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32 光海の家
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「で、ここが我が家です」
「……ああ」
学校から、そのまま二人で帰ってきて。橋本はウチを──成川家を、見上げた。
うん。三階建てだしね。
鍵を開け、ドアを開ける。
「ただいまー」
「……お邪魔します……」
橋本を連れて玄関に入って、
「まず、私の部屋に行きます」
「お、おう」
緊張しているらしい橋本を連れて、階段を登っていく。
家族には、事前に──ていうか、愛流がねだったのを承諾された時点で──橋本が来ることを伝えてある。で、今日は、当たり前に平日であり、父母は仕事があり、大樹も愛流も、彼方も学校がある。勇斗は保育園だ。祖父母は残ろうか、と行ってくれたけど、マシュマロの散歩を優先してもらった。
のを、橋本には伝えてある。
三階まで上がり、
「このまま登ると屋上です」
「屋上、あんのか」
「はい。で、私の部屋はこっちです」
と、三部屋あるうちの一番奥の部屋の前へ。
「間違ってマシュマロが入らないように、鍵がついてます」
と、言いながら、鍵を開け、ドアを開く。
「どうぞ」
「……どうも……」
おっかなびっくり、って感じで、橋本が部屋に入る。
私の部屋は、フローリングで、八畳分の広さがある。一番端なので、窓は2つ。ベッド、本棚、勉強机、ローテーブル、あと、窓の無い側にクローゼットがついている。床にはラグを敷いている。
「まあ楽に、初めての人の部屋で楽って難しいでしょうけど。楽にして下さい」
言いながら、勉強机の上に、カバンを置く。
「あ、座布団じゃなくて薄いクッションならありますけど、使いますか?」
「ああ、うん、頼む」
クローゼットを開き、丸いクッションを2つ取り出す。それを、ローテーブルの前に並べて置く。
「では、飲み物持ってきますね。紅茶とコーヒー、どっちが良いですか?」
「あ、や、その前に、な。これ」
橋本はリュックから、薄い箱を取り出した。カメリアのものだ。
「手土産的な、やつ。リーフパイ」
「わ、ありがとうございます。なら、お茶うけで出しますね」
箱を受け取り、紅茶で、と確認して。
「じゃ、待ってて下さい」
言って、部屋をあとにした。
◇
落ち着かない。その一言に、全てが集約されている。
一応、勉強のために来たんだから、と、2つ並べられたクッションの、右の方に腰を下ろし。
「……」
一応ってなんだ。と、橋本涼は、自分に突っ込んだ。
こういう部屋が好きなのか、どうなのか。橋本は教材を出しながら、そろり、と室内を見回す。
クリーム色の壁、敷かれているラグもクリーム色。カーテンは薄い緑で、出されたクッションは薄いグレー。ベッドもクリーム色の系統らしい。
クリーム色が好きなのか、薄い色が好きなのか。
そして、それとは別に、ここまでを見ていて、橋本は気になった。
家が、新築のようだ、と。
思ったところで足音がして、
「おまたせしました。入って良いですか?」
と光海の声がし、橋本は努めて冷静に、返事をした。
◇
紅茶2つ、お皿に乗せたリーフパイ6枚、を、トレーからローテーブルに移す。トレーは机の上に置き、カバンを持ち、ローテーブルに座って、
「さあ、始めましょう」
勉強を始めて、一時間ほど。橋本の緊張も解けてきたらしく、いつも通りな感じだ。
それと、そろそろ、愛流が帰ってくる頃だけど……。
ただいま、と、愛流の声がした。
「あ、帰ってきましたね」
「おお、あの」
「はい。迎えに行ってきます」
で、部屋を出て、階段の所で。
「あ、お姉ちゃん。靴、あれ、橋本さんだよね?」
「そうだよ。おかえり。失礼のないようにね」
「分かってるって。あ、ただいま」
大丈夫か。
そんな感じで、勉強は一回中断。愛流は、私の部屋で、橋本の写真を撮り始めた。
立ってくれます? で、5枚ほど。
座ってくれません? を数パターンでまた何枚か。
私と並んで立ち、また数枚。背中合わせで数枚。
「愛流、そろそろ30分くらい経つよ」
「え、もう少し……まあ、いっか! それは次回で!」
「次回って、愛流よ。橋本さんが困るでしょ」
「え、駄目です?」
「え、や、このくらいなら、別に」
橋本を見れば、少し戸惑っているけど、そのくらい。
「じゃ、愛流。次もこんな感じでね?」
「了解! じゃ! この勢いのままにラフ書くから、橋本さん、失礼します!」
愛流は、風のように出ていった。
「橋本さん、どうします? 少し、休憩します?」
「あ、ああ、じゃあ……あ、屋上、あるんだよな? 行ってもいいか?」
「あ、はい。大丈夫ですよ。じゃ、行きましょうか」
そして、屋上の鍵──5桁の数字を合わせる南京錠タイプ──を、開けて。ドアの横の棚にあるサンダルを手に取り、橋本にもサンダルを持ってもらって。
「ここが我が家の屋上です」
「へー……」
高めの柵と、ほぼ障害物の無い、ゴム質の床。
「一応説明しますと、ああいう鍵なのは、マシュマロと勇斗、4歳児が間違ってここに出てこないようにです。柵が高いのも同じ理由です。まだだとは思いますが、祖父母と散歩に行っているマシュマロが帰って来るかも知れませんから、、一旦、鍵を閉めました。こっちからの鍵はすぐに開きます」
「はー……1個、聞いていいか?」
「なんですか?」
「家がさ、こう……新しい感じに、見えるんだけど」
「あ、そうですね。3年ほど前に、増改築しました。祖父が当てた宝くじのお金で。屋上もその時に作りました」
「なるほどね」
橋本は、柵に近寄る。柵、2メートルあるんだけどな。180超えの橋本を見ると、まだ低いんじゃないかって思ってしまう。
「はー……結構見えるんだな。この辺の家、2階までが多いからか?」
「そうだと思います」
柵に添って歩いていく橋本の、後ろを歩く。
「──あ」
橋本が足を止め、少し遠くを見た。
「ああ、ご自宅ですね」
視線の先は、カメリアだ。
「……なあ、成川」
「なんですか?」
「また、ここ、来ていいか?」
「はい。どうぞ」
「あの店にも、行っていいか。フランス料理の」
「はい。お待ちしてます」
「あと、また、家、来てくれないか。……会って欲しい、人が居る」
「分かりました」
「あと、さ、名前」
名前?
「光海って、呼んで良いか?」
橋本が、こっちを見た。泣くのを我慢してるような、笑顔だった。
「いいですよ。橋本さ……んん? どうしましょう? 私も名前で呼んだほうが良いですか?」
なんか、不公平な気がする。なんの不公平かは、分かんないけど。
橋本は、ぽかんとして、けど、すぐ、その顔は、真面目なものになった。
「お前、光海が、良いなら」
「じゃ、そうします。涼さん……涼さん……涼くん……涼ちゃん……?」
なんか、違和感があるな。うつむき加減に考えていたら。
「……お前、ホント、マジ、そういうの……」
橋、……涼、暫定『涼』が、しゃがみこんでうつむいていた。
「あ、すいません。嫌でした? 戻しましょうか」
「違うわ。名前で呼んで欲しいんだよ」
大丈夫らしい。
「えー……なら、涼、で、良いですか?」
「ああ」
「勉強、どうします? 再開します? もう時間ですけど……」
「……光海の、このあとの、予定は」
「えっと、7時半に夕食の予定なので、それまでは、勉強を」
「じゃあ俺も、そうする。いいか」
「私は構いませんが……ご自宅へは」
「今から連絡する。いつも夜、遅いから、大丈夫だと思う」
「分かりました。……では、戻ります?」
「ああ」
涼は、スクっと立ち上がった。
「……ああ」
学校から、そのまま二人で帰ってきて。橋本はウチを──成川家を、見上げた。
うん。三階建てだしね。
鍵を開け、ドアを開ける。
「ただいまー」
「……お邪魔します……」
橋本を連れて玄関に入って、
「まず、私の部屋に行きます」
「お、おう」
緊張しているらしい橋本を連れて、階段を登っていく。
家族には、事前に──ていうか、愛流がねだったのを承諾された時点で──橋本が来ることを伝えてある。で、今日は、当たり前に平日であり、父母は仕事があり、大樹も愛流も、彼方も学校がある。勇斗は保育園だ。祖父母は残ろうか、と行ってくれたけど、マシュマロの散歩を優先してもらった。
のを、橋本には伝えてある。
三階まで上がり、
「このまま登ると屋上です」
「屋上、あんのか」
「はい。で、私の部屋はこっちです」
と、三部屋あるうちの一番奥の部屋の前へ。
「間違ってマシュマロが入らないように、鍵がついてます」
と、言いながら、鍵を開け、ドアを開く。
「どうぞ」
「……どうも……」
おっかなびっくり、って感じで、橋本が部屋に入る。
私の部屋は、フローリングで、八畳分の広さがある。一番端なので、窓は2つ。ベッド、本棚、勉強机、ローテーブル、あと、窓の無い側にクローゼットがついている。床にはラグを敷いている。
「まあ楽に、初めての人の部屋で楽って難しいでしょうけど。楽にして下さい」
言いながら、勉強机の上に、カバンを置く。
「あ、座布団じゃなくて薄いクッションならありますけど、使いますか?」
「ああ、うん、頼む」
クローゼットを開き、丸いクッションを2つ取り出す。それを、ローテーブルの前に並べて置く。
「では、飲み物持ってきますね。紅茶とコーヒー、どっちが良いですか?」
「あ、や、その前に、な。これ」
橋本はリュックから、薄い箱を取り出した。カメリアのものだ。
「手土産的な、やつ。リーフパイ」
「わ、ありがとうございます。なら、お茶うけで出しますね」
箱を受け取り、紅茶で、と確認して。
「じゃ、待ってて下さい」
言って、部屋をあとにした。
◇
落ち着かない。その一言に、全てが集約されている。
一応、勉強のために来たんだから、と、2つ並べられたクッションの、右の方に腰を下ろし。
「……」
一応ってなんだ。と、橋本涼は、自分に突っ込んだ。
こういう部屋が好きなのか、どうなのか。橋本は教材を出しながら、そろり、と室内を見回す。
クリーム色の壁、敷かれているラグもクリーム色。カーテンは薄い緑で、出されたクッションは薄いグレー。ベッドもクリーム色の系統らしい。
クリーム色が好きなのか、薄い色が好きなのか。
そして、それとは別に、ここまでを見ていて、橋本は気になった。
家が、新築のようだ、と。
思ったところで足音がして、
「おまたせしました。入って良いですか?」
と光海の声がし、橋本は努めて冷静に、返事をした。
◇
紅茶2つ、お皿に乗せたリーフパイ6枚、を、トレーからローテーブルに移す。トレーは机の上に置き、カバンを持ち、ローテーブルに座って、
「さあ、始めましょう」
勉強を始めて、一時間ほど。橋本の緊張も解けてきたらしく、いつも通りな感じだ。
それと、そろそろ、愛流が帰ってくる頃だけど……。
ただいま、と、愛流の声がした。
「あ、帰ってきましたね」
「おお、あの」
「はい。迎えに行ってきます」
で、部屋を出て、階段の所で。
「あ、お姉ちゃん。靴、あれ、橋本さんだよね?」
「そうだよ。おかえり。失礼のないようにね」
「分かってるって。あ、ただいま」
大丈夫か。
そんな感じで、勉強は一回中断。愛流は、私の部屋で、橋本の写真を撮り始めた。
立ってくれます? で、5枚ほど。
座ってくれません? を数パターンでまた何枚か。
私と並んで立ち、また数枚。背中合わせで数枚。
「愛流、そろそろ30分くらい経つよ」
「え、もう少し……まあ、いっか! それは次回で!」
「次回って、愛流よ。橋本さんが困るでしょ」
「え、駄目です?」
「え、や、このくらいなら、別に」
橋本を見れば、少し戸惑っているけど、そのくらい。
「じゃ、愛流。次もこんな感じでね?」
「了解! じゃ! この勢いのままにラフ書くから、橋本さん、失礼します!」
愛流は、風のように出ていった。
「橋本さん、どうします? 少し、休憩します?」
「あ、ああ、じゃあ……あ、屋上、あるんだよな? 行ってもいいか?」
「あ、はい。大丈夫ですよ。じゃ、行きましょうか」
そして、屋上の鍵──5桁の数字を合わせる南京錠タイプ──を、開けて。ドアの横の棚にあるサンダルを手に取り、橋本にもサンダルを持ってもらって。
「ここが我が家の屋上です」
「へー……」
高めの柵と、ほぼ障害物の無い、ゴム質の床。
「一応説明しますと、ああいう鍵なのは、マシュマロと勇斗、4歳児が間違ってここに出てこないようにです。柵が高いのも同じ理由です。まだだとは思いますが、祖父母と散歩に行っているマシュマロが帰って来るかも知れませんから、、一旦、鍵を閉めました。こっちからの鍵はすぐに開きます」
「はー……1個、聞いていいか?」
「なんですか?」
「家がさ、こう……新しい感じに、見えるんだけど」
「あ、そうですね。3年ほど前に、増改築しました。祖父が当てた宝くじのお金で。屋上もその時に作りました」
「なるほどね」
橋本は、柵に近寄る。柵、2メートルあるんだけどな。180超えの橋本を見ると、まだ低いんじゃないかって思ってしまう。
「はー……結構見えるんだな。この辺の家、2階までが多いからか?」
「そうだと思います」
柵に添って歩いていく橋本の、後ろを歩く。
「──あ」
橋本が足を止め、少し遠くを見た。
「ああ、ご自宅ですね」
視線の先は、カメリアだ。
「……なあ、成川」
「なんですか?」
「また、ここ、来ていいか?」
「はい。どうぞ」
「あの店にも、行っていいか。フランス料理の」
「はい。お待ちしてます」
「あと、また、家、来てくれないか。……会って欲しい、人が居る」
「分かりました」
「あと、さ、名前」
名前?
「光海って、呼んで良いか?」
橋本が、こっちを見た。泣くのを我慢してるような、笑顔だった。
「いいですよ。橋本さ……んん? どうしましょう? 私も名前で呼んだほうが良いですか?」
なんか、不公平な気がする。なんの不公平かは、分かんないけど。
橋本は、ぽかんとして、けど、すぐ、その顔は、真面目なものになった。
「お前、光海が、良いなら」
「じゃ、そうします。涼さん……涼さん……涼くん……涼ちゃん……?」
なんか、違和感があるな。うつむき加減に考えていたら。
「……お前、ホント、マジ、そういうの……」
橋、……涼、暫定『涼』が、しゃがみこんでうつむいていた。
「あ、すいません。嫌でした? 戻しましょうか」
「違うわ。名前で呼んで欲しいんだよ」
大丈夫らしい。
「えー……なら、涼、で、良いですか?」
「ああ」
「勉強、どうします? 再開します? もう時間ですけど……」
「……光海の、このあとの、予定は」
「えっと、7時半に夕食の予定なので、それまでは、勉強を」
「じゃあ俺も、そうする。いいか」
「私は構いませんが……ご自宅へは」
「今から連絡する。いつも夜、遅いから、大丈夫だと思う」
「分かりました。……では、戻ります?」
「ああ」
涼は、スクっと立ち上がった。
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