13 / 17
自治会
しおりを挟む
生活の多様化は、活動時間の差やこれまでに培ってきた社会常識の差を生み出している。五十年ほど前のこの国でなら、例えば一つの団地である程度の価値観や生活サイクルなんかを共有することができた。だから団地内につくられた自治会なんかもそれなりに機能したし、意味があった。
昨今では、団地に自治会が存在したとして、まともに運営していくことが難しい。例えば大事な議題を話し合う集会を設けたとして、まず人が集まらない。五十年前までなら夜や土日に開催すればそれなりの人数が集まることができたのだろうけど、夜間や土日出勤の働き方が増えた昨今では、むしろ若い人ほどその時間帯には集まれない。自然、自治会の集会に参加しているのは、身体の空いている老人ばかりということになる。
せめてリモートでの集会参加をOKにしてくれればいいのだけれども、それを可能にしている自治会はまだほとんどないだろう。そして自分が未出席の集会で自治会費の集金係などの役割を勝手に振り当てられたりすると、代わりの人間がいない単身者であれば特に、問題を解決するための自治会への参加自体が一番の負担になるという、本末転倒な事態に陥ってしまっていたりもする。
そして、例えばコーポ強井であれば、先に述べた糞害のような一番自治会で解決してほしいと思うような問題は、話し合いのレベルで解決に向かうことがない。これは今まで住んだことがある、どの自治会がある集合住宅でも同様だった。
だから、そんな負担ばかりで一切身のない自治会なんかが存在している物件は、できる限り避けるべきだ。……ただそれをすると、選べる先が激減してしまうので、早くこの悪習自体がなくなるか、なくせないのであれば早急かつ高度にIT化してほしいと切に願う次第だ。
結局のところ、自治会があろうがなかろうが、そこにいる住人たち自身に、自分たちの住環境をよりよく保ちたいという意識が欠けているならば、何の意味もないことなのだ。
そんなわけで、自治会のないこのコーポ強井では、ご近所づきあいは各自の裁量に任されている。距離感は、自分で探らなければならない。
まあよほどのことでもない限り、ご近所と友だちといえるレベルの付き合いをすることはないだろうと、私は思っている。それが持ち家ではなく集合住宅に住む人間の距離感というものだろう。
深夜。あれだけのことがあった後だというのに、民泊施設の方向はやはり若干騒がしかった。だがあれでも、お爺さんのクレームがあったことでかなり抑えられた方なのかもしれない。前回の集団は、もっともっと騒がしかったのだから。
だがそれでも、今後もこういう事態が続くのかもしれないと想像すると、私はげんなりした気分にさせられた。
昨今では、団地に自治会が存在したとして、まともに運営していくことが難しい。例えば大事な議題を話し合う集会を設けたとして、まず人が集まらない。五十年前までなら夜や土日に開催すればそれなりの人数が集まることができたのだろうけど、夜間や土日出勤の働き方が増えた昨今では、むしろ若い人ほどその時間帯には集まれない。自然、自治会の集会に参加しているのは、身体の空いている老人ばかりということになる。
せめてリモートでの集会参加をOKにしてくれればいいのだけれども、それを可能にしている自治会はまだほとんどないだろう。そして自分が未出席の集会で自治会費の集金係などの役割を勝手に振り当てられたりすると、代わりの人間がいない単身者であれば特に、問題を解決するための自治会への参加自体が一番の負担になるという、本末転倒な事態に陥ってしまっていたりもする。
そして、例えばコーポ強井であれば、先に述べた糞害のような一番自治会で解決してほしいと思うような問題は、話し合いのレベルで解決に向かうことがない。これは今まで住んだことがある、どの自治会がある集合住宅でも同様だった。
だから、そんな負担ばかりで一切身のない自治会なんかが存在している物件は、できる限り避けるべきだ。……ただそれをすると、選べる先が激減してしまうので、早くこの悪習自体がなくなるか、なくせないのであれば早急かつ高度にIT化してほしいと切に願う次第だ。
結局のところ、自治会があろうがなかろうが、そこにいる住人たち自身に、自分たちの住環境をよりよく保ちたいという意識が欠けているならば、何の意味もないことなのだ。
そんなわけで、自治会のないこのコーポ強井では、ご近所づきあいは各自の裁量に任されている。距離感は、自分で探らなければならない。
まあよほどのことでもない限り、ご近所と友だちといえるレベルの付き合いをすることはないだろうと、私は思っている。それが持ち家ではなく集合住宅に住む人間の距離感というものだろう。
深夜。あれだけのことがあった後だというのに、民泊施設の方向はやはり若干騒がしかった。だがあれでも、お爺さんのクレームがあったことでかなり抑えられた方なのかもしれない。前回の集団は、もっともっと騒がしかったのだから。
だがそれでも、今後もこういう事態が続くのかもしれないと想像すると、私はげんなりした気分にさせられた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

やってはいけない危険な遊びに手を出した少年のお話
山本 淳一
ホラー
あるところに「やってはいけない危険な儀式・遊び」に興味を持った少年がいました。
彼は好奇心のままに多くの儀式や遊びを試し、何が起こるかを検証していました。
その後彼はどのような人生を送っていくのか......
初投稿の長編小説になります。
登場人物
田中浩一:主人公
田中美恵子:主人公の母
西藤昭人:浩一の高校時代の友人
長岡雄二(ながおか ゆうじ):経営学部3年、オカルト研究会の部長
秋山逢(あきやま あい):人文学部2年、オカルト研究会の副部長
佐藤影夫(さとうかげお)社会学部2年、オカルト研究会の部員
鈴木幽也(すずきゆうや):人文学部1年、オカルト研究会の部員
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
【本当にあった怖い話】
ねこぽて
ホラー
※実話怪談や本当にあった怖い話など、
取材や実体験を元に構成されております。
【ご朗読について】
申請などは特に必要ありませんが、
引用元への記載をお願い致します。
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる