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その三十一
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※※※
ありがとう、明歩。そしてごめんね。
心の中でそう呟きながら、いつもの車窓を眺める私。
今日空手道場に行ったのは、確かに明歩が強引に引っ張っていったからだけど、拒否しようものなら出来た。だけど、私も武智君に会いたかった。だから、明歩のせいにしてしまった。……明歩もそれを分かってて、敢えて自分のせいにしてくれたけど。
稽古後の空手着を着た武智君、いつもの優しい雰囲気とは違って男らしく凛々しく見えた。男の子も着るものによって、あんな風に違って見えるもんなんだな。……私の想いのせいで、多少補正が入っているのかも知れないけど。
でも、まさか恩田さんと明歩がああやって会って話するなんて思いもよらなかった。車から出てくるなんて事、今まで一度もなかったから大丈夫だと思ってたのに。更に恩田さん、明歩に興味持ってしまってる。
そこは完全に私の誤算。明歩には悪い事した。でもきっと、明歩は恩田さんからの話を断ると思うけど。
だから、ありがとう、と、ごめん。を、明歩には聞こえなくとも、再度心の中で呟いた。
※※※
「で? 何か話したかったんだろ?」「……分かってたのかよ」
当たり前だろ、と拳でコツンと俺を軽くつつく雄介。さっきのボケはわざとかよ。まあ、付き合いがうまくいってるからあんなノリになってんだろうけど。でもこうやって俺の様子に気づく辺り、やっぱり雄介だなあ、と改めて思ったりする。
今までなら、更衣室でこうやって雄介と会話する事すらなかった。雄介、最近は真っ先に更衣室に向かって先に帰って行ってたからな。でも今日は、俺を優先してくれたみたいだ。
そんな雄介に感謝しつつ、俺は更衣室で着替えながら、疋田さんと再度会える事を話した。おお? 良かったじゃん! と雄介は嬉しそうに言ってくれた。
「でもなあ、バイトも来ないし、もう会わなくなって二ヶ月位になるしなあ。しかも今度会う約束したのって夏祭りだから、会うのはそれから更に先になるんだよなあ」
「でも、来てくれるって事は望みあんじゃねーの?」「どうかな」
「つか、明歩から聞いてるけど、お前昼飯時殆ど柊さんといるらしいじゃん」「そうなんだよなあ」
「……なあ悠斗」「それ以上言うな」そう言って、俺はマジで雄介を睨む。雄介が何を言おうとしたか分かったから。ただでさえ、揺らぎそうな気持ちを制してんだから、余計な事言って俺を迷わせて欲しくない。
柊さんは本当に可愛いし美人だ。しかも最近は結構二人でいるから、一緒にいて楽しいと思う事もある。そして現在、疋田さんには全然会う事が出来ないから、どうしても柊さんが気になってしまう。
じゃあ、屋上に行くのをやめればいいんだけど、そうなると柊さんが独りぼっちになってしまう。雨の日、あの屋上の建物の中で一人、女子高生が弁当食ってるって考えたら、やっぱり放っておけない。それくらい、今は仲良くなってるし。
分かったよ、と雄介は俺の様子を見てそれ以上は何も言わなかった。
※※※
「こんにちは」「は、はい! こ、こんにちは!」
「フフ。何をそんなに緊張してるのかしら?」「そ、そりゃだって……」
つーか、何なのこのおばさん! 威圧感ハンパないんだけど。昨日、美久と一緒に車に乗っていった恩田さんって人が、アタシに用があるって言って、校門前で待ってて、捕まった。で、何か高そーな真っ黒な車に乗せられて、今は近所のファミレスで恩田さんって人と二人でお茶してる。……なんでこうなっちゃったんだろ?
雄介には用事が出来たってline送っといたから大丈夫だけど。嘘じゃないし。
「え、えーと、今日は美久……柊さんは?」「ああ。あの子なら今日もレッスンよ」
「レッスン? そういや恩田さんって何してる人なんですか?」「あら。……知っているとばかり思ってたわ。これでも有名人のつもりだったんだけど」そう言ってやや自嘲気味にフフフと笑うキャリアウーマンっぽい恩田さん。しまった。自分で言うほど有名人なんだ。じゃあ無知なアタシに対して怒った?
「私はこういう者よ」ビクビクしてるアタシの様子を気にせず、ニッコリ笑顔を向けながら、名刺を出してきた。「恩田……プロモーション?」何か聞いた事あるような?
「ええ。一応業界では一番有名な芸能事務所のつもりよ」「芸能事務所って……芸能事務所?」
何で同じ事言ったのかしら? とおかしそうに笑う恩田さん。そこでハッと思いだした。恩田プロモーション! 時々テレビやネットで名前を見かけるアレだ!
確か、グラビアとかアイドルとかじゃなく、俳優専門の一流事務所で、アカデミー賞とかオスカーとか、時々ハリウッドに進出してたりして、しかも沢山賞を獲ってる俳優が一杯いるところだ。業界を全く知らないアタシでも、それくらい知ってる有名な芸能事務所だ。
……てことは、美久はこの恩田プロモーションに所属してるって事? え、えええええええ!!!
「あ、あの、美久ってここに所属してんすか?」「あら口が悪いわね。一応ね。とはいっても、まだどこにも出してないけれど」
それから恩田さん、じゃなくて、恩田社長は、アイスコーヒーに口をつけた後、美久について説明し始めた。
「あの子、柊美久はあれだけの美貌でしょ? だから、普通の生活をするのは不可能なの。あの子が望まなくても、自然にトラブルを引き寄せてしまう。あの子がまだ中学生の頃、噂を聞いて家に行って様子を見た時には、既に普通の生活環境と自身との個性との差に相当悩んでいたわ。周りも理解していなかったし。でも、あの子の輝かしい個性は芸能界では逆に宝物。あの子はダイヤの原石なのよ。だから私が彼女を説得して、うちで面倒を見る事になったの。それからはうちが完全に彼女を守りながら、ずっとあの子を磨いてきたのよ」
……美久は確かにめっちゃ可愛いって思ってたけど、そんなにか。普通に生活ができないくらいに。なら、普通じゃない世界、芸能界でなら、美久の個性を活かして活躍できるって事か。
「うちはそう言った特殊な人材を今まで数多く扱ってきたわ。そのノウハウを活かしながら、美久を一人前の女優にすべく、恩田プロモーションが完全サポートしているのよ」
それにね、とため息をつきながら話が続く。アタシも興味津々で聞く。だって、芸能界の話って、普通聞けないじゃん?
「最近の芸能界って、本物の俳優が本当に減ってきてるのよ。なんちゃってアイドルが俳優気取りでドラマに出たり映画に出たり。勿論、中には光る子もいるけど、そんなの一握り。だから美久みたいな本物の原石は、余計な事に惑う事なく、私達がサポートしながら、大切に育てていきたいの。本物の女優にね。だから社長である私自ら、あの子を見てるわけ」
「へえー、そんなもんなんすねえ」「あなた、まずは口の悪さ直さないとね。あと、昨日も言ったけど髪の毛、パーマとってストレートに直した方が、あなたの顔立ちならきより綺麗になるわよ。スカート丈は、まあ足は綺麗だから、もっと上品に見せればいいと想うわ」
「そ、そうっすか?」「そうっすか、じゃない。そうですか。でしょ?」
あ、はい、ごめんなさい。とうなだれるアタシ。てか、なんで怒られてんの?
「つか、そーいやアタシに話あるんじゃなかったっしたっけ?」「本当にその口の悪さ……、もういいわ。えっとね。あなたをスカウトしようと思ったのよ」
「……は?」「は? じゃない。スカウトよ。私直々に話するなんて、滅多にない事なのよ。まあ美久は特別だけど」
は? はああああ??? ア、アタシを芸能界にスカウトおおお???
「い、いやいや。ちょっと待っておくんなせぇ!」「……どうして江戸っ子口調なのかしら?」
そしてコホン、と仕切り直しっぽく咳をする恩田社長。
「あなたはいい個性を持ってるわ。どちらかと言えばバラエティー向きね。でもその個性、女優としても活かせると思うのよ」
いやこの人何言ってんの? 芸能界? アタシが?
「分かってると思うけど、私も忙しいの。冗談でこうやって二人でお茶しないわよ。で、どう? 興味ある?」
「い、いや。唐突過ぎて分からないです」「まあそうよね」
「それにアタシ、彼氏いるし」「え? お付き合いしてる男の子いるの?」
は、はい、と申し訳なさそうに返事するアタシ。って、別に申し訳なく思う必要ないんだけど。それ聞いた恩田社長は、はあ~、と大きくため息ついて、頭を抱えた。
「恋はねえ。確かにその年頃だとやりたい盛りなのは分かるんだけど。恋心は演技に箔を付けるけど、邪魔な感情なのよね」
ありがとう、明歩。そしてごめんね。
心の中でそう呟きながら、いつもの車窓を眺める私。
今日空手道場に行ったのは、確かに明歩が強引に引っ張っていったからだけど、拒否しようものなら出来た。だけど、私も武智君に会いたかった。だから、明歩のせいにしてしまった。……明歩もそれを分かってて、敢えて自分のせいにしてくれたけど。
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でも、まさか恩田さんと明歩がああやって会って話するなんて思いもよらなかった。車から出てくるなんて事、今まで一度もなかったから大丈夫だと思ってたのに。更に恩田さん、明歩に興味持ってしまってる。
そこは完全に私の誤算。明歩には悪い事した。でもきっと、明歩は恩田さんからの話を断ると思うけど。
だから、ありがとう、と、ごめん。を、明歩には聞こえなくとも、再度心の中で呟いた。
※※※
「で? 何か話したかったんだろ?」「……分かってたのかよ」
当たり前だろ、と拳でコツンと俺を軽くつつく雄介。さっきのボケはわざとかよ。まあ、付き合いがうまくいってるからあんなノリになってんだろうけど。でもこうやって俺の様子に気づく辺り、やっぱり雄介だなあ、と改めて思ったりする。
今までなら、更衣室でこうやって雄介と会話する事すらなかった。雄介、最近は真っ先に更衣室に向かって先に帰って行ってたからな。でも今日は、俺を優先してくれたみたいだ。
そんな雄介に感謝しつつ、俺は更衣室で着替えながら、疋田さんと再度会える事を話した。おお? 良かったじゃん! と雄介は嬉しそうに言ってくれた。
「でもなあ、バイトも来ないし、もう会わなくなって二ヶ月位になるしなあ。しかも今度会う約束したのって夏祭りだから、会うのはそれから更に先になるんだよなあ」
「でも、来てくれるって事は望みあんじゃねーの?」「どうかな」
「つか、明歩から聞いてるけど、お前昼飯時殆ど柊さんといるらしいじゃん」「そうなんだよなあ」
「……なあ悠斗」「それ以上言うな」そう言って、俺はマジで雄介を睨む。雄介が何を言おうとしたか分かったから。ただでさえ、揺らぎそうな気持ちを制してんだから、余計な事言って俺を迷わせて欲しくない。
柊さんは本当に可愛いし美人だ。しかも最近は結構二人でいるから、一緒にいて楽しいと思う事もある。そして現在、疋田さんには全然会う事が出来ないから、どうしても柊さんが気になってしまう。
じゃあ、屋上に行くのをやめればいいんだけど、そうなると柊さんが独りぼっちになってしまう。雨の日、あの屋上の建物の中で一人、女子高生が弁当食ってるって考えたら、やっぱり放っておけない。それくらい、今は仲良くなってるし。
分かったよ、と雄介は俺の様子を見てそれ以上は何も言わなかった。
※※※
「こんにちは」「は、はい! こ、こんにちは!」
「フフ。何をそんなに緊張してるのかしら?」「そ、そりゃだって……」
つーか、何なのこのおばさん! 威圧感ハンパないんだけど。昨日、美久と一緒に車に乗っていった恩田さんって人が、アタシに用があるって言って、校門前で待ってて、捕まった。で、何か高そーな真っ黒な車に乗せられて、今は近所のファミレスで恩田さんって人と二人でお茶してる。……なんでこうなっちゃったんだろ?
雄介には用事が出来たってline送っといたから大丈夫だけど。嘘じゃないし。
「え、えーと、今日は美久……柊さんは?」「ああ。あの子なら今日もレッスンよ」
「レッスン? そういや恩田さんって何してる人なんですか?」「あら。……知っているとばかり思ってたわ。これでも有名人のつもりだったんだけど」そう言ってやや自嘲気味にフフフと笑うキャリアウーマンっぽい恩田さん。しまった。自分で言うほど有名人なんだ。じゃあ無知なアタシに対して怒った?
「私はこういう者よ」ビクビクしてるアタシの様子を気にせず、ニッコリ笑顔を向けながら、名刺を出してきた。「恩田……プロモーション?」何か聞いた事あるような?
「ええ。一応業界では一番有名な芸能事務所のつもりよ」「芸能事務所って……芸能事務所?」
何で同じ事言ったのかしら? とおかしそうに笑う恩田さん。そこでハッと思いだした。恩田プロモーション! 時々テレビやネットで名前を見かけるアレだ!
確か、グラビアとかアイドルとかじゃなく、俳優専門の一流事務所で、アカデミー賞とかオスカーとか、時々ハリウッドに進出してたりして、しかも沢山賞を獲ってる俳優が一杯いるところだ。業界を全く知らないアタシでも、それくらい知ってる有名な芸能事務所だ。
……てことは、美久はこの恩田プロモーションに所属してるって事? え、えええええええ!!!
「あ、あの、美久ってここに所属してんすか?」「あら口が悪いわね。一応ね。とはいっても、まだどこにも出してないけれど」
それから恩田さん、じゃなくて、恩田社長は、アイスコーヒーに口をつけた後、美久について説明し始めた。
「あの子、柊美久はあれだけの美貌でしょ? だから、普通の生活をするのは不可能なの。あの子が望まなくても、自然にトラブルを引き寄せてしまう。あの子がまだ中学生の頃、噂を聞いて家に行って様子を見た時には、既に普通の生活環境と自身との個性との差に相当悩んでいたわ。周りも理解していなかったし。でも、あの子の輝かしい個性は芸能界では逆に宝物。あの子はダイヤの原石なのよ。だから私が彼女を説得して、うちで面倒を見る事になったの。それからはうちが完全に彼女を守りながら、ずっとあの子を磨いてきたのよ」
……美久は確かにめっちゃ可愛いって思ってたけど、そんなにか。普通に生活ができないくらいに。なら、普通じゃない世界、芸能界でなら、美久の個性を活かして活躍できるって事か。
「うちはそう言った特殊な人材を今まで数多く扱ってきたわ。そのノウハウを活かしながら、美久を一人前の女優にすべく、恩田プロモーションが完全サポートしているのよ」
それにね、とため息をつきながら話が続く。アタシも興味津々で聞く。だって、芸能界の話って、普通聞けないじゃん?
「最近の芸能界って、本物の俳優が本当に減ってきてるのよ。なんちゃってアイドルが俳優気取りでドラマに出たり映画に出たり。勿論、中には光る子もいるけど、そんなの一握り。だから美久みたいな本物の原石は、余計な事に惑う事なく、私達がサポートしながら、大切に育てていきたいの。本物の女優にね。だから社長である私自ら、あの子を見てるわけ」
「へえー、そんなもんなんすねえ」「あなた、まずは口の悪さ直さないとね。あと、昨日も言ったけど髪の毛、パーマとってストレートに直した方が、あなたの顔立ちならきより綺麗になるわよ。スカート丈は、まあ足は綺麗だから、もっと上品に見せればいいと想うわ」
「そ、そうっすか?」「そうっすか、じゃない。そうですか。でしょ?」
あ、はい、ごめんなさい。とうなだれるアタシ。てか、なんで怒られてんの?
「つか、そーいやアタシに話あるんじゃなかったっしたっけ?」「本当にその口の悪さ……、もういいわ。えっとね。あなたをスカウトしようと思ったのよ」
「……は?」「は? じゃない。スカウトよ。私直々に話するなんて、滅多にない事なのよ。まあ美久は特別だけど」
は? はああああ??? ア、アタシを芸能界にスカウトおおお???
「い、いやいや。ちょっと待っておくんなせぇ!」「……どうして江戸っ子口調なのかしら?」
そしてコホン、と仕切り直しっぽく咳をする恩田社長。
「あなたはいい個性を持ってるわ。どちらかと言えばバラエティー向きね。でもその個性、女優としても活かせると思うのよ」
いやこの人何言ってんの? 芸能界? アタシが?
「分かってると思うけど、私も忙しいの。冗談でこうやって二人でお茶しないわよ。で、どう? 興味ある?」
「い、いや。唐突過ぎて分からないです」「まあそうよね」
「それにアタシ、彼氏いるし」「え? お付き合いしてる男の子いるの?」
は、はい、と申し訳なさそうに返事するアタシ。って、別に申し訳なく思う必要ないんだけど。それ聞いた恩田社長は、はあ~、と大きくため息ついて、頭を抱えた。
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