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7章 救世主冬将軍

7-10 決戦の火ぶた

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 メガロはエルニスたちを大聖堂の裏側にある広場に案内すると、オーロラの空の下に大きな帆船が一隻いっせき停泊していたのです。それは、普通の帆船よりも一回り大きく、船体の四隅よすみに、海亀うみがめのヒレを思わせるオールがついていたのです。

「これがおれの船、『サンタ・アーケロン号』だ!」
「海もないのに、帆船が停泊している・・・!?」ロレンスが驚いていると、キャンベルが言いました。

「おそらくこれは、『スターシップ』のたぐいでしょう」
「スターシップって何?」エルニスが質問します。

「スターシップとは、太陽たいようや星の光をに受けて走る、空を飛ぶ帆船ですよ」
「空を飛ぶ帆船だと!?バカな・・・!?」ロレンスはうたがいまじりに言います。

「よし、みんな乗り込んでくれ、まずはゴーシャまで航海するぞ」全員がスターシップに乗り込むと、船は少しずつ地表をはなれていき、やがて、四つのオールがつばさのように動き、緑のオーロラがきらめく空へ飛び立っていったのです。

「すごいや、本当に飛んだよ!」
「ナイトロードにこんな船があったなんて・・・!?」
「本当に飛んだぞ・・・って、これはかっぱらった船なんだろ?」ロレンスが言いました。

「いいや、正確にはこれはゆずり受けた船、おれの親友がたくしてくれた、ナイトロードで唯一ゆいいつのスターシップだ!」
「本当か?」船はどんどん南へと移動します。

 船は、ゴーシャの船着き場に停泊ていはくし、エルニスたちはゴーシャの城の玉座ぎょくざの間に入ります。
「おお!数々の戦士たちを倒してきた冬将軍をとらえてくるとは・・・!」赤いコートを着込み、ひげたくわえ、かみを逆立てたゴーシャ王が感心します。

「ワシはフビライ12世!決してエビフライではないぞ!さて、ヤツをとらえた者には褒美ほうびとして賞金を!そして、我が国をおびやかした冬将軍には相応そうおう処分しょぶんを言い渡さねば・・・!」これに、エルニスは言いました。

「王様、賞金はいりませんから、この冬将軍を無罪にしてくれませんか!?」それを聞いたフビライ王はあっけにとられました。

「なんじゃと!?なぜ!」
エルニスは、冬将軍が海賊行為をしていたのは、自分のためじゃなかったこと等をフビライ王に話しました。

「なんと!まずしき者たちを救うためだっただと!?だが・・・!」フビライ王が言い終わるよりも早く、玉座の間に兵士が慌ててび込んできました。

「王様!大変です!貧民街の住人たちが、城門に押し寄せてきます!破られるのは時間の問題です!」外からは、「冬将軍を救え!」「我々の怒りを思い知れ!」と言う叫び声がひびいてきます。

「わかった!冬将軍を無罪とし、貧民たちの面倒も見る!もう国を荒らすような真似をしないでくれ!」

「・・・こちらも国をさわがせてすまなかった・・・!この非礼ひれいは魔王軍と戦うことでわびる!」

 冬将軍が無罪となった知らせを受けた時、貧民たちは勝利の歓声かんせいを上げました。これでようやく、ゴーシャにも春がおとずれるかもしれません。

 船はアクアポートにやってくると、港ではレミオンが出迎でむかえてくれました。

「みんな、おそかったね」船を降りたエルニスは言いました。
「まぁね、ちょっとてこずったけど、おかげでそろったよ、四つの神器とナイトロード行きの船がね!」

いよいよ、魔王軍との決戦の時が来たのです。
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