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8章 魔王軍との決戦

8-1 ナイトロード上陸

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 「よし、出航しゅっこうだ!」船長のメガロと部下であるシルト団員に、エルニスたち三人のほか、テイルとカイン、カナンとグレイ、レミオンや、キャンベルの力になりたいフレイヤがサンタ・アーケロン号に乗り込むと、船は夜明けとともにアクアポートの港をはなれ、南西にあるナイトロードを目指します。

普通の船だったら数日かかる距離きょりも、サンタ・アーケロン号は半日足らずで航行こうこうします。

「速いね、この船」エルニスは甲板からの景色を見て言いました。
「それはこの船は空を飛べるんですから、速くて当たり前ですよ」
「メガロ、どうしたんだ?」ロレンスは、考え事をしているメガロに言います。
「いや、ナイトロードに残した友の事が心配でな・・・!」
「この船をたくしてくれたやつか?」メガロはうなずきました。

 船室には、テイルとカイン、カナンとグレイがひかえています。
「もうすぐナイトロードに着くはずだ・・・テイル、どうしたのさ?」
「・・・ちょっと、父さんの事をね・・・!」テイルは浮かない顔でした。

「まさか・・・オレたちが倒そうとした冬将軍がメガロと同一人物で、ナイトロード軍の幹部(かんぶ)だったとはな・・・!」
「私も予想していなかった・・・!」グレイとカナンも浮かない顔です。

 甲板にいたフレイヤが言いました。
「ほら、あそこがナイトロードよ!」荒れる海に浮かぶ、山々に囲まれた孤高ここう雰囲気ふんいきただよわせている大陸に、バンパイアの王家が支配する異種族の国ナイトロードがありました。

船がナイトロードにしかかると、待ち構えていたかのように、グレゴリーがハーピーや翼竜よくりゅうによく似たワイバーンと言った空を飛ぶモンスターたちをひきいて現れました。

「やっぱり来やがったな!?勇者エルニス!」
「グレゴリー!この船を落とす気だ!」

エルニスが身構みがまえると、フレイヤが炎の魔法を放ち、飛んできたモンスターたちを迎え撃ちます。
「ザコは私たちに任せて、あなたはグレゴリーをお願い!」

 エルニスは竜の姿になり、白い翼を広げてグレゴリーに向かっていきます。
「今度こそ決着をつけてやる!」

竜に変身したエルニスは、神器の『勇者の帽子』を被り、グレゴリーに向かっていくと、エルニスは上空に飛び上がって落雷のエネルギーを吸収し、グレゴリーは下降し、渦巻く風のエネルギーを吸収します。そして双方の竜はそれぞれいかづち)竜巻たつまきとなり、一気に激突しました。激しい閃光せんこうがおさまると、双方の竜は空中で固まったままでしたが、やがてグレゴリーがゆっくりと地に落ちていったのです。

「エルニスさんが勝ちましたよ!」
「さすが勇者だぜ!」エルニスは甲板に戻ってくると、メガロが言いました。

「よし、あの山に近づけ!そこに伸びているアンテナの塔を壊せば、結界が消えるはずだ!」エルニスが電撃でアンテナの塔を壊し、ふもとの平地に船を着陸させました。

「じきにメアリ大統領が集めてきた援軍えんぐんけつけることになっている、牢の人質を救出するぞ!」

 山の洞窟に入ると中は牢獄ろうごくになっており、ロレンスは斧で牢屋の扉を壊すと、中には人間のほか、ゴブリンやハーピーなどの異種族の者たちもたくさん閉じ込められていたのです。

「ああ、助かった!」
「私たちは、捕虜ほりょとして捕まり、ボロボロになるまで働かされました。そして、ケガをして働けないと言うと、ここに閉じ込められ・・・!もう少しで、怪物のエサになるところでした・・・」
「オレはナイトロードの兵士だったが、仲間がケガをしているのにも関わらず働かせるものだから、それにとなえたら、ここに閉じ込められてしまった・・・王は変わってしまった・・・!」
「アタシは今のナイトロードにうんざりして、脱走だっそうを試みたら、ここに入れられてしまったの・・・!」

「魔王め・・・!弱ったものを手当てもせずにこんな汚いところに・・・!」ほどなくして、メアリ大統領に呼ばれた援軍えんぐんの兵士たちがやってきました。

「おお、皆さんまだ無事だ!よし、けが人を船まで運んでくれ!」ケガ人たちは、兵士たちに助け出されました。

 援軍の兵士とナイトロードの兵士たちは、そのまま町に攻め入ってくれたおかげで、町の警備が手薄てうすになり、難なく城までたどり着くことができました。
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