113 / 130
その百十三
しおりを挟む
※※※
玲奈から聞いた衝撃の事実。
まさかあのオバちゃん……、もとい恩田社長がそこまでするなんて。
まだたけっちーの事を引きずってる玲奈は、アタシを信頼してこの話をする、と言ってくれた。この話をする事で罪悪感を消したい、たけっちーへの想いは本物だったから、騙してる気持ちが許せないからって。
玲奈は自分の生い立ちから話し始めた。この歳で一人暮らししてるから何か事情はあるんだろうなあとは思ってたけど、でもまさか、母子家庭だっただけじゃなく、母親が連れてきた男に襲われかけた、なんて事があったなんて。それから逃げて家出して途方に暮れ、思い切って売りをしようとして声をかけた人が、たまたま日向っていう、アタシが連れ去られたあの小屋に、恩田社長と一緒に来た男の人だったそうで。
結局売りはせず日向って人に助けてもらい、最初は色々面倒見て貰ってたけど、そのうちユーチューバーやって稼げるようになってから日向って人に借りてたお金を完済して、身の回りの事は全て自分でできるようになるまで自立したんだって。この子凄い。年下なのに。アタシなんて両親いて家もあるところでぬくぬくと育ってるってのに。
そしてある日、その日向って人から依頼され、たけっちーを誘惑するためここK市に引っ越してきたんだと。その時はまだたけっちーの彼女が美久だって知らなかったらしいけど。結局言われた通り誘惑してたら、玲奈がたけっちーに惚れちゃった、という。
「ハハハ。こんな突拍子もない話、信じられないですよね?」「……」
私バカみたいな事言ってますよね、と自虐のコメントを呟きながら問いかける玲奈に対し、返事できないアタシ。
「……安川先輩?」「え? ああ、信じるよ」
「へ? こんなあり得ない話信じるんですか? どこまで純粋なんですか?」
驚きながら呆れた顔する玲奈に対し、アタシは真面目な顔で答える。
「だってアタシ、恩田社長知ってるもん。会った事あるし。ついで玲奈が言ってた日向さんも知ってる」
「……は?」今度は玲奈が何言ってるんですか? ってな顔をする。……という事は、玲奈にはアタシがこの二人と面識ある事、その日向って人は伝えてないんだ。
アタシはおもむろにスマホを取り出し、恩田社長と表示された連絡先を見せる。それを見た玲奈は驚いた顔をする。
「ま、日向さんの連絡先は知らないけどね」「……どうして、安川先輩が恩田社長の電話番号を?」
信じられないといった顔をする玲奈。こりゃややっぱり何も聞かされてないっぽい。ま、アタシの事話するなら、あの件も説明しないといけなくなるかも知れないもんね。
今度はアタシが恩田社長との繋がりと、今まで何があったか説明した。勿論、拉致された件についても。
「……」玲奈は表情が固まってしまい、何も言えないようだった。そりゃ驚くよね。まさかたけっちーと美久以外に恩田社長と関わってる人間が自分の先輩で、しかも恩田社長の策略のせいでアタシが拉致されたって聞かされちゃ。
そこで、ブブブ、とアタシのスマホが突如振動する。画面を見ると、ママだ。どしたんだろ?
「もしもし?」『もしもしじゃない! あんたどこほっつき歩いてんの? 何時だと思ってんのよ! 今日は雄介君とこ行くって言ってなかったでしょ!』
ママの怒りの声を聞いてからスマホで時間を確認すると、ゲッ! もうすぐ午前一時じゃん!
「ごっめーん! こんな遅くなってるとは思ってなくて。バイト先の後輩と話してたら遅くなっちゃって」『ならせめて連絡してきなさい! 心配するでしょ!』
そして何度も電話口で謝るアタシ。それを見てる玲奈がクスクス笑い出す。……そうだ。
「ママ、アタシ今日、このまま後輩ん家泊まるわ」
そう言った途端、玲奈の顔が え? ってなってた。そりゃそうだ。だって今決めたし。
※※※
「わー超キレイじゃん! 思ったより広いねー」「……」
マジだ。この人本当に私の家に泊まる気だ。いやまあ別に良いんだけど、何この急展開? そもそも安川先輩、お泊りする準備してないよね? 今さっき急に決めてたもんね?
「何そんなとこに突っ立ってんの? ほら入りなよ」「……いやここ私の家なんですけど」
玄関で呆然と立ってる私を一人置いて、勝手に先々中に入って興味深そうにあちこち見てる安川先輩。ある意味凄いなこの人。
「わー! 凄い大きなパソコン! ヘッドセットもあるじゃん! シートも革製で超カッコいいし!」「あーそれ一応仕事道具です……って、その部屋も入っちゃうんだ」
その部屋は私がユーチューバーする時に使う別室。そしてその周辺は触られると困るものも置いてるから、私は急いで玄関から中に上がり、安川先輩の元に行く。まあ一応、気を使って何一つ触ってないみたいだけど。でもさっきからキョロキョロ物珍しそうに見てる安川先輩、ちょっと可愛いかも。
触らないでくださいね、と釘を差し、ふう、と一息ついてお風呂のお湯を貯めに行ってから、マスターに作って貰ったオムライスをレンチンする。それから私は制服からパジャマ代わりのスウェットに着替える。
「安川先輩ー! ちょっとこっち来て下さーい」「あいあーい」
ずっとハイテンションな先輩を呼び、もう一着取り出したスウェットを渡す。
「制服シワになっちゃいますから、これに着替えて下さい。寝る時もそれでお願いします。ちょっと小さいかも知れませんけど」特に胸の辺りが。と言いかけたところで止めた。虚しいから。まあスウェットだし大丈夫だと思うけど。そもそも私だってそんな小さい方じゃないんだから。……明らかに負けてるけど。
「ちょうどリビングのソファがベッドに変わるタイプなんで、今日はここで寝てくださいね」「何から何までごめんねー」
てへぺろしながら笑う先輩。確かに半ば無理やり押しかけてきたけど、でもまあ、正直余り迷惑だとは思ってなくて、寧ろありがたいとさえ感じてたりする。
「まあ、一人だと沈んじゃってたので、来て貰って良かったかもです」「そっかそっか。じゃあ遠慮しない」
「……少しは遠慮してほしいですけど。そう言えば下着とかはないですよ? 特に胸のサイズ違いすぎるから私のは貸せませんし」「それは大丈夫! 今日偶然体育あったんだけど、先生の都合で授業自体無くなったから、替え持ってきてたんだよねー」
そう言いながらエッヘン、と豊満な胸を張る先輩。本当、この人スタイルいいなあ。こんな胸大きいのにウエストくびれてるし足細いし。そりゃ三浦先輩も夢中になるよね。顔も結構美人だし。
まあ、だから恩田社長に目をつけられちゃったんだろうけど。確かに安川先輩ほどのビジュアルとキャラなら、芸能界でやっていけそう。
「ま、当然寝る前に色々話するっしょ? ガールズトークってやつ」「はあ……。まあでも、既に一時半ですからそんなに話せないんじゃないですか?」
「なーに言ってんの! 今日はオールっしょオール!」「それは嫌です」
何でよ-、と安川先輩が抗議してるところでレンジがチーンと鳴った。私は台所へ移動しオムライスをお皿に移す。ついで冷蔵庫の中の、前買って置いてあったケーキを取り出し用意する。それからお湯を沸かしコーヒーと紅茶を淹れ机に持っていった。
安川先輩はありがとー、と屈託のない笑顔でケーキとコーヒーを受け取りリビングの椅子に座る。私も安川先輩の対面に座って、早速オムライスにスプーンを入れた。うーん、やっぱ美味しい。
「ま、玲奈とこうやってキチンと話したかったんだよね」「でも余り遅くまでは勘弁して下さいね。そう言えばさっき、なんで謝ってたんですか?」
私が大泣きしてた時、安川先輩がずっと私の傍でごめんごめんと言ってたのが気になってたんだよね。安川先輩はフォークを止め、真面目な顔になる。
「だって玲奈は、アタシの大事な後輩だから。本当は、玲奈の恋も応援したかった。でもやっぱり、美久の事は裏切れない。特にあの子は今一人ぼっちで頑張ってるから、万が一たけっちーを失っちゃったら、その途端、あの子崩れ落ちちゃう。だから、アタシの中で美久とたけっちーとの恋を優先しちゃった。だから、それについて申し訳ないって思ったんだよ」
そしてもう一度ごめん、と頭を下げる先輩。……正直だなあ。黙ってれば良い事なのに。別に言う必要ないのに。
「そっか。……私の恋は始まってさえ無かった、て事だったんですね」
「ううん、それは違う。そもそも、玲奈の気持ちが本気だったのは分かってたし。バイトで一緒に働いてる時、たけっちーの事をずっと目で追ってたの知ってるし。塾に一緒に行ってた事だって、きっとたけっちーとの関係を何とかしたいって思いからだったって分かってるし。アタシも雄介と付き合えない頃、とにかく必死だったから玲奈の気持ちがよーく分かる。アタシはラッキーな事に成就したけど、上手く行かない時のショックも容易に想像できるから」
「……ハハ。そんな事言われちゃったら、私また泣いちゃいます」
「玲奈はタイミングが悪かった。運も無かった。それだけ。でもそれで結果が出てしまうのが恋だから」
「ハハ……グス。だから……ヒック。そんな、事、ウウ……」
オムライスのデミグラスソースの上にポタポタと落ちる私の雫。それを見た安川先輩は私の傍に移動し肩をギュッと抱きしめた。それがスイッチのように、私はそこで声を上げて泣いてしまう。安川先輩は力になれなくてごめん、と何度も小さく呟きながら、そのまま私を抱きしめ続けた。
玲奈から聞いた衝撃の事実。
まさかあのオバちゃん……、もとい恩田社長がそこまでするなんて。
まだたけっちーの事を引きずってる玲奈は、アタシを信頼してこの話をする、と言ってくれた。この話をする事で罪悪感を消したい、たけっちーへの想いは本物だったから、騙してる気持ちが許せないからって。
玲奈は自分の生い立ちから話し始めた。この歳で一人暮らししてるから何か事情はあるんだろうなあとは思ってたけど、でもまさか、母子家庭だっただけじゃなく、母親が連れてきた男に襲われかけた、なんて事があったなんて。それから逃げて家出して途方に暮れ、思い切って売りをしようとして声をかけた人が、たまたま日向っていう、アタシが連れ去られたあの小屋に、恩田社長と一緒に来た男の人だったそうで。
結局売りはせず日向って人に助けてもらい、最初は色々面倒見て貰ってたけど、そのうちユーチューバーやって稼げるようになってから日向って人に借りてたお金を完済して、身の回りの事は全て自分でできるようになるまで自立したんだって。この子凄い。年下なのに。アタシなんて両親いて家もあるところでぬくぬくと育ってるってのに。
そしてある日、その日向って人から依頼され、たけっちーを誘惑するためここK市に引っ越してきたんだと。その時はまだたけっちーの彼女が美久だって知らなかったらしいけど。結局言われた通り誘惑してたら、玲奈がたけっちーに惚れちゃった、という。
「ハハハ。こんな突拍子もない話、信じられないですよね?」「……」
私バカみたいな事言ってますよね、と自虐のコメントを呟きながら問いかける玲奈に対し、返事できないアタシ。
「……安川先輩?」「え? ああ、信じるよ」
「へ? こんなあり得ない話信じるんですか? どこまで純粋なんですか?」
驚きながら呆れた顔する玲奈に対し、アタシは真面目な顔で答える。
「だってアタシ、恩田社長知ってるもん。会った事あるし。ついで玲奈が言ってた日向さんも知ってる」
「……は?」今度は玲奈が何言ってるんですか? ってな顔をする。……という事は、玲奈にはアタシがこの二人と面識ある事、その日向って人は伝えてないんだ。
アタシはおもむろにスマホを取り出し、恩田社長と表示された連絡先を見せる。それを見た玲奈は驚いた顔をする。
「ま、日向さんの連絡先は知らないけどね」「……どうして、安川先輩が恩田社長の電話番号を?」
信じられないといった顔をする玲奈。こりゃややっぱり何も聞かされてないっぽい。ま、アタシの事話するなら、あの件も説明しないといけなくなるかも知れないもんね。
今度はアタシが恩田社長との繋がりと、今まで何があったか説明した。勿論、拉致された件についても。
「……」玲奈は表情が固まってしまい、何も言えないようだった。そりゃ驚くよね。まさかたけっちーと美久以外に恩田社長と関わってる人間が自分の先輩で、しかも恩田社長の策略のせいでアタシが拉致されたって聞かされちゃ。
そこで、ブブブ、とアタシのスマホが突如振動する。画面を見ると、ママだ。どしたんだろ?
「もしもし?」『もしもしじゃない! あんたどこほっつき歩いてんの? 何時だと思ってんのよ! 今日は雄介君とこ行くって言ってなかったでしょ!』
ママの怒りの声を聞いてからスマホで時間を確認すると、ゲッ! もうすぐ午前一時じゃん!
「ごっめーん! こんな遅くなってるとは思ってなくて。バイト先の後輩と話してたら遅くなっちゃって」『ならせめて連絡してきなさい! 心配するでしょ!』
そして何度も電話口で謝るアタシ。それを見てる玲奈がクスクス笑い出す。……そうだ。
「ママ、アタシ今日、このまま後輩ん家泊まるわ」
そう言った途端、玲奈の顔が え? ってなってた。そりゃそうだ。だって今決めたし。
※※※
「わー超キレイじゃん! 思ったより広いねー」「……」
マジだ。この人本当に私の家に泊まる気だ。いやまあ別に良いんだけど、何この急展開? そもそも安川先輩、お泊りする準備してないよね? 今さっき急に決めてたもんね?
「何そんなとこに突っ立ってんの? ほら入りなよ」「……いやここ私の家なんですけど」
玄関で呆然と立ってる私を一人置いて、勝手に先々中に入って興味深そうにあちこち見てる安川先輩。ある意味凄いなこの人。
「わー! 凄い大きなパソコン! ヘッドセットもあるじゃん! シートも革製で超カッコいいし!」「あーそれ一応仕事道具です……って、その部屋も入っちゃうんだ」
その部屋は私がユーチューバーする時に使う別室。そしてその周辺は触られると困るものも置いてるから、私は急いで玄関から中に上がり、安川先輩の元に行く。まあ一応、気を使って何一つ触ってないみたいだけど。でもさっきからキョロキョロ物珍しそうに見てる安川先輩、ちょっと可愛いかも。
触らないでくださいね、と釘を差し、ふう、と一息ついてお風呂のお湯を貯めに行ってから、マスターに作って貰ったオムライスをレンチンする。それから私は制服からパジャマ代わりのスウェットに着替える。
「安川先輩ー! ちょっとこっち来て下さーい」「あいあーい」
ずっとハイテンションな先輩を呼び、もう一着取り出したスウェットを渡す。
「制服シワになっちゃいますから、これに着替えて下さい。寝る時もそれでお願いします。ちょっと小さいかも知れませんけど」特に胸の辺りが。と言いかけたところで止めた。虚しいから。まあスウェットだし大丈夫だと思うけど。そもそも私だってそんな小さい方じゃないんだから。……明らかに負けてるけど。
「ちょうどリビングのソファがベッドに変わるタイプなんで、今日はここで寝てくださいね」「何から何までごめんねー」
てへぺろしながら笑う先輩。確かに半ば無理やり押しかけてきたけど、でもまあ、正直余り迷惑だとは思ってなくて、寧ろありがたいとさえ感じてたりする。
「まあ、一人だと沈んじゃってたので、来て貰って良かったかもです」「そっかそっか。じゃあ遠慮しない」
「……少しは遠慮してほしいですけど。そう言えば下着とかはないですよ? 特に胸のサイズ違いすぎるから私のは貸せませんし」「それは大丈夫! 今日偶然体育あったんだけど、先生の都合で授業自体無くなったから、替え持ってきてたんだよねー」
そう言いながらエッヘン、と豊満な胸を張る先輩。本当、この人スタイルいいなあ。こんな胸大きいのにウエストくびれてるし足細いし。そりゃ三浦先輩も夢中になるよね。顔も結構美人だし。
まあ、だから恩田社長に目をつけられちゃったんだろうけど。確かに安川先輩ほどのビジュアルとキャラなら、芸能界でやっていけそう。
「ま、当然寝る前に色々話するっしょ? ガールズトークってやつ」「はあ……。まあでも、既に一時半ですからそんなに話せないんじゃないですか?」
「なーに言ってんの! 今日はオールっしょオール!」「それは嫌です」
何でよ-、と安川先輩が抗議してるところでレンジがチーンと鳴った。私は台所へ移動しオムライスをお皿に移す。ついで冷蔵庫の中の、前買って置いてあったケーキを取り出し用意する。それからお湯を沸かしコーヒーと紅茶を淹れ机に持っていった。
安川先輩はありがとー、と屈託のない笑顔でケーキとコーヒーを受け取りリビングの椅子に座る。私も安川先輩の対面に座って、早速オムライスにスプーンを入れた。うーん、やっぱ美味しい。
「ま、玲奈とこうやってキチンと話したかったんだよね」「でも余り遅くまでは勘弁して下さいね。そう言えばさっき、なんで謝ってたんですか?」
私が大泣きしてた時、安川先輩がずっと私の傍でごめんごめんと言ってたのが気になってたんだよね。安川先輩はフォークを止め、真面目な顔になる。
「だって玲奈は、アタシの大事な後輩だから。本当は、玲奈の恋も応援したかった。でもやっぱり、美久の事は裏切れない。特にあの子は今一人ぼっちで頑張ってるから、万が一たけっちーを失っちゃったら、その途端、あの子崩れ落ちちゃう。だから、アタシの中で美久とたけっちーとの恋を優先しちゃった。だから、それについて申し訳ないって思ったんだよ」
そしてもう一度ごめん、と頭を下げる先輩。……正直だなあ。黙ってれば良い事なのに。別に言う必要ないのに。
「そっか。……私の恋は始まってさえ無かった、て事だったんですね」
「ううん、それは違う。そもそも、玲奈の気持ちが本気だったのは分かってたし。バイトで一緒に働いてる時、たけっちーの事をずっと目で追ってたの知ってるし。塾に一緒に行ってた事だって、きっとたけっちーとの関係を何とかしたいって思いからだったって分かってるし。アタシも雄介と付き合えない頃、とにかく必死だったから玲奈の気持ちがよーく分かる。アタシはラッキーな事に成就したけど、上手く行かない時のショックも容易に想像できるから」
「……ハハ。そんな事言われちゃったら、私また泣いちゃいます」
「玲奈はタイミングが悪かった。運も無かった。それだけ。でもそれで結果が出てしまうのが恋だから」
「ハハ……グス。だから……ヒック。そんな、事、ウウ……」
オムライスのデミグラスソースの上にポタポタと落ちる私の雫。それを見た安川先輩は私の傍に移動し肩をギュッと抱きしめた。それがスイッチのように、私はそこで声を上げて泣いてしまう。安川先輩は力になれなくてごめん、と何度も小さく呟きながら、そのまま私を抱きしめ続けた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。
約束へと続くストローク
葛城騰成
青春
競泳のオリンピック選手を目指している双子の幼馴染に誘われてスイミングスクールに通うようになった少女、金井紗希(かないさき)は、小学五年生になったある日、二人が転校してしまうことを知る。紗希は転校当日に双子の兄である橘柊一(たちばなしゅういち)に告白して両想いになった。
凄い選手になって紗希を迎えに来ることを誓った柊一と、柊一より先に凄い選手になって柊一を迎えに行くことを誓った紗希。その約束を胸に、二人は文通をして励まし合いながら、日々を過ごしていく。
時が経ち、水泳の名門校である立清学園(りっせいがくえん)に入学して高校生になった紗希は、女子100m自由形でインターハイで優勝することを決意する。
長年勝つことができないライバル、湾内璃子(わんないりこ)や、平泳ぎを得意とする中條彩乃(なかじょうあやの)、柊一と同じ学校に通う兄を持つ三島夕(みしまゆう)など、多くの仲間たちと関わる中で、紗希は選手としても人間としても成長していく。
絶好調かに思えたある日、紗希の下に「紗希と話がしたい」と書かれた柊一からの手紙が届く。柊一はかつて交わした約束を忘れてしまったのか? 数年ぶりの再会を果たした時、運命の歯車が大きく動き出す。
※表示画像は、SKIMAを通じて知様に描いていただきました。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる