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6 昼から午後へ①

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 午前の授業が終わり、教室内がざわつき出す。俺はカバンから弁当を取り出し、晶のクラスに行こうとして、動きを止めた。
 ……あいつは、どうして俺と食べたいと思ってんだろうか。
 昨夜の『答えを保留にさせて』という晶の言葉によって、宙ぶらりんの立場になった俺は、午前の授業もなんだか上手く身に入らなかった。
 晶は、真面目で素直な性格をしてる。俺の気持ちに応えられないと言ったのも本音だろうし、俺が他の誰かと付き合うのを嫌がっているのも、恐らく本当の気持ちだろう。
 で、要するにそれが何を意味するのか? ということだ。
 キープしたい、とかいう意味ではないだろう。晶は、そういうクソみたいな思考は出来ない。誰にでもまっすぐであろうとする。

「……」

 希望的観測をしたくなる。本当は、もしかして、と。
 だがそれが違ったら、俺の心は今度こそ、昨日の比でなくバキバキの粉々に砕け散るだろう。

「稔、メシ行こうぜ」

 いつも昼をともにしてる友人たちが、動かないでいた俺の所にやって来た。

「……それなんだが……」
「稔ー? いるー?」

 本当マジなんでこのタイミングで来るかな。
 二人の友人に挟まれながら、晶はキョロキョロと教室内を見回し、「あ、いた」と言った。そして、躊躇いなく教室に入ってきて、一直線に俺の所にやってくる。
 で、俺の机の周りに居た友人たちに顔を向けると、

「あ、もしかして、稔とご飯食べる予定だった?」
「へ? え、あ、うん、そうだけど……?」
「じゃあみんなで一緒に食べる? 私のほうも、友達が一緒に食べるって言ってるし」
「???」
「晶、説明が全然足りない」
「え、そう?」

 不思議そうな顔をするな。
 俺は吐きたくなった溜め息を堪え、友人たちに説明をする。

「──で、俺たちと晶たちで一緒に食べないかってことだろ?」
「そうそう。さすが稔」

 満足気に頷くな。……で、友人たちを見れば、

「いいの? マジ?」

 その目が輝いている。……いつも男だけで食ってたもんな。

「いいと思うよ。あ、でも一応確認するね。ちょっと待ってて」

 晶はこちらがなにか言う前に行ってしまい、晶を待っていた友人たちに何事か話し、

「いいってー!」

 とこちらに向かって笑顔で手を振った。
 ホント、その笑顔マジ、本当になんなの?


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