『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

マイマイン

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8章 魔王軍との決戦

8-2 双剣激突

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 ナイトロードの城は灰色の石をくみ上げてつくられ、青い屋根が張り出した建物で、上空の黒い雲が邪悪じゃあくさをかもしだしています。

「よし、乗り込もう!」ナイトロードの城の入口の両開きの扉が待っていたぞとばかりに開きます。
「待っていたぞ・・・!」城のエントランスに、レイドが待ち構えていました。

「・・・父さん!」
「テイル!今からでも遅くはない!おれの元にこい!親子が力を合わせれば、この世界から人間どもをほろぼし、理想郷りそうきょうきずくことができる!」これにテイルは首を横に振ります。

「・・・父さん、そんなものは・・・まぼろしよ!そんなに人間がいやならば、人間のいない山奥や無人島にでも行けばいい!」これに、レイドの剣を握る手がふるえます。

「あくまでも人間の味方と言うわけか・・・!ならば、敵と見るしかない!」レイドが剣をかまえると、カインがテイルをかばうようにおどり出ました。

「テイルはぼくが守る!」
「なんのマネだ!?なぜ、人間のお前がエルフのテイルにかまうのだ!?」
「・・・それは、ぼくが・・・テイルの事が・・・好きだから・・・!」
「えっ!?」テイルは顔を赤くし、目を丸くします。

「ぼくは、強くてまっすぐで、心優しいテイルの事が好きだ・・・だから・・・!」
「人間ごときに娘をくれてやるつもりはない!この場で斬り捨ててやる!」
レイドが剣を振りかざしてくると、レミオンが剣でレイドの凶刃きょうじんを受け止めます。

「ボクの仲間を傷つけるのは許さない!」
「レミオン!?」
「ほう、レミオンか・・・!その剣さばき、気品あるふるまい・・・さてはレミアン王女だな!?」

「なっ・・・!?」お互いの剣が離れると、二人は距離きょりを取ります。
「レミアン王女!?」エルニスたちはおどろきを隠せません。

「そうだ!魔王アガレス様の愛娘まなむすめ!正統なるバンパイア王族の姫だ!」
「本当なの!?」テイルの問いにレミオンはうなずきます。

「そうだ!ボクはレミアン・ナイトロードだ!」
「そうか!だから、みょうにナイトロードの事にはくわしかったんだ・・・!」エルニスは納得なっとくしました。

「だが今は、アガレス様に逆らい、国を捨てた裏切うらぎり者よ!」しかし、レミオンは首を横に振ります。

「・・・確かに国を離れたけど、それは国を捨てたからじゃない、元のナイトロードを取り戻すためのチャンスと仲間をつのるためにはなれたんだ!」レミオンはレイドに剣を向けて言いました。

「レイド!ボクと一対一の剣の勝負をしろ!ボクが勝ったら、テイルとカインの事は自由にさせるんだ!」
「なんだと・・・!いいだろう!」間もなく、両剣士の打ち合いが始まりました。

「やはりね・・・軽いや!」レミオンはニヤリとします。
「なんだと!?」レイドはさらに力をこめますが、レミオンはビクともしません。

「これならどうだ!?」レイドはやたら剣を振り回しますが、どれもレミオンにはじかれたり、受け流されるばかりです。
「なぜだ・・・!?なぜ通じん!?」

「キミは個人的な復讐ふくしゅうで戦っているんだろ?ボクは仲間の想いを背負っているんだ!覚悟かくごがちがうんだよ!」レミオンは斜め上になぎはらって、レイドの剣をはじき落とします。
「勝負あったね!約束は守りなよ!」

「くそっ・・・!もうお前たちには何も言わん!信じる道を行くがいい!」レイドはそう言ってその場を去りました。

「カイン・・・!」テイルはもじもじしながらカインに話しかけます。
「私の事が好きって言ったことは本当!?」
「本当だよ、ぼくは君の事が好きだ!できるなら、ずっと、君のそばにいたい・・・!」
「ありがとう!私も優しくてかしこいカインの事が好きよ!」テイルはそう言って、カインを抱きしめます。
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