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3章 闇の魔女クドラク

濡れ衣を着せられたシャノン

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 今夜もかぼちゃ町のパトロールをしていたシャノンは、さっそうと夜のまちけ抜けていきます。

「麗華さんのあの目・・・まさかね・・・!」シャノンはそうであってほしくないと思いながら見回りをしていると、夜の静寂せいじゃく絶叫ぜっきょうやぶりました。

 シャノンはすぐさまそちらへ急行すると、なんと、そこでは男子生徒の太蔵が倒れており、麗華が赤い瞳を血走らせて太蔵の首から血を吸っていたのです。

「麗華さん!やっぱりバンパイア化していたの?!」麗華はシャノンを見るなり太蔵を置いて、その場を去っていきました。

「ああっ!待ちなさい!」シャノンが追いかけようとすると、後ろから銃声じゅうせいが鳴り響き、シャノンはり向くと、黒いマントを羽織はおったサングラスの男が銃を向けていたのです。
「見つけたぞ、バンパイア!お前の仕業か!?」
「違う!私じゃない!」シャノンは訴えますが、相手は聞きいれず、銀の弾丸を発射してきました。シャノンは寸前でかわし、その場を逃げ出します。
「待て!」

 シャノンは住宅街まで逃げ延びますが、行く先にも教会のハンターがうろついていて、戸惑っていると、隣の家の戸が開き、「こっちよ、シャノン!」と聞きなれた声がして、そっちに避難ひなんします。

 シャノンは見慣れた顔を見て安心します。
「やっぱり麻里子、ありがとう」

「ええ、でもちょっと軽はずみだったわね、最近、教会の動きが激しくなっているのに・・・!」
白い壁に、絨毯じゅうたんかれている床と言う、シンプルな内装の麻里子の家には、すぐるもいたのです。

「あなたは、バラ十字団のすぐる君!どうしてここに!?」
「それは、クドラク教についていったブライアンを連れ戻すために、かぼちゃ町に来たんだよ」
「ええっ!?あのブライアンがあの教団に!?」すぐるが説明をします。

「ブライアンがぼくに負けて失意しついの中、あのクドラク教が彼に近づいたんだ。すると、ブライアンは教団と意気投合いきとうごうし、そのままついていってしまった。それで調査ちょうさの結果、教団の拠点きょてんがこのかぼちゃ町にあることを突き止めたぼくとリリスは、この町で調査をしていたけど、いつの間にかリリスもいなくなってしまってね・・・!それで二人を探しているところに、麻里子さんと会ったってわけ」

「教団は、相手の心のスキをついて入信を進めてくるの、教団のおかげでゆたかになった人もいれば、そのしわ寄せを受けてしまう人もいるわ」シャノンは虹色園の現状げんじょうを思い浮かべました。

「あの麗華さんが急に元気になったのは、クドラク教の教祖『クドラク』のがねよ!あいつ、病気で長くなかった麗華さんに近づいて、自分の手駒てごまになれば力を与える契約けいやくをさせた。その結果、麗華さんはバンパイア化してしまったの」シャノンはこぶしにぎって言いました。

「なんてこと・・・クドラクって何者なの!?」

「元は人間だった。十五世紀ごろにみ子として生まれて村を追い出され、自分をいじめた者たちに復讐ふくしゅうするために、悪魔と契約を交わして魔女になった少女よ」麻里子が言いました。

「クドラクと契約をしたのは麗華さんだけじゃない、あのタイラントも、力欲しさにクドラクと契約を交わした下級魔族で、マモン財閥のマモン社長も、教団の信者になり、教団の教えに従ったことで巨万きょまんとみを得た・・・!しかしその裏で、財閥は密猟みつりょうなどの薄汚うすぎたない商売に手をめてきた・・・!」すぐるも説明します。
「そのせいで、虹色園が・・・!」シャノンは怒りに体をふるわせると、すぐるが話を続けます。

「教団がマモンにお金をかせがせているのは何か裏があるとぼくは見ている。なにか、大きな陰謀いんぼうがあると見て間違まちがいない」
「陰謀!?」

「それは何なのかはまだわからない、わかり次第教えるよ」その後、シャノンは麻里子やすぐるに付きわれて屋敷に帰っていきました。
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