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その二十七
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※※※
「朝は降ってなかったのになあ」うんざりしながら、大粒の雨が降ってくる曇り空を見上げる俺。まあ、文句言って止んでくれるわけでもないし、溜め息つきながら、今日も屋上を目指す。そう、柊さんと昼飯を食うために。
六月に入ってすぐ、大阪、京都、神戸の関西三府県をめぐる修学旅行があった。で、俺の思った通り、クラスメイトとそれなりにバカ騒ぎして終わった。それも楽しかったが、想像通り雄介は、安川さんと殆ど一緒だったから、正直寂しかったけど。
そしてやっぱりと言うか、修学旅行が終わってから、雄介と安川さんはもっと親密になったようで、最近は登校さえ一緒。雄介が安川さんの始業ぎりぎりの時間帯に合わせてる。だから当然、俺はそれからずっと一人で登校してる。
それから朝の柊さんとの儀式。これも相変わらず続いてる。ついで続いてるのが、昼飯を一緒に食うって事。ただ、毎日じゃなくて、柊さんが耳打ちしたり紙切れ入れたりしたら、だけど。それでも二人で一緒にいる頻度は増えた。
まあ柊さんも、仲良しの安川さんがいないからだろうけど、誘われるたび俺でいいのかなあ? と毎回思う。でも、前に柊さんの事情をある程度聞いたから、多分今のところ俺しか選択肢がないんだろうけど。
柊さんは、その特殊過ぎると言っていい程の美貌のせいで、殆ど独りぼっちだったと話してくれた。
それなりに友達はいたらしいけど、当たり障りのない会話くらいしかできず、中学時代は荒れてた事もあったんだって。意外だ。でもとある大人の女の人が、そんな特殊な事情を抱えた柊さんを理解し、色々サポートしてくれるようになり、落ち着いたんだとか。
あれだけの美少女だから、よからぬ事を考える輩も一定数いたらしいけど、学校内ではファンクラブや先生、学校外ではその女の人の関係者が、柊さんを守っているそうで。
でも、それは結局、厄介払いをする事で保たれてた平和。せっかく色んな生徒と高校に通ってるんだから、高校生らしい学校生活を送りたい。それが柊さんを苦しめていたらしい。
でも、三年生になって、安川さんという友達が出来た。そして今は、俺と言う男友達がいるから嬉しいんだと。……友達ねえ。まあ、柊さんがそう思いたいんなら別にいいけどね。
「開いてるな」柊さんの話を思い出しながら、ギイと屋上の扉を開ける。降りしきる雨の中、柊さんは傘を差して扉の前で待ってた。
「今日もありがと。あの建物の中に入るよ」
※※※
「ここって入れるんだ」結構広いな。八畳程の大きさで天井は3mくらい? 中にははしごや消火器がいくつも整然と置いてある。電気もきちんとついてるから、万が一災害が会った時に使えるようになってるのが分かる。
「で、思ったより暑くないでしょ?」ニコ、と振り返りながら換気用の窓を開ける柊さん。その笑顔にどぎまぎしながら、そうだね、と答える俺。でも夏の合間はさすがに蒸し風呂状態だろうけど。まあ夏休みに入れば、ここに来る事なんてないだろうけどね。
柊さんは本当に可愛いし綺麗だ。そしてこうやって何度か会って分かったけど、凄く性格もいい。気が利くし優しくて思いやりもあるし気配りも出来るし。頭が良いのは周知の事実だし運動神経が良いのも皆知ってる。本当に隙がない。……と思ってたけど。
「よいしょ、と」と言いながら、クッション用だろうか、厚めのマットがあってそこに慣れた様子で座る柊さん。俺も少し距離を置いて、横に座った。そして黙って二人で弁当を広げる。
「武智君のお弁当って必ず玉子焼き入ってるね」「ああ。これ大好物でさ、甘めの出汁巻き玉子なんだ」
「一個貰っていい?」「いいけど、お口に合うかどうか」
そう俺が返事する前に、えい、と箸を俺の弁当に伸ばし、玉子焼きを一個口に運ぶ柊さん。ん! 美味しいね! と満面の笑みを俺に返す。
……その素敵な笑顔につい顔が火が出たように熱くなる。相変わらず慣れない。本当可愛くて困るんだよな。
「でも良かった。こうやって武智君が来てくれるようになって」今度は自分の弁当に箸を入れながら、呟くように話す柊さん。
「そうみたいだね」と、同意する俺。完璧な超絶美少女、そう思ってたけど、柊さん、本当は寂しかったんだって分かったから。自身の容姿で色々苦労したのを、今までも何度か聞いていたし。普通ならそんな話、自慢じゃねーの? と思うんだろうけど、その話をした時の悲しそうな表情と、時折泣きそうになるのを見ている俺は、心底苦労してたんだな、と理解出来た。
柊さんはずっと独りぼっちだった。そして今もまた、安川さんという友達と中々昼飯を食えない。だから俺を誘う。柊さんは寂しがり屋さんだ。でも、それは仕方ない事だろうけど。
「俺が来なかったら、この建物の中で一人、雨音を聞きながら昼飯食ってたんだよな」そんな事考えてたからか、つい、口に出てしまった。しまった、と思う俺とハッと目を見開き俺を見つめる柊さん。でもすぐ、クスリと笑う。
「そうね。不定期な雨のリズムを聴きながら、一人ここでご飯食べるのも乙なんだけど、……その、やっぱり寂しいかな」
その言葉に、トン、トン、トン、と降りしきる雨が何かを定期的に叩く音につい耳を傾けてしまう。でも、こんな殺風景な建物で、雨の中女の子が一人で飯食うなんてなあ。
「じゃあ俺、役に立ったかな?」「うんうん。とても」フフ、と笑いながら、吸い込まれそうな黒い瞳で俺を見つめる柊さん。……綺麗な目。整った目鼻立ち。やや赤く染まっている頬。肩くらいまでの黒髪もサラサラで、って、何見つめ返してんだ俺!
慌てて視線を弁当に落とす。そして無意味にたこさんウインナーを口に運ぶ。やばい。凄くドキドキしてきた。今更ながら、この密室の中に柊さんと二人きり。そう考えたら、一気にドッと汗が噴き出してきた。あーもう! 意識すんなよ俺!
そこで突然、ピカ! ゴロゴロ! と大きな雷の音が聞こえ、ドドーンと地響きを感じるほど建物が揺れた。
「きゃああ!!」「おお!」つい大きな声が出てしまう俺達。
そして柊さんは、俺にヒシ、と抱きついてきた。
……え? いやちょっと待って! それはまずいよ柊さん! でも、どうやら柊さんは無意識のようで、俺の胸辺りで震えてる。更にピカ! ゴロゴロ! と再度雷の音が聞こえる。その度柊さんは、遠慮する事なく、俺にギュッと力を込め離そうとしない。
俺の胸に顔を埋めるようにしがみつく柊さん。サラサラの黒髪からは、シャンプーだろうか、いい匂いがする。柊さんの柔らかい何かが俺の体に当たってる。柊さんの息遣いが聞こえる距離。もしこのまま、柊さんが顔を上げたら、その距離はほぼないくらい、くっついてる。やや高い柊さんの体温まで感じ取る事が出来る状態。
出来るだけ意識しないように頑張った。でも無理です。めちゃくちゃ気持ちいいし心地いいです。つい、俺も抱きしめようと手を肩に回そうとするけど、ここで相変わらずのチキンが芽を出す。……でもそれでいい。
しかし、よっぽど雷が怖いんだな。つい引き離そうとか思ったけど、こんなにふるふる震えてる柊さんを無碍に出来ない。その様子がまた可愛らしくて、つい愛おしくなりそうになる。
さっきの地響きは、多分屋上にある避雷針に雷が落ちたんだろうな。そりゃ怖いよな。仕方ない。俺でよければ、頼りにして貰った方がいいか。少ししてから、ゴロゴロ、という雷の音が遠ざかっていった。
「柊さん。もう大丈夫だと思うよ」「う、うん」と言ったところでハッとしてバッと離れた柊さん。
「ご、ごめんなさい。つい」「いいよいいよ。そりゃ怖いよな」と、苦笑いする俺。未だ俺の心臓はバクバク言ってるけど。そして恥ずかしそうに俯く柊さん。そこで、キーンコーンカーンコーン、と昼休憩終了五分前の鐘の音が聞こえてきた。
「柊さん、行かないと」「そ、そうね」弁当は既に食べ終えてて片してあったから、二人急いで傘を手に持ち、未だ降りしきる雨の中、屋上入口へと走って行った。
そして俺は、手の濡れた感じが、雨のせいなのか汗のせいなのか、考えながら教室へ急ぐ。柊さんがくっついた時のあのドキドキ感は、以前疋田さんに感じた感情に似ていた。もし手汗なら、俺は柊さんの事……。
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そしてやっぱりと言うか、修学旅行が終わってから、雄介と安川さんはもっと親密になったようで、最近は登校さえ一緒。雄介が安川さんの始業ぎりぎりの時間帯に合わせてる。だから当然、俺はそれからずっと一人で登校してる。
それから朝の柊さんとの儀式。これも相変わらず続いてる。ついで続いてるのが、昼飯を一緒に食うって事。ただ、毎日じゃなくて、柊さんが耳打ちしたり紙切れ入れたりしたら、だけど。それでも二人で一緒にいる頻度は増えた。
まあ柊さんも、仲良しの安川さんがいないからだろうけど、誘われるたび俺でいいのかなあ? と毎回思う。でも、前に柊さんの事情をある程度聞いたから、多分今のところ俺しか選択肢がないんだろうけど。
柊さんは、その特殊過ぎると言っていい程の美貌のせいで、殆ど独りぼっちだったと話してくれた。
それなりに友達はいたらしいけど、当たり障りのない会話くらいしかできず、中学時代は荒れてた事もあったんだって。意外だ。でもとある大人の女の人が、そんな特殊な事情を抱えた柊さんを理解し、色々サポートしてくれるようになり、落ち着いたんだとか。
あれだけの美少女だから、よからぬ事を考える輩も一定数いたらしいけど、学校内ではファンクラブや先生、学校外ではその女の人の関係者が、柊さんを守っているそうで。
でも、それは結局、厄介払いをする事で保たれてた平和。せっかく色んな生徒と高校に通ってるんだから、高校生らしい学校生活を送りたい。それが柊さんを苦しめていたらしい。
でも、三年生になって、安川さんという友達が出来た。そして今は、俺と言う男友達がいるから嬉しいんだと。……友達ねえ。まあ、柊さんがそう思いたいんなら別にいいけどね。
「開いてるな」柊さんの話を思い出しながら、ギイと屋上の扉を開ける。降りしきる雨の中、柊さんは傘を差して扉の前で待ってた。
「今日もありがと。あの建物の中に入るよ」
※※※
「ここって入れるんだ」結構広いな。八畳程の大きさで天井は3mくらい? 中にははしごや消火器がいくつも整然と置いてある。電気もきちんとついてるから、万が一災害が会った時に使えるようになってるのが分かる。
「で、思ったより暑くないでしょ?」ニコ、と振り返りながら換気用の窓を開ける柊さん。その笑顔にどぎまぎしながら、そうだね、と答える俺。でも夏の合間はさすがに蒸し風呂状態だろうけど。まあ夏休みに入れば、ここに来る事なんてないだろうけどね。
柊さんは本当に可愛いし綺麗だ。そしてこうやって何度か会って分かったけど、凄く性格もいい。気が利くし優しくて思いやりもあるし気配りも出来るし。頭が良いのは周知の事実だし運動神経が良いのも皆知ってる。本当に隙がない。……と思ってたけど。
「よいしょ、と」と言いながら、クッション用だろうか、厚めのマットがあってそこに慣れた様子で座る柊さん。俺も少し距離を置いて、横に座った。そして黙って二人で弁当を広げる。
「武智君のお弁当って必ず玉子焼き入ってるね」「ああ。これ大好物でさ、甘めの出汁巻き玉子なんだ」
「一個貰っていい?」「いいけど、お口に合うかどうか」
そう俺が返事する前に、えい、と箸を俺の弁当に伸ばし、玉子焼きを一個口に運ぶ柊さん。ん! 美味しいね! と満面の笑みを俺に返す。
……その素敵な笑顔につい顔が火が出たように熱くなる。相変わらず慣れない。本当可愛くて困るんだよな。
「でも良かった。こうやって武智君が来てくれるようになって」今度は自分の弁当に箸を入れながら、呟くように話す柊さん。
「そうみたいだね」と、同意する俺。完璧な超絶美少女、そう思ってたけど、柊さん、本当は寂しかったんだって分かったから。自身の容姿で色々苦労したのを、今までも何度か聞いていたし。普通ならそんな話、自慢じゃねーの? と思うんだろうけど、その話をした時の悲しそうな表情と、時折泣きそうになるのを見ている俺は、心底苦労してたんだな、と理解出来た。
柊さんはずっと独りぼっちだった。そして今もまた、安川さんという友達と中々昼飯を食えない。だから俺を誘う。柊さんは寂しがり屋さんだ。でも、それは仕方ない事だろうけど。
「俺が来なかったら、この建物の中で一人、雨音を聞きながら昼飯食ってたんだよな」そんな事考えてたからか、つい、口に出てしまった。しまった、と思う俺とハッと目を見開き俺を見つめる柊さん。でもすぐ、クスリと笑う。
「そうね。不定期な雨のリズムを聴きながら、一人ここでご飯食べるのも乙なんだけど、……その、やっぱり寂しいかな」
その言葉に、トン、トン、トン、と降りしきる雨が何かを定期的に叩く音につい耳を傾けてしまう。でも、こんな殺風景な建物で、雨の中女の子が一人で飯食うなんてなあ。
「じゃあ俺、役に立ったかな?」「うんうん。とても」フフ、と笑いながら、吸い込まれそうな黒い瞳で俺を見つめる柊さん。……綺麗な目。整った目鼻立ち。やや赤く染まっている頬。肩くらいまでの黒髪もサラサラで、って、何見つめ返してんだ俺!
慌てて視線を弁当に落とす。そして無意味にたこさんウインナーを口に運ぶ。やばい。凄くドキドキしてきた。今更ながら、この密室の中に柊さんと二人きり。そう考えたら、一気にドッと汗が噴き出してきた。あーもう! 意識すんなよ俺!
そこで突然、ピカ! ゴロゴロ! と大きな雷の音が聞こえ、ドドーンと地響きを感じるほど建物が揺れた。
「きゃああ!!」「おお!」つい大きな声が出てしまう俺達。
そして柊さんは、俺にヒシ、と抱きついてきた。
……え? いやちょっと待って! それはまずいよ柊さん! でも、どうやら柊さんは無意識のようで、俺の胸辺りで震えてる。更にピカ! ゴロゴロ! と再度雷の音が聞こえる。その度柊さんは、遠慮する事なく、俺にギュッと力を込め離そうとしない。
俺の胸に顔を埋めるようにしがみつく柊さん。サラサラの黒髪からは、シャンプーだろうか、いい匂いがする。柊さんの柔らかい何かが俺の体に当たってる。柊さんの息遣いが聞こえる距離。もしこのまま、柊さんが顔を上げたら、その距離はほぼないくらい、くっついてる。やや高い柊さんの体温まで感じ取る事が出来る状態。
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しかし、よっぽど雷が怖いんだな。つい引き離そうとか思ったけど、こんなにふるふる震えてる柊さんを無碍に出来ない。その様子がまた可愛らしくて、つい愛おしくなりそうになる。
さっきの地響きは、多分屋上にある避雷針に雷が落ちたんだろうな。そりゃ怖いよな。仕方ない。俺でよければ、頼りにして貰った方がいいか。少ししてから、ゴロゴロ、という雷の音が遠ざかっていった。
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「ご、ごめんなさい。つい」「いいよいいよ。そりゃ怖いよな」と、苦笑いする俺。未だ俺の心臓はバクバク言ってるけど。そして恥ずかしそうに俯く柊さん。そこで、キーンコーンカーンコーン、と昼休憩終了五分前の鐘の音が聞こえてきた。
「柊さん、行かないと」「そ、そうね」弁当は既に食べ終えてて片してあったから、二人急いで傘を手に持ち、未だ降りしきる雨の中、屋上入口へと走って行った。
そして俺は、手の濡れた感じが、雨のせいなのか汗のせいなのか、考えながら教室へ急ぐ。柊さんがくっついた時のあのドキドキ感は、以前疋田さんに感じた感情に似ていた。もし手汗なら、俺は柊さんの事……。
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