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やっぱり見知らぬ祠
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ヘルプに入った日を思い返してみる。私が表に出ていた時間はそれほどなかったが、何か関係するようなことがあったろうか。
と、そういえば干支のキーホルダーを取りに行って戻ったとき、お店にクレーマーっぽいのが来ていた。
あのとき、私は何を思ったのだったか。
ああいう人たちが、早く世の中から消えてしまえばいいのに。
確かそんなことを考えたのではなかったか。
私はまた、祠でお願いをした件を思い出した。
もしかしたら、これって本当に、あの祠でお願いしたことのご利益なんだろうか。
でも私、お供えも何もなしで、ただ単純にお願いしただけなんだけど。
ただあの頃の私はかなり精神的に苦しくなってた頃だったから、自分自身が思っていたよりもかなり切実な願いだった可能性がある。
その願いの強さ、大きさのせいで、もしかして叶ってしまったのだろうか。
だとすれば、今の状況はもしかして、神さまのご利益なんだろうか。
でも、もしも自分が願ったことで、人が消えてしまっているのだとしたら、ぞっとする。
まさか、そんなことはないよね? ただ、私の周囲から遠ざけてくれただけだよね?
私はキーボードを操作する手を止めて、顔を上げた。
「そういえば須貝さん。ここから駅の間にある祠って知ってますか?」
「え、知らない。なにそれ?」
そんな答えが返ってきたので、一か月前に駅の帰り道で小さな祠を見かけたことを話す。
「へえ。あの道にそんなのあったっけ。私ジモティーだけど、全然知らなかったよ」
「いや本当に小さい、私の腰くらいの高さのやつなんですけど」
「確かに小さいね。でも、里佳子ちゃんが帰りに見つけたんなら、道のすぐそばにあるんだよね」
「ええ」
「ふーん。でも、いくら小さくても、私がまったく気づかないことってあるかなあ」
「それなんですけど……」
私は、それ以降帰りに何度か探してみたけれど、未だに見つけられないことを話した。
「え、なにそれこわい」
「そうなんですよ。それで、いったい何なんだろう、って気になって……」
須貝さんが腕を組んでうーん、と考え出す。
「……もしかして、時間限定とか?」
「でも私の退社時間、だいたい同じですよね」
「だよねぇ」
やはりあれは私の見間違いだったのかもしれない。ならば今の状況もきっと、ただの偶然ってことだろう。
「見間違いじゃなければ、超常現象か。小さな祠ってのが、何かぽいよね」
「ぽいですか?」
「何らかの条件を満たしたときに出現するレアイベント的な」
「レアイベント」
そういえば須貝さん、ゲームとか好きだって前に言ってたような。
と、そういえば干支のキーホルダーを取りに行って戻ったとき、お店にクレーマーっぽいのが来ていた。
あのとき、私は何を思ったのだったか。
ああいう人たちが、早く世の中から消えてしまえばいいのに。
確かそんなことを考えたのではなかったか。
私はまた、祠でお願いをした件を思い出した。
もしかしたら、これって本当に、あの祠でお願いしたことのご利益なんだろうか。
でも私、お供えも何もなしで、ただ単純にお願いしただけなんだけど。
ただあの頃の私はかなり精神的に苦しくなってた頃だったから、自分自身が思っていたよりもかなり切実な願いだった可能性がある。
その願いの強さ、大きさのせいで、もしかして叶ってしまったのだろうか。
だとすれば、今の状況はもしかして、神さまのご利益なんだろうか。
でも、もしも自分が願ったことで、人が消えてしまっているのだとしたら、ぞっとする。
まさか、そんなことはないよね? ただ、私の周囲から遠ざけてくれただけだよね?
私はキーボードを操作する手を止めて、顔を上げた。
「そういえば須貝さん。ここから駅の間にある祠って知ってますか?」
「え、知らない。なにそれ?」
そんな答えが返ってきたので、一か月前に駅の帰り道で小さな祠を見かけたことを話す。
「へえ。あの道にそんなのあったっけ。私ジモティーだけど、全然知らなかったよ」
「いや本当に小さい、私の腰くらいの高さのやつなんですけど」
「確かに小さいね。でも、里佳子ちゃんが帰りに見つけたんなら、道のすぐそばにあるんだよね」
「ええ」
「ふーん。でも、いくら小さくても、私がまったく気づかないことってあるかなあ」
「それなんですけど……」
私は、それ以降帰りに何度か探してみたけれど、未だに見つけられないことを話した。
「え、なにそれこわい」
「そうなんですよ。それで、いったい何なんだろう、って気になって……」
須貝さんが腕を組んでうーん、と考え出す。
「……もしかして、時間限定とか?」
「でも私の退社時間、だいたい同じですよね」
「だよねぇ」
やはりあれは私の見間違いだったのかもしれない。ならば今の状況もきっと、ただの偶然ってことだろう。
「見間違いじゃなければ、超常現象か。小さな祠ってのが、何かぽいよね」
「ぽいですか?」
「何らかの条件を満たしたときに出現するレアイベント的な」
「レアイベント」
そういえば須貝さん、ゲームとか好きだって前に言ってたような。
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