夜の姫君 シャノン

マイマイン

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1章 秘密組織AHMS

人狼出没

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 満月の夜、かぼちゃ町の中央街ちゅうおうがいと呼ばれている場所は、商店やオフィスビルが並ぶ場所です。そんな夜の静けさを、甲高い遠吠とおぼえがやぶりました。

「この声は・・・!」シャノンは黒いドレスをまとい、中央街をさっそうとけ抜けます。そして、遠吠えがはっせられたと思われる場所に着くと、そこには、背中にひどい傷を負ったスーツ姿の男性が倒れていました。スーツはまるで、猛獣に爪でやられたように引きかれていたのです。

「ひどい・・・!これは・・・うっ・・・!」シャノンはあたりにただよう血のにおいに発狂はっきょうしそうになりましたが、それにあらがうように左手を口元に当てて体をふるわせ、右手を男性の背中に向けて光を放つと、男性のケガが見る見るうちにふさがっていったのです。

「これでとりあえずは安心ね・・・!」シャノンは音もたてずにその場を去っていきます。引き続き、遠吠えがひびきわたる方へとけ出していくと、満月の光に照らされたその影は、体は人のものでも、頭はオオカミそのもので、文字通りの狼男おおかみおとこでした。狼男は血走った目でシャノンを見据えると、その場を去っていったのです。シャノンも後を追おうとすると、目の前にまさるが現れました。

「まさる君!?何でここにいるの!?」これに、まさるはこう言いました。
「シャノンさん、お願いだから、ぼくのお父さんを殺さないで!」これにシャノンはおどろきます。
「なんですって!?ウソでしょ!?」これにまさるは首を横に振ります。

「ウソじゃない!本当だよ!お父さんは毎月『封魔ふうまやく』を注射ちゅうしゃして、狼男になるのを防いでいたけど、薬を切らしていたことを忘れていて・・・!それでも、何とかしなきゃいけないと思って・・・!」それを聞いたシャノンは首をたてに振りました。

「そう、分かったよ!でも、薬もないのにどうやってお父さんを助けるのかしら・・・!?」
「それなら、私の作った薬を使って!」後ろから声がしたので、二人が振り返ると、黒いローブをまとうとんがり帽子をかぶった黒髪の少女が立っていました。

「ああ、麻里子!ちょうどよかったよ!」まさるはたずねます。

「あの人は?」
「彼女は魔女の麻里子、私の親友で、同志だよ!」まさるはそれを聞いて混乱こんらんします。

「魔女・・・!?同志・・・!?」
「それで、あなたに頼まれていた『理性薬』が完成したけど、どうやら、まさる君のお父さんに使わないといけないみたいね!?」まさるはハッとします。

「その薬を使えば、お父さんを助けられるの!?」これに麻里子は首を縦に振ります。
「ええ!これを注射ちゅうしゃした者は、3か月の間、どんな時でも理性が保てるようになるの!きっと、お父さんを救えるはず!でも、あなたや私が、狼男に近づいて注射するのは難しいから、これはシャノンに渡しておくわ!」

 シャノンは、麻里子から乳白色の理性薬が入った注射器を受け取りました。
「確かに受け取ったよ!さぁ、行こう!」
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