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6章 砂漠の強盗団

6-3 砂漠の強盗団

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 間もなく蒸気機関車じょうききかんしゃは、汽笛をとどろかせて貨物列車を引っ張り、さえぎる物のない砂漠の線路の上をすべるように走り始めました。空には雲一つない晴天で、強盗団がいるなんてにわかに信じられないような静かさでした。流れる風景は砂の平原から、ごつごつした岩山の群れに変わっていき、間もなく、岩山の間から白い煙の柱が上がったのです。

「なんだあれは!?」エルニスがハッとすると、ロレンスが叫びました。

「あの烽火のろしは強盗団の合図だ!」間もなく線路の周りにリザードマンやオークやハーピーと言った異種族からなる強盗団が集まってきて、オークが機関士に銃を向けると、やむなく停車させます。これに、客車からエルニスとキャンベルとロレンスの三人のほか、警官が数人降りてきました。

「やっぱり魔王軍だな!?」エルニスは竜の姿になって身構えます。
「おい!あいつがオレたちの障害になりうるとか言っている勇者エルニスか?」
「どんな奴かと思っていたら、こんな間抜け面とは思ってもいなかったぜ!」魔王軍の強盗団はあざ笑います。

「お前たち!?何でこんなことをする!?」
「オレたちは神器とやらの回収を命ぜられているだけさ!」
「それさえ上に渡せば、後は暴れるなり、強奪ごうだつするなり、好きにしていいって言われたから!」

「お前たちの思い通りにはさせない!」エルニスが爪をかまえて叫びました。
威勢いせいはいいけどよ、まさか、そんな頭数だけで、オレたちにかなうと思っているのか!?」確かに、エルニス側の方はせいぜい十人程度で、魔王軍の強盗団は百人近くいるように見えました。

「くっ・・・!」エルニスたちは、たちまち取り囲まれてしまったのです。
「さてと!積み荷をいただくとするか!今日も楽勝だぜ!」リザードマンがヘラヘラ笑います。
「力こそが全て、勝者こそが正義の弱肉強食じゃくにくきょうしょく!それがナイトロードのおきてだ!」

「力さえあれば、何やってもいいと思っているんでしょう?ですが、卑怯ひきょうなやり方は長続きしません、必ずどこかでほころびが出ます!」キャンベルが言うのもかまわずに、オークが貨物列車の扉を開けると、中では、大勢の警官隊が待機たいきしていたのです。

「なにぃっ!?」
「くそっ!この列車はおとりか!?」
「はめやがったな!?」

「言ったでしょう?!そして、一気にほつれますよ!」キャンベルが言い終わると、間もなく警官隊は一気になだれ込み、魔王軍の強盗団は次々と捕まっていきます。そこに、麻の服を着たレイドがおどり出てきたのです。

「全く!なにをやっているのだ!」レイドが剣を振りかざしてエルニスに襲ってくると、ロレンスが超硬石ちょうこうせき石斧いしおのでそれを受け止めます。激しく打ち合ってロレンスが距離きょりを取り、腹に力を入れて呼吸すると、動きにキレが増し、下から上のばらいでレイドの剣をはじき落とします。

「くそっ!覚えてろ!」
レイドが逃げ出すと、他の強盗たちは、大方捕まっている仲間を見捨てて、我先に尻尾を巻いて逃げて行ったのです。

「ああっ!待ちやがれ!」
「だが、あらかたつかまえることはできたな!とりあえず先に進もう」
エルニスたちは、列車に乗ってそのまま開拓地まで行きました。

 エルニスたちの活躍のおかげで、開拓地まで行って破壊力はかいりょく抜群ばつぐんの爆薬『ニトロボム』を買うことができ、後から発車した物資を運ぶ貨物列車も、安全に開拓地まで行くことができました。

 「ありがとうよ、エルニスにキャンベルも」
 エルニスたちはロレンスと別れ、早速ニトロボムを、水を掘っている現場に持っていき、それで岩盤がんばんを破壊すると、岩の割れ目から、水が勢いよく湧き出し、トンネルの外に流れ出したのです。
「やったぞ!」作業していた人々は、両手をあげて喜びをあらわにしました。
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