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after take2
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「雄介! チャーハン急げ! それからから揚げ二人前と餃子四人前!」
「了解!」
「了解ちゃうわ! 目上には(かしこまりました)やろ! 何回ゆーたら分かるんやボケェ!」
「って言われたって実の親父に目上とか思えねぇよ!」
って俺が言い訳したところで「やかましい!」と怒られゴチーンとゲンコツを食らう。ってーなぁ!
だが今は親父に言い返してる暇はない。ランチタイムのこの時間帯、このラーメン店は戦場そのもの。ひっきりなしに客が入ってくる。更に表にはいつものように行列が出来てて気が休まる時間さえない。
俺の実家は(三浦軒)という中華料理屋だが、醤油豚骨ラーメンが超人気でいつもこうやって行列が出来てる。親父は大阪出身で、この醤油豚骨が実は大阪では結構なじみの味なんだとか。他にもウチには真っ黒な醤油ラーメンもあるが、親父曰く「ホンマは長田の方が美味いねん。やっぱ醤油は長田ブラックやで」って言ってる。……つか、長田ってどこだよ?
そんな大阪の味が珍しいからか、うちのラーメン屋はK市内でもかなり有名で、時々テレビの取材が来るくらいだ。
既に高校卒業してから二年が経つ。俺はようやく厨房に立たせて貰えるようになった。でもまだラーメンは作らせて貰えない。仕込み前の下処理さえ、最近させて貰えるようなったところだ。
と言っても下処理って、玉ねぎ剥いたり鶏肉捌いたり、豚骨をぶつ切りしたり等々、ただ切るだけなんだが、それさえも親父は最近まで許さなかった。ま、それくらい拘って作ってるからこそ、ここまで繁盛してんだろうけどな。
「雄介! 餃子更に追加で八人前! そろそろ種追加で作っとけ!」
「了解!」
「だーから了解ちゃうゆーとるやろが! お前はアホか! ちっとは明歩ちゃん見習え!」
なみなみとスープが入った丼に湯を切った麺を入れながら悪態つく親父。つーか関東育ちの俺に向かってアホって言われるとスッゲームカつく。しかも今ここで明歩の名前出す必要ねーだろーが!
俺はオヤジの言葉にイライラしながらも言い返す暇が勿体ないので、我慢しながら黙々と餃子の種を作り出した。
「……そういや今日、久々に柊さんに会うって言ってたな、明歩」
※※※
「やっほーい、美久ー」
「あー明歩! 待った?」
ううん、全然! と、アタシは美久に笑顔を返す。今日は久々に美久と二人でデート。
つーか美久は相変わらず超絶……っと、もう二十歳だから美少女じゃなくって超絶美女だ。向こうから颯爽と風を切り歩いてくる姿は、どこかのモデルかよ? ってツッコミ入れたくなる程の完璧なスタイルと容姿。こりゃ確かに芸能人みたいだ、と改めて思ってしまった。今日の美久は白いブラウスにデニムパンツっていうラフな感じだけど、それでも肩より少し長めに伸ばしてる綺麗な黒髪は、美久の美しさを一層引き立ててる。で、相変わらず顔ちっちゃいのに、目鼻立ちははっきりしてて、高校の時より宝石のような黒い目は切れ長になってる。
行き交う男共が立ち止まって振り返ってるけど、その気持ちよーく分かるわ。女のアタシでもそうするかも。アタシだって外見は結構褒められる方だけど、美久に会うたび負けてるなあって思っちゃうんだもん。
アタシは高校卒業後、念願のファッション専門学校に行って無事そこを卒業。それからとある有名ファッションデザイナーが出店してる店で働いてる。勿論デザインはまださせて貰えないけど、オーナーであるそのファッションデザイナーは、アタシ達店のスタッフに、週一でファッションについて教えてくれるから、それでも十分満足してる。
でも、二十歳になった頃からちらついてるもう一つの夢。それは……。
「とりあえずお茶しようか、明歩」
「うん、そだね! お昼も食べれるとこがいいな」
アタシの提案を聞いて、顎に人差し指を当て空を見上げ考えてる様子の美久。そんなさり気ない仕草も絵になるから凄いね。
「……じゃあ、久々にあの喫茶店行こっか」
※※※
「いらっしゃ……おお、二人共久しぶりだね」
「マスター、お久しぶりです」
「マスター元気っすかー?」
「ハハハ。一応元気だよ。柊さんも元気そうだね。ただ最近バイトがいないのが問題でね」
そう言えばそろそろ昼時だけど、アタシ達がバイトしてた時程お客さんはいないっぽいな。アタシ達がバイト入ってたのは夕方からだったけど、それでもこの喫茶店はお昼間のランチタイムも結構お客さんが来てたはず。ふーむこれは、バイトがいなくてお店回せないから、客足が遠のいちゃったっぽい。
「そっか。玲奈ももう数年前にバイト辞めちゃいましたもんね」
「あの時くらいからかな? 店が暇になってきたのは。当時山本さんが辞めちゃったのは正直キツかったよ。でも仕方ない。彼女も夢のために頑張ってるんだから。今は勿論応援してるしね」
喫茶店の新聞ラックに刺さってるスポーツ新聞をチラリと見ると、玲奈の名前と新しいドラマの主演をするって載ってるのが見えた。時々テレビで玲奈を見かけるけど、本当に芸能人やってんだなあ。
「二年前のあの映画、過去に例のない程の大ヒットになったんだよね」
感慨深そうに美久がそのスポーツ新聞を手に取る。……ん? 美久が見てる裏面に(山本玲奈、元同級生の一般男性と交際か?)って小さく載ってる。……まっさか、あの玲奈が一般人と付き合うなんてあるわけないじゃん。玲奈って自意識過剰だから彼氏作るならきっと同じ芸能人選ぶだろうし。
「ねえ美久、さすがに最近は玲奈と連絡取ってないっしょ?」
「そうだね。あの子がまだ高校生の頃は結構頻繁に電話したりしてたんだけど。今はもう、私から教えられる事なんてないし。それにきっと忙しいだろうから」
やっぱ玲奈忙しいよね。でもまあ、とりあえず芸能活動順調そうで良かった。
とりあえずアタシ達は対面座席に座ってから、お昼御飯にそれぞれパスタとグラタン、アフターでコーヒーをマスターに注文した。
「で、どう? 保育士の方は」
「今は研修中。でもそれでもてんてこ舞い。とある私立幼稚園でお世話になってるんだけど、子どもって本当自由奔放で何するかわからなくて大変」
「アハハ! 美久が子どもに振り回されて慌ててる様子見てみたい!」
「本当に大変なんだよ。ところで明歩のほうはどう? あ、仕事じゃなくて、ほら、三浦君と」
美久がそう聞いた途端、手にしてたコップの水を一気にごくりと飲んでしまう。まるでアタシの悩みを見透かしてたかのように美久がそんな質問するから。
「ど、どゆこと?」
「何がどゆこと? よ。結婚についてよ。特に明歩が仕事し始めたから、尚更考えてるんじゃない?」
「うん……」
コトン、と飲み干したコップを机に置き一言頷く。そう。雄介との今後について悩んでた。だから雄介を知る美久と話したかったんだ。
どうしたいかはもう決まってる。だけど、アタシにも別の夢がある。
沈黙するアタシを見て、美久はクスリと笑う。そんなちょっとした仕草もいちいち絵になる超絶美女。
「なるようにしかならないから、とりあえず思う通りやってみたらどうかな? まだ若いんだし」
「今はいいんだけどね。勿論まだアタシ達二十歳だから今すぐ結婚ってわけでもないんだけど、将来的に大丈夫かなあって。ほら雄介、実家継ぐって決めたけど、あの店超忙しいから、きっとアタシも手伝わなきゃいけなくなると思う。でもアタシもやりたい事があるから……。それに雄介実家住まい確定だから、同棲とかも出来ないし」
「だから、とりあえず先の事はその時考えて、今やりたい事やってみたら? 月日が経てば妥協点が見えてくる気がするよ」
「……美久、何か大人になった。高校の頃はどっか頼んなかったのに。あー、あれだ、たけっちーの影響だ」
「フフフ。そうかも。ゆう君とずっと一緒にいて私も色々考え方変わったの、実感してるし」
美久はたけっちーの事を(ゆう君)と呼んでる。卒業当初は悠斗って呼び捨てしてたんだけど、どうもしっくり来ないらしい。ラブラブだって証拠だよねー。
「そういや美久、たけっちーと同棲するんでしょ? 雄介から聞いた」
「え? ゆう君三浦君に教えちゃったんだ。もう! 内緒だって言ってたのに! ……うんまあ。私の仕事が落ち着いたら、ね」
「そういう事なら、もう一度武智君にここでバイトしないか聞いてみて貰えないか?」
そう言いながら、どうやら傍で話を聞いてたマスターが料理を持って話しかけてきた。
「それいいじゃん! 同棲するならお金要るしマスターもたけっちーならメッチャ助かるだろうし! だってたけっちー、まだ大学生でしょ?」
「うん、そうだね。……いいかも。聞いてみる」
※※※
「こんにちはー」
カランカラーン、とドアを開けた際、懐かしいベルの音が響く。久々にこの喫茶店に来たなあ。俺がバイトしてた頃よりドアのペンキが少し落ちてるような? そういうところに時の流れを感じたりするけど。
「あ! たけっちー! ひっさびさー!」
俺を見つけていきなり大声で呼ぶ安川さん。本当、相変わらずだなあ。でも高校の頃より更に美人になってる。身長は変わってないみたいだけど、メイクのせいか大人の色気が凄い。そりゃ恩田社長もスカウトするわな。芸能人だって言われてもそん色ないよ。
あ、勿論、美久がこの世で一番だけどね。
でもその彼女が何故か腕組して怒ってる? 何でだ? 連絡貰って迎えに来てくれって言われたから、やってきただけなのに?
「ゆう君! 三浦君に同棲の話したでしょ」
「あ。……つい、ね。でもほら、すぐじゃないから言っても大丈夫かなーって」
だって雄介と電話で話した時、あいつ安川さんとの今後について真面目な話し始めたんだから仕方ないよ。だからつい、俺も美久との将来を真剣に考えてて、まずは同棲から始めるつもりだって言っちゃったんだよな。
言わば話の流れで仕方なく、なんだけど、雄介からの相談については、安川さんに知られちゃいけないから言えない。
「でさあ、提案なんだけど、たけっちーここでまたバイトしたら? 今大学生だしお金ないっしょ? 美久と遊びに行くのも困るっしょ? マスターも人がいなくて困ってるんだって」
確かに金については悩んでたんだよな。実家暮らしだから今は必要ないけど、美久と同棲するなら当然金は要る。この喫茶店なら仕事内容を一から覚える必要ないし。
「じゃあ、お願いしようかな?」
「おお! 武智君本当か? そりゃ助かる」
俺がそう言った途端、マスターがニッコニコでギュッと俺の手を握ってきた。……そんなにバイト来なかったのか。いい店なのになあ。
※※※
「じゃ! たけっちー送ってくれてサンキュー」
「いえいえ。雄介に宜しく伝えといてね」
「明歩。また遊びに行こうね」
皆でお別れの挨拶をしてから、俺と美久は車に乗り込む。後部座席に乗ってた安川さんは、俺達が乗り込んだ後もずっとブンブンと大きく手を振ってる。
俺はその様子をルームミラーで見ながら苦笑しつつ、車のエンジンを掛け再び走り出した。隣の助手席にはいつも通り美久が座ってる。因みにこの車は父さんのだ。父さんが電車通勤してる時は、こうやって車を借りてる。
美久がそっとシフトレバーに置いてる俺の手の上に手を重ねる。俺はニコリと美久に向かって微笑む。
「どうする? このまま帰る? 家は時間大丈夫?」
「うん、まだ大丈夫。ちょっとドライブしたいかな?」
了解、と俺はハンドルを切り、高速の入り口に向かって車を走らせる。
高速に乗って三十分も走ると、シーフードで有名なレストランがある海岸沿いに出た。時間は夕方。丁度水平線に夕日が沈んでいくのが見え、海の水面がキラキラとオレンジ色の光を反射してきらめいてる。
「綺麗……」
「そういやここで夕日見るの初めてだな」
少しカーブを描いた道の途中、丁度車を停められるスペースがあるのでそこに車を停め、俺達二人は外に出た。
「……ねえゆう君。これから私とどうなりたい?」
ニャァ、ニャァ、とウミネコの鳴く声が遠くに聞こえる。夕日に映える超絶美女が、やや潤んだ瞳で訴えかける。この子とはもう三年くらいの付き合いなのに、未だドキっとしてしまう。そのあまりの美しさに。
そう感じるたびいつも思うけど、俺は絶対美久を手放したくない。だから俺は、とある決意を美久に伝えようと思った。
「俺が何で同棲したいって言ったか、分かる?」
美久は頷きもせず、首を横に振る事もせず、ただじっと、その美しい黒い瞳で俺を見つめてる。
そっか。美久も分かってくれてるんだ。
「でもまだ、それを言うのは今じゃないよな。……あのさ俺、教師になろうと思っててさ」
そう言った途端、美久の顔がぱあ、と明るくなる。
「いいじゃない! ゆう君にピッタリだと思う。そっか。ゆう君にもやりたい事出来たんだ。エヘヘ。私の事じゃないのに何だか嬉しい」
心底嬉しそうに微笑みながらそう言ってくれる美久に、俺は改めて喜びを感じる。
「だからさ、その答えはもう少し待ってくれないか? 俺がキチンと独り立ちして、仕事して金稼げるようになるまで。その時きっと、俺は美久にちゃんと話すから」
うん、と若干あどけなさの残る微笑みを魅せながら、美久は俺の胸の中に飛び込んでくる。俺はそれを優しく受け止め、そっと抱きしめる。
ああ、やっぱ俺この子の事……。
「愛してる」
「……え?」「あ」
「……今、とんでもない事言った?」
しまった。つい本音が。
「ねえねえ、もう一度言ってほしい!」
「いや、それはほら、また大事な時のためにとっときたいっていうか……」
「でももう聞いちゃった! ……あーもう! 何で今言うの? 何でその大事な時まで我慢出来ないの? そういうとこ、前からゆう君ダメダメなんだから!」
「ア、アハハ、アハハハハ」
「無理やり笑っても全然誤魔化せてない!」
怒りながらポカポカと叩く美久から逃れようと、俺は車の周りを逃げ回る。それを追いかける美久。
そんな俺達を、キラキラと煌めく水平線に沈んでいく夕日が照らし、じゃれ合う二つの長い影を作っていた。
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