天ヶ崎高校二年男子バレーボール部員本田稔、幼馴染に告白する。

山法師

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22 デート⑤

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「じゃ、そろそろ帰るわ」

 コントローラーを置いて、そう言った俺に、

「えーもう?」

 晶が不満そうな声を上げる。

「倒せたし。つーかもう五時だからな。日向さんとか、流石にもう帰ってくるだろ?」

 というより帰ってきて欲しい。
 家を出るタイミングが掴めない。

「んむぅ……」
「ほら、また明日会えるんだから、な?」
「むぅ…………分かった……」
「じゃ、食器洗い済ませたら出るから」
「え? あ、いいよ、やっとく」
「いーから」

 俺はローテーブルの上の二つのコップを持ち、キッチンへ向かう。
そしたら、「いいのに……」と言いながら晶がついてくる。
 俺が流しにコップを置いて、洗おうとしたら、

「……どうした」

 晶が後ろから抱きついてきた。

「……もう帰っちゃうから、稔を補給してます」
「そうか」

 よく分かんないけど、可愛いからいいか。
 俺は手早く、そのコップ二つを洗い、水切りのラックに置いて、

「終わったぞ」
「どうぞ、このままで」
「……」

 俺がゆっくり歩きだすと、晶は俺を抱きしめたままついて来る。俺は、ソファに置いておいたジャケットを手に取り、

「……」

 持ったまま玄関へ行き、

「ほら、流石に靴が履けないから」

 そしたら、ぎゅっ、と一回力を込められ、手を離された。
 俺は靴を履き、晶へ振り向いて、

「今日、どうだった?」
「え?」
「いや、楽しめたかなって」
「……楽しかったし、嬉しかった。……けど」

 晶は顔を俯かせて、

「それがもう終わりになっちゃうの、寂しい……」

 ……ああもう帰りたくねぇなぁこのやろうが。

「……晶」
「なに……ひゃっ?」

 俺は晶を抱きしめて、

「また、明日な」
「……うん」

 晶は、抱きしめ返してくれた。


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