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プロローグ

ボブとシェリーの旅立ち 起

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「ボブ!いい加減かげんに起きなさい!学校におくれるわよ!」母親に呼ばれて、ボブはしぶしぶベッドから起き上がります。
「・・・変な夢だったな・・・もう一つの世界・・・?そんなのがあるのか・・・?」

 ボブは寝間ねまから白いシャツと茶色の長ズボンというシンプルな洋服に着替きがえ、一階の食堂に降りて来ると、パンやハムステーキと言った朝食をとります。
「変な夢を見たよ・・・幻想界ファンタジアって言うもう一つの世界・・・ドラゴンや妖精と言った空想くうそう動物が本当にいたり、魔法があったりと、まさにファンタジーの世界だ・・・あったらいいのになぁ・・・」これに、黒いシャツとジーンズを着用し、髪を後ろで束ねた日本人のボブの母が言います。

「そんな夢みたいな世界、あるわけないでしょ!」これに、赤と黄色のチェックがらのシャツと白いズボンを着用した黒人のボブの父が言います。
「いいや、もしかしたら本当にあるのかもしれんぞ。ワシが子供のころにも、幻想界ファンタジアのウワサはあったからな。心からそれを求めれば、入り口は開かれると・・・!」

「へえ、あなたも・・・さあ、それよりも早く朝ごはんを済ませてちょうだい!ボブは学校!あなたも
早く会社に行かないと・・・!」
 ボブが中学を終わって、いつも通りの晴れ渡る昼下がり、住宅地の中を下校していると、黒いスーツにサングラスをかけた男たちが話しているのを見つけました。

「おい、しんや様は見つかったか!?」
「いいや、こっちにもいなかった!」そして、黒服の男たちはそれぞれ別々の方へと走って行きます。
「しんや・・・?ああ、あのエリート一家のぼっちゃんか・・・」ボブがそう言いながら白い壁に赤い屋根の洋館の前を通ろうとすると、窓の方を見ました。

「・・・今日はあの子、見かけないな・・・」そして、間もなく白い壁に緑の屋根というボブの家にたどり着くと、手洗いとうがいをませ、自室のつくえで宿題を終わらせて、ベッドに仰向あおむけに倒れ込みます。
「はぁ~、つまんね~!学校に行って帰って、勉強のり返し・・・もううんざりだ!もし、幻想界ファンタジアが本当にあるのなら・・・ぜひ行ってみたいなぁ~」そんな事を言っていると、自室のドアの隙間すきまから、まばゆいばかりの光がれだしました。

「なんだ・・・?ドアの向こうから光が・・・?」ボブは考えるよりも早く、光の漏れるドアに歩み寄り、取手に手をかけて手前に引っ張り、光にちたドアの向こうへと歩き出したのです。
 気が付くと、ボブは自宅の廊下ろうかではなく、見たことのない、昼でも暗いうっそうとした平地の森の中にいました。

「なんだ・・・?ここは・・・こんなところ知らないぞ・・・?」ボブが辺りを見回しても、周りは森ばかりで、人の気配はありません。すると、何者かの気配を感じり向くと、白いシャツと赤い短パンを着用し、とがった耳と団子だんごはなを持つ目の前に背丈一メートルくらいの姿の者が現れました。
「・・・な、何なんだアイツは・・・?あれって、ゴブリン・・・!?」ゴブリンは右手の棍棒こんぼうりかざし、いきなりボブに襲いかってきました。すんでのところでボブは横に飛びのいてゴブリンの一撃いちげきをかわします。

「な・・・何をする!?」再び向かってくると、ボブはそばに落ちていた太い棒を手に取り、ゴブリンと打ち合いになり、ゴブリンが防御ぼうぎょ体勢たいせいくずしたところで、ボブの棒が、ゴブリンの頭をとらえ、ゴブリンが気絶きぜつすると、ボブはすぐにその場をはなれました。
「ふう、もうって来れないだろうよ・・・!いって・・・頭をケガしたみたいだ・・・」ボブは右のひたいを押さえながら歩いていると、再び何者かの気配を感じ、再び棒を持って身がまえます。今度ボブの目の前に現れたのはゴブリンではなく、白いドレスと青いスカートとつばの広い白い帽子を着用した、青い瞳を持つ、長い金髪の少女でした。その姿にボブはハッとします。

「あの子は・・・あのお屋敷の窓で見かけた・・・!?」少女は少しずつボブに近づきます。
「・・・あなたはボブね・・・そう、あなたもこの世界に・・・」ボブは気が動転どうてんし始めました。
「な・・・!なんでおれの名前を知っているんだよ・・・!?それに、この世界って・・・!?」
「それよりあなた、頭ケガしていますわ・・・!動かないで・・・!」少女がボブに近づき、精神せいしんを落ち着け、ボブの額の傷に手をかざし、呪文を唱えます。

いやせ、ヒーリング!」少女の手から優しい光が放たれ、それがボブの傷を照らすと、彼の傷は見る見るうちに消えて行ったのです。
「おお!もう痛くねぇ!ありがとよ!お前ってすぐるみたいだな」
「すぐる・・・そう、私と同じような力を持つ子もいましたのね・・・」またもやボブはおどろかされます。

「おい、お前って何者だ!?初めてまともに会うのにおれの名前を知っていたり、すぐるの事を知っていたり、さっきの傷を治す力だって・・・!それに、ここは一体何なんだ!?」これに、少女は説明します。
「わたくしの名は『シェリー』、そして、ここはわたくしやあなたが住んでいる『現実界リアリティ』とは表裏一体の世界『幻想界ファンタジア』」それを聞いたボブはハッとします。
「ここがうわさに聞く幻想界ファンタジアだって・・・!?本当にあったんだ・・・!」シェリーは話を続けます。

「わたくしは神のおさアーサーに言われてここに来ましたの。七つのメダルを集めるために、自分の正体を突き止めるために!幸せな日々を取り戻すために・・・!」
「七つのメダル・・・?自分の正体だと!?」

「・・・ええ、わたくしは自分でもわからない不思議な力を持って生まれてきた・・・それで、母上が亡くなられてからは、父上はふさぎ込んでしまい、ろくに外にも出してもらえず、外にあこがれて窓の景色ばかり見てきましたの・・・そんなある日、夢に神の長アーサーが現れ、わたくしにこう言いましたの、「幻想界ファンタジアに行き、七つのメダルを集めれば、君の全ての疑問ぎもんに答えが出て、君の願いもかなうかもしれない」と、それでわたくしはこの世界に来ましたの・・・」それを聞いたボブは言いました。

「そうか・・・大変だったんだな・・・!おれもお前の事を手伝うよ!助けてもらったし、一人じゃ大変だろ?」それを聞いたシェリーは頭を下げて言います。
「ありがとうございますわ・・・正直しょうじきに言えば、一人で心細かったの・・・!」
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