天ヶ崎高校二年男子バレーボール部員本田稔、幼馴染に告白する。

山法師

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20 デート③

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「ただいまー」
「お邪魔します」

 晶の家に上がれば、

「おかえりー、いらっしゃーい」

 日向がリビングで、大きなカバンに何やら色々と詰めていた。

「お姉ちゃんなにそれ」
「いやね、お父さんがさ、なんか自治会に使うから持ってきてくれって」

 日向は物を詰め終えると、それを持って、

「じゃ、入れ替わりになっちゃうけど、行ってきます。あ、稔は何も遠慮せず、ゆっくりしてってね」

 出て行ってしまった。

「……」
「……」

 晶と顔を見合わせる。
 ……二人きり……いや、去れ煩悩。
 俺はゲームをしに来ただけだ。

「……ゲームするか」
「う、うん。えと、カバン置いてくるから待ってて」
「おお……」

 リビングを出ていく晶を見送り、どうするか少し考え、ソファに座って待っていることにした。
 ジャケットを脱ぎながら、考える。晶の家に上がるなんて数年ぶり……何年ぶりだろうか。中学の初めの頃からもう、食べ物なんかのおすそ分けをしに行くくらいしかしてなかったから、少なくとも、四年……?

「……はぁ」

 ソファに座って、辺りをなんとなく見ていたら、

「……まだ持ってんだ」

 俺の視線の先にあるのは、テレビ台の上に置かれた、コロンと丸い、紙粘土で出来たウサギの置物。小学校の低学年の頃、晶と一緒に児童館の工作教室で俺が作ったものだ。晶のほうは猫の置物を作って、俺にくれた。
 互いに、出来上がったら交換しようと言って作り始めて、俺は晶にあげるのだからと、出来るだけ丁寧に作った、という記憶がある。晶がくれた猫の置物も、当然の如く俺の家にある。

「おまたせ」
「おう」

 戻ってきた晶は、「ちょっと待っててね」と言い、テレビの電源を入れ、ゲーム画面の接続に切り替え、今話題のFFの最新作をセットする。

「私もちょっとやったけどね、こう、作り込みがすごい。映像もストーリーも。テレビを買い替えて綺麗な画面でやりたいなぁ、とか思っちゃう。はいこれ」
「おお」

 コントローラーを受け取ると、晶がスイッチを入れ、ゲーム画面が映し出される。

「どうせなら最初からやろうよ。チュートリアル前の世界観設定の説明から凝ってるから」
「なら、最初から」

 そして晶が俺の隣に座り、俺はその近さに少し緊張しつつもゲームを開始した。


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