抜くことができませんでした。そして、すきを見て帝国の兵士の胴体を棒で打ち付けます。
「ぐっ・・・!」戦士はうずくまり、ボブはさらに全体重を乗せた一撃で帝国兵を下します。
「・・・学校の授業で剣道をやっておいてよかったぜ・・・それにしても・・・兵士とか言いながら、本当は剣の扱いをしらないのか・・・?」ボブは倒れている帝国兵を見て言います。
「おっと、私を忘れてないかい?」魔法使いは火の魔法を放ってボブの棒を燃やしてしまいます。
「くそっ・・・!」武器を失ったボブは、燃えて炭になった棒を投げ捨て、帝国兵の刀を拾って向かっていきます。魔法使いはボブを近づけまいと杖の先から炎の魔法を放つので、ボブはとどめを刺すことができません。見かねたシェリーは右手を魔法使いに向けると、なんと、魔法使いの体が宙に浮いたのです。
「な、なんだいこれは・・・!?」魔法使いは身動きが取れなくなり、そのすきにボブは魔法使いの胴体にみねうちを放って下すと、魔法使いのポケットから緑色に光る2立法センチメートルの大きさの立方体を拾います。
「なんだこれは・・・?」ボブは気になりながらも王女のロープをほどいて救出します。
「ああ、ありがとうございます、わたくしはスピネルの王女アイリス、よくぞ助けてくださいました」後になって城から鎧と槍で武装した兵士たちがやってきてボブたちを城に案内し、帝国兵たちを御用にしました。
ボブとシェリーはお城の玉座の間に招かれると、レッドカーペットの向こう側にある赤い玉座に座る赤いコートを着こなしている壮年の国王は二人にお礼を言います。
「よくぞ、帝国から我が娘アイリスを救い出してくれた・・・!」国王は深々と頭を下げます。
「いいえ、大したことはしていないっすよ、王様」ボブは照れ臭そうに後頭部をかきながら言います。
「あら、わたくしもお手伝いしましたわ」シェリーはボブの肩に手を置いて言いました。
「そうかそうか、急なことゆえ大した褒美はやれぬが、よかったら取っておいてくれ」ボブとシェリーの前に置かれた宝箱にはお金2000Gと新しい刀と弓、新品の服が入っていたのです。二人はそれぞれ別々の部屋で着替えてきました。ボブの服は赤い上着に青色のズボンで、シェリーの服はフリルの入った白いシャツと青色のミニスカートでした。
「おお、似合っておるぞ、ところで、お主たちはどこから来たのじゃ?」国王はボブとシェリーに尋ねます。
「おれたちは現実界から来ました」それからボブはシェリーのためにメダルを探していることなどを話したのです。
「なんと!あの伝説に聞くあの地から・・・!はるばる世界に散らばる七つのメダルを探しに来たというのか・・・!?」王様は話を続けます。
「確かに、この城にもメダルは一つあったのだが・・・残念ながら、何者かに盗まれてしまったのじゃ・・・」国王は肩を落としていると、ボブは拾った石の事を思い出し、国王の前に差し出しました。
「ところで、帝国の兵士がこんなものを落としていったんスよ!」それを見た国王はハッとします。
「これは・・・!エレメントストーンではないか!?」
「エレメントストーン?」ボブが尋ねました。
「これは世界を形作っているとされる『地・水・火・風』の四元素の力を操れるとされる魔法の石で、四つそろえた者は大いなる力を得られるとされている・・・!」それを聞いたボブはハッとします。
「なんと!それならもしかしたら、シェリーの願いも・・・!?それで王様、残りのエレメントストーンはどこにあるっス?」
「残り三つのうち、『水の石』はここより南の海岸にある灯台砦に・・・」王様が言い終わる前に兵士が急いで玉座の前に入ってきたのです。
「王様、大変です!灯台砦が混沌の帝国に乗っ取られてしまいました!奴らは水のエレメントストーンを狙っています!」
「なんじゃと!?直ちに兵士たちを集め、砦を取り戻すのじゃ!」それを聞いたボブとシェリーは南海岸の灯台砦へと向かっていったのです。
「おっ、あそこに町があるぞ、あそこに行ってみよう」ボブとシェリーはまっすぐにその町を目指します。
そこはレンガ造りの家々が目立つ大きな町で、家々の間をブリオーなどの西洋風の服をまとった人々が行きかっていました。
「・・・おれたち、本当に別の世界に来たんだな・・・どう見たって日本の町じゃねぇ」ボブは試しに自分のほおをつねりますが、やはり現実通りの痛みを感じます。
「・・・夢じゃねぇ!それで、7つのメダルを探すのはいいが、まずはどうするか・・・?」ボブは試しに通行人たちに話をしてみることにしました。
「ようこそ、ここは『スピネル王国』の王都ジャスパだよ」
「あんたたち、見慣れない顔だね・・・」
「最近、人間至上主義を掲げるホワイト団の動きが活発になっているな」
「メダル?もしかして、この国の宝になっている『勇者のメダル』の事か?それなら、お城にいってみるといいさ」
ボブとシェリーは町の北にある石をくみ上げて築かれた赤い屋根の大きな建物、王城にたどり着くと、ボブは鉄で補強された大きな木製の門の前に立っている鎧と槍で武装した二人の兵士に話しかけようとすると、兵士たちは槍をX状に交差させ、ボブの行く手を遮りました。
「止まれ!何用だ!?」ボブは少しびっくりしながらも、メダルについて話しました。
「『勇者のメダル』だと?あれは我が国の国宝だ!そうやすやすと他人にあげられるものではない!って言うか肝心のメダルは今、行方知れずなのだ!」これに、右側に立っていた兵士も言います。
「それに、我が国のアイリス王女様が『混沌の帝国』と名乗るならず者集団にさらわれてしまい、今や城は厳戒態勢なのだ!奴らは王女様の身柄と引き換えに、メダルを要求してきたのだ!取引先はこの町の北東にある倉庫街だ!さぁ、わかったら帰った帰った!」ボブとシェリーはしぶしぶ、引き返していきます。
「残念でしたわわね・・・」とぼとぼと歩くシェリーにボブが言いました。
「だったら、おれたちで王女を救い出してやろうぜ!確か、北東の倉庫街だったよな」ボブは町の北東を目指して走り出すと、シェリーもそれに続きます。
「ちょっと・・・!待ってくださらない?」
倉庫街は明るい雰囲気の町中とは対照的に人通りも少なく、全体的に薄暗い印象です。レンガ造りの無機質な建物が並ぶ倉庫街を、ボブとシェリーは周りを気にしながら歩いていきます。そんな中、剣で武装した戦士と、煤けたローブとまとった女魔法使いがいて、二人とも荒んだ眼をしていました。その二人の後ろには白いドレスをまとった金髪の女性がロープで縛られて立っていたのです。
「あいつらだな!おい!王女を放せ!」ボブとシェリーに気づいた戦士と魔法使いはボブたちに向き直ります。
「お、城の連中か?メダルは持ってきただろうな?」
「メダルなんて持ってきてねぇよ!この場で王女を救い出してやるさ!」ボブは木の棒を振りかざします。
「なんだ?そんな棒切れで『混沌の帝国』の兵士を相手にできるのか?」戦士は鉄の刀を抜き、魔法使いも杖を構えます。ボブは少し引きましたが、意を決して帝国の兵士に向かっていきました。ボブの棒と帝国兵の剣がぶつかり合いますが、棒は思いのほか硬く、剣でも切り抜くことができませんでした。そして、すきを見て帝国の兵士の胴体を棒で打ち付けます。
「ぐっ・・・!」戦士はうずくまり、ボブはさらに全体重を乗せた一撃で帝国兵を下します。
「・・・学校の授業で剣道をやっておいてよかったぜ・・・それにしても・・・兵士とか言いながら、本当は剣の扱いをしらないのか・・・?」ボブは倒れている帝国兵を見て言います。
「おっと、私を忘れてないかい?」魔法使いは火の魔法を放ってボブの棒を燃やしてしまいます。
「くそっ・・・!」武器を失ったボブは、燃えて炭になった棒を投げ捨て、帝国兵の刀を拾って向かっていきます。魔法使いはボブを近づけまいと杖の先から炎の魔法を放つので、ボブはとどめを刺すことができません。見かねたシェリーは右手を魔法使いに向けると、なんと、魔法使いの体が宙に浮いたのです。
「な、なんだいこれは・・・!?」魔法使いは身動きが取れなくなり、そのすきにボブは魔法使いの胴体にみねうちを放って下すと、魔法使いのポケットから緑色に光る2立法センチメートルの大きさの立方体を拾います。
「なんだこれは・・・?」ボブは気になりながらも王女のロープをほどいて救出します。
「ああ、ありがとうございます、わたくしはスピネルの王女アイリス、よくぞ助けてくださいました」後になって城から鎧と槍で武装した兵士たちがやってきてボブたちを城に案内し、帝国兵たちを御用にしました。
ボブとシェリーはお城の玉座の間に招かれると、レッドカーペットの向こう側にある赤い玉座に座る赤いコートを着こなしている壮年の国王は二人にお礼を言います。
「よくぞ、帝国から我が娘アイリスを救い出してくれた・・・!」国王は深々と頭を下げます。
「いいえ、大したことはしていないっすよ、王様」ボブは照れ臭そうに後頭部をかきながら言います。
「あら、わたくしもお手伝いしましたわ」シェリーはボブの肩に手を置いて言いました。
「そうかそうか、急なことゆえ大した褒美はやれぬが、よかったら取っておいてくれ」ボブとシェリーの前に置かれた宝箱にはお金2000Gと新しい刀と弓、新品の服が入っていたのです。二人はそれぞれ別々の部屋で着替えてきました。ボブの服は赤い上着に青色のズボンで、シェリーの服はフリルの入った白いシャツと青色のミニスカートでした。
「おお、似合っておるぞ、ところで、お主たちはどこから来たのじゃ?」国王はボブとシェリーに尋ねます。
「おれたちは現実界から来ました」それからボブはシェリーのためにメダルを探していることなどを話したのです。
「なんと!あの伝説に聞くあの地から・・・!はるばる世界に散らばる七つのメダルを探しに来たというのか・・・!?」王様は話を続けます。
「確かに、この城にもメダルは一つあったのだが・・・残念ながら、何者かに盗まれてしまったのじゃ・・・」国王は肩を落としていると、ボブは拾った石の事を思い出し、国王の前に差し出しました。
「ところで、帝国の兵士がこんなものを落としていったんスよ!」それを見た国王はハッとします。
「これは・・・!エレメントストーンではないか!?」
「エレメントストーン?」ボブが尋ねました。
「これは世界を形作っているとされる『地・水・火・風』の四元素の力を操れるとされる魔法の石で、四つそろえた者は大いなる力を得られるとされている・・・!」それを聞いたボブはハッとします。
「なんと!それならもしかしたら、シェリーの願いも・・・!?それで王様、残りのエレメントストーンはどこにあるっス?」
「残り三つのうち、『水の石』はここより南の海岸にある灯台砦に・・・」王様が言い終わる前に兵士が急いで玉座の前に入ってきたのです。
「王様、大変です!灯台砦が混沌の帝国に乗っ取られてしまいました!奴らは水のエレメントストーンを狙っています!」
「なんじゃと!?直ちに兵士たちを集め、砦を取り戻すのじゃ!」それを聞いたボブとシェリーは南海岸の灯台砦へと向かっていったのです。
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