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プロローグ

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「ここはどこかな・・・?」

 見たところ、そこは緑豊かな草原か森のような場所でしたが、奥の方にレンガ造りの家々が見えたので、どうやら彼は、知らない人間の町にでも迷い込んだようです。

「飛べるようになったのがうれしくて、つい遠出しちゃったな・・・ふぁ~っ・・・ちょっと昼寝しよう・・・」

 彼はその場で丸くなって寝息ねいきを立てて眠り始めました。すると、どこからともなく誰かの声がします。

「おい!こんなところにモンスターが寝てるぜ!」
「やっつけろ!」

 その声の後、彼は何かでなぐられたような衝撃しょうげきを受けました。

「痛っ!」

 彼は何が起きたのかわけも分からず、何度も打ちのめされ続けました。しばらくして、別の声が遠くからしたのです。

「こらーっ!何やっているの!?」
「やべぇ!テイルだ!」
「逃げろっ!」

 間もなく、薄れゆく視界の先に、一つの人影が見えてきました。

「大丈夫!?しっかりして!」

 その声を最後に、彼の視界は再びやみに包まれ、そのまま意識を失いました。





「時は来た!今こそ我らがおもて舞台ぶたいに立つ時だ!」

 雷が鳴り響く壇上だんじょうに立つ赤いマントを着込んだあかがみの男の周りには、ゴブリンや直立したトカゲのリザードマン、コウモリの翼を生やした魔族などの異形いぎょうの者たちが集まり、一斉いっせいたけびを上げます。

「アガレス様万歳ばんざい!」
魔王軍まおうぐん栄光えいこうあれ!」

「人間どもに追いやられた同志どうしたちよ!今こそ、奴らに決戦けっせんいどみ、この地上に我らの理想りそうきょうきずくのだ!」

 アガレスと呼ばれた赤マントの男が宣言せんげんすると、異形の者たちは再び雄たけびをあげます。

でよ!魔王軍幹部かんぶ『ダークトライアド』!」

 アガレスが合図すると、後ろのカーテンから、よろいを着込んだ黒髪くろかみのエルフの剣士、黒いローブととんがり帽子をかぶった赤髪のロングヘアーの少女、そして、紫に輝くウロコを持ち、コウモリの翼とねじ曲がった二本の角を生やしたじゅう脚類きゃくるい(ティラノサウルスなどの恐竜の種類)のような姿をしたりゅうの三人が現れました。

「これより、我ら魔王軍が世界を支配することをここに宣言する!同志たちよ、このアガレスの元に集え!」

 異形の者たちが盛大せいだいに雄たけびを上げるのをよそに、後ろのカーテンのかげで、紫のシャツとズボンと赤マントを着用した赤髪の少女はその様子を冷ややかに見ていました。
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