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5章 うごめく闇と抗う光

5-3 魔族の里

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 竜になったエルニスはキャンベルを背に乗せて飛び立つと、ほどなくして、南島にたどり着きました。

南島も南国らしいヤシの木が自生した島で、中央には山頂から煙を吹く円錐型えんすいがたの岩山があります。船着き場の桟橋さんばしには一つの帆船が停泊しており、そこには麻の服を着たキーパーたちがいました。

「どうだ?カナン、グレイはいたか?」
キーパーは、赤いスカーフを巻き、ベレー帽をかぶったショートヘアーの少女に言いました。
「いいや、今から遺跡の闇の力を破壊しに行くと言うのに、どこに行ったのだ!?」

 エルニスたちはそっとその場を後にし、山のふもとにある集落にやってきました。

 集落は、木の屋根を掲げた石のブロックの家々が立ち並ぶ場所で、その周りをコウモリの翼と細長い尻尾を持ち、とがった耳と二本の角を生やした人間に近い姿の種族『魔族』が行きかっていたのです。

「ここが魔族たちの村なの?」
「そのようです、この感じは間違いなく魔族です」
「魔族って、悪魔ともいわれ、昔から人をあざむく信用できない種族って言われていたっけ・・・?」

 そんな中、エルニスたちは魔族の少年たちが、赤いワンピースドレスを着た赤毛のツインテールの魔族の少女をいじめている場面に出くわしました。

「何をやっているんだ!?」エルニスは真っ先にかけよると、魔族の少年たちは振り向きます。

「なんだよお前!?」
「よそ者か、お前には関係ない!」
「でも、見てみぬふりなんてできないよ!なんでその女の子をいじめているんだ!?」

「こいつ、リリスって言うんだけど、角がない下級悪魔のくせに、いっつもってばかりなんだよ!」
「しかもこいつ、魔力もてんでダメでさ!そんな奴が、魔族の悪いイメージを変えるなんてデカいことができるか!」

「だからって、いじめていい事にはならないだろ!?」

「なんだよ!生意気だぞ!」魔族の少年がパンチを仕掛けますが、エルニスはその手を取って後ろに投げ飛ばす姿を見た途端とたん、魔族の少年たちは「覚えてろ~!」と泣きながら逃げていきました。

「君、大丈夫かい?」エルニスはリリスの元にかけよります。

「うむ!すまぬの・・・!こうなったら、遺跡にある『闇の力』を手にするしかないのぉ!それがあれば、わらわでも高い魔力を得られるやもしれぬ!」リリスはしげみの奥にある遺跡の中へと入っていきます。

「そうか、闇の力はあの遺跡の中か、よし、入ろう!」
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