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8章 魔王軍との決戦

8-4 魔王との対決

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 ようやくエルニスたちは、魔王の待つ玉座の間へとたどり着きました。

「ついにここまで来たか・・・!勇者エルニスとその仲間たち・・・!」玉座にいる貴族的な服と赤いマントを着込んだ赤毛のショートヘアーの魔王は言いました。
「お前が魔王アガレスか!?」
「いかにも!我が魔王アガレスだ・・・!」
「なぜ、世界征服なんておろかなことを・・・!?」アガレスは悪びれる様子もなく言います。

「エルニスよ、お前は知らんのだ・・・!我らがナイトロードの不遇ふぐうを・・・!私の祖先が好き勝手にあばれまわったせいで、人間どもは我ら異種族を勝手に恐れ、この大陸に追いやった・・・!そして、人間どもの迫害はくがいからたみを守るために国に結界を張った・・・!だが、人間どもの圧政あっせいにはうんざりだ!だからこそ、外へと飛び出し、世界征服を始めたのだ・・・!我らが大手をふっていられる世界を造るために・・・!」

「でも、誰かを支配するやり方なんて間違っている!いまから、それを思い知らせてやる!」エルニスが身構えると、そこにグレイとカナンがやってきました。
「貴様が魔王か!?貴様らのせいで最愛のヘレンは・・・!絶対に許さん!」
グレイはアガレスに向かって銃を発射しますが、アガレスの前に透明とうめいな壁が現れ、銃弾をはじきます。

「なにっ・・・!?」
「おや、いつぞやの若者ではないか・・・!せっかく力を得るチャンスを与えたと言うのに、恩(おん)をあだで返すか・・・!?」
「何を言っている!?お前から恩を受けた覚えなどない!」
「まだわからんか・・・!?ならば真の姿を見せてやろう・・・!」

 すると、アガレス王の体から、どす黒いきりのようなものが上がったかと思いきや、霧のかたまりは、鋭いカギ爪を備え、背には白い天使のつばさと黒い悪魔の翼を一対ずつ生やし、ヤギのように曲がった角を生やしたジャッカルの頭を持った悪魔の姿に変わったのです。

われはカオス・ゼブラフィム、かつて創造そうぞうしんと呼ばれた者・・・!」グレイはハッとします。
「その声は・・・まさか・・・!?」

「そう、お前の夢の中で闇の力を得るようそそのかしたのは我だ!お前の憎悪ぞうおに満ちた心は実に素晴すばらしい。手駒てごまにふさわしいと思ったが、下級悪魔ごときにやぶれるとは、とんだ期待きたいハズレだったようだな・・・!」それを聞いたグレイはひざをつき、こぶしを床にたたきつけます。

「なんという事だ・・・!オレは魔王のてのひらの上でおどらされていただけだったのか・・・!」
「さてと、役立たずは処分しょぶんするのみ!」カオスは炎を吐きかけると、カナンは横からかっさらいました。

「カナン・・・!オレのためにケガを・・・!」
「何を言う、私はお前のバディだ!」グレイの目からしずくがこぼれます。

「さてと、余興よきょうはここまで、勇者エルニスとその仲間たちよ!我の最大の障害であるお前たちをほろぼせば、世界は我の物なり!」カオスが炎を吐きかけると、メガロがおどり出て聖者の杖をかまえます。

「ガーディアンブリザード!」
メガロが氷のバリアでエルニスたちを包み込み、邪悪じゃあくな炎を防ぎます。

「我の火炎かえんをしのぐだと!?」
「そして、はじけろっ!」メガロが杖を押し出すと、氷のバリアは冷気のあらしに変わり、カオスをこおらせます。
「すごいバリアだね!さぁ、反撃はんげき開始かいしだ!」

「こしゃくな!」カオスが氷を破ると、光と闇の刃を生み出し交差させて巨大なハサミを作り出します。
「カオスシザーカット!」

 カオスが大バサミを投げつけてくると、ロレンスは覇者の腕輪を右腕につけ、斧を両手にかまえてカオスのハサミをむかえ撃ちます。
「グランドクリーバー!」ハサミは粉々にくだけちります。
「バカな!?」

 続いて、賢者のたいまつをかまえたキャンベルが集中させていた魔力を解き放ちます。
「踏みにじる者は踏みにじられる者!全力のソルスターマインです!」
キャンベルが放った光球ははげしくはじけ飛び、光の爆発にカオスは思わず目をせます。
「今です、エルニスさん!」

 竜になったエルニスは、激しい雷をまといます。
「とどめのライトニングカリバー!」カオスの脳天のうてんめがけて雷電らいでんの短剣を突き立てました。
「ぐぅおおおおおおおおおおっ!」

 カオスはすさまじい光に包まれ黒炭こくたんと化すと、そのままボロボロにくずれて消滅しょうめつしたのです。
「やった・・・!ぼくたちの勝ちだ!」みんなが喜びの声を上げると、レミオンはアガレス王の元にかけよります。

「お父様!」アガレス王はゆっくりと目を開けます。
「おお、そなた、レミアンなのか・・・!?」レミオンは涙をこぼしてうなずきます。
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