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その五十
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俺が柊さんを見上げながら今日二度目の告白をする。でも、疋田さんの時とは違い、余り緊張していない事が不思議だったけど。二回目だから? いやきっと、眼の前にいる柊さんが、さっきと違って明らかに動揺し、顔を真っ赤にしてるからかな?
どうも余裕がない柊さん。それが何故かは分からないけど。でも、相手がそんな様子だと、それを見て冷静になれる、そういう事だと思う。
「……本当、勝手な事言ってる」
少しの沈黙の後、口を開いて一言呟く柊さん。うん、正に言う通りだ。俺も何て勝手なんだって思ってるし。
「そうだね。でも、自分の気持ちに嘘は付きたくない。ぶっちゃけ、二人とも好きだったのが、実は同一人物だったって分かって、寧ろラッキーってくらいに思ってるよ」
清々しいくらいの開き直りだな俺。でももし、疋田さんと柊さんが別の人物だったら、もう終わりだった。だけどこうやってもう一度、告白できるチャンスができたんだ。後悔はしたくない。勝手かも知れないけど、そんな事はどうでもいい。今目の前にいる柊さんが好きだ。その気持に嘘はない。俺の気持ちは、もうそれで固まってるんだから。
「で、疋田美里さんにはフラれちゃったけど、柊美久さんは?」「……」
俺が質問するも沈黙する柊さん。俺も様子を伺いつつ黙り込む。だからか、眼下に見える夜店のガヤガヤと騒がしい音が、より一層賑やかに聞こえてくる。
「……応えて、くれないの?」「……」
ちょっと耐えきれなくなって再度聞いてみる。それでも、柊さんは黙ったまま。
そもそも、さっき何で俺に嫌われ演技してるのかっていう説明を柊さんがしようとしてたはずなんだよな。それがいつの間にか、俺が再度告白する流れになったんだよな。まあ俺は再度チャンスが貰えて良かったけどさ。……柊さんの沈黙は、それに関係してるのかな?
「グス……」「え?」柊さん、また泣き出した? どうして? しかもまた、辛そうな顔だ。
「グス、グス……」「どうしたの? 何がそんなに辛いの?」
「グス……言えない、グス……言ったら、武智君に、グス……迷惑かかっちゃう」
とても苦しそうで悲しそうに、またも泣いてる柊さんを見ながら、俺の心臓がドクン、と大きく波打った。……この子が愛しい。初めて感じたとても強くて激しい感情。
俺はタッと柊さんの元へ一歩踏み出し、たまらずギュッと抱きしめた。
「え? た、武智……君?」「何を苦しんでるのか分からないけど、俺が支えるから。俺が力になるから」
「グス……。そんな、無理だよ」「じゃあ、せめて教えてくれよ。そんな辛そうな柊さんの顔、見たくない」
「そんな……。そんな事……ヒック。言わないで」「もう抑えられない。俺は柊さんが好きだ。だから、好きな子が苦しんでるの、放っておけないよ」
俺の腕の中で顔を合わせようとせず、下を向いて嗚咽し続ける柊さん。体が小刻みに震え、とても辛そうな様子を見て、俺も何だか苦しくなる。何とかしてあげたい。この子の力になりたい。支えになりたい。
「私……、もう、迷惑、かけたくないよ」「気にしなくていいって。そもそも、毎朝の嫌われ演技だって結構な迷惑だったじゃん。もう慣れてるよ」
「グス……。アハハ、そうだったね。もう私、迷惑かけてた」「そうそう。だから、更に迷惑かかったって気にならないって」
まだ俯いたままだけど、ようやく笑ってくれた事にホッとする俺。
「車で連れて行かれそうになった時も、保健室での事も、迷惑かけちゃった」「あれは柊さんが悪いわけじゃない」
「ずっと、疋田美里に成りすまして騙してた。他人のふりして一緒にバイトしたり、遊園地行ったり、映画行ったり、今日も姿を偽って夏祭りに来てるし」「もうそれは良いよ。寧ろ俺は、柊さんと同一人物でホッとしてるんだから」
「……本当?」「ああ」
俺の腕に抱かれたまま、そこでは柊さんはようやく俺を見上げる。何度も泣いてるから目が真っ赤っ赤だけど、それでも相変わらず綺麗で整った可愛らしくて可憐な顔。そしてかなり距離が近い。……しまった。俺、よく考えたら、今とんでもない事してるよな? 告白してフラれた相手を抱きしめてんだから。こんな告白あるか?
つい、そう思って恥ずかしくなって離れようとしたら、今度は柊さんがギュッと俺を抱きしめる。
「……柊さん?」「また、迷惑かけちゃうよ? 甘えていいの?」
「ああ。おれは男だからね。好きな子を守れるなら本望だよ」「クスクス。カッコいい事言っちゃって」
そして見つめ合う俺達。それからすぐに、柊さんは急に俺の目を手で覆い隠した。
それから柊さんの息遣いが近くなり……。俺の唇に柔らかい感触が残る。
……え? 今の、もしかして……。
柊さんが俺の目を隠していた手を外す。その顔は今まで見た中で一番真っ赤だ。
「私も……好き」「……え?」
「私も、私もね、武智君が……エヘヘ」「柊さん……」
照れた笑顔がとても可愛くて、俺はもう抑えが効かない。
「柊さん!」「キャ!」再度抱きしめ、俺は柊さんを思い切り持ち上げる。
「ちょ、ちょっと危ないよ!」「大丈夫大丈夫! 柊さん軽いな!」
「怖いから降ろして!」「嫌だ! 今俺めっちゃテンション上がってるから!」
それから俺が収まるまで、ずっと柊さんを抱き上げながら、時々くるくる回ったりして喜んだ。
※※※
「はあ、はあ、さすがにこの季節にあれだけ動くと暑くてしんどい」「何やってるのよ」
呆れながら俺を見る柊さんだけど、その顔は晴れやかでどこか嬉しそう。俺? 俺の顔はもうニヤけて過ぎてて、すっげぇ気持ち悪いだろうな。そりゃさあ、想いが通じたんだからニヤニヤしてしまうのは仕方ないって。しかも一旦フラれてんだし。
俺が膝に手を置いて息を整えてると、柊さんは、はいこれ、と置いてあったペットボトルに入った清涼飲料水を俺にくれた。ありがとう、と受け取って一気に飲む。……てこれ、柊さんのじゃん! か、間接キスじゃん!
「ちょ、こ、これ、柊さんの」「あ……。ま、まあでも、ほらさっき」
どうやら柊さんも無意識だったようで、俺に言われて気づいて顔が真っ赤になる。ん? さっき?……じゃああれはやっぱり!
「そ、そっか。やっぱりあれ」「う、うん」
いきなり恥ずかしくなって沈黙する俺達。そして改めて、再び階段の最上段に、横並びで二人で座る。
「あ、あのさ」「は、はい!」
「ハハハ。(はい!)って。何でそんなかしこまった返事なの?」「だ、だって……」
「まあいいや。俺さっき、目隠しされてた時、何があったかよく分かってないんだよなあ」「え? でもやっぱり、とか言ってた」
「いーや、あれじゃわからないな」「じゃ、じゃあ、どうすればいいの?」
ちょっと意地悪っぽく言う俺を見て、戸惑う柊さん。そして今度は俺から柊さんに顔を近づける。柊さんは何をするか分かって、体をビクっとさせるけど、そのまま、俺からのキスを受け入れた。
「……ハハ。めっちゃ恥ずかしい」「もう! だからああやって目隠ししたのに」
はあ、と顔を赤らめながら、柊さんがため息をつく。そして俺の方を見てニコっと微笑んだ。
どうも余裕がない柊さん。それが何故かは分からないけど。でも、相手がそんな様子だと、それを見て冷静になれる、そういう事だと思う。
「……本当、勝手な事言ってる」
少しの沈黙の後、口を開いて一言呟く柊さん。うん、正に言う通りだ。俺も何て勝手なんだって思ってるし。
「そうだね。でも、自分の気持ちに嘘は付きたくない。ぶっちゃけ、二人とも好きだったのが、実は同一人物だったって分かって、寧ろラッキーってくらいに思ってるよ」
清々しいくらいの開き直りだな俺。でももし、疋田さんと柊さんが別の人物だったら、もう終わりだった。だけどこうやってもう一度、告白できるチャンスができたんだ。後悔はしたくない。勝手かも知れないけど、そんな事はどうでもいい。今目の前にいる柊さんが好きだ。その気持に嘘はない。俺の気持ちは、もうそれで固まってるんだから。
「で、疋田美里さんにはフラれちゃったけど、柊美久さんは?」「……」
俺が質問するも沈黙する柊さん。俺も様子を伺いつつ黙り込む。だからか、眼下に見える夜店のガヤガヤと騒がしい音が、より一層賑やかに聞こえてくる。
「……応えて、くれないの?」「……」
ちょっと耐えきれなくなって再度聞いてみる。それでも、柊さんは黙ったまま。
そもそも、さっき何で俺に嫌われ演技してるのかっていう説明を柊さんがしようとしてたはずなんだよな。それがいつの間にか、俺が再度告白する流れになったんだよな。まあ俺は再度チャンスが貰えて良かったけどさ。……柊さんの沈黙は、それに関係してるのかな?
「グス……」「え?」柊さん、また泣き出した? どうして? しかもまた、辛そうな顔だ。
「グス、グス……」「どうしたの? 何がそんなに辛いの?」
「グス……言えない、グス……言ったら、武智君に、グス……迷惑かかっちゃう」
とても苦しそうで悲しそうに、またも泣いてる柊さんを見ながら、俺の心臓がドクン、と大きく波打った。……この子が愛しい。初めて感じたとても強くて激しい感情。
俺はタッと柊さんの元へ一歩踏み出し、たまらずギュッと抱きしめた。
「え? た、武智……君?」「何を苦しんでるのか分からないけど、俺が支えるから。俺が力になるから」
「グス……。そんな、無理だよ」「じゃあ、せめて教えてくれよ。そんな辛そうな柊さんの顔、見たくない」
「そんな……。そんな事……ヒック。言わないで」「もう抑えられない。俺は柊さんが好きだ。だから、好きな子が苦しんでるの、放っておけないよ」
俺の腕の中で顔を合わせようとせず、下を向いて嗚咽し続ける柊さん。体が小刻みに震え、とても辛そうな様子を見て、俺も何だか苦しくなる。何とかしてあげたい。この子の力になりたい。支えになりたい。
「私……、もう、迷惑、かけたくないよ」「気にしなくていいって。そもそも、毎朝の嫌われ演技だって結構な迷惑だったじゃん。もう慣れてるよ」
「グス……。アハハ、そうだったね。もう私、迷惑かけてた」「そうそう。だから、更に迷惑かかったって気にならないって」
まだ俯いたままだけど、ようやく笑ってくれた事にホッとする俺。
「車で連れて行かれそうになった時も、保健室での事も、迷惑かけちゃった」「あれは柊さんが悪いわけじゃない」
「ずっと、疋田美里に成りすまして騙してた。他人のふりして一緒にバイトしたり、遊園地行ったり、映画行ったり、今日も姿を偽って夏祭りに来てるし」「もうそれは良いよ。寧ろ俺は、柊さんと同一人物でホッとしてるんだから」
「……本当?」「ああ」
俺の腕に抱かれたまま、そこでは柊さんはようやく俺を見上げる。何度も泣いてるから目が真っ赤っ赤だけど、それでも相変わらず綺麗で整った可愛らしくて可憐な顔。そしてかなり距離が近い。……しまった。俺、よく考えたら、今とんでもない事してるよな? 告白してフラれた相手を抱きしめてんだから。こんな告白あるか?
つい、そう思って恥ずかしくなって離れようとしたら、今度は柊さんがギュッと俺を抱きしめる。
「……柊さん?」「また、迷惑かけちゃうよ? 甘えていいの?」
「ああ。おれは男だからね。好きな子を守れるなら本望だよ」「クスクス。カッコいい事言っちゃって」
そして見つめ合う俺達。それからすぐに、柊さんは急に俺の目を手で覆い隠した。
それから柊さんの息遣いが近くなり……。俺の唇に柔らかい感触が残る。
……え? 今の、もしかして……。
柊さんが俺の目を隠していた手を外す。その顔は今まで見た中で一番真っ赤だ。
「私も……好き」「……え?」
「私も、私もね、武智君が……エヘヘ」「柊さん……」
照れた笑顔がとても可愛くて、俺はもう抑えが効かない。
「柊さん!」「キャ!」再度抱きしめ、俺は柊さんを思い切り持ち上げる。
「ちょ、ちょっと危ないよ!」「大丈夫大丈夫! 柊さん軽いな!」
「怖いから降ろして!」「嫌だ! 今俺めっちゃテンション上がってるから!」
それから俺が収まるまで、ずっと柊さんを抱き上げながら、時々くるくる回ったりして喜んだ。
※※※
「はあ、はあ、さすがにこの季節にあれだけ動くと暑くてしんどい」「何やってるのよ」
呆れながら俺を見る柊さんだけど、その顔は晴れやかでどこか嬉しそう。俺? 俺の顔はもうニヤけて過ぎてて、すっげぇ気持ち悪いだろうな。そりゃさあ、想いが通じたんだからニヤニヤしてしまうのは仕方ないって。しかも一旦フラれてんだし。
俺が膝に手を置いて息を整えてると、柊さんは、はいこれ、と置いてあったペットボトルに入った清涼飲料水を俺にくれた。ありがとう、と受け取って一気に飲む。……てこれ、柊さんのじゃん! か、間接キスじゃん!
「ちょ、こ、これ、柊さんの」「あ……。ま、まあでも、ほらさっき」
どうやら柊さんも無意識だったようで、俺に言われて気づいて顔が真っ赤になる。ん? さっき?……じゃああれはやっぱり!
「そ、そっか。やっぱりあれ」「う、うん」
いきなり恥ずかしくなって沈黙する俺達。そして改めて、再び階段の最上段に、横並びで二人で座る。
「あ、あのさ」「は、はい!」
「ハハハ。(はい!)って。何でそんなかしこまった返事なの?」「だ、だって……」
「まあいいや。俺さっき、目隠しされてた時、何があったかよく分かってないんだよなあ」「え? でもやっぱり、とか言ってた」
「いーや、あれじゃわからないな」「じゃ、じゃあ、どうすればいいの?」
ちょっと意地悪っぽく言う俺を見て、戸惑う柊さん。そして今度は俺から柊さんに顔を近づける。柊さんは何をするか分かって、体をビクっとさせるけど、そのまま、俺からのキスを受け入れた。
「……ハハ。めっちゃ恥ずかしい」「もう! だからああやって目隠ししたのに」
はあ、と顔を赤らめながら、柊さんがため息をつく。そして俺の方を見てニコっと微笑んだ。
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