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2章 ドラクル伯爵の野望
暴君降臨
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森を抜けると、そこは草木が生えていない荒れ地で、目の前に、石をくみ上げた塔が建てられていたのです。最上階は、どす黒い雲が渦巻いており、余計不気味さを出しています。
「あれが・・・『タイラントの塔』・・・!」
「あそこにドラクル伯爵がいるんだ!?」
「さぁ、行きましょう!」
シャノンたちは塔に入り、階段を上っていくと、ほどなくして最上階にたどり着きました。そこでは、教会のハンターたちが数人倒れており、シャノンたちの視線の先には、ドラクル伯爵がマントを広げて待ち構えていました。
「早速、公爵家の姫君『ナイトプリンセス』のお出ましか!?だが、もう遅い!すでに賢者のジュエルを使い、暴君の魂を復活させ、取り込んだ!やはり、この力はすさまじい!
教会のハンターたちも、この事件の黒幕が私であることを突き止めたようだが、この通りだ!これなら、ワラキア公国はおろか、世界を制することも夢ではない!」
「・・・こいつ!」
「さすがに思い上がりすぎだ!」
「ドラクル伯爵!私たちがあなたを止める!」ドラクル伯爵は高らかに笑い、赤く光る瞳を光らせて言いました。
「できるのか?さぁ、シャノンよ!我らの宿命に従え!その者たちの血を吸いつくしてしまえ!」しかし、シャノンは何も感じません。
「・・・バカな!?強化された私の魔眼が効かぬだと!?一度でも、血を味わっている者なら効くはず・・・ハッ!?まさか、シャノンは血の味を知らぬのか!?」
「おあいにく様、私は誰かの血なんて口にしたことがないから!」これにドラクル伯爵は怒りに体を震えさせます。
「おのれぇ!やはり、伯爵家と公爵家は水と油か!こうなったら、力ずくでお前たちを屈服させてやろう!バーナバスの仇も討たせてもらう・・・うぉおおおおおっ・・・・!?」
ドラクル伯爵の体が突然、どす黒いオーラに包まれ、オーラが消えると、そこにいたのは、コウモリを思わせる翼を生やしたけだものの体に、鬣と鋭い牙を生やしたライオンの様な頭部を持つ悪魔だったのです。額には賢者のジュエルが埋め込まれています。
「伯爵が・・・怪物になった・・・!?」
「いいえ・・・これは!」
「伯爵の気配が完全に消えたよ・・・!まさか!?」悪魔は細長い尻尾を振り回して言いました。
「その通り!オレ様はタイラント!あの伯爵とやらの体と魂は、オレが喰っちまったよ!」
「そんな・・・!?」
「哀れね伯爵、野心にとりつかれた挙句、こんな下劣なヤツに喰われるなんて!」
「ヤツを止めよう!」シャノンたちは身構えます。
「できるのか!?面白れぇ!やってみやがれ!」
タイラントは翼を広げて飛び上がると、シャノンも翼を出現させ、空に飛びあがります。シャノンは素早く飛び回りながら、鋭い爪でタイラントを斬りつけていきます。しかし、いくら切っても、タイラントの傷はすぐにふさがっていったのです。
「ちょこまかうるさいハエめ!」タイラントは翼を羽ばたかせて強風を巻き起こし、シャノンは翼があおられてしまい、そのスキにタイラントがシャノンを剛腕で地面にたたきつけます。
「がはっ・・!」タイラントは間髪入れずに炎を吐きつけます。麻里子がシャノンをかばい、風の魔法で炎を押し返そうとしますが、麻里子の風はどんどん押し負けていきます。もうダメかと思ったその時、白い何かがシャノンと麻里子をかっさらったのです。
「まさる君!」退魔の一族、クルースニクの血を引くまさるは、白い毛皮の狼の姿になっています。
「シャノンさん!ヤツは額の賢者のジュエルで力を得ている!それを壊せば倒せるかもしれない!」それを聞いた麻里子はハッとします。
「そんな・・・!それがなくなったら・・・私の・・・願いは・・・!?」これにシャノンは首を横に振ります。
「麻里子!このままだったら、私たちは全滅だよ!」まさるは言いました。
「シャノンさん!ぼくをヤツめがけて投げて!そして、この銀のナイフを、ヤツの額のジュエルに突き立てるから!」
「わかった!麻里子も!」麻里子はうなずいて、二人を魔法で回復させました。
シャノンはまさるを抱えて飛び上がり、タイラントの額を狙おうとしますが、空中で激しく暴れまわるタイラントのスキを突くことがなかなかできません。すると、麻里子はライトニングの魔法を使い、タイラントめがけて雷を落としました。
「ぐがああああっ!」タイラントは電撃に包まれ、苦しんでいます。
「二人とも、今よ!」
シャノンは一気にタイラントに接近し、ヤツの額めがけてまさるを投げつけ、まさるは全力で銀のナイフを、額の賢者のジュエルめがけて突き立てました。
「ぐがあああああああっ!」タイラントは激しい断末魔の叫びをあげると、賢者のジュエルにひびが入り、それがタイラントの全身に広がっていき、ジュエルもろども、チリになって消滅しました。
空の黒い雲が切れていき、青空が見えてくると、地上に降り立ったまさるは、元の姿に戻っていきました。
「あれが・・・『タイラントの塔』・・・!」
「あそこにドラクル伯爵がいるんだ!?」
「さぁ、行きましょう!」
シャノンたちは塔に入り、階段を上っていくと、ほどなくして最上階にたどり着きました。そこでは、教会のハンターたちが数人倒れており、シャノンたちの視線の先には、ドラクル伯爵がマントを広げて待ち構えていました。
「早速、公爵家の姫君『ナイトプリンセス』のお出ましか!?だが、もう遅い!すでに賢者のジュエルを使い、暴君の魂を復活させ、取り込んだ!やはり、この力はすさまじい!
教会のハンターたちも、この事件の黒幕が私であることを突き止めたようだが、この通りだ!これなら、ワラキア公国はおろか、世界を制することも夢ではない!」
「・・・こいつ!」
「さすがに思い上がりすぎだ!」
「ドラクル伯爵!私たちがあなたを止める!」ドラクル伯爵は高らかに笑い、赤く光る瞳を光らせて言いました。
「できるのか?さぁ、シャノンよ!我らの宿命に従え!その者たちの血を吸いつくしてしまえ!」しかし、シャノンは何も感じません。
「・・・バカな!?強化された私の魔眼が効かぬだと!?一度でも、血を味わっている者なら効くはず・・・ハッ!?まさか、シャノンは血の味を知らぬのか!?」
「おあいにく様、私は誰かの血なんて口にしたことがないから!」これにドラクル伯爵は怒りに体を震えさせます。
「おのれぇ!やはり、伯爵家と公爵家は水と油か!こうなったら、力ずくでお前たちを屈服させてやろう!バーナバスの仇も討たせてもらう・・・うぉおおおおおっ・・・・!?」
ドラクル伯爵の体が突然、どす黒いオーラに包まれ、オーラが消えると、そこにいたのは、コウモリを思わせる翼を生やしたけだものの体に、鬣と鋭い牙を生やしたライオンの様な頭部を持つ悪魔だったのです。額には賢者のジュエルが埋め込まれています。
「伯爵が・・・怪物になった・・・!?」
「いいえ・・・これは!」
「伯爵の気配が完全に消えたよ・・・!まさか!?」悪魔は細長い尻尾を振り回して言いました。
「その通り!オレ様はタイラント!あの伯爵とやらの体と魂は、オレが喰っちまったよ!」
「そんな・・・!?」
「哀れね伯爵、野心にとりつかれた挙句、こんな下劣なヤツに喰われるなんて!」
「ヤツを止めよう!」シャノンたちは身構えます。
「できるのか!?面白れぇ!やってみやがれ!」
タイラントは翼を広げて飛び上がると、シャノンも翼を出現させ、空に飛びあがります。シャノンは素早く飛び回りながら、鋭い爪でタイラントを斬りつけていきます。しかし、いくら切っても、タイラントの傷はすぐにふさがっていったのです。
「ちょこまかうるさいハエめ!」タイラントは翼を羽ばたかせて強風を巻き起こし、シャノンは翼があおられてしまい、そのスキにタイラントがシャノンを剛腕で地面にたたきつけます。
「がはっ・・!」タイラントは間髪入れずに炎を吐きつけます。麻里子がシャノンをかばい、風の魔法で炎を押し返そうとしますが、麻里子の風はどんどん押し負けていきます。もうダメかと思ったその時、白い何かがシャノンと麻里子をかっさらったのです。
「まさる君!」退魔の一族、クルースニクの血を引くまさるは、白い毛皮の狼の姿になっています。
「シャノンさん!ヤツは額の賢者のジュエルで力を得ている!それを壊せば倒せるかもしれない!」それを聞いた麻里子はハッとします。
「そんな・・・!それがなくなったら・・・私の・・・願いは・・・!?」これにシャノンは首を横に振ります。
「麻里子!このままだったら、私たちは全滅だよ!」まさるは言いました。
「シャノンさん!ぼくをヤツめがけて投げて!そして、この銀のナイフを、ヤツの額のジュエルに突き立てるから!」
「わかった!麻里子も!」麻里子はうなずいて、二人を魔法で回復させました。
シャノンはまさるを抱えて飛び上がり、タイラントの額を狙おうとしますが、空中で激しく暴れまわるタイラントのスキを突くことがなかなかできません。すると、麻里子はライトニングの魔法を使い、タイラントめがけて雷を落としました。
「ぐがああああっ!」タイラントは電撃に包まれ、苦しんでいます。
「二人とも、今よ!」
シャノンは一気にタイラントに接近し、ヤツの額めがけてまさるを投げつけ、まさるは全力で銀のナイフを、額の賢者のジュエルめがけて突き立てました。
「ぐがあああああああっ!」タイラントは激しい断末魔の叫びをあげると、賢者のジュエルにひびが入り、それがタイラントの全身に広がっていき、ジュエルもろども、チリになって消滅しました。
空の黒い雲が切れていき、青空が見えてくると、地上に降り立ったまさるは、元の姿に戻っていきました。
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