『完結』夜の姫君 シャノン

マイマイン

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2章 ドラクル伯爵の野望

ドラゴン退治

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 リリスとすぐるは、火山の洞窟どうくつの中へと入ります。そこは、中央の石の道のそばでマグマが川のように流れる場所です。

「すごい熱気ねっきだ・・・!」洞窟の奥から、怪物の雄たけびのようなすさまじい音がします。

「む!これは魔竜の声じゃな!行くぞ!」
「だから引っ張らないでってば!」

 洞窟のおくにある祭壇さいだんに、四メートルはある赤色のウロコを持つ獣脚類じゅうきゃくるい(ティラノサウルスのような恐竜の種類)の本体に、コウモリのような翼、鋭いかぎ爪のあるたくましい手足、後ろにそった二本の角を持つ鋭い牙を生やした頭部という、文字通りのドラゴンが立っていました。

ドラゴンは縦長の瞳孔どうこうがある黄金の目をリリスたちに向けると、けだものの様な吠え声をあげます。

二人は一瞬いっしゅんふるえましたが、すぐに持ち直し、すぐるは絵筆型の杖から、光の弾を数発放ちます。光の弾はドラゴンに命中し、爆発しますが、ドラゴンには毛ほども効いていません。

「・・・魔法は効果が薄いな・・・!」
「ならば、物理で勝負よ!」

 リリスは背中の翼を広げて宙をい、爪や拳をふるったり、ドロップキックを放ったりしますが、ドラゴンの硬く、厚い表皮の前では、ほとんど効いていません。

 しかし、リリスがヤツの眉間みけんにパンチを当てた時、ドラゴンは声を上げて体をふるえさせます。

「む!?」これに怒ったドラゴンは、リリスを尻尾でなぎ倒します。リリスは地面にたたきつけられます。
「リリス!」すぐるがかけよると、ドラゴンは口から炎を吐きかけます。すぐるも炎の魔法でそれを防ぎます。

「ぐぐぐ・・・!」すぐるが力負けしそうになると、リリスも口から炎を吐き、ドラゴンの炎を押し返し、炎はドラゴンを包み、ヤツをひるませます。

「ありがとう、助かったよ!」
「すぐるにばかり任せておけぬ!ヤツには妾のこぶしりもどくの爪も効かぬ・・・!どうすれば!?」

「だったら、ぼくがリリスに体力強化の魔法を使うよ!それなら、ドラゴンに痛手を負わせられる!」
「ほう、そんなこともできたのか!?」すぐるがうなずくと、絵筆から放たれる黄金の光でリリスを包みます。

「おおお!力がみなぎっていくぞ!」

「ヤツの急所は眉間だ、そこにパンチをたたき込むんだ!」

 リリスは素早く飛び回って、ドラゴンの炎や爪、尻尾をかわし、全体重を乗せたパンチをドラゴンの眉間に叩き込むと、ドラゴンは断末魔だんまつまの雄たけびを上げて、マグマの川に向かってたおれ、しずんでいきました。
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