34 / 34
愛を探せ
しおりを挟む
「ここにあるのです! 愛が!」
鈴の音のような愛らしい声で、高らかに言い切ったその少女は、
「なので! あなたもそれを見つけるために手伝うのです!」
ゴミ山の上からビシリ! と、私を指さし命令した。
ここは、近所のゴミ山だ。ほとんど誰も寄り付かず、不法投棄者がゴミを捨てに来るだけの場所。
なぜ私が、そんな所にいたのか。それは、十分ほど前に遡る。
「ぅあ~……」
眠りの浅い私は、またいつものように日が昇る前に起きてしまった。
ああ、まだ仕事まで時間がある。朝飯にも早い。何をしようか。
そんなことを考えていた、その時。
ゴオオオオオォォォォ──……ドッカァァン!!
そんな、訳の分からない音が、外でした。
何かが落ちた、爆発した。とにかく確認しようと、外へ出る。
と、
「……はぁ?」
近所で有名なゴミ山辺りが、光っているのが目に入った。燃えている明かりではない。ともすれば、竹取のかぐや姫の竹が光るような、綺羅びやかな光だった。
なんだあの怪異現象。
それを見つめたまま突っ立っていると、ご近所さんもわらわらと出てくる。
「なにあれ?」「なんだ?」「すごい音がしたよ」「なんか光ってない?」
役所にでも電話するか、と誰かが言った時。
キィィィ────!!
耳鳴りのような音が、大音量で、それこそ五千倍くらいには増幅されて、辺り一帯に響いた。
「うぎゃっ?!」
私は思わず耳を塞ぎ、うずくまる。
暫くして、音は止み。
気付けばゴミ山の前にいた。そしてその上には、仁王立ちした、白いワンピースの少女。今は冬なのに寒くないのかと、聞きたくなったが、その前に。
「あなたが! 選ばれたのですね! 愛を探すために!」
少女が私を見下ろしながら、そう叫んだ。
こんな次第だ。
鈴の音のような愛らしい声で、高らかに言い切ったその少女は、
「なので! あなたもそれを見つけるために手伝うのです!」
ゴミ山の上からビシリ! と、私を指さし命令した。
ここは、近所のゴミ山だ。ほとんど誰も寄り付かず、不法投棄者がゴミを捨てに来るだけの場所。
なぜ私が、そんな所にいたのか。それは、十分ほど前に遡る。
「ぅあ~……」
眠りの浅い私は、またいつものように日が昇る前に起きてしまった。
ああ、まだ仕事まで時間がある。朝飯にも早い。何をしようか。
そんなことを考えていた、その時。
ゴオオオオオォォォォ──……ドッカァァン!!
そんな、訳の分からない音が、外でした。
何かが落ちた、爆発した。とにかく確認しようと、外へ出る。
と、
「……はぁ?」
近所で有名なゴミ山辺りが、光っているのが目に入った。燃えている明かりではない。ともすれば、竹取のかぐや姫の竹が光るような、綺羅びやかな光だった。
なんだあの怪異現象。
それを見つめたまま突っ立っていると、ご近所さんもわらわらと出てくる。
「なにあれ?」「なんだ?」「すごい音がしたよ」「なんか光ってない?」
役所にでも電話するか、と誰かが言った時。
キィィィ────!!
耳鳴りのような音が、大音量で、それこそ五千倍くらいには増幅されて、辺り一帯に響いた。
「うぎゃっ?!」
私は思わず耳を塞ぎ、うずくまる。
暫くして、音は止み。
気付けばゴミ山の前にいた。そしてその上には、仁王立ちした、白いワンピースの少女。今は冬なのに寒くないのかと、聞きたくなったが、その前に。
「あなたが! 選ばれたのですね! 愛を探すために!」
少女が私を見下ろしながら、そう叫んだ。
こんな次第だ。
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
一人用声劇台本
ふゎ
恋愛
一人用声劇台本です。
男性向け女性用シチュエーションです。
私自身声の仕事をしており、
自分の好きな台本を書いてみようという気持ちで書いたものなので自己満のものになります。
ご使用したい方がいましたらお気軽にどうぞ
【ショートショート】雨のおはなし
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる