6 / 8
6 冥界の化け物
しおりを挟む
「人、多いですね……人気の劇団なんですか?」
アンドレアスで一番広い広場に着いて、昨日のうちに組み上げられた舞台と、チケット売りの行列を見て、メアリーが不安そうに言う。
「そうらしい。話に聞いた限りだと、王妃殿下も観にいらっしゃったことがあるとか。けど、大丈夫だ、メアリー。チケットはもう買ってあるから」
ディアンは、コートのポケットから出したそれをメアリーに見せる。
「え、いつ買ったんですか?」
「昨日のうちに。良い席がどこか分からなかったから、団員に聞いて、それを買ったよ。他にも何人か、昨日のうちに買っている人がいたな」
「はあ……ありがとうございます……」
ディアンは、メアリーの手の温もりを感じながら、入口の係にチケットを見せ、席へと案内してもらう。
「本当に良い席ですね……」
メアリーのその言葉に、「そう思って貰えて良かった」と、ディアンは答える。
席は、舞台の真正面で、一段高くなった場所。舞台全体を見渡せる席だ。
「……あ、ディアンさん。チケット代、払います」
忘れていた、という顔をしたメアリーに、
「気持ちは嬉しいけど、俺のためにも譲ってくれないか? メアリー。今日は、君に楽しんで、喜んでもらうための日だから」
ディアンはそう言って、困ったように笑顔を返す。
「……分かりました。これも責任ですので」
顔を赤くして、少し不満そうに言うメアリーに、
「だから、メアリー。そういう顔は、あまり他の人間には見せてほしくないんだ。俺だけが見ていたい」
ディアンはメアリーが愛おしくて、そして周りの目がメアリーに向いてないかと気になって、肩を抱いて引き寄せてしまう。
「……あのですね、ディアンさん。やるならやるで、一言断りを入れてくれませんか」
不満そうに言われたけれど、嫌ではないと、暗に伝えられて。
「……メアリーをずっと見ていたいな」
「劇を見て下さい、ディアンさん」
「ああ、分かってる。でも、始まるまでは君を見ていたい」
「……それはどうぞ、ご自由に」
「ありがとうメアリー。愛してる」
◇
劇は面白い。楽しい。けど、ディアンに肩を抱かれたままで、劇に集中出来ない。
初めのほうではそう思っていたメアリーだったけれど、ディアンの言う通りに評判の劇団だからか、だんだんとメアリーの意識が、劇に向いていく。没入していく。
演目『トゥルペの姫騎士物語』は、史実を元にした物語だ。
悪の化身に攻め込まれていた国があった。その国には、気高い心を持っている姫がいた。姫はトゥルペの花の精霊に好かれたことにより、騎士として立ち上がり、仲間を率いて、悪の化身を討ち滅ぼす。
この、悪の化身が冥界から湧き出す化け物だということは、史実が古いためか、劇としての歴史が長いためか、あまり知られていない。
劇が終わり、幕が下りても、拍手や掛け声は、なかなか収まらなかった。
「やっぱり面白いです! 観れて良かったです。ありがとうございます、ディアンさん」
外へ出たメアリーは、感謝の気持ちを込めて、ディアンへ笑顔を向ける。
「楽しんでもらえたみたいで良かった。君の笑顔のためなら、本当になんでもしたくなるよ、メアリー」
ディアンは微笑みながら、メアリーへ顔を寄せる。
急に近づいてきたディアンに、メアリーは固まり、
「……うん。可愛いな、メアリーは」
そんなメアリーを見たディアンはそう言うと、
「本当はキスをしたいけど。それは流石に早いしな」
メアリーの頬に、繋いでいない手で触れて、名残惜しそうに撫でる。
「き、キス……」
顔が赤くなっていると、自覚できるくらい赤い顔で、メアリーはなんとか、それだけ言う。
「そんなふうに呟かれるとな。本当にしてしまいたくなる」
ディアンは熱のこもった瞳でメアリーを見つめ、
「……メアリー」
更に近くなったディアンの顔を、メアリーはどう見れば良いのか分からない。
「本当に、して良いだろうか」
ディアンの、熱い眼差しが、迫ってきて。
止めなければと思うのに、メアリーは、その眼差しに縫い留められたように動けない。
「メアリー」
鼻先が触れそうなほど、近くなった時。
「!」
遠くから悲鳴が聞こえ、ディアンは即座に、体ごとそちらへ向いた。
悲鳴は波のように広がり、何か、嫌な気配がする、とメアリーが思った時。
「メアリー、すまない。あの感覚は恐らく、冥界の化け物だ。行ってくる」
ディアンは厳しい口調で言うと、メアリーを抱きしめ、
「どこか屋内、高い場所へ避難してくれ。一人にさせてすまない。必ず倒す」
そう言うと、メアリーを離し、屋根に駆け上がって、悲鳴の中心へ行ってしまった。
「……冥界の、化け物……」
本当に? と思うのと同時に、聖騎士が言うのだからそうなんだろうと、メアリーは思う。
「……ディアンさん」
倒してほしいと思う前に。
「どうか、ご無事で」
メアリーは言って、神に祈った。
◇
「ディアン?! お前今日は非番だろ?!」
悲鳴の中心に行けば、何名か駆けつけたらしい仲間が、肉塊のような体と、何本もある手足と幾つあるか分からない目玉と口を持った化け物──『資料通りの姿』の冥界の化け物と対峙していた。
「戦力は多いほうが良い」
ディアンは言って、万が一を考えて持っていた短剣を懐から出し、屋根から飛び降り、
「消え去れ」
イエディミナルを短剣に纏わせ、上から化け物へ突き刺す。
イエディミナルを全力で注ぎ込むと、化け物は錆びた機械のような悲鳴を上げ、
「ディアン!」
体を曲げ、手足を伸ばし、ディアンを包み込んだ。
「これくらいで殺せると思うな」
イエディミナルを薄く体に纏えば、自分に触れていた化け物の手足が崩れていく。
短剣で刺した部分の肉も崩れていき、ディアンはそのまま、崩れた先からイエディミナルを叩き込んでいく。
「……」
化け物はその体を完全に崩し、残骸がサラサラと、地面に広がる。その、灰のような残骸は、風に飛ばされていく。
「この一体だけか?」
ディアンが周囲を確認しながら聞けば、
「恐らく、な。だが、油断できない。ソイツらは湧いてくる。お前が倒したそれも、今、出現したのか、より以前に湧き出して身を隠していたのか、詳しい検証が必要だ」
年長者であり、アンドレアスで唯一、冥界の化け物と対峙した経験を持っていた聖騎士が言う。
「まずは周囲の安全確保だ。それから被害の確認と、事情聴取。……ディアン、彼女はどうした?」
「避難してくれと言って、その場に。あの場では気配は感じられなかったから、行動を共にするより、俺だけでこちらに向かうべきだと判断した」
「なら、戻って安心させてやれ。ここももう、化け物の気配は無い。お前は今日、非番だ。話は明日聞く」
「だが……」
短剣を仕舞いながら、躊躇うように言うディアンに、
「そうだよ早く戻れ。顔見せて安心させてやれ」
「俺らもヤワじゃないからな」
「分かったらさっさと戻れ」
仲間たちに、戻れ戻れと言われ、ディアンは追い立てられるように、メアリーと別れた場所へと戻っていった。
◇
屋内の、高い場所。
ディアンからそう言われたメアリーは、それに該当する場所はどこだろうかと、その場で考えていた。
まだ、さっきのはなんだったんだ、やら、聖騎士が集まってたぞ、などと聞こえるその場所で、ディアンの心配をしながら、もしここに化け物が出たら、まずは自分が動かなければとも、思って。
「……冷静に。今こそ、冷静に」
魔法使いなんだから。冥界の化け物の危険性は知っているし、もし、それが現れても、防御しながら、避難誘導くらいは出来る。
メアリーは深呼吸を数回して、状況を把握しつつ移動しようと思い、体の向きを変える。
「メアリー!」
そこに、ディアンの声がした。
「ディアンさん?」
振り返れば、行ってしまった時と同様に、屋根の上を走って戻ってきて、流れるように飛び降り、
「メアリー。無事だったか。良かった」
メアリーを、また抱きしめる。
「……ディアンさんこそ、ご無事で……ご無事ですか……?」
今更の不安か、安堵か。メアリーは泣きそうになりながら、ディアンの背中へ腕を回す。
「ああ、無事だよ、無傷だ。あれは倒してきた。今は安全だ。怖い思いをさせてすまない」
「お仕事、お疲れ様です……ディアンさんが謝ることじゃありません……」
「ありがとう、メアリー。……仲間に戻れと言われてな。顔を見せて、安心させてやれと。……俺のほうが安心してしまった」
「私も安心しました……」
メアリーは、ディアンの背に回した腕に、力を込める。
「……そうか。役に立てたなら、良かった」
頭を撫でてくるディアンへ、
「ディアンさんが無事で、安心したんです……」
メアリーはなんとか、それを口にする。
「…………そうか。ありがとう、メアリー。愛してる」
また、抱きしめてくるディアンのその胸に、メアリーは縋るようにして、顔を埋めた。
アンドレアスで一番広い広場に着いて、昨日のうちに組み上げられた舞台と、チケット売りの行列を見て、メアリーが不安そうに言う。
「そうらしい。話に聞いた限りだと、王妃殿下も観にいらっしゃったことがあるとか。けど、大丈夫だ、メアリー。チケットはもう買ってあるから」
ディアンは、コートのポケットから出したそれをメアリーに見せる。
「え、いつ買ったんですか?」
「昨日のうちに。良い席がどこか分からなかったから、団員に聞いて、それを買ったよ。他にも何人か、昨日のうちに買っている人がいたな」
「はあ……ありがとうございます……」
ディアンは、メアリーの手の温もりを感じながら、入口の係にチケットを見せ、席へと案内してもらう。
「本当に良い席ですね……」
メアリーのその言葉に、「そう思って貰えて良かった」と、ディアンは答える。
席は、舞台の真正面で、一段高くなった場所。舞台全体を見渡せる席だ。
「……あ、ディアンさん。チケット代、払います」
忘れていた、という顔をしたメアリーに、
「気持ちは嬉しいけど、俺のためにも譲ってくれないか? メアリー。今日は、君に楽しんで、喜んでもらうための日だから」
ディアンはそう言って、困ったように笑顔を返す。
「……分かりました。これも責任ですので」
顔を赤くして、少し不満そうに言うメアリーに、
「だから、メアリー。そういう顔は、あまり他の人間には見せてほしくないんだ。俺だけが見ていたい」
ディアンはメアリーが愛おしくて、そして周りの目がメアリーに向いてないかと気になって、肩を抱いて引き寄せてしまう。
「……あのですね、ディアンさん。やるならやるで、一言断りを入れてくれませんか」
不満そうに言われたけれど、嫌ではないと、暗に伝えられて。
「……メアリーをずっと見ていたいな」
「劇を見て下さい、ディアンさん」
「ああ、分かってる。でも、始まるまでは君を見ていたい」
「……それはどうぞ、ご自由に」
「ありがとうメアリー。愛してる」
◇
劇は面白い。楽しい。けど、ディアンに肩を抱かれたままで、劇に集中出来ない。
初めのほうではそう思っていたメアリーだったけれど、ディアンの言う通りに評判の劇団だからか、だんだんとメアリーの意識が、劇に向いていく。没入していく。
演目『トゥルペの姫騎士物語』は、史実を元にした物語だ。
悪の化身に攻め込まれていた国があった。その国には、気高い心を持っている姫がいた。姫はトゥルペの花の精霊に好かれたことにより、騎士として立ち上がり、仲間を率いて、悪の化身を討ち滅ぼす。
この、悪の化身が冥界から湧き出す化け物だということは、史実が古いためか、劇としての歴史が長いためか、あまり知られていない。
劇が終わり、幕が下りても、拍手や掛け声は、なかなか収まらなかった。
「やっぱり面白いです! 観れて良かったです。ありがとうございます、ディアンさん」
外へ出たメアリーは、感謝の気持ちを込めて、ディアンへ笑顔を向ける。
「楽しんでもらえたみたいで良かった。君の笑顔のためなら、本当になんでもしたくなるよ、メアリー」
ディアンは微笑みながら、メアリーへ顔を寄せる。
急に近づいてきたディアンに、メアリーは固まり、
「……うん。可愛いな、メアリーは」
そんなメアリーを見たディアンはそう言うと、
「本当はキスをしたいけど。それは流石に早いしな」
メアリーの頬に、繋いでいない手で触れて、名残惜しそうに撫でる。
「き、キス……」
顔が赤くなっていると、自覚できるくらい赤い顔で、メアリーはなんとか、それだけ言う。
「そんなふうに呟かれるとな。本当にしてしまいたくなる」
ディアンは熱のこもった瞳でメアリーを見つめ、
「……メアリー」
更に近くなったディアンの顔を、メアリーはどう見れば良いのか分からない。
「本当に、して良いだろうか」
ディアンの、熱い眼差しが、迫ってきて。
止めなければと思うのに、メアリーは、その眼差しに縫い留められたように動けない。
「メアリー」
鼻先が触れそうなほど、近くなった時。
「!」
遠くから悲鳴が聞こえ、ディアンは即座に、体ごとそちらへ向いた。
悲鳴は波のように広がり、何か、嫌な気配がする、とメアリーが思った時。
「メアリー、すまない。あの感覚は恐らく、冥界の化け物だ。行ってくる」
ディアンは厳しい口調で言うと、メアリーを抱きしめ、
「どこか屋内、高い場所へ避難してくれ。一人にさせてすまない。必ず倒す」
そう言うと、メアリーを離し、屋根に駆け上がって、悲鳴の中心へ行ってしまった。
「……冥界の、化け物……」
本当に? と思うのと同時に、聖騎士が言うのだからそうなんだろうと、メアリーは思う。
「……ディアンさん」
倒してほしいと思う前に。
「どうか、ご無事で」
メアリーは言って、神に祈った。
◇
「ディアン?! お前今日は非番だろ?!」
悲鳴の中心に行けば、何名か駆けつけたらしい仲間が、肉塊のような体と、何本もある手足と幾つあるか分からない目玉と口を持った化け物──『資料通りの姿』の冥界の化け物と対峙していた。
「戦力は多いほうが良い」
ディアンは言って、万が一を考えて持っていた短剣を懐から出し、屋根から飛び降り、
「消え去れ」
イエディミナルを短剣に纏わせ、上から化け物へ突き刺す。
イエディミナルを全力で注ぎ込むと、化け物は錆びた機械のような悲鳴を上げ、
「ディアン!」
体を曲げ、手足を伸ばし、ディアンを包み込んだ。
「これくらいで殺せると思うな」
イエディミナルを薄く体に纏えば、自分に触れていた化け物の手足が崩れていく。
短剣で刺した部分の肉も崩れていき、ディアンはそのまま、崩れた先からイエディミナルを叩き込んでいく。
「……」
化け物はその体を完全に崩し、残骸がサラサラと、地面に広がる。その、灰のような残骸は、風に飛ばされていく。
「この一体だけか?」
ディアンが周囲を確認しながら聞けば、
「恐らく、な。だが、油断できない。ソイツらは湧いてくる。お前が倒したそれも、今、出現したのか、より以前に湧き出して身を隠していたのか、詳しい検証が必要だ」
年長者であり、アンドレアスで唯一、冥界の化け物と対峙した経験を持っていた聖騎士が言う。
「まずは周囲の安全確保だ。それから被害の確認と、事情聴取。……ディアン、彼女はどうした?」
「避難してくれと言って、その場に。あの場では気配は感じられなかったから、行動を共にするより、俺だけでこちらに向かうべきだと判断した」
「なら、戻って安心させてやれ。ここももう、化け物の気配は無い。お前は今日、非番だ。話は明日聞く」
「だが……」
短剣を仕舞いながら、躊躇うように言うディアンに、
「そうだよ早く戻れ。顔見せて安心させてやれ」
「俺らもヤワじゃないからな」
「分かったらさっさと戻れ」
仲間たちに、戻れ戻れと言われ、ディアンは追い立てられるように、メアリーと別れた場所へと戻っていった。
◇
屋内の、高い場所。
ディアンからそう言われたメアリーは、それに該当する場所はどこだろうかと、その場で考えていた。
まだ、さっきのはなんだったんだ、やら、聖騎士が集まってたぞ、などと聞こえるその場所で、ディアンの心配をしながら、もしここに化け物が出たら、まずは自分が動かなければとも、思って。
「……冷静に。今こそ、冷静に」
魔法使いなんだから。冥界の化け物の危険性は知っているし、もし、それが現れても、防御しながら、避難誘導くらいは出来る。
メアリーは深呼吸を数回して、状況を把握しつつ移動しようと思い、体の向きを変える。
「メアリー!」
そこに、ディアンの声がした。
「ディアンさん?」
振り返れば、行ってしまった時と同様に、屋根の上を走って戻ってきて、流れるように飛び降り、
「メアリー。無事だったか。良かった」
メアリーを、また抱きしめる。
「……ディアンさんこそ、ご無事で……ご無事ですか……?」
今更の不安か、安堵か。メアリーは泣きそうになりながら、ディアンの背中へ腕を回す。
「ああ、無事だよ、無傷だ。あれは倒してきた。今は安全だ。怖い思いをさせてすまない」
「お仕事、お疲れ様です……ディアンさんが謝ることじゃありません……」
「ありがとう、メアリー。……仲間に戻れと言われてな。顔を見せて、安心させてやれと。……俺のほうが安心してしまった」
「私も安心しました……」
メアリーは、ディアンの背に回した腕に、力を込める。
「……そうか。役に立てたなら、良かった」
頭を撫でてくるディアンへ、
「ディアンさんが無事で、安心したんです……」
メアリーはなんとか、それを口にする。
「…………そうか。ありがとう、メアリー。愛してる」
また、抱きしめてくるディアンのその胸に、メアリーは縋るようにして、顔を埋めた。
56
お気に入りに追加
167
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
極悪皇女が幸せになる方法
春野オカリナ
恋愛
ブルーネオ帝国には、『極悪皇女』と呼ばれる我儘で暴虐無人な皇女がいる。
名をグレーテル・ブルーネオ。
生まれた時は、両親とたった一人の兄に大切に愛されていたが、皇后アリージェンナが突然原因不明の病で亡くなり、混乱の中で見せた闇魔法が原因でグレーテルは呪われた存在に変わった。
それでも幼いグレーテルは父や兄の愛情を求めてやまない。しかし、残酷にも母が亡くなって3年後に乳母も急逝してしまい皇宮での味方はいなくなってしまう。
そんな中、兄の将来の側近として挙がっていたエドモンド・グラッセ小公子だけは、グレーテルに優しかった。次第にグレーテルは、エドモンドに異常な執着をする様になり、彼に近付く令嬢に嫌がらせや暴行を加える様になる。
彼女の度を超えた言動に怒りを覚えたエドモンドは、守る気のない約束をして雨の中、グレーテルを庭園に待ちぼうけさせたのだった。
発見された時には高熱を出し、生死を彷徨ったが意識を取り戻した数日後にある変化が生まれた。
皇女グレーテルは、皇女宮の一部の使用人以外の人間の記憶が無くなっていた。勿論、その中には皇帝である父や皇太子である兄…そしてエドモンドに関しても…。
彼女は雨の日に何もかも諦めて、記憶と共に全てを捨て去ったのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
「俺が君を愛することはない」じゃあこの怖いくらい甘やかされてる状況はなんなんだ。そして一件落着すると、今度は家庭内ストーカーに発展した。
下菊みこと
恋愛
戦士の王の妻は、幼い頃から一緒にいた夫から深く溺愛されている。
リュシエンヌは政略結婚の末、夫となったジルベールにベッドの上で「俺が君を愛することはない」と宣言される。しかし、ベタベタに甘やかされているこの状況では彼の気持ちなど分かりきっていた。
小説家になろう様でも投稿しています。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約者が他の令嬢に微笑む時、私は惚れ薬を使った
葵 すみれ
恋愛
ポリーヌはある日、婚約者が見知らぬ令嬢と二人きりでいるところを見てしまう。
しかも、彼は見たことがないような微笑みを令嬢に向けていた。
いつも自分には冷たい彼の柔らかい態度に、ポリーヌは愕然とする。
そして、親が決めた婚約ではあったが、いつの間にか彼に恋心を抱いていたことに気づく。
落ち込むポリーヌに、妹がこれを使えと惚れ薬を渡してきた。
迷ったあげく、婚約者に惚れ薬を使うと、彼の態度は一転して溺愛してくるように。
偽りの愛とは知りながらも、ポリーヌは幸福に酔う。
しかし幸せの狭間で、惚れ薬で彼の心を縛っているのだと罪悪感を抱くポリーヌ。
悩んだ末に、惚れ薬の効果を打ち消す薬をもらうことを決意するが……。
※小説家になろうにも掲載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
顔も知らない旦那さま
ゆうゆう
恋愛
領地で大災害が起きて没落寸前まで追い込まれた伯爵家は一人娘の私を大金持ちの商人に嫁がせる事で存続をはかった。
しかし、嫁いで2年旦那の顔さえ見たことがない
私の結婚相手は一体どんな人?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】貧乏子爵令嬢は、王子のフェロモンに靡かない。
櫻野くるみ
恋愛
王太子フェルゼンは悩んでいた。
生まれつきのフェロモンと美しい容姿のせいで、みんな失神してしまうのだ。
このままでは結婚相手など見つかるはずもないと落ち込み、なかば諦めかけていたところ、自分のフェロモンが全く効かない令嬢に出会う。
運命の相手だと執着する王子と、社交界に興味の無い、フェロモンに鈍感な貧乏子爵令嬢の恋のお話です。
ゆるい話ですので、軽い気持ちでお読み下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる