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1章 東風の訪問者

1-1 謎の少年エルニス

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 目の前が明るくなると、そこは公園の中ではなく、どこかの家の中でした。

 白い壁に、木のフローリングの床、白い壁と言ったこぎれいな部屋の中で、彼はベッドの上に寝ており、その体をゆっくりと起こすと、そばに、上下に分かれた白いロングドレスを着て、長い黒髪を上でポニーテールにした茶色のひとみの少女が立っていたのです。

「よかった、気が付いたのね?!」
「君は・・・?ここはどこ・・・?」彼は頭をさすりながら言いました。

「私はテイル、ここはスピネル王国にある私の家よ、公園で不良たちが寄ってたかって誰かをいじめていたから、思わずかけよったけど、会ったことのない男の子がいたんだもの!とにかく、大したケガがなくてよかったわ」テイルはにこっと微笑ほほえみます。

「会ったことのない男の子・・・ぼくのことか・・・」

 彼はそばにあった手鏡てかがみのぞきこむと、そこには、黄色きいろの瞳を持つ十歳じゅっさい程度ていどの、濃いブルーにも見える黒髪のショートヘアーの少年の姿がありました。

「あなた、お名前は?どこから来たの?」テイルが聞いてくると、彼は頭を抱えながら言いました。

「・・・わからない、覚えているのは、エルニスと言う名前だけ・・・」

「そう、エルニスと言うのね、どうやら、不良たちになぐられたショックで記憶きおくをなくしたのね・・・!許せないわ・・・!」

 テイルはみぎこぶしふるわせて怒りをあらわにしています。そこに、革のチョッキを着た、エルニスと同じくらいの黒髪のショートヘアーの少年が現れました。

「あ、彼はルイス、私の弟よ」テイルがルイスを紹介します。
「ああ、気が付いたんだね、よかった。それにしても、物置ものおきから見つかったあの小箱、全然開かないや!」

「あんたでも苦戦しているのね、あ、そろそろお使いに行かなきゃ、母さんからたのまれているの」

「・・・ぼくもついていっていい?」エルニスは起き上がって言いました。
「・・・大丈夫なの?」

 エルニスはうなずくと、テイルとエルニスは雑貨屋に行くことになりました。
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