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1章 勇気の章
盗賊ゴブリン
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翌朝、エルニスたちはスピネル王からの依頼で、再び王城へ入り、スピネル王のいる王室へと着きました。
「うむ、来てくれたか、今日きてもらったのは他でもない、スピネルの王権のシンボルともいうべき王冠が盗まれてしまったのじゃ。犯人はおそらく、混沌の帝国のゴブリン三兄弟だろう。奴らはここより西側にある鉱山町マインズを根城にしては金品を盗み出しては、闇マーケットで売りさばいている」それを聞いたすぐるはたずねました。
「王様、混沌の帝国とは何ですか・・・?」
「うむ、混沌の帝国とは、最近、世界各地で暴れまわっているならず者集団じゃ!力で新国家を設立し、世界を変えようとしておる!」それを聞いたリリスは不快感をあらわにしました。
「それは・・・とんだ大たわけよのう!」
「まったくじゃ!依頼と言うのはもうわかったじゃろう!スピネルの王冠をゴブリン三兄弟から取り戻してほしいのじゃ!」
「うむ!心得た!さあ、すぐる、今すぐマインズへ行こうぞ!」リリスはすぐるの手をつかんで駆け出しました。
「ちょっと!引っ張らないでよ!」それにエルニスとキャンベルも続きます。
すぐるたちはエルニスの案内で王都を出て、西に向かって行くと、程なくして鉱山町マインズに着きました。きれいなレンガ造りの建物が目立った王都とは打って変わって、粗末な木造の家々が立ち並ぶ町でした。
「ここがマインズか・・・」
「なんだか、同じスピネルの町だとは思えんのう・・・」すぐるとリリスがあたりを見渡して言います。
「この辺りは、スピネルでも治安の悪いところです、気をつけてくださいね・・・」キャンベルが二人に言いました。
「探すのは、ゴブリン三兄弟だったね・・・」
「そうですよ、すぐるさん。ゴブリンとは背丈一メートル前後の妖精の種族で、決して凶暴な種族ではありませんが、いたずら好きな者が多く、悪魔族同様、多くの種族から嫌われています」
「そうなんだ・・・現実界にあった幻獣図鑑の説明と、ほぼ一緒だ」
すぐるがそんな事を言って町中を歩いていると、目の前に一組の男女が現れました。一人は白いローブをまとい、青いバケツの様な帽子をかぶった銀髪の少年と、もう一人は、紺のブレザーと、黒いスカートをまとい、長い黒髪を後ろでポニーテールにしたエルフの少女でした。
「あ、あなたたちはカインさんとテイルさんじゃないですか」キャンベルが親しげに話します。
「あ、エルニスにキャンベルちゃん」
「あら、こんなところで何しているの?」
「この人たちは?」すぐるがキャンベルにたずねます。
「この人たちはわたしたちの友人で、人間の白魔導士カインさんと、エルフの武闘家テイルさんです。お二人はスピネル国でキーパーをしているんですよ」
「キーパーって?」
「キーパーって言うのは、スピネルの自警団員の事で、民間人の保護と地域の平和維持の活動をなさっています。バディと呼ばれる二人一組のチームで行動するのが基本です」
「へえ、すごいな」それでエルニスたちは、マインズに来た目的をカインとテイルに話しました。
「へえ、そうなの、実は私たちもそのゴブリン三兄弟を探しているの。奴ら、この町を根城に王都や他の町に現れては盗みを繰り返しているの。それでこの辺りをパトロールしているってわけ」テイルはすぐるたちに説明します。
「うむ・・・それは放っておけぬな」リリスがこう言うと、カインがリリスを見て言いました。
「へえ、悪魔族なんて珍しいね、なんかかわいいな・・・」それを見たテイルは怒ってカインの耳を引っ張ります。
「いてて!やめてよテイル!」
「もう!カインは相手が美人だとすぐデレデレするんだから!それじゃ、気を付けて」カインとテイルはその場を去って行きました。
「・・・なんだか、あのカインって人、テイルって人の尻に敷かれているって感じだね・・・」すぐるは頼りなさそうだなと言う感じで言いました。
「確かにあの二人はいつもあんな感じですが、本当はすごく仲のいい恋人たちです。それに、カインさんは腕利きの白魔法使いで、たいていのケガや病気はすぐ魔法で治しちゃいますよ」
「・・・確かに、癒し系って感じよの、悪くはないが、妾はあくまでもすぐる一筋じゃ♡」リリスはすぐるの左腕に両腕をからませると、すぐるは顔を赤らめます。
そんな四人の前に、背丈一メートルで、薄茶色の皮膚を持つ人型の妖精が袋を抱えて通り過ぎて行きました。
「あれは・・・ゴブリンだ!もしかして、例の盗賊ゴブリンかもしれない!」エルニスたちは、すぐさまゴブリンの後を気づかれないように追います。
ゴブリンを追っていると、エルニスたちは崩れかけの建物が目立つ場所に着きました。
「ここは、スラム街じゃないか」
「ゴブリンはあの石の建物の中に入ってきましたよ」
「とにかく、入ろうぞ」四人が塔の入り口を恐る恐る開けると、中には三人のゴブリンと、盗品と思われし品々が山と積まれていました。
「ここが奴らのアジトみたいだ、さっきのゴブリンもいる・・・」
「数の上ではこっちが有利ですが・・・いきなり飛び込むのは危険ですよ・・・」
「じゃあ、どうしようか・・・あれ?リリスは・・・?」
すぐるたちは辺りを見回すと、ゴブリン三兄弟の真ん前にリリスが仁王立ちしているのを見つけました。
「妾はボルケーノガールのリリス・クリムゾンと申す!お主ら悪党を退治しに参った!」それにゴブリン三兄弟はすぐさまそちらを向きます。それにエルニスたちは慌てます。
「ちょっ・・・!り、リリス!」
「いきなり飛び込むなんて無茶ですよ!」しかし、すぐるはいたって冷静です。
「いや、あの子は大丈夫だよ・・・!」
「なんすか?女か?」
「なんだよ、お色気娘じゃねぇか、けっこうカワイイな!」
「胸デカいし、太ももムッチムチだな!こんなのがオレたちを?冗談きついぜ!」ゴブリンたちはケラケラあざ笑います。リリスは怒りと屈辱で体を震えさせます。
「フン、そう言っておられるのも今のうちじゃ!」リリスは息を大きく吸い、口を開けると、彼女の口から赤く燃える大きな炎が吐き出されました。炎はゴブリン三兄弟を包み込みます。
「うわっつちいいいっ!」
「あちちちちちち!」
「この女、火を噴きやがった!」ゴブリンたちが服についた火を消そうとのたうち回ります。その光景にエルニスたちは唖然としました。
「くっ・・・!このアマ!」ゴブリンたちがナイフを抜いてリリスに襲い掛かろうとすると、リリスはナイフが来るよりも早く、炎をやどした右拳でゴブリン長男をふっとばします。
「ああ、アニキ!てめぇ!」続いて襲いがかってくる次男に、リリスは左手の毒々しく紅い爪を相手の腰に突き立てます。すると、ゴブリンは全身が重くなり、ひざを着きました。
「ぐっ・・・な・・・なんだこれは・・・!?く・・・苦しい・・・!」そのままゴブリン次男は倒れてしまいました。
「フフフ、妾の爪には毒があるのじゃ!」
「おのれ!ならは、後ろから・・・!」残りの三男ゴブリンがリリスを背後から襲おうとすると、リリスは細長い尻尾を伸ばし、鋭いハート形の先端でゴブリンの腕を刺したのです。
「がぁああっ!」刺されたところから全身にしびれと強い痛みが起き、ヒザをつきます。
「フン!女子のスカートをまくろうなど十年早いわ!」
「尻尾にまで毒があるのかよ・・・!この女・・・!」ゴブリンはそのまま倒れます。
「口ほどにもないのう!」リリスは軽く両手を払います。
「すごい、あっという間にやっつけちゃった・・・すぐるはこうなるってわかっていたの?」エルニスたちはただ唖然とするばかりです。
「・・・なんとなくね、ぼくはある程度の未来や相手の心情などがわかるんだ」
そこに、カインとテイルもやって来て、ゴブリン三兄弟は捕えられ、キャンベルがゴブリンたちの火傷と毒を魔法で治します。
「ここがやつらのアジトだったのか、よし、盗品は全て押収し、持ち主に返すとしよう」
「まったく、ゴブリンって、なんでこんなのばっかりなのかしら?まったくゴブリンって、厄介者ね!」テイルがこう言い放つと、ゴブリン次男はこう言い返しました。
「へっ!みんなそう言うんだ!みんなゴブリンを嫌うから、オレたちはいつもつまはじき!おかげでまともな仕事にもありつけない!どうせオレたちは盗賊で食いつないでいくしかないんだ!そんなオレたちを混沌の帝国は拾ってくれた!」それを聞いたキャンベルは言いました。
「テイルさん、今の発言はどうかと思いますよ。ゴブリンたちだって盗賊はしたくなかった。それなのに、みんながゴブリンを先入観で悪い者と決めつけるから、ちゃんとした仕事に就けず、仕方なく盗賊をしてしまったんですよ」
「・・・こんな奴らに味方するの?」それに、リリスも言います。
「妾もキャンベルに同感じゃ!我ら悪魔族も皆から悪い者と決めつけられ、漂泊を強いられている者も少なくない!この者たちだって、皆が受け入れてくれたなら、こんな事も起こさずにすんだかもしれん!」
「・・・テイル、ぼくもそう思うよ・・・」それを聞いたテイルはしばらく考え込んで言いました。
「カインまで・・・わかったわ、ちょっと言い過ぎた、ごめんね。でも、あなたたちがしたことは許される事じゃないからね!」カインとテイルはゴブリン三兄弟を連行し、建物を出て行きました。エルニスは、盗品の山から、赤いダイヤがはめ込まれた銀色のミスリル(鉄よりも軽く硬い魔法金属)で出来たスピネルの王冠と、きらりと光るひし形の青いメダルを見つけました。
「これは・・・この国に伝わる『勇者のメダル』じゃないか!やっと一つ目を見つけたぞ!」盗品の後始末は他のキーパーたちに任せ、エルニスたちは塔を出て行きます。王冠はスピネル王に返却されました。
「うむ、来てくれたか、今日きてもらったのは他でもない、スピネルの王権のシンボルともいうべき王冠が盗まれてしまったのじゃ。犯人はおそらく、混沌の帝国のゴブリン三兄弟だろう。奴らはここより西側にある鉱山町マインズを根城にしては金品を盗み出しては、闇マーケットで売りさばいている」それを聞いたすぐるはたずねました。
「王様、混沌の帝国とは何ですか・・・?」
「うむ、混沌の帝国とは、最近、世界各地で暴れまわっているならず者集団じゃ!力で新国家を設立し、世界を変えようとしておる!」それを聞いたリリスは不快感をあらわにしました。
「それは・・・とんだ大たわけよのう!」
「まったくじゃ!依頼と言うのはもうわかったじゃろう!スピネルの王冠をゴブリン三兄弟から取り戻してほしいのじゃ!」
「うむ!心得た!さあ、すぐる、今すぐマインズへ行こうぞ!」リリスはすぐるの手をつかんで駆け出しました。
「ちょっと!引っ張らないでよ!」それにエルニスとキャンベルも続きます。
すぐるたちはエルニスの案内で王都を出て、西に向かって行くと、程なくして鉱山町マインズに着きました。きれいなレンガ造りの建物が目立った王都とは打って変わって、粗末な木造の家々が立ち並ぶ町でした。
「ここがマインズか・・・」
「なんだか、同じスピネルの町だとは思えんのう・・・」すぐるとリリスがあたりを見渡して言います。
「この辺りは、スピネルでも治安の悪いところです、気をつけてくださいね・・・」キャンベルが二人に言いました。
「探すのは、ゴブリン三兄弟だったね・・・」
「そうですよ、すぐるさん。ゴブリンとは背丈一メートル前後の妖精の種族で、決して凶暴な種族ではありませんが、いたずら好きな者が多く、悪魔族同様、多くの種族から嫌われています」
「そうなんだ・・・現実界にあった幻獣図鑑の説明と、ほぼ一緒だ」
すぐるがそんな事を言って町中を歩いていると、目の前に一組の男女が現れました。一人は白いローブをまとい、青いバケツの様な帽子をかぶった銀髪の少年と、もう一人は、紺のブレザーと、黒いスカートをまとい、長い黒髪を後ろでポニーテールにしたエルフの少女でした。
「あ、あなたたちはカインさんとテイルさんじゃないですか」キャンベルが親しげに話します。
「あ、エルニスにキャンベルちゃん」
「あら、こんなところで何しているの?」
「この人たちは?」すぐるがキャンベルにたずねます。
「この人たちはわたしたちの友人で、人間の白魔導士カインさんと、エルフの武闘家テイルさんです。お二人はスピネル国でキーパーをしているんですよ」
「キーパーって?」
「キーパーって言うのは、スピネルの自警団員の事で、民間人の保護と地域の平和維持の活動をなさっています。バディと呼ばれる二人一組のチームで行動するのが基本です」
「へえ、すごいな」それでエルニスたちは、マインズに来た目的をカインとテイルに話しました。
「へえ、そうなの、実は私たちもそのゴブリン三兄弟を探しているの。奴ら、この町を根城に王都や他の町に現れては盗みを繰り返しているの。それでこの辺りをパトロールしているってわけ」テイルはすぐるたちに説明します。
「うむ・・・それは放っておけぬな」リリスがこう言うと、カインがリリスを見て言いました。
「へえ、悪魔族なんて珍しいね、なんかかわいいな・・・」それを見たテイルは怒ってカインの耳を引っ張ります。
「いてて!やめてよテイル!」
「もう!カインは相手が美人だとすぐデレデレするんだから!それじゃ、気を付けて」カインとテイルはその場を去って行きました。
「・・・なんだか、あのカインって人、テイルって人の尻に敷かれているって感じだね・・・」すぐるは頼りなさそうだなと言う感じで言いました。
「確かにあの二人はいつもあんな感じですが、本当はすごく仲のいい恋人たちです。それに、カインさんは腕利きの白魔法使いで、たいていのケガや病気はすぐ魔法で治しちゃいますよ」
「・・・確かに、癒し系って感じよの、悪くはないが、妾はあくまでもすぐる一筋じゃ♡」リリスはすぐるの左腕に両腕をからませると、すぐるは顔を赤らめます。
そんな四人の前に、背丈一メートルで、薄茶色の皮膚を持つ人型の妖精が袋を抱えて通り過ぎて行きました。
「あれは・・・ゴブリンだ!もしかして、例の盗賊ゴブリンかもしれない!」エルニスたちは、すぐさまゴブリンの後を気づかれないように追います。
ゴブリンを追っていると、エルニスたちは崩れかけの建物が目立つ場所に着きました。
「ここは、スラム街じゃないか」
「ゴブリンはあの石の建物の中に入ってきましたよ」
「とにかく、入ろうぞ」四人が塔の入り口を恐る恐る開けると、中には三人のゴブリンと、盗品と思われし品々が山と積まれていました。
「ここが奴らのアジトみたいだ、さっきのゴブリンもいる・・・」
「数の上ではこっちが有利ですが・・・いきなり飛び込むのは危険ですよ・・・」
「じゃあ、どうしようか・・・あれ?リリスは・・・?」
すぐるたちは辺りを見回すと、ゴブリン三兄弟の真ん前にリリスが仁王立ちしているのを見つけました。
「妾はボルケーノガールのリリス・クリムゾンと申す!お主ら悪党を退治しに参った!」それにゴブリン三兄弟はすぐさまそちらを向きます。それにエルニスたちは慌てます。
「ちょっ・・・!り、リリス!」
「いきなり飛び込むなんて無茶ですよ!」しかし、すぐるはいたって冷静です。
「いや、あの子は大丈夫だよ・・・!」
「なんすか?女か?」
「なんだよ、お色気娘じゃねぇか、けっこうカワイイな!」
「胸デカいし、太ももムッチムチだな!こんなのがオレたちを?冗談きついぜ!」ゴブリンたちはケラケラあざ笑います。リリスは怒りと屈辱で体を震えさせます。
「フン、そう言っておられるのも今のうちじゃ!」リリスは息を大きく吸い、口を開けると、彼女の口から赤く燃える大きな炎が吐き出されました。炎はゴブリン三兄弟を包み込みます。
「うわっつちいいいっ!」
「あちちちちちち!」
「この女、火を噴きやがった!」ゴブリンたちが服についた火を消そうとのたうち回ります。その光景にエルニスたちは唖然としました。
「くっ・・・!このアマ!」ゴブリンたちがナイフを抜いてリリスに襲い掛かろうとすると、リリスはナイフが来るよりも早く、炎をやどした右拳でゴブリン長男をふっとばします。
「ああ、アニキ!てめぇ!」続いて襲いがかってくる次男に、リリスは左手の毒々しく紅い爪を相手の腰に突き立てます。すると、ゴブリンは全身が重くなり、ひざを着きました。
「ぐっ・・・な・・・なんだこれは・・・!?く・・・苦しい・・・!」そのままゴブリン次男は倒れてしまいました。
「フフフ、妾の爪には毒があるのじゃ!」
「おのれ!ならは、後ろから・・・!」残りの三男ゴブリンがリリスを背後から襲おうとすると、リリスは細長い尻尾を伸ばし、鋭いハート形の先端でゴブリンの腕を刺したのです。
「がぁああっ!」刺されたところから全身にしびれと強い痛みが起き、ヒザをつきます。
「フン!女子のスカートをまくろうなど十年早いわ!」
「尻尾にまで毒があるのかよ・・・!この女・・・!」ゴブリンはそのまま倒れます。
「口ほどにもないのう!」リリスは軽く両手を払います。
「すごい、あっという間にやっつけちゃった・・・すぐるはこうなるってわかっていたの?」エルニスたちはただ唖然とするばかりです。
「・・・なんとなくね、ぼくはある程度の未来や相手の心情などがわかるんだ」
そこに、カインとテイルもやって来て、ゴブリン三兄弟は捕えられ、キャンベルがゴブリンたちの火傷と毒を魔法で治します。
「ここがやつらのアジトだったのか、よし、盗品は全て押収し、持ち主に返すとしよう」
「まったく、ゴブリンって、なんでこんなのばっかりなのかしら?まったくゴブリンって、厄介者ね!」テイルがこう言い放つと、ゴブリン次男はこう言い返しました。
「へっ!みんなそう言うんだ!みんなゴブリンを嫌うから、オレたちはいつもつまはじき!おかげでまともな仕事にもありつけない!どうせオレたちは盗賊で食いつないでいくしかないんだ!そんなオレたちを混沌の帝国は拾ってくれた!」それを聞いたキャンベルは言いました。
「テイルさん、今の発言はどうかと思いますよ。ゴブリンたちだって盗賊はしたくなかった。それなのに、みんながゴブリンを先入観で悪い者と決めつけるから、ちゃんとした仕事に就けず、仕方なく盗賊をしてしまったんですよ」
「・・・こんな奴らに味方するの?」それに、リリスも言います。
「妾もキャンベルに同感じゃ!我ら悪魔族も皆から悪い者と決めつけられ、漂泊を強いられている者も少なくない!この者たちだって、皆が受け入れてくれたなら、こんな事も起こさずにすんだかもしれん!」
「・・・テイル、ぼくもそう思うよ・・・」それを聞いたテイルはしばらく考え込んで言いました。
「カインまで・・・わかったわ、ちょっと言い過ぎた、ごめんね。でも、あなたたちがしたことは許される事じゃないからね!」カインとテイルはゴブリン三兄弟を連行し、建物を出て行きました。エルニスは、盗品の山から、赤いダイヤがはめ込まれた銀色のミスリル(鉄よりも軽く硬い魔法金属)で出来たスピネルの王冠と、きらりと光るひし形の青いメダルを見つけました。
「これは・・・この国に伝わる『勇者のメダル』じゃないか!やっと一つ目を見つけたぞ!」盗品の後始末は他のキーパーたちに任せ、エルニスたちは塔を出て行きます。王冠はスピネル王に返却されました。
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