何故か超絶美少女に嫌われる日常

やまたけ

文字の大きさ
上 下
126 / 130

その百二十六

しおりを挟む
 ※※※

「おい、あれって確かうちの二年生の……」「ああ、間違いねぇ、山本玲奈だよあれ。柊美久と同じくらいの超絶美少女ってんで、最近学校内で話題になってる、あの山本だ」

 とある生徒が横で喋ってるのを聞きながら、俺達は唖然とした表情で舞台上を見つめる。一方の山本はこれだけ大勢観客がいて、しかも報道陣のカメラとかあるというのに、全然緊張した様子もなくニコニコ愛想を振りまいてる。……度胸あんな本当。

 ……いやそれよりも。

「……なんで玲奈があっこにいんの?」「知らねぇ。明歩仲いいんだろ? 何も聞いてなかったのかよ」

「聞いてない聞いてない。つかアタシより美久の方が詳しいんじゃ?」「え? 私も何も聞いてないよ」

 と言ったところで、「あ」と、柊さんが何か思い出した模様。

「そう言えば、マスターの喫茶店でのパーティの時、気になる言い回ししてた。もしかしたら今日のこの事を言ってたのかも」

 そういや柊さんそんな事言ってたな。山本が気になる事言ってたって。でも具体的に何か聞いてないんだよな。

「まさか、山本が柊さんの代わりに映画の主演やるとか?」

「え~? さすがにそれは無理っしょ。だって美久、主役獲るの大変だったんでしょ? 美久だって俳優業一切やってないのに主演獲るって普通はあり得ないって言ってたじゃん。そもそも美久が主演獲れたのだって、ずっとレッスンしてたってのもあるでしょ?」

 安川さんの確認するような問いに小さく頷く柊さん。本当その通りだ。そんな簡単に映画の主演なんか出来るわけないって。素人の俺でもそれくらいは分かる。しかも山本は芸能人でもない、ただの一高校生なんだし。

 俺達同様、多くの生徒達が疑問を持ちながらざわついてる。

少ししてから舞台がライトアップされ、それを合図に女性司会者が話し始めた。俺達観客は何を話すのか気になるので、シーンとざわついた雰囲気は一気に静まり返った。

「皆様、本日はお集まり頂き、誠にありがとうございます。まずは本日、何故このように一公立高校にて、映画の発表会をする事になったのか、その経緯をお伝えしたいと思います。……が、実は私達司会者も詳しく聞かされてないんですよね」

「そうそう。当初と予定が変わったので……」

 もう一人の男性司会者がそう言いかけたところで、女性司会者が慌てて口元で指でバツマークを作る。それを見た男性司会者が「おっと」と口をつぐんだ。

 当初の予定って多分、柊さんを大々的にアピールして映画の宣伝をする、って事だろう。そして司会者達のあの様子を見るに、予定の変更は急な事だったっぽいな。

「えー、オッホン! 改めて話を続けますが、えと、そちらの奥の方、ここの学校の制服を着てあちらの隅に座っている、山本玲奈さんの母校である、という事が、どうやら関係しているらしいのです」

「山本玲奈さん……ですか。 ……どうやら芸能人ではなさそうですが」

「その辺りも全て映画監督から説明があるとの事で、……では監督、宜しくお願いします」

 そう言って女性司会者が監督らしき人にマイクを渡すと、監督はコホンと咳をしてから少し前に出て説明を始めた。

「えー、彼女、山本玲奈さんは、実は(れなたん)というハンドルネームを使ってユーチューバーをしておられ、実は私もフォロワーなのです。れなたんがいつも紹介していたあのMMORPG、私も映像関係で関わっておりまして。実はれなたん……、って、もう山本さんでいいですよね? ……彼女はあのMMORPGのユーチューバーとして、トップのフォロワー数を稼いでいるのです」

 れなたん読みを止める下りで観客席から笑いが起こってる。……でも俺達は笑いもせず、続きが気になって仕方ないので引き続き監督の説明に耳を傾ける。

「フォロワーである私は、山本さんの動画をよく見ておりまして、以前より彼女には演技の才能がある、と常々感じておりました。しかしただの一フォロワーである私は当然、彼女の所在や連絡先を知らない。ところが何と、恩田プロモーションの社長が山本さんを知っているというではないですか。私は是非山本さんに会いたいと恩田社長にコンタクトを取り、先日面会と当時に映画出演のオファーをした次第なのです」

「成る程。そう言う経緯でしたか。ですが彼女はユーチューバーで表に出ていたとしても、俳優としては素人では?」

「ええ。ですのでこれから演技指導をし、その辺りを鍛えて参ろうかと」

「しかし気になるのは、どうしてこの学校で映画の発表をしようと思ったのですか? 山本さんがここの在校生だから、だけでは理由として弱いかと」

「それはたまたま、うちのスタッフとここの学校の校長とコネクションがありまして、せっかくの学園モノでちょうど文化祭も行われるという事もあり、映画の宣伝に利用してみてはどうか、と仰って頂いたのがキッカケです。学校側としても昨今少子化が進んでいて、このような形で学校をPRし、出来るだけ多くの新入生を呼び込みたいと思っておられ、お互いの思惑が一致した、というわけです」

「柊さん、この話知ってた?」「えっと確か、教育委員会を通じて、学校とコネクションがあったっていってた。それと、少子化云々のところは聞いてたかな。でも他の話は初耳」

 そこで、報道関係者の一人が突如手を挙げた。どうやら質問したくて辛抱たまらなくなったようだ。その報道関係者の挙手に司会者がどうすべきか困惑してると、監督が宜しいですよ、と笑顔で質問を受ける事を了承した。そして報道関係者はスタッフからマイクを受け取り一礼する。

「まだお話の最中ながら、質問の機会を頂き有難う御座います。……この映画発表会はそもそも、巷で話題になっている写真集の(柊美久)さんがここの在校生で、今回の映画の主演になっていたから、ではないのですか?」

 報道関係者からそう質問され、監督は一旦マイクを外し後ろにいるスタッフ達と何やら話す。そして再びマイクを構えこう答えた。

「はて? 一体何の事でしょう? 確か今回の映画において、主演が誰とか事前に一切発表していないはずですが」

「しかし、私が事前に入手した情報によると、そのように聞いていたので……」

「そう言われましても……。はあ、そうですか、としか言いようがないですな」

 困惑する報道関係者に対し、何を言ってるのか分からないといった表情を浮かべる監督とスタッフ達。俺はふと舞台上にいる恩田社長が気になってみてみると、何だかずっと怯えてるような、震えてるように見えた。

「どうやら元々柊さんはこの映画に全く関わってない、という事にするみたいだな」「……そうだね」

 そう来たか。だから柊さんからの謝罪は必要ないのか。

 俺もこの映画の件は気になってたから、ネットニュースで検索してたりしてたけど、あくまで噂で、柊さんが主演だろう、という予測程度の報道しか見かけなかった。だから映画の主役については事前に発表してないというのは確かな事実。でも元々、今回の映画発表会で、主演は柊さんだと公表する予定だったんだよな。

 でもそれさえもしない、主演は未定だが映画の宣伝は文化祭を使って行う、という事にしたのか。結構強引で若干不自然だとは思うけど、でも割とベターな選択かも。

 俺はふと疋田美里さん扮する柊さんを見てみる。舞台を見上げるその表情は何だかとても寂しそうに見えた。いくら無理やり役者の演技や練習をやらされていたとしても、ずっと頑張ってきたのにそれが無かった事にされるのは、さすがに辛いよな。

「やっぱりやりたくなった? 後悔してる?」「ううん。それはない。けど、頑張ってた事が無くなってしまうって、それはそれで寂しいなって思っちゃった。勝手な事言ってるけど」

「分かるよその気持ち。でも良いじゃん別にそう思ったって。柊さんなりに頑張ってた事は事実なんだし」「……うん。ありがとう。武智君」

 ニコッと微笑みながら俺の手を取る柊さん。俺はその手を握り返し微笑み返す。

 柊さんがずっと演技の勉強してきた事は、既に芸能界に入らない事を決めてる柊さんにとって、これから役に立つ事はないかも知れない。でも、数年間ずっと努力してきたんだから自信や根性とかはついてるはずだ。その部分についてはきっと、柊さんのこれからの人生に役に立つのは間違いない。

 そして、俺は出来る限り柊さんの傍にいて支えよう。改めてそう思った。

 続いて他の報道関係者から質問が監督に飛ぶ。

「では、主役や他の配役についてはどうされるのですか?」

「それはこれから、ここにいる俳優陣から選ぼうと思っております。今日は文化祭に合わせた映画の発表会を行い、キャストもある程度決まっているのでそのPRに参った次第です」

 そこでマイクを持ったもう一人の司会の男性が、他の報道関係者からの挙手を遮るかのように突如声を上げる。

「さて、時間も押しております。質問はここまでにして、そろそろ各キャストと映画関係者の皆様から挨拶をして頂きましょう!」

 そして促され前の方に出る面々。テレビでも見た事のある女優や俳優が前面に出てきたので、改めて観客から歓声が上がった。それから司会者からマイクを渡され端から順に一言挨拶をしていく役者達。最後に山本の番となった。

「えーと、突然の事で驚かれたかと思いますが、私れなたんこと山本玲奈は、この機会に映画デビューする事になりました! まだ配役は決まっていませんが、是非この映画を観て下さい! 宜しくお願いしまーす!」

 山本の元気な挨拶に観客からは大きな声援が上がる。キャー! れなたん素敵! 最高! って近くで大騒ぎしてる綾邊さんと、それを諌めてる飯塚はスルーしとこう。

 そこで、柊さんのスマホがバイブしたらしい。ポケットからスマホを出して画面を確認してる。

「誰から?」「日向さん。話があるから来てくれって」

 ※※※

「急に呼び出して済まなかったな。で、どうだ? 久々の学校は」「はい。懐かしくてついテンションあがってました。文化祭も楽しんでます」

 そうか、それは良かった、と日向さんは私を優しい眼差しで見つめながらそう答える。

 学校内にある空き教室に設置された、映画関係者用の待機室に呼び出された私。来てみたらそこには日向さんだけが待っていた。

「恩田社長は事後処理とか謝罪で忙しいから来れなかった。山本も同じく挨拶回りで忙しい。なので俺が代役だ。上杉はさっそく山本についてやってるから来れなかったしな」

「代役?」「今回の件の説明だ。知らない事も多いだろ?」

 成る程。日向さんは私に今回の経緯について説明してくれるために私を呼び出したんだ。確かに色々気になってるからありがたいな。

「とりあえず座ろうか」「はい」

 教室にある生徒用の椅子に二人向かい合って座ってから、日向さんは空を見つつ思い出しながら説明し始めた。

「まず、先日美久とお前の母親、更に恩田社長とで映画関係者に謝罪に行った際、すんなり受け入れて貰えただろ? あの時実は、既にあの時山本を映画出演させるという話が決まってたのが理由だ。あの監督が山本のユーチューバーアカウントのフォロワーでファンだと言う事、そしてあいつの才能を買ってたというのは本当の話で、是非女優として使ってみたい、そのために今回の映画に出演させたい、と、寧ろあちらさんからお願いされたんだよ」

 あの話は作り話じゃなかったんだ。というか、山本さんって本当にユーチューバーやってたんだ。武智君や明歩は知ってたかも?

「咄嗟の思いつきで代役に山本はどうか? と恩田社長に言ってみてダメ元で提案したんだが、俺達もまさかの展開で驚いた。勿論山本の了承を得てから話を進めたんだが。まあ、あいつも芸能界に興味あったからチャンスだと思ったみたいだ」

 ……山本さん、芸能界に入りたかったんだ。本来ならオーディションや下積みを乗り越えて芸能界入りするのがセオリーだから、やりたかったんなら確かにチャンスかも。

「で、本来なら主役である美久を、今日大々的に発表する予定だったのを急遽変更して、半ば強引にただの映画の発表会に変えた。本当は今日、写真集も販売する予定だったんだがそれも無くなった。で、主役については舞台に上がった役者と、美久が前に受けたオーディションで落選した中から選ぶ事になりそうだ」

 一気に話して疲れたからか、日向さんはふう、と、一旦一息ついてから話を続ける。

「当然、山本には主役なんて不可能だし無理。それどころか役者の経験がまったくない素人。でもそれも、本来の公開予定日を延長して、山本の演技指導の時間を作って貰える事になった。それ程あの監督は山本を買ってるらしい」

 確か私が受けたオーディション、結構な数の有名な女優も来てたのに、彼女達は落選した。それ程厳しい監督が山本さんをそんなに認めてるなんて。私も一度、山本さんのユーチューブ観てみようかな?

「だから美久には申し訳ないが、そもそもこの映画には関係してなかった、という扱いにさせて貰った。事前に説明すべきだったんだが俺達も相当忙しくしていたせいで、事後報告になって悪かった」

 そう言って頭を下げる日向さん。私はびっくりして慌てて頭を上げるよう伝える。

「元々私の勝手な言い分でご迷惑をかけてるので気にしてないです。寧ろこちらが頭を下げなきゃいけないと思ってるくらいなので」

「……まあ正直、美久に辞められるのは相当痛手だ。特に恩田社長はな。お前が思ってる以上に落ち込んでるよ」

 フッと苦笑いしながら恩田さんについて語る日向さん。でもそうだろうな……。色々あったにせよここ数年、私は恩田さんに育てられたと言っても過言じゃないんだから。正直今は尊敬する気持ちはないけれど、私をデビューさせようと四苦八苦していたのはよく知っている。しかも社長という立場なのに、積極的に関わってきたんだから尚更だろう。

 だから、良心の呵責がないと言えば嘘になる。

「ああ、お前が今更気に病む事はない。これも運命だと思って受け入れるさ。そもそも恩田社長が悪いんだからな。お前と武智君との関係を侮ってたんだから。もっと上手いやりようがあったはずなのにな」「……ハハハ」

 明らかに落ち込んでしまった私を気遣うように、微笑みながらフォローしてくれる日向さんに、私は苦笑いを返すしか無かった。

「因みに、お前を育てるためにこれまでかかった資金の殆どは、お前の両親が出してたから気にしなくていい。それとCM出演料と写真集の売上分担金については、お前が辞める前の契約となるから、それらは当然支払われる」

「……何だか申し訳ないです」「当然の権利だからそれも気にするな……、っと、恩田社長から連絡だ。じゃあそういう事で」

 ポケットに入っていたスマホを確認し急いで出ていこうとする日向さん。私はつい、待って下さい、と呼び止めた。だって多分、もう二度と会わないだろうから、きちんと挨拶したかった。

「……あの、日向さん。今までありがとうございました。恩田さんにも宜しくお伝えください」「ああ。こちらこそ。長い付き合いだったが楽しかったよ。武智君と末永く幸せにな」

 私が深々と頭を下げると、日向さんはニコリと微笑みながら、そう言い残して教室を去った。

「……まるで武智君と結婚するみたいな言い方じゃない」

 そう考えると、つい顔が熱くなってしまった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合系サキュバス達に一目惚れされた

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

コミュ障な幼馴染が俺にだけ饒舌な件〜クラスでは孤立している彼女が、二人きりの時だけ俺を愛称で呼んでくる〜

青野そら
青春
友達はいるが、パッとしないモブのような主人公、幸田 多久(こうだ たく)。 彼には美少女の幼馴染がいる。 それはクラスで常にぼっちな橘 理代(たちばな りよ)だ。 学校で話しかけられるとまともに返せない理代だが、多久と二人きりの時だけは素の姿を見せてくれて──。 これは、コミュ障な幼馴染を救う物語。 毎日更新します。

どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について

塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。 好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。 それはもうモテなかった。 何をどうやってもモテなかった。 呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。 そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて―― モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!? 最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。 これはラブコメじゃない!――と <追記> 本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。

ONE WEEK LOVE ~純情のっぽと変人天使の恋~

mizuno sei
青春
 永野祐輝は高校3年生。プロバスケットの選手を目指して高校に入学したが、入学早々傷害事件を起こし、バスケット部への入部を拒否されてしまった。  目標を失った彼は、しばらく荒れた生活をし、学校中の生徒たちから不良で怖いというイメージを持たれてしまう。  鬱々とした日々を送っていた彼に転機が訪れたのは、偶然不良に絡まれていた男子生徒を助けたことがきっかけだった。その男子生徒、吉田龍之介はちょっと変わってはいたが、優れた才能を持つ演劇部の生徒だった。生活を変えたいと思っていた祐輝は、吉田の熱心な勧誘もあって演劇部に入部することを決めた。  それから2年後、いよいよ高校最後の年を迎えた祐輝は、始業式の前日、偶然に一人の女子生徒と出会った。彼女を一目見て恋に落ちた祐輝は、次の日からその少女を探し、告白しようと動き出す。  一方、その女子生徒、木崎真由もまた、心に傷とコンプレックスを抱えた少女だった。  不良の烙印を押された不器用で心優しい少年と、コンプレックスを抱えた少女の恋にゆくへは・・・。

冬の水葬

束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。 凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。 高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。 美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた―― けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。 ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。

黄昏は悲しき堕天使達のシュプール

Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・  黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に  儚くも露と消えていく』 ある朝、 目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。 小学校六年生に戻った俺を取り巻く 懐かしい顔ぶれ。 優しい先生。 いじめっ子のグループ。 クラスで一番美しい少女。 そして。 密かに想い続けていた初恋の少女。 この世界は嘘と欺瞞に満ちている。 愛を語るには幼過ぎる少女達と 愛を語るには汚れ過ぎた大人。 少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、 大人は平然と他人を騙す。 ある時、 俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。 そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。 夕日に少女の涙が落ちる時、 俺は彼女達の笑顔と 失われた真実を 取り戻すことができるのだろうか。

海になった友達

小紕 遥
青春
主人公は、友達が実は海になったという信じがたい状況に出くわす。夜の海辺で再び彼と語り合うことになった主人公は友達の言葉に戸惑いながらも、その奇妙な会話に引き込まれていく。友達は本当に海になったのか?

田中天狼のシリアスな日常

朽縄咲良
青春
とある県の平凡な県立高校「東総倉高等学校」に通う、名前以外は平凡な少年が、個性的な人間たちに翻弄され、振り回され続ける学園コメディ! 彼は、ごくごく平凡な男子高校生である。…名前を除けば。 田中天狼と書いてタナカシリウス、それが彼の名前。 この奇妙な名前のせいで、今までの人生に余計な気苦労が耐えなかった彼は、せめて、高校生になったら、平凡で平和な日常を送りたいとするのだが、高校入学後の初動に失敗。 ぼっちとなってしまった彼に話しかけてきたのは、春夏秋冬水と名乗る、一人の少女だった。 そして彼らは、二年生の矢的杏途龍、そして撫子という変人……もとい、独特な先輩達に、珍しい名を持つ者たちが集まる「奇名部」という部活への起ち上げを誘われるのだった……。 ・表紙画像は、紅蓮のたまり醤油様から頂きました! ・小説家になろうにて投稿したものと同じです。

処理中です...