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2章 ドラクル伯爵の野望
ブライアンの過去
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ブライアンが傷だらけの体をゆっくり立ち上げると、周りに麻里子やほかの団員たちが集まっていました。
「・・・ブライアン、やはり私はあなたには賛同しない。人間と争うことは望まないし、あなたの横暴なやり方についていけないから・・・!」麻里子はシャノンたちの方に戻りました。
「ぼくも・・・戦いなんていやだ!」
「私も、全ての人間が悪いやつとは思わないから」他の団員たちもブライアンから離れていきます。
「が・・・!」ブライアンはその場に膝をつきました。
思えば彼は、幼少のころから魔力のせいで周りの人間のこどもたちからはいじめられてきました。
失意の中、前団長に拾われたブライアンは、魔法の修業に明け暮れ、他の団長よりも早く一級魔導士になりました。
そして、その後にやったことは、さらなる修行ではなく、かつてのいじめっこや自分をバカにした者に片っ端から勝負を挑み、全員、魔法でぶっ飛ばし、勝利することでした。
それまで自分をあざ笑う視線が、自分におびえ命乞いをする視線に変わっていったのを、ブライアンは大変愉快に感じたのです。
しかし、それをやっていくにつれ、彼の周りからは人の姿が消えていき、両親もブライアンの事を恐れるようになり、彼は家から追い出されてしまったのです。
それから、彼は人間に対し、不信感を募らせるようになり、一部の愚かな人間のふるまいを見ていくうちに、人間に対する憎悪を燃やすことになったのでした。
そして、前団長が年をとって亡くなった後、ブライアンが団長になると宣言すると、彼を敵に回したくない団員たちは、意義を唱えなかったのです。
人間だけでなく、同志たちですら離れていくのを見たブライアンは、もう顔をうなだれるしかありませんでした。そこに、すぐるがブライアンの前でひざまずき、声をかけます。
「・・・顔をあげてくれ」しかし、ブライアンは無言のままうなだれています。
「・・・ぼくも、君と同じように、周りの人間たちからいろいろいじめにあったんだ」それを聞いたブライアンは顔を上げました。
「本当か!?」すぐるは首を縦に振ります。
「ぼくも魔力持ちだからと言う理由で仲間外れにされたり、いじめられたりした。
でも、ぼくのじいちゃんであるえいじ前団長は、「お前が魔力を持ったのは、普通の人じゃ救えない者を救うためだ、その力を世のため人のために生かせ」ってね」
「そんなの・・・きれいごとだ・・・!」
「それから、こうも言っていたな、「お前がいじめっ子に手を出したら、お前もあいつらと同じになる、なめられる方が負けじゃない、なめるほうが負けだ」ってね、それに」
すぐるはブライアンが落とした緑の石かけら『風の破片』を拾います。
「周りを見てよ、君の目指している事って、そこまでボロボロになってまで成し遂げたいことなの?それを望んでいる者はいるの?」
ブライアンが周りを見ると、他の団員たちは全員、すぐるの後ろに集まっているのを見ると、ブライアンは再び頭をうなだれました。
「・・・ぼくの・・・負けだ・・・力でも・・・心でも・・・!」
「・・・ブライアン、やはり私はあなたには賛同しない。人間と争うことは望まないし、あなたの横暴なやり方についていけないから・・・!」麻里子はシャノンたちの方に戻りました。
「ぼくも・・・戦いなんていやだ!」
「私も、全ての人間が悪いやつとは思わないから」他の団員たちもブライアンから離れていきます。
「が・・・!」ブライアンはその場に膝をつきました。
思えば彼は、幼少のころから魔力のせいで周りの人間のこどもたちからはいじめられてきました。
失意の中、前団長に拾われたブライアンは、魔法の修業に明け暮れ、他の団長よりも早く一級魔導士になりました。
そして、その後にやったことは、さらなる修行ではなく、かつてのいじめっこや自分をバカにした者に片っ端から勝負を挑み、全員、魔法でぶっ飛ばし、勝利することでした。
それまで自分をあざ笑う視線が、自分におびえ命乞いをする視線に変わっていったのを、ブライアンは大変愉快に感じたのです。
しかし、それをやっていくにつれ、彼の周りからは人の姿が消えていき、両親もブライアンの事を恐れるようになり、彼は家から追い出されてしまったのです。
それから、彼は人間に対し、不信感を募らせるようになり、一部の愚かな人間のふるまいを見ていくうちに、人間に対する憎悪を燃やすことになったのでした。
そして、前団長が年をとって亡くなった後、ブライアンが団長になると宣言すると、彼を敵に回したくない団員たちは、意義を唱えなかったのです。
人間だけでなく、同志たちですら離れていくのを見たブライアンは、もう顔をうなだれるしかありませんでした。そこに、すぐるがブライアンの前でひざまずき、声をかけます。
「・・・顔をあげてくれ」しかし、ブライアンは無言のままうなだれています。
「・・・ぼくも、君と同じように、周りの人間たちからいろいろいじめにあったんだ」それを聞いたブライアンは顔を上げました。
「本当か!?」すぐるは首を縦に振ります。
「ぼくも魔力持ちだからと言う理由で仲間外れにされたり、いじめられたりした。
でも、ぼくのじいちゃんであるえいじ前団長は、「お前が魔力を持ったのは、普通の人じゃ救えない者を救うためだ、その力を世のため人のために生かせ」ってね」
「そんなの・・・きれいごとだ・・・!」
「それから、こうも言っていたな、「お前がいじめっ子に手を出したら、お前もあいつらと同じになる、なめられる方が負けじゃない、なめるほうが負けだ」ってね、それに」
すぐるはブライアンが落とした緑の石かけら『風の破片』を拾います。
「周りを見てよ、君の目指している事って、そこまでボロボロになってまで成し遂げたいことなの?それを望んでいる者はいるの?」
ブライアンが周りを見ると、他の団員たちは全員、すぐるの後ろに集まっているのを見ると、ブライアンは再び頭をうなだれました。
「・・・ぼくの・・・負けだ・・・力でも・・・心でも・・・!」
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