隻腕のミーク ※近未来サイボーグ、SF技術を駆使し異世界のトラブルに立ち向かう

やまたけ

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面白くない面々

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 ※※※

「ふう……」

 ギルドを出て一息吐くミーク。外はもう夕闇が迫る時間帯。町の人達も既に家に帰ったのか大広場には既に誰も居ない。人気の無いその広場を魔石を使った街灯が照らし、幻想的な雰囲気を醸し出している。

 あれからギルド内にて、今後について色々話をしているとこんな時間になってしまった。思った以上に時間がかかった、とミークはやや疲れた表情を見せている。ネミルはまだ仕事がある(主に解体の手伝い)との事で、ミークは1人先に宿に戻る事にした。

「ラミーが私へ相談なしに、プラチナランクの話しちゃったのがなあ……」

 きっとミークも喜ぶだろう、という善意の気持ちだったらしい。その後ラミーから先走った事を謝られはしたのだが。正直ミークはありがた迷惑だと思っている。

「プラチナランクになると優先的に各町や都市に入れて貰えたり、各都市で良い宿を紹介して貰えたり、色々優遇されるみたいだけど」

 そしてこの世界ではプラチナランクは王族と同等の名誉とされている、らしい。

「それが一番要らないんだよな……」

 名誉を貰ったところで嬉しくも何とも無い。それがミークの本音である。

「まあ、冒険者たる者頂点を目指すってのは当然の事なのかも知れないけど、私の場合はたまたま自分にあってる職業が冒険者かな? って思っただけだし」

 推薦されただけで決まった訳でも無い。そもそも自分はまだシルバーランクな訳で、流石にゴールドランクを飛び超えてプラチナランクにはならないだろう。何にせよなるようにしかならないか、と、その事について考えるのをミークは一旦止める事にした。

 橙色に灯る街灯が醸し出す町の幻想的な風景を綺麗だなぁ、と眺めながら1人宿に向かい到着すると、相変わらず入り口の前は今日も美味しい夕食を求め行列が出来ていた。

「おお! 隻腕じゃねーか!」「あらミーク、こんばんわ」「ミーク! 是非俺とパーティ組んでくれ!」

 ミークを見つけた行列から色々声が飛んで来る。ミークは手を挙げながら会釈し、そして今日も忙しいであろう食堂を手伝おうと裏手の勝手口に向かうと、そこに女性2人が立っているのが目に入った。

「あれ? 今日の昼間の……」

「あ! ミーク!」

「お、お帰りなさいだにゃ!」

 それは男達に襲われそうになったところをミークが助けた猫獣人とエルフだった。挨拶した後何か言いたげにミークに視線を送っているが、何やらもじもじしながら黙っている2人。

「どうしたの? 何か話でもあるのかな? 私中手伝いたいから入るけど? てかニャリルも食堂の仕事あるんじゃないの?」

 ニャリルとは普段この宿屋の食堂で給仕として働いている、当に今目の前にいる猫獣人の事である。いつも一緒に働いているのでミークは当然名前を知っていた。

「「……」」

 だが、ミークがそう声をかけても2人は未だ何も話さない。ミークは首を傾げながら「じゃあ、行くね?」と声をかけ中に入ろうとすると、ニャリルと呼ばれた猫獣人が、「ちょ、ちょっと待って欲しいにゃ!」と突如ミークの腕を掴んだ。

「え? 何?」

 いきなり掴まれちょっと驚いたミーク。今度はエルフの女性が意を決した様に大きめの声を出した。

「私達を、鍛えて下さい!」

 そう言って頭を下げるエルフの女性。一方のミークは「どういう事?」と不思議そうな顔で聞き返すと、ずっと腕を掴んだままの猫獣人、ニャリルが説明を始めた。

「私達、強くなりたいんだにゃ。今日みたいに震えて何も出来ないのは嫌なのにゃ。男なんかに負けない位強くなりたいにゃ。でも戦い方を知らないにゃ。だから……」

「同じ女であるミークに教えて欲しい、そう思ったの」

 腕を掴んでいるニャリルがじっと上目遣いでミークを見る。傍にいるエルフも同様にミークを見つめている。

「成る程、そういう事か」

 2人の眼差しを見てから、ミークは虹色左目を用い2人の身体をスキャンし始める。そしてAIに2人の能力を分析させた。

 ーー猫獣人の方は筋繊維硬度と筋収縮力がこの世界の平均一般男性の5.2倍あります。それによる張力、俊敏性は全神経を使用した場合17.4倍増します。視力、聴力、嗅覚、皮膚感覚は3.7倍です。当に過去、地球に棲息していたとされるイエネコと同等の能力を持っています。但し魔素保有量は0ですーー

 ……魔素は持ってないけど凄いポテンシャルだよね。もう1人は?

 ーーエルフは筋収縮性、特に脚力がこの世界の平均一般男性の2.4倍あり、他、上腕筋僧帽筋の筋繊維と収縮力が異常発達しており3.7倍です。更に視力、聴力は8.7倍で三半規管が異様に発達しており、バランス感覚に優れていると考えられます。そして魔素を保有しており、魔法使いのラミーの魔素量を10000と仮定数値化した場合、100.87の魔素保有量ですーー

 ……ふむふむ。魔素もあるんだ。彼女も中々じゃない?

「……ミーク?」

「じっとあたし達を見つめてどうしたかにゃ?」

 ずっと黙ったまま2人を見つめ分析していたミークを訝しがる2人。ミークはハッとして「ああ、ごめんごめん」と返事する。

「ちょっと今2人の能力を調べてた」

「え? そうなの?」

「ミークってそんな事も出来るんだにゃ?」

 呆気に取られる2人。一方でミークは未だ2人を見つめながら、顎に手を当て少し考え込む。

 ……これだけの能力なら、さっき2人を襲った男達なんか足元にも及ばない。女は冒険者になれないっていう、この世界独特の変な先入観のせいでこの才能が埋もれちゃってるんだ。

「な、何かずっと見つめられると照れるにゃ」

「ミークみたいな美人なら尚更よね……」

 2人は何だか恥ずかしくなり揃って顔を下に向けたところで、ミークは徐ろに「よし!」と一声。

「私で良ければ戦い方教えるよ。2人はきっと強くなれる。それこそ昼間のあの男達なんか目じゃない位にね」

「ほ、本当かにゃ?」

「良いの?」

「勿論。でもとりあえず先に食堂手伝わなきゃ。それ終わったら3人で話しようか。夜遅くなるけど良い?」

「うん! 大丈夫!」

「あたしもこれから食堂の仕事する予定だから問題無いにゃ!」

 2人はぱっと顔を明るくさせ、ミークと共に嬉しそうに勝手口から中に入って行った。ニャリルはミークの腕を掴んだままで。

 ※※※

 次の日、ギルドの闘技場では、朝早くから夕方の今に至るまでずっと、貸し切り状態で女3人が戦闘訓練をしていた。

 1人は茶髪の頭に2つの茶猫耳が付いている、目がぱっちりした睫毛の長い、瞳孔が縦長の瞳をした可愛らしい顔の、ふさふさの茶虎模様の尻尾が出ている猫の獣人。そしてもう1人は、肩にかかる程度のブロンドの髪でエメラルドグリーンの切れ長の美しい瞳。耳は人族と比べ横にやや長く尖っているエルフ。どちらも整ったプロポーションで、美人と言うにふさわしい容姿である。

 そしてそんな2人より更に目立つ美しい容姿の黒髪の超絶美女。彼女は2人が土煙で衣服を汚しながら、肩で息をしつつ対戦しているのを見守っている。

「ニャリル、さっき言った通り、得意の敏捷性を使ってインアンドアウトを繰り返して相手を撹乱する。そして狙うは相手の関節。殆どの生き物には関節があり大抵は急所だから、きちんと狙う様に」

「に、にゃ!」

「エイリーはニャリルみたいな近接攻撃じゃなく、本来遠距離でターゲットを狙撃する能力が高いけど、それでも相手が近づいた際の攻撃手段は覚えておかないといけない。だからニャリルとの組み手を練習してるけど、同様に相手の関節を狙うようにね。その狙うという行為が、スナイプ能力を向上させるきっかけになる」

「は、はい!」

 因みにエイリーとはもう1人のブロンド髪が美しいエルフの事である。

「じゃ、いくにゃ!」

「はい!」

 ニャリルがエイリーに瞬速を活かして一気に間合いを詰める。それをピーカーブースタイルで身構え攻撃を防ごうとするエイリー。だがニャリルは間合いを詰めただけで攻撃をしない。それに気付いたエイリーは「はっ!」と上段蹴りをニャリルに見舞う。だがそれをバックステップで躱し、空を切ったエイリーの膝関節に「にゃ!」と声を出しながら拳を下ろす。

 だがエイリーは「ほっ!」と足を折り畳みニャリルの拳を膝で受け止め、ニャリルの拳の勢いそのままに地面にニャリルを受け流した。そして今度はエイリーが裏拳でニャリルの首筋を狙う。だがそれをニャリルがガシ、と受け止めた。

 そこでミークがパンパン、と手を叩き、「オッケー、一旦ストップ」と2人に声を掛けた。

「2人共良い感じじゃん。勿論まだまだパワーは足りないけど、指導した通り関節狙えてるね。しかも2人共速いし体幹良いよね」

「た、たいかん? って何だにゃ?」

「インナーマッスルって言って、身体の内側にある筋肉の事かな。そこが強いと色んな動きが素早く出来る様になる。簡単に言うと2人共素質あるって事だよ」

「ほ、本当?」

「本当本当。これまで冒険者目指さなかったの勿体無いって思う位」

 ミークがそう言うと2人は嬉しそうに笑顔になった。

 因みにここは楕円形になっていて、囲む様に上段に観客席が置いてある。ここでは以前より冒険者認定試験が行われ、誰でも見に来る事が出来る。ミークがファリスに来てギルド長のラルによって冒険者認定試験を受けたのもここである。そしてファリスは既に冒険者が沢山いて、これからなろうとする者は殆ど居ない。よって認定試験が行われる事がほぼ無いので、この闘技場も最近は滅多に使用されておらず、今年に入ってからはミークの認定試験と、先日バルバがミークに戦いを挑んだ時以外使用されていなかった。

 そんな、普段殆ど使用されない闘技場にて女が戦闘訓練をしている。娯楽の少ないここファリスにおいて、そんな面白そうなものを見に行かない訳にはいかないと、先程魔物の死体を運んでギルドに預けてきた冒険者の男3人が、噂を聞きつけニヤニヤしながら冷やかしにやって来た。

「おいおい、マジでやってやがるぜ」

 観客席となっている上段から、眼下に居る女達を指差しガハハハと嘲笑する男。他の男は「本当だ」と呆れ「ったく、ミークも何の酔狂なんだか」と呟く。

「まあ自分が強いから他の女も強くなって貰いたいんじゃねーか? 仲間がほしいとか?」

 他のもう1人がそう言うと、「あー、あり得るかもな」と返す、最初に嘲笑した男。

「お? あいつらニャリルとエイリーじゃねぇか? ったく、2人共美人なんだから、冒険者みたいなお転婆な事しなくても良いのにな。男に困る事も無ぇだろうに」

「違いねぇ。その美貌で男に取り入って、で、子どもこさえて家事やってりゃあ、それなりの生活が出来るだろうにな。女は黙って男の帰りを待ってりゃ良いんだよな」

「そうそう。何なら俺が家で飼ってやっても良いぜ? 猫獣人なだけになあ!」

 最後の男の言葉に、同意する様に皆でガハハハ! と大笑いする3人。そしてエイリーとニャリルは共にピクリと眉を上げた。2人は共に耳が良いので男達の話し声が自然と耳に入って来る。蔑みこちらを見て嗤う男達をキッと睨みつけるニャリルだったが、直ぐ様対面しているエイリーに向き直った。

「そうそう。あんな連中放っておいて集中」

 ミークがそう言うと、ニャリルは「にゃ!」と返事する。

 そして、「じゃ、エイリー、もう1度にゃ! うにゃあ!」とエイリーに瞬速で距離を縮めるニャリル。だがそれを「よっ!」と半身下げて躱し、エイリーはそのままニャリルの首に手刀を入れようとする。

 だが「うにゃ!」と背後の手刀を察知し、くるりと横一回転して地面にうつ伏せるニャリル。そしてバッとバネの様に飛び上がり、直ぐ様エイリーの首筋目掛け蹴りを入れる。だがエイリーはその足をガシ、と掴んで「えい!」と思い切り引っ張りニャリルを仰向けに転がした。

「うぎゃ!」「好機!」

 エイリーはそのままニャリルに馬乗りになる。だがそこで「はい、ストップ」とミークが先程同様パンパンと手を叩き2人を止めた。

「ニャリル、反応は良かったけどそれじゃ今みたいに無防備になる。エイリーは明らかに力負けしちゃうから、馬乗りになるのは悪手だよ」

「はあ、はあ……。そ、そうなのにゃ」

「はあ、はあ……。な、成る程」

 ミークの指導を聞きながら、2人は離れ少し距離を置き膝に手を置き肩で息をする。

「でも2人共良い感じだったよ。今日が初めての訓練とは思えない位動きが良い。本当センスあるよね。しかも今日朝からずっと訓練してるのに、夕方になった今でもこれだけ動けるって相当体力もある。きっとまた近いうち試験受けられるよ」

「ほ、本当かにゃ?」

「で、でも大丈夫かな? 」

「大丈夫大丈夫。私が保証する。ていうか、あそこで呑気に見下ろしてる男達なんか直ぐ越えちゃうよ」

 そう言ってミークは闘技場の上段の一箇所をチラリと見る。その視線に気付いた男達は、気不味そうに皆一斉にサッと視線を反らした。

「よぉーし! じゃあもっと頑張る! ニャリル! 休憩終わり!」

「分かったにゃ!」

 初めての戦闘訓練。2人は相当疲労が溜まっている筈なのに、ミークの言葉で発奮した模様。2人は体中をパンパンと叩いて気合を入れ直し、肩で息をしながらも互いにピーカーブースタイルで相構える。そしてまたも2人は汗と土煙にまみれながらも訓練をし始めた。

 因みに彼女達を小馬鹿にしていた男達はこの2人の事を良く知っている。受付嬢のネミルと共にファリスの中でも美人として名が通っているからだ。だが、眼下で必死に訓練をしている彼女達は、これまで彼等が知っていた様な弱々しい、この世界の一般の女の姿では無かった。

「「「……」」」

 当初嘲笑していた男達は彼女達の動きを見て徐々に言葉を失っていく。2人の機敏な戦いぶりは、普段命を懸けながら魔物と戦っている彼等からみても、明らかにセンスが有ると気付いてしまう。勿論ミークの指導の賜物もあるだろう。だがそれを加味したとしても、彼女達は明らかに才能がある、と分かってしまい、男達は徐々に考えを改め始める。

「あいつら……、思ったより動き良いじゃねぇか」

「ああ、このままだと……」

「……マジで冒険者になっちまうかもな」

「ガハハ! 流石にそれは……、常識的に考えて無理だろ。だって女だぜ?」

「ああ。あいつらは女だ」

「……女如きが、冒険者目指すだと? ミークはともかくとしてよぉ。巫山戯るのも大概にしろってなあ」

 男達の表情が真顔になる。怒りを滲ませている様にも見える。嘲笑しに来たつもりの彼等は、面白く無さそうに「チッ」と舌打ちを残し、闘技場を後にした。
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