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その十六
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※※※
「はあ」
教室に辿り着き、自分の窓際の席に着いた途端、つい、深いため息をついてしまう私。開いた窓から入ってくる初夏の風は、普段ならきっと気分を上昇させてくれるはずなのに。サアァと教室を対流するように風が吹いてくる。時折私の黒髪をも、流れに沿い連れ去ろうとする。
新緑の香りを孕む心地いい風。でも、私の心の曇りまでは晴らしてくれない。
「絵になるわあ」「美しい、としか形容できない」「私もあれくらい美人だったら、人生変わったのかな?」
人生変わるわよ、と、つい周りでヒソヒソしている声に、心の中で突っ込んでしまう私。
「あ! おっはよー! 美久!」「おはよう、明歩」
そして元気よく挨拶しながら、一目散に私の席までダッシュしてきて、タックルのように私に飛びつく明歩。「ちょ、ちょっと、強い強い!」
「アハハー、ごめんごめん」全く! と怒る私に悪びれる様子でもなく、手を合わせ謝る明歩。本当、毎度ながら遠慮ないのよね。元気な証拠なんだけど。
「で? 何黄昏てた? 超絶美少女さん」「そういう言い方やめてよ」
「事実じゃーん?」そう言って指で私の鼻をつんつんする明歩。つい、その陽気な様子にフフ、と笑ってしまった。
「……ほんっと、笑っても綺麗だねえ。今マジで呆れた。で、惚れた」「あのねえ」
私、柊美久の唯一の友達と言っていいだろう、安川明歩は、ゴールデンウイークが終わってからは特に機嫌がいい。彼氏の三浦雄介君と、どうやら進展があったそうで。前から相談は受けていた。でも恋愛経験皆無の私に聞かれたところで、当然大した答えを伝える事は出来ないんだけど、明歩にとっては、聞いて貰えるだけでも嬉しいんだとの事。
「こんなに親身に聞いてくれるの、美久だけだよ」と、何故か私への評価は高い。
「ねえねえ美久。今日の昼、屋上行けない? ご飯一緒しようよ」「ええ、いいわよ」
じゃあ、後でね、とウインクしながら自分の席に戻る明歩。彼女も相当美人だから、その様は絵になる。恰好は派手目だけど。
そんな事を考えつつ、微笑みを明歩に返しながら、授業の準備をしようとしたら、誰かが私の肩をトントン、と叩いた。
「?」「えー、オッホン! わ、わわ、わた、く」
「どうしたの? 綾邉さん」「うひょい! え、えーと、えーとですね……」
何だかモゴモゴしてる綾邉さん。先日男子生徒と一緒になって、私を尾行しようとしてたのは憶えているけど、彼女は私が気づいていた、とは知らないはず。
「あ、あの」と、綾邉さんが何か言いかけたところで、始業のチャイムが鳴り響いた。
「ああ、なんてタイミング悪い! ま、また今度に、しといてあげるわよ!」と、捨てセリフ? を吐いてそそくさと自身の席に着いた。しといてあげる? ……一体何だったんだろう?
※※※
「青空が綺麗」
つい、突き抜けるような雲一つない、爽快な空を眺め呟いてしまう私。今はお昼ご飯の時間なので、約束通り明歩と共に屋上にいる。やはり高い場所だからだろうか、教室にいる時より一層爽やかな風が、私の体を撫でていく。
ここ、校舎の屋上の鍵は、生徒で持っているのは私のみ。校長先生の計らいで特別に借り受けている。一年生の頃、昼の休憩時間に、私見たさに大勢の生徒が教室に集まったり、時々他校の生徒がうまく警備をすり抜けて入ってきたりするので、校長が私の逃げ場として、屋上の鍵を貸してくれていた。
大袈裟だと思いつつも、確かにこれは有難かった。一人になれるのは助かるから。
私はこんなだから、友達は殆どいなかった。周りは私に遠慮していて、用事がない限り余り近づかない。男子生徒は尚更。周りがそう気を使うので、昼時は一人、ここ屋上でお弁当を食べている事が多かった。雨の日でも、屋根のある建屋があるので何とかなったし。
でも、三年生になってから、今隣でニコニコしながら体育館を眺めている安川明歩が、私にグイグイ遠慮せずやってきた。当初驚いたけど、私も別に周りを避けている訳じゃなかったから、そんな明歩とは次第に仲良くなった。
彼女は本当に良い子だ。真っすぐでひたむきで。彼女のおかげで、私は寂しい高校生活から解放されている。
「で、あそこに三浦君がいるわけだ」「えー? 何で分かったー? 美久ってもしかして何でも持ってるから超能力まで持ってたりー?」
いやいや。それだけニマニマしながら、開いたお弁当に手を付けずに体育館の方見つめてたら、そりゃ分かるよ。
「でも、今ってお昼だから、三浦君も私達みたいにご飯食べてるんじゃない? 空手道場見てたんでしょ? 多分いないと思うよ」
私に突っ込まれハッとする明歩。そしてちぇー、とか呟いて、その場にドカと胡坐をかいて座る。……元々スカート丈短いんだから丸見えなんですけど?
「そうだ、雄介とお昼食べるのもあり……ってそれは無理だあ」「なんで?」あ、もしかして私に気を使った? 明歩が三浦君とお昼ご飯食べたら、私は一人になるし。
「だって、雄介には武智君がいるからなあ」「……成る程」
そこでポンと手を打つ明歩。「そうそう、雄介に頼まれてた事があったんだ」
「あのさあ美久。武智君にきつく当たってるってほんと?」「……え?」
「雄介から聞いた。で、それが何でか聞いてくれって言われて。実はアタシ、美久の事も大好きだから、雄介に美久の事沢山話しちゃった。それでアタシが美久と仲良いの知って」
「……」そうだった。三浦君は武智君と仲良い。いつも一緒に学校に行っているの、さすがの私も知っている。三浦君が彼氏なら、そのうち武智君の事を、明歩経由で聞く事はあり得た。
因みに明歩は、私が武智君に対する態度を一度も見た事がない。私と武智君、そして三浦君も、始業の大体三十分前には学校に来てるけど、明歩はいつもギリギリ来るから。
……正直に言うべきか。いや、それは駄目。明歩には関係ない話だ。
「単に気に入らないだけ」「えー? どうして? 雄介から聞いてるけど、武智君、美久に一切何もしてないらしいじゃん」
そこまで聞いているのか。
「なんだかムカつくのよ」
「……」その言葉を聞いた明歩は、急にジト目になって私を見る。
「あのねぇ。美久がそんな理不尽な事言う子じゃないって知ってんだけど?」
「そうね。話したらきっと、明歩なら分かってくれてると思う」「なら……」そこで明歩は気づいてくれた。
「そっか。言えない事情があるんだね」
「うん、ごめん」
ジッと私を見たまま黙る明歩に、私は改めて話をする。真面目な顔で。
「私はね、明歩には本当に助かってて、私は明歩を友達だと思ってる。でも、それでも言えない。でも、いつかは言いたい。だけど、今日は許して欲しい」そして私は明歩に頭を下げる。
「アタシも美久はマブダチだって思ってるよ。特進科で浮いてるアタシと、こうやっていつも一緒にいてくれんだからさ。それでも言えないって事は」「……ごめん」それ以上は詮索しないで欲しい。明歩の目を見つめ訴える私。
しゃーないなあ、と言いながら、そんな私の頭をいいなりガシガシ強く撫でる明歩。「痛い痛い!」本当に痛かったので、明歩の手を払いのける。
そして明歩はやれやれ、とポーズし「雄介にはうまく言っとくよ」と、言ってくれた。
「ごめん。そしてありがとう」「なーに言ってんの! ダチでしょダチ!」今度はバーンと背中を叩く。ゴホ、ゴホとせき込んでしまう。
「もう! もうちょっと優しくしてよ」「えへへー、美久なら大丈夫かと思って」
どういう意味よ、と言いながらも、明歩と共に笑い合いながら、まだ手を付けていなかったお弁当を、二人して慌てて食べ始めた。
……どうせもう少しで終わる。それまでの辛抱なんだから。
「はあ」
教室に辿り着き、自分の窓際の席に着いた途端、つい、深いため息をついてしまう私。開いた窓から入ってくる初夏の風は、普段ならきっと気分を上昇させてくれるはずなのに。サアァと教室を対流するように風が吹いてくる。時折私の黒髪をも、流れに沿い連れ去ろうとする。
新緑の香りを孕む心地いい風。でも、私の心の曇りまでは晴らしてくれない。
「絵になるわあ」「美しい、としか形容できない」「私もあれくらい美人だったら、人生変わったのかな?」
人生変わるわよ、と、つい周りでヒソヒソしている声に、心の中で突っ込んでしまう私。
「あ! おっはよー! 美久!」「おはよう、明歩」
そして元気よく挨拶しながら、一目散に私の席までダッシュしてきて、タックルのように私に飛びつく明歩。「ちょ、ちょっと、強い強い!」
「アハハー、ごめんごめん」全く! と怒る私に悪びれる様子でもなく、手を合わせ謝る明歩。本当、毎度ながら遠慮ないのよね。元気な証拠なんだけど。
「で? 何黄昏てた? 超絶美少女さん」「そういう言い方やめてよ」
「事実じゃーん?」そう言って指で私の鼻をつんつんする明歩。つい、その陽気な様子にフフ、と笑ってしまった。
「……ほんっと、笑っても綺麗だねえ。今マジで呆れた。で、惚れた」「あのねえ」
私、柊美久の唯一の友達と言っていいだろう、安川明歩は、ゴールデンウイークが終わってからは特に機嫌がいい。彼氏の三浦雄介君と、どうやら進展があったそうで。前から相談は受けていた。でも恋愛経験皆無の私に聞かれたところで、当然大した答えを伝える事は出来ないんだけど、明歩にとっては、聞いて貰えるだけでも嬉しいんだとの事。
「こんなに親身に聞いてくれるの、美久だけだよ」と、何故か私への評価は高い。
「ねえねえ美久。今日の昼、屋上行けない? ご飯一緒しようよ」「ええ、いいわよ」
じゃあ、後でね、とウインクしながら自分の席に戻る明歩。彼女も相当美人だから、その様は絵になる。恰好は派手目だけど。
そんな事を考えつつ、微笑みを明歩に返しながら、授業の準備をしようとしたら、誰かが私の肩をトントン、と叩いた。
「?」「えー、オッホン! わ、わわ、わた、く」
「どうしたの? 綾邉さん」「うひょい! え、えーと、えーとですね……」
何だかモゴモゴしてる綾邉さん。先日男子生徒と一緒になって、私を尾行しようとしてたのは憶えているけど、彼女は私が気づいていた、とは知らないはず。
「あ、あの」と、綾邉さんが何か言いかけたところで、始業のチャイムが鳴り響いた。
「ああ、なんてタイミング悪い! ま、また今度に、しといてあげるわよ!」と、捨てセリフ? を吐いてそそくさと自身の席に着いた。しといてあげる? ……一体何だったんだろう?
※※※
「青空が綺麗」
つい、突き抜けるような雲一つない、爽快な空を眺め呟いてしまう私。今はお昼ご飯の時間なので、約束通り明歩と共に屋上にいる。やはり高い場所だからだろうか、教室にいる時より一層爽やかな風が、私の体を撫でていく。
ここ、校舎の屋上の鍵は、生徒で持っているのは私のみ。校長先生の計らいで特別に借り受けている。一年生の頃、昼の休憩時間に、私見たさに大勢の生徒が教室に集まったり、時々他校の生徒がうまく警備をすり抜けて入ってきたりするので、校長が私の逃げ場として、屋上の鍵を貸してくれていた。
大袈裟だと思いつつも、確かにこれは有難かった。一人になれるのは助かるから。
私はこんなだから、友達は殆どいなかった。周りは私に遠慮していて、用事がない限り余り近づかない。男子生徒は尚更。周りがそう気を使うので、昼時は一人、ここ屋上でお弁当を食べている事が多かった。雨の日でも、屋根のある建屋があるので何とかなったし。
でも、三年生になってから、今隣でニコニコしながら体育館を眺めている安川明歩が、私にグイグイ遠慮せずやってきた。当初驚いたけど、私も別に周りを避けている訳じゃなかったから、そんな明歩とは次第に仲良くなった。
彼女は本当に良い子だ。真っすぐでひたむきで。彼女のおかげで、私は寂しい高校生活から解放されている。
「で、あそこに三浦君がいるわけだ」「えー? 何で分かったー? 美久ってもしかして何でも持ってるから超能力まで持ってたりー?」
いやいや。それだけニマニマしながら、開いたお弁当に手を付けずに体育館の方見つめてたら、そりゃ分かるよ。
「でも、今ってお昼だから、三浦君も私達みたいにご飯食べてるんじゃない? 空手道場見てたんでしょ? 多分いないと思うよ」
私に突っ込まれハッとする明歩。そしてちぇー、とか呟いて、その場にドカと胡坐をかいて座る。……元々スカート丈短いんだから丸見えなんですけど?
「そうだ、雄介とお昼食べるのもあり……ってそれは無理だあ」「なんで?」あ、もしかして私に気を使った? 明歩が三浦君とお昼ご飯食べたら、私は一人になるし。
「だって、雄介には武智君がいるからなあ」「……成る程」
そこでポンと手を打つ明歩。「そうそう、雄介に頼まれてた事があったんだ」
「あのさあ美久。武智君にきつく当たってるってほんと?」「……え?」
「雄介から聞いた。で、それが何でか聞いてくれって言われて。実はアタシ、美久の事も大好きだから、雄介に美久の事沢山話しちゃった。それでアタシが美久と仲良いの知って」
「……」そうだった。三浦君は武智君と仲良い。いつも一緒に学校に行っているの、さすがの私も知っている。三浦君が彼氏なら、そのうち武智君の事を、明歩経由で聞く事はあり得た。
因みに明歩は、私が武智君に対する態度を一度も見た事がない。私と武智君、そして三浦君も、始業の大体三十分前には学校に来てるけど、明歩はいつもギリギリ来るから。
……正直に言うべきか。いや、それは駄目。明歩には関係ない話だ。
「単に気に入らないだけ」「えー? どうして? 雄介から聞いてるけど、武智君、美久に一切何もしてないらしいじゃん」
そこまで聞いているのか。
「なんだかムカつくのよ」
「……」その言葉を聞いた明歩は、急にジト目になって私を見る。
「あのねぇ。美久がそんな理不尽な事言う子じゃないって知ってんだけど?」
「そうね。話したらきっと、明歩なら分かってくれてると思う」「なら……」そこで明歩は気づいてくれた。
「そっか。言えない事情があるんだね」
「うん、ごめん」
ジッと私を見たまま黙る明歩に、私は改めて話をする。真面目な顔で。
「私はね、明歩には本当に助かってて、私は明歩を友達だと思ってる。でも、それでも言えない。でも、いつかは言いたい。だけど、今日は許して欲しい」そして私は明歩に頭を下げる。
「アタシも美久はマブダチだって思ってるよ。特進科で浮いてるアタシと、こうやっていつも一緒にいてくれんだからさ。それでも言えないって事は」「……ごめん」それ以上は詮索しないで欲しい。明歩の目を見つめ訴える私。
しゃーないなあ、と言いながら、そんな私の頭をいいなりガシガシ強く撫でる明歩。「痛い痛い!」本当に痛かったので、明歩の手を払いのける。
そして明歩はやれやれ、とポーズし「雄介にはうまく言っとくよ」と、言ってくれた。
「ごめん。そしてありがとう」「なーに言ってんの! ダチでしょダチ!」今度はバーンと背中を叩く。ゴホ、ゴホとせき込んでしまう。
「もう! もうちょっと優しくしてよ」「えへへー、美久なら大丈夫かと思って」
どういう意味よ、と言いながらも、明歩と共に笑い合いながら、まだ手を付けていなかったお弁当を、二人して慌てて食べ始めた。
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