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2章 ドラクル伯爵の野望
魔族の里
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シャノンたちは、リリスに連れられて町を北に進みます。
「このあたりは、あまり人の気配がないね」
「このあたりは『魔境』と呼ばれる地域で、現地の人たちもあまり近づかないんだ」
すぐるが説明すると、遠くにいまだに活動を続けている事が分かる山頂から煙を吹いている円錐型の山が見えます。
「あの山が地獄山よ、我らの里はあの山のふもとにあるのじゃ」そして、ほどなくして魔族たちの里に着きました。そこは石をくみ上げて造られた家々が並ぶ町で、その間を、リリスと同じような魔族たちが行きかっています。
「へえ、魔族の里って本当にあったんだね・・・ここはバラ十字団に襲われていないんだ」シャノンが言うと、すぐるが言いました。
「ああ、魔族はその名の通り、魔法に長けている種族と言われていて、さすがのバラ十字団もうかつに手が出せないんだ。そもそも、魔族の里の実在を信じている者が少なかったのもあるけど」これにリリスも言いました。
「うむ、基本的に魔族は、積極的に異種族と付き合おうとはしないのじゃ、住みかを追われてきた過去があるしの・・・買い出しに行くときは、人間になりすましていくのじゃが・・・」すると、魔族の一人がリリスを見て言いました。
「まぁ、下級魔族のプリンセスのお帰りだわ!」ほかの魔族もリリスを軽蔑するような目で見ます。
「リリス、みんなに嫌われているの?」シャノンがたずねると、すぐるが言いました。
「魔族は魔力が高い者ほど仲間から尊敬されると言われているんだ、そして、魔力の低い者は蔑まされてきたと言われている・・・」これにリリスはうなずきます。
「うむ・・・実は・・・妾は生まれつき魔力の弱い・・・下級魔族なのじゃ・・・!」そして、ほどなくして、円柱型の塔が目立つ小さな城の前に着きました。
「リリス!今までどこにいたのだ!?」貴族的な服をまとう赤毛のショートヘア―の魔族がリリスに詰め寄ります。
「父上・・・妾は・・・助けを呼びに・・・!」
「まだ山の異変の事を言っておるのか!?我々魔族と人間は相容れないと何度も言い聞かせてきたはず!
お前が伝えたところで、我々をズルくて信用できない種族と思っておる人間や他の異種族は数多くいる!お前のしたことはムダなだけだ!
しかも、魔術の修業をサボり、人間の武術のマネ事ばかりしおって!お前は生まれつき魔力に恵まれず、周囲から出来損ないの下級魔族と言われ続けている!それでは、我が一族の恥さらしよ!」これに、シャノンが反論します。
「さすがに、そんな言い方は・・・!」しかし、リリスの父親は聞く耳を持ちません。
「客人は黙っておれ!」
「むぅ!お言葉じゃが、妾が一度でもウソを言ったことが・・・!」そこに、傷だらけになった二人の魔族の戦士たちが現れました。
「大変です!マルコシアス卿!魔竜です!地獄山に封印されていたドラゴンがよみがえりました!!」
「なんだと!?太古に封印されていた大悪魔タイラントの眷属が!?」
「ヤツには・・・魔法が・・・効きません・・・まるで・・・歯が立ちませんでした・・・」魔族の戦士たちはその場で倒れました。
「まさか、お前の言った通りになるとは!?」
「だから、妾はウソをつかぬと・・・!」
「そんなことより、早く地獄山のドラゴンをしずめよう!伝説が正しければ、ヤツは、多くの犠牲をはらい、封印されていたやつだ!行こう!」マルコシアスは、申し訳なさの混じった声で言います。
「・・・ヤツの封印が解けるとは・・・これは・・・ヤツの封印も・・・!?すまないが・・・どうか戦士たちの仇を討ってはくれないか・・・!?」
「うむ!任せるがよい!行くぞ、すぐる!」リリスはすぐるの手をつかんで駆け出します。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」
「待って!私たちも!?」シャノンとまさるも行こうとしましたが、リリスが制止します。
「お主たちはケガをした戦士たちの治療を頼む!魔竜は我らが倒す!」
「このあたりは、あまり人の気配がないね」
「このあたりは『魔境』と呼ばれる地域で、現地の人たちもあまり近づかないんだ」
すぐるが説明すると、遠くにいまだに活動を続けている事が分かる山頂から煙を吹いている円錐型の山が見えます。
「あの山が地獄山よ、我らの里はあの山のふもとにあるのじゃ」そして、ほどなくして魔族たちの里に着きました。そこは石をくみ上げて造られた家々が並ぶ町で、その間を、リリスと同じような魔族たちが行きかっています。
「へえ、魔族の里って本当にあったんだね・・・ここはバラ十字団に襲われていないんだ」シャノンが言うと、すぐるが言いました。
「ああ、魔族はその名の通り、魔法に長けている種族と言われていて、さすがのバラ十字団もうかつに手が出せないんだ。そもそも、魔族の里の実在を信じている者が少なかったのもあるけど」これにリリスも言いました。
「うむ、基本的に魔族は、積極的に異種族と付き合おうとはしないのじゃ、住みかを追われてきた過去があるしの・・・買い出しに行くときは、人間になりすましていくのじゃが・・・」すると、魔族の一人がリリスを見て言いました。
「まぁ、下級魔族のプリンセスのお帰りだわ!」ほかの魔族もリリスを軽蔑するような目で見ます。
「リリス、みんなに嫌われているの?」シャノンがたずねると、すぐるが言いました。
「魔族は魔力が高い者ほど仲間から尊敬されると言われているんだ、そして、魔力の低い者は蔑まされてきたと言われている・・・」これにリリスはうなずきます。
「うむ・・・実は・・・妾は生まれつき魔力の弱い・・・下級魔族なのじゃ・・・!」そして、ほどなくして、円柱型の塔が目立つ小さな城の前に着きました。
「リリス!今までどこにいたのだ!?」貴族的な服をまとう赤毛のショートヘア―の魔族がリリスに詰め寄ります。
「父上・・・妾は・・・助けを呼びに・・・!」
「まだ山の異変の事を言っておるのか!?我々魔族と人間は相容れないと何度も言い聞かせてきたはず!
お前が伝えたところで、我々をズルくて信用できない種族と思っておる人間や他の異種族は数多くいる!お前のしたことはムダなだけだ!
しかも、魔術の修業をサボり、人間の武術のマネ事ばかりしおって!お前は生まれつき魔力に恵まれず、周囲から出来損ないの下級魔族と言われ続けている!それでは、我が一族の恥さらしよ!」これに、シャノンが反論します。
「さすがに、そんな言い方は・・・!」しかし、リリスの父親は聞く耳を持ちません。
「客人は黙っておれ!」
「むぅ!お言葉じゃが、妾が一度でもウソを言ったことが・・・!」そこに、傷だらけになった二人の魔族の戦士たちが現れました。
「大変です!マルコシアス卿!魔竜です!地獄山に封印されていたドラゴンがよみがえりました!!」
「なんだと!?太古に封印されていた大悪魔タイラントの眷属が!?」
「ヤツには・・・魔法が・・・効きません・・・まるで・・・歯が立ちませんでした・・・」魔族の戦士たちはその場で倒れました。
「まさか、お前の言った通りになるとは!?」
「だから、妾はウソをつかぬと・・・!」
「そんなことより、早く地獄山のドラゴンをしずめよう!伝説が正しければ、ヤツは、多くの犠牲をはらい、封印されていたやつだ!行こう!」マルコシアスは、申し訳なさの混じった声で言います。
「・・・ヤツの封印が解けるとは・・・これは・・・ヤツの封印も・・・!?すまないが・・・どうか戦士たちの仇を討ってはくれないか・・・!?」
「うむ!任せるがよい!行くぞ、すぐる!」リリスはすぐるの手をつかんで駆け出します。
「ちょっと、引っ張らないでよ!」
「待って!私たちも!?」シャノンとまさるも行こうとしましたが、リリスが制止します。
「お主たちはケガをした戦士たちの治療を頼む!魔竜は我らが倒す!」
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