夜の姫君 シャノン

マイマイン

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1章 秘密組織AHMS

かぼちゃ町

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 ここは日本の某所ぼうしょにある『かぼちゃ町』と呼ばれる、山と山に囲まれた場所にある町で、日本のトランシルバニアと呼ばれています。

 そのかぼちゃ町の東の方に、針葉しんよう樹林じゅりんの林があり、その中につたが絡(から)みつく白い石のブロックをレンガ状に積み上げた、赤いとんがり屋根がある西洋風のお城みたいな古い洋館ようかんがあり、周りには、十字の形をした西洋風の墓石はかいしが並ぶ墓地が広がっています。

『お化け屋敷』と呼ばれているこの洋館に近づくものは、あまりいませんでした。うすきりが立ち込める朝、その洋館の両開きの木の扉が左右に開き、中から、い緑色のブレザーと灰色のチェック柄のスカートを着用し、こしまで伸ばした金髪のロングヘアーに、赤くかがやく両のひとみを持つととのった顔立ちの16さいくらいの少女が現れました。

日本人ではないことがすぐにわかる顔立ちの少女は、墓地を横切り、町の中央にある学校を目指します。

「ノーブルさん、おはよう」ほがらかにあいさつをしてきたのは、ノーブルと呼ばれた少女と同じブレザーと灰色のチェック柄のズボンをはいている10歳くらいの黒髪くろかみのショートヘアーの少年です。
「おはよう、まさる君、行こう」家がおとなり同士の二人は並んで学校へと向かいます。

 東の林のはずれ、かぼちゃ町の中央に白い大きな建物、小中高の一貫校いっかんこう、『聖クルス校』があります。
「じゃあね、ノーブルさん」
「またね、まさる君」手をふって高等部へ移動するノーブルを、まさるはしばらく見つめています。

 ノーブルが高等部の教室に入ると、中にいる生徒の半数は、男子も女子も、一目で日本人と分かる黒髪の生徒たちです。
「シャノン、おはよう」
「おはよう、里子りこ」ノーブルは肩までの黒髪くろかみの女生徒にあいさつを交わします。
「わぁ・・・ノーブルさんって、相変わらずきれいね・・・!」
「本当ね・・・やっぱり外国の人なのかしら・・・?!」女生徒たちがノーブルにうっとりしていると、男子生徒たちがひそひそと話します。

「でもよぉ、あいつの家、お化け屋敷だぞ・・・?」長髪の男子生徒がこう言うと、小太りのボーズ頭の男子生徒が言い返します。
「それって、ただのウワサだろ?」
「いいや最近、あの家の近くに幽霊ゆうれいが出るってウワサだぞ・・・!」これに、やせた男子生徒も言います。

「それに、あの女の正体は、実は・・・」
「バカ!そんなわけあるか!それもただのウワサだろ・・・?」間もなく、担任の男性教師が入ってくると、生徒たちはそれぞれの席へ移動し、ホームルームが始まります。

 今日の授業が全て終わり、生徒たちが下校してくると、シャノンは、まさるがツンツンヘアーの男子生徒と話しているのを見つけました。
「よし、まさる!今夜決行するぞ!」
「えっ!?墓場に出る悪霊あくりょう退治たいじの事!?」まさるは不安そうな声で言いました。

「そうだよ!今夜やるって約束だろ!?」まさるはしぶしぶうなずきました。
「わかったよ、たけし君・・・!」
「よし、決まりだな!今夜8時に墓場の入口に集合だ!」その話を聞き終わると、シャノンは真っ先にけ出し、自宅へと急ぎました。
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