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デムバックのギルドも異様だった
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※※※
「ここがそうみたいね」
ミーク達4人は警備隊長を縛ったまま一緒にギルドまでやって来た。ミークは先に屋内を赤外線スコープで見てみた。
「ちょっと待って。中に人が居る」
「おおー。漸く普通に人? に会えるのかにゃ?」
「でもまた喧嘩腰かも知れないよ?」
「……」
「? ミーク? どうしたのかしら?」
唯一中の様子が分かるミークの表情が徐々に強張っていく。
赤外線スコープでミークが見たのは、ギルドの中で女性に馬乗りになっている男の姿と、それを眺める様に外巻きに立っている数人の男達だった。
ミークは左腕をスッと切り離し、ドン、と超スピードで左腕だけでギルドの壁をバン、と突き破り中に飛ばした。
「え? な、何かにゃ?」
「急にどうしたミーク?」
突然の事にニャリルとエイリーが驚く声を上げる間もなく、中から「ぐわあ!」と男の叫び声が聞こえる。ミークはそれを合図と自身も中に飛び込む。他の3人もこれは只事では無い、と顔を見合わせた後、ミークの後に続いた。
そこには、ミークの左腕に喉笛を掴まれ空中にブランブランと浮かぶ筋骨隆々の男と、床で半裸になっている女性、更にそれを遠巻きに見ながら驚いている男達が見えた。
「グ、ググッ、は、離れねぇっ! 何だこりゃ!」
「あんた何してんの?」
左腕が無いミークが中に入ってきたのを見て、喉笛を掴まれ浮かぶ男と、他の男達も一様にギョッとする。だが直ぐ、それが超絶美女である事に気付くと、男達は皆ニヤリと嗤う。
「お、女だ!」「しかも超上玉!」
おおおー! と全体で声が上がるも「ちょっと待て! 腕! この腕こいつのじゃねーのか?!」と中の1人が叫ぶも、高揚してしまった男達は気にせず一斉にミークに飛びかかった。
「何だこいつ等」
蔑む様な呟きと共に、ミークは飛びかかってきた男達をスッと避け、そして男を掴んだまま、左腕を自分の身体に戻し、男をブン、ブンと振り回し襲ってくる男達を払い始める。
「ぎゃあ!」「うああ!」「ぐあああ!」
「お、お前等来るなあああ!! 俺が! 俺がああああ!!」
ミークに片手で掴まれ振り回される男が大声で皆を制す。その異常な光景に、周りの男達も一旦ミークに向かってくるのを止めた。そのタイミングでラミー達もギルドの中に入って来た。
それに気付いた男達は一斉に「「「「おおおお~」」」」と感嘆の声で出迎える。その大声がギルド内に響くと、入ってきた3人は人の多さにビクッとする。だが、意に介さないミークがすたすたと屈強な男を左手で掴んだまま、部屋の中心で半裸になっている女性の元に歩み寄るのを見ると、3人は大体の事が予想出来た。
「もしかしてこいつ等、あの女の人に酷い事してたの?」
「……そうみたいだにゃ」
「ミークは先にそれを知って助けたのね」
3人が入り口付近で留まりながらとりあえず様子を見ていると、喉笛を掴まれたままの男は「ゴ、ゴフォ」と変な声を出す。
「い……、息……、が……、し、死ぬ……」
「つーかそのまま死んでしまっても良いと思うけど、一応人間は殺しちゃいけないルールらしいし?」
ミークは不満気にその男をポイ、と他の男達の集団へ放り投げる。「うわあああ!」叫びながら飛んでいく男と、それを慌てて受け止める男達。
ミークはそんな男達の慌てる様を気にせず、異空間収納のポシエットから大き目の布を取り出し、呆気に取られている半裸の女性にそっと掛けた。
「大丈夫ですか?」
ミークがそう声を掛けると、女性は震えながら「……あなた達は?」と質問する。その問いに入り口付近にいたラミーが答える。
「私達はファリスから来た冒険者よ。この町の様子を見に来る様依頼を受けたのよ」
「冒険者……? 女性、なのに?」
「ええそうよ。皆冒険者なのよ」
ラミーがそう答えると同時に、部屋内の男達が一斉にドッと笑う。
「ギャハハハハ! 女なのに冒険者ぁ? 馬鹿じゃねーかこいつ等」
「大方受付嬢助ける為に嘘吐いてんだろ!」
「つーかこいつ等全員美女揃いだぞ!」
「おお確かに! いい加減俺等も受付嬢ばっかで飽きてたんだ! 丁度良い新しい生贄がやって来たなあ!」
男達が息巻いてそれぞれ笑いながらそう言うのを聞いて、4人は揃ってはあ~、と溜息を吐いた。
「さっきのミークの攻撃、見てなかったのかしら?」
「腕飛んでって身体でかい男担いでたのにね」
「馬鹿はそっちだにゃー」
ラミー達が呆れながらそう言うのを聞いた、先程ミークに喉笛掴まれ投げられた男は咳込みながら皆を静止しようとする。
「ゴホッ、ゴホッ! そ、そうだ! お前等ちょっと待て! こいつ等ちょっとおかしいぞ!」
「うるせぇ! 早い者勝ちだあ!」「お前だけ良い思いさせねぇぞ!」「そうだそうだ!」
男の声を掻き消す様に、他の男達は一斉に呆れた表情になっているミーク達に襲いかかる。だがミークはバン、と飛びかかってきた左の裏拳で男を殴って弾き飛ばし、ラミーは小さな風魔法を生成し同じく弾き飛ばし、ニャリルも上段蹴りを見舞いふっ飛ばし、エイリーも精霊魔法を腕に纏わせ一突きでふっ飛ばした。
「「「「うわあああ!!」」」」
各々男達の集団に飛んで帰って行く。またも慌ててそれらを受け止める男達。今度は打って変わってシーンと静まり返る。
「……何だこいつ等?」「弾き飛ばされた?」「あの赤毛は魔法使い?」「いや他の女も……」
呆気に取られる男達に構わず、他の3人も床で倒れていた女性の元へ駆け寄った。
「とりあえず、何があったから教えて貰えないかしら」
ラミーが女性にそう声を掛けると、女性は目から涙が溢れてくる。
「……私、私、助かるの?」
「良く分からないけど、多分そうなるにゃ」
ニャリルがにゃ! と言いながら笑顔でそう言うと、女性は「うわあああ~ん」と大声で泣き出した。
「辛かった……。もうこんな……、こんな屈辱……。うわあああ~ん!」
その場でわんわん泣いている女性を、ミーク達は悲しそうな目で見つめる。発見した時男が馬乗りになっていて、女性自身は半裸に剥がされていたその様子から、これまで何があったか想像がついたミーク達は、揃ってキッと遠巻きに見ている男達を睨みつける。
「ギルド長は何処かしら?」
「ここがそうみたいね」
ミーク達4人は警備隊長を縛ったまま一緒にギルドまでやって来た。ミークは先に屋内を赤外線スコープで見てみた。
「ちょっと待って。中に人が居る」
「おおー。漸く普通に人? に会えるのかにゃ?」
「でもまた喧嘩腰かも知れないよ?」
「……」
「? ミーク? どうしたのかしら?」
唯一中の様子が分かるミークの表情が徐々に強張っていく。
赤外線スコープでミークが見たのは、ギルドの中で女性に馬乗りになっている男の姿と、それを眺める様に外巻きに立っている数人の男達だった。
ミークは左腕をスッと切り離し、ドン、と超スピードで左腕だけでギルドの壁をバン、と突き破り中に飛ばした。
「え? な、何かにゃ?」
「急にどうしたミーク?」
突然の事にニャリルとエイリーが驚く声を上げる間もなく、中から「ぐわあ!」と男の叫び声が聞こえる。ミークはそれを合図と自身も中に飛び込む。他の3人もこれは只事では無い、と顔を見合わせた後、ミークの後に続いた。
そこには、ミークの左腕に喉笛を掴まれ空中にブランブランと浮かぶ筋骨隆々の男と、床で半裸になっている女性、更にそれを遠巻きに見ながら驚いている男達が見えた。
「グ、ググッ、は、離れねぇっ! 何だこりゃ!」
「あんた何してんの?」
左腕が無いミークが中に入ってきたのを見て、喉笛を掴まれ浮かぶ男と、他の男達も一様にギョッとする。だが直ぐ、それが超絶美女である事に気付くと、男達は皆ニヤリと嗤う。
「お、女だ!」「しかも超上玉!」
おおおー! と全体で声が上がるも「ちょっと待て! 腕! この腕こいつのじゃねーのか?!」と中の1人が叫ぶも、高揚してしまった男達は気にせず一斉にミークに飛びかかった。
「何だこいつ等」
蔑む様な呟きと共に、ミークは飛びかかってきた男達をスッと避け、そして男を掴んだまま、左腕を自分の身体に戻し、男をブン、ブンと振り回し襲ってくる男達を払い始める。
「ぎゃあ!」「うああ!」「ぐあああ!」
「お、お前等来るなあああ!! 俺が! 俺がああああ!!」
ミークに片手で掴まれ振り回される男が大声で皆を制す。その異常な光景に、周りの男達も一旦ミークに向かってくるのを止めた。そのタイミングでラミー達もギルドの中に入って来た。
それに気付いた男達は一斉に「「「「おおおお~」」」」と感嘆の声で出迎える。その大声がギルド内に響くと、入ってきた3人は人の多さにビクッとする。だが、意に介さないミークがすたすたと屈強な男を左手で掴んだまま、部屋の中心で半裸になっている女性の元に歩み寄るのを見ると、3人は大体の事が予想出来た。
「もしかしてこいつ等、あの女の人に酷い事してたの?」
「……そうみたいだにゃ」
「ミークは先にそれを知って助けたのね」
3人が入り口付近で留まりながらとりあえず様子を見ていると、喉笛を掴まれたままの男は「ゴ、ゴフォ」と変な声を出す。
「い……、息……、が……、し、死ぬ……」
「つーかそのまま死んでしまっても良いと思うけど、一応人間は殺しちゃいけないルールらしいし?」
ミークは不満気にその男をポイ、と他の男達の集団へ放り投げる。「うわあああ!」叫びながら飛んでいく男と、それを慌てて受け止める男達。
ミークはそんな男達の慌てる様を気にせず、異空間収納のポシエットから大き目の布を取り出し、呆気に取られている半裸の女性にそっと掛けた。
「大丈夫ですか?」
ミークがそう声を掛けると、女性は震えながら「……あなた達は?」と質問する。その問いに入り口付近にいたラミーが答える。
「私達はファリスから来た冒険者よ。この町の様子を見に来る様依頼を受けたのよ」
「冒険者……? 女性、なのに?」
「ええそうよ。皆冒険者なのよ」
ラミーがそう答えると同時に、部屋内の男達が一斉にドッと笑う。
「ギャハハハハ! 女なのに冒険者ぁ? 馬鹿じゃねーかこいつ等」
「大方受付嬢助ける為に嘘吐いてんだろ!」
「つーかこいつ等全員美女揃いだぞ!」
「おお確かに! いい加減俺等も受付嬢ばっかで飽きてたんだ! 丁度良い新しい生贄がやって来たなあ!」
男達が息巻いてそれぞれ笑いながらそう言うのを聞いて、4人は揃ってはあ~、と溜息を吐いた。
「さっきのミークの攻撃、見てなかったのかしら?」
「腕飛んでって身体でかい男担いでたのにね」
「馬鹿はそっちだにゃー」
ラミー達が呆れながらそう言うのを聞いた、先程ミークに喉笛掴まれ投げられた男は咳込みながら皆を静止しようとする。
「ゴホッ、ゴホッ! そ、そうだ! お前等ちょっと待て! こいつ等ちょっとおかしいぞ!」
「うるせぇ! 早い者勝ちだあ!」「お前だけ良い思いさせねぇぞ!」「そうだそうだ!」
男の声を掻き消す様に、他の男達は一斉に呆れた表情になっているミーク達に襲いかかる。だがミークはバン、と飛びかかってきた左の裏拳で男を殴って弾き飛ばし、ラミーは小さな風魔法を生成し同じく弾き飛ばし、ニャリルも上段蹴りを見舞いふっ飛ばし、エイリーも精霊魔法を腕に纏わせ一突きでふっ飛ばした。
「「「「うわあああ!!」」」」
各々男達の集団に飛んで帰って行く。またも慌ててそれらを受け止める男達。今度は打って変わってシーンと静まり返る。
「……何だこいつ等?」「弾き飛ばされた?」「あの赤毛は魔法使い?」「いや他の女も……」
呆気に取られる男達に構わず、他の3人も床で倒れていた女性の元へ駆け寄った。
「とりあえず、何があったから教えて貰えないかしら」
ラミーが女性にそう声を掛けると、女性は目から涙が溢れてくる。
「……私、私、助かるの?」
「良く分からないけど、多分そうなるにゃ」
ニャリルがにゃ! と言いながら笑顔でそう言うと、女性は「うわあああ~ん」と大声で泣き出した。
「辛かった……。もうこんな……、こんな屈辱……。うわあああ~ん!」
その場でわんわん泣いている女性を、ミーク達は悲しそうな目で見つめる。発見した時男が馬乗りになっていて、女性自身は半裸に剥がされていたその様子から、これまで何があったか想像がついたミーク達は、揃ってキッと遠巻きに見ている男達を睨みつける。
「ギルド長は何処かしら?」
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