『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド

7章 救世主冬将軍

7-1 冬将軍のウワサ

「冬将軍？」スピネルの町中でエルニスはカインと話をしています。

「ああ、冬将軍って言うのは、北の国ラップランドを根城にしている海賊かいぞくのあだ名だよ。貧しい人たちの間では、救世主として名高いんだ」
「海賊が救世主！？」エルニスは驚きました。

「そう、冬将軍は私腹を肥やす王侯貴族から金品を奪うばっては貧しい人々に施ほどこし、魔王軍の侵攻から北の国を守ってくれるんだ。そのためなら手段は選ばない、だから、教会のハンターなんかに追われているようで、スピネルもキーパーを送り出す予定なんだ」

「そうなんだ・・・！」そこにテイルもやってきました。

「あら、あなたたち、何の話をしているの？」
「北の冬将軍の事についてだよ、なんかかっこいいかも・・・！？」これに、テイルが言いました。

「確かに、そいつの事はカッコよく聞こえるかもしれないけど、所詮しょせんはドロボーだからね！さぁ、カイン、行くわよ」
「じゃあ、ぼくたちはスピネルのパトロールに戻るよ、じゃあね」

エルニスは手をふってカインたちを見送ると、キャンベルとロレンスの待つテイルの家に向かいます。

「エルニスさん、ちょうどよかったです。たった今、レミオンさんから手紙が来たんですよ」
「もしかして、ナイトロードへ向かう船についてかな？」
「はい、そうです」キャンベルは手紙を広げてみました。

『ナイトロードへ行ける船が見つかったので、スピネルよりもずっと北の国ラップランドの港町アクアポートまで来て欲しい、詳しい話はそこで。レミオンより』これに、ロレンスが言いました。

「アクアポートへは、スピネルより北のゴーシャ国から船に乗っていけばすぐだ、行こうぜ！」