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第51話.イライラの原因

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『はいどうもみなさんこんばんはー』

1人で部屋にいるとどうしようもなくモヤモヤする。普段ならそんなことはまったくないが今日は違う。

りえが姉ちゃんに拉致された。

拉致されたといっても壁を1枚隔てたその先にいるのだが。しかしあの姉ちゃんのことだ、なにをしでかすか分かったもんじゃない。

さっきの笑い声はなんだったのだろう。まさかりえのことを焼いて食おうとか考えてないよな。さっきの笑いは絶対りえにちょっかい出してる。シンデレラに毒リンゴを渡した魔女みたいな笑い声だった。

ん? 足音が近づいて来てるような・・・・・・。

「幸一お待たせ、りえちゃん良い子だねー! あんたにはもったいないよ!」

こいつはなにを言ってるんだ。僕とりえは恋人同士とか、そういう関係じゃない。そりゃそういうことを考える日がなかったこともないけど、それでも良い友達として節度は保っている。

「別に、そんなんじゃないよ」

若干イライラしながら返事する。

僕はなんでこんなにイライラしているんだろう?

「あ、そうなの? まあでも、仲良いのはいいことだ」
「・・・・・・りえは?」
「リビングで待ってもらってる」
「ふーん」

姉ちゃんの脇を足早に通り抜けリビングに向かう。りえはまだちょっと緊張の余韻が残る顔でチョコンと座っていた。

「あ、幸一くん」
「りえ、姉ちゃんになんか変なこと言われなかった?」
「ううん、みづきさん良い人だね!」

良い人? 催眠術でもかけられたのか。「そ、そう?」 でもまあ、身内の印象が良くてなにより。「あのお姉さん怖い! もう来ない!」 とか言い出したらどうしようかと思った。

「りえちゃんゆっくりしていけば? ご飯作ってあげるよ」
「え? いいんですか?」
「いいよ、リクエストがあれば応えるし」

今日は姉ちゃんの手料理か、りえも一緒に食卓を囲むなら楽しい食事になりそうだ。まだお昼前だが、良い1日になりそうな予感がする。

「じゃあナポリタンが食べたいです」
「ナポリタンかー」

姉ちゃんの表情が若干曇る。まさか作れないなんて言うはずないよな、あんなの僕でも作れるぞ。「具材あったかなあ」 ああそこの心配か。僕は冷蔵庫の中身なんてロクに確認しないけど多分あるだろ。

「りえ、僕の部屋で遊ぼう」
「え、あ、うん」

あれこれ悩む姉ちゃんを尻目に僕の部屋に招待した。もちろんやましい意味ではない。姉ちゃんがナポリタン作ってる間に動画でも見て過ごそう。
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